年末、自室でAR-15と過ごす指揮官。
二人きりで年越し蕎麦などの名物料理を食べ、一枚の布団で二人を包み寄り添い会いながらテレビを視聴する。
アナログ時計の動作音がやけに大きく消え、今まで微かにしか聞こえなかった100式の突く鐘の音も基地によく響き、音が鳴るたびに歓声も上がる。
テレビに映るアナウンサーが、年越しのカウントダウンを始め、指揮官の胸に一年が終わる寂寥感が漂う。
そんな中で、
「んっ……」
AR-15が、指揮官の腕を抱き寄せた。
彼女がわかりやすく甘えるなんて珍しい。
小首を傾げながら、どうしたんだ?と問う指揮官。
「いいじゃないですか…。こんなことできるのも今年で最後ですから」
なんて、赤らんだ顔を隠すようにそっぽを向く。
「今年だけしかしてくれないのか?」
と冗談めかして言うと、AR-15は首を左右に振って否定する。
「そんなわけない…!来年もこれからもずっと、ずっとこうして居たい……!」
涙で潤んだ上目遣いで指揮官を見つめる彼女。指揮官の腕を一段と強く抱きしめながら。
彼女の潤んだ瞳は確かな決意、信念に溢れている。あなたのそばにずっと居たいのだと
だから、指揮官も返事を返すのだ。心からの本音を。彼女が伝えてくれた確かな愛情に報いるようにして。
「そうだな。私も、君とずっとこうやっていたいな」
わかりきった返事だ。指揮官がそう言ってくれるのは、AR-15はいとも簡単に想像して居た。
でも、何故だろうか。そう言ってくれると分かっていても、彼が、自分の言葉で伝えてくれたことが、嬉しくて、胸の内を焦がすようだ。
指揮官は左腕で彼女の頭を包み込む。二人で温まってたからか、それとも彼女の決意からか、熱くなった頭を。 この先も一緒だと行動で伝えるように。
「指揮官……」
AR-15は指揮官の腕を抱きしめるのをやめると、彼の両頬を包み込むように手を添える。
「AR-15」
可憐な微笑みを浮かべながら、火傷しそうな位に熱ってた手。
その行動の意味がわからないほど、指揮官は鈍感ではない。
「ありがとう、あなた」
AR-15の顔が寄せられる。
彼女との距離がゼロになった瞬間、どこか遠くで、『ゼロ』という音声が聞こえた。
けれど、二人の耳に届くことはない。二人はお互いが生み出した世界の中に居るのだから。
微かな、否、永遠とも言える時間を共有した二人。
だが、息という制約には敵わず二人の距離は少しずつまた広がる。
「あけましておめでとうございます、あなた」
「あけましておめでとうSTAR」
二人のゼロはここから動き出し、新年が今、この時から始まったーー