指揮官の日常   作:けんろん

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指揮官の日常 その3

05:30

 

何かの気配を間近に感じ起床。

隣には私の腕を枕にしながらすやすやと眠るHK416。

就寝寸前の記憶がない。

確か昨晩バーへ迎えに来てくれたことは覚えているが、この状況と関係があるのだろうか。

 

 

06:00

 

腕に416の香りが残っているのを意識から外し、ランニングへ。

今朝はKSGが付き添ってくれた。

適切なペースを保ってくれるだけでなく、単調なトレーニングにならないよう様々なメニューを組んでくれて助かる。

ただ、バイタルチェックと称して全身くまなく記録しようとしてくるのはどうにかならないものか。

 

 

06:40

 

シャワーを浴びに私室へ戻る。

するとスポーツ飲料と着替えが用意されており、ベッド周りも小綺麗になっていた。

おそらくこれらを準備してくれたであろう416の姿はすでになく、ついでに寝間着にしていたTシャツも消えた。

 

 

07:00

 

食堂へ向かうと、今日の副官のVectorが入口で待機していた。

朝食はまだとっていないようだったので、本日の予定を確認しつつ共にとる。

 

 

07:20

 

早めに朝食を終えたので、いつもより長めの基地内見回りへ。

半日ほどは司令室に籠りきりになるので、人形たちとのコミュニケーションを多く取るためにも、この見回りは重要なのだ。

それにもしかしたらゲームをやり込んで完徹したRFBが朝食後、宿舎に戻る前に廊下で寝て…いや流石にいないか。

 

 

07:36

 

…ゲームはしばらく没収とする。

 

 

08:00

 

 

折衷案として自由時間内かつ消灯までという条件でゲームを返す。

危うくVectorが燃やしてしまうところだった。

 

Vectorは何事もなかったかのように仕事を始めてくれた。

 

 

09:00

 

スコーピオンが後方支援の報告にスキップしながらやって来た。

副官殿と比較するとその明るさがより際立つ。

彼女は資源だけでなく元気まで与えてくれるような存在だ。

 

 

10:00

 

Vectorはどんな仕事でも任務とあればしっかりやってくれた。

ほとんど無言でこなしてくれるため、こちらとしてもかなり作業が捗る。

ただ本当に静かなので、少し会話が欲しくなるのもまた事実。

どんな会話なら弾むのだろうかと考えながらふとVectorの方を見た。

 

整った顔に綺麗な瞳と白く透き通るような肌。

まるでお人形さんみたいに綺麗だなと褒めると、人形だもの、と真顔で返されてしまった。

 

何を言っているんだ私は。

恥ずかしさで耳が熱くなるのを感じた。

 

 

12:00

 

昼食のために食堂へ向かう。

料理を受け取り近場のテーブルに座ると、G41がやってきた。

席を探しているらしい。

座っていいぞと言うやいなや、私の膝の上に座って嬉しそうにパンを食べだした。

想定外ではあったが、少々食べづらいことを除けば問題はなかったので許してしまった。

 

問題はそのあと。

どこから嗅ぎつけたか、UMP9も座ると言い出し、私の膝上の取り合いに発展した。

納めるために左右に半分ずつ座ってもらったが、そのせいで昼飯を少し食べ損なった。

 

あの時のVectorの表情は微妙に機嫌が悪く見えたが、真偽は定かでない。

 

 

14:00

 

PPKの無駄に距離の近い後方支援報告に耐えながら、書類作業を同時進行させる。

そのスキンシップは、触れられることはないもののずっと耳元で囁かれるというもので、なかなか心臓に悪い。

 

 

15:00

 

なんとか事務仕事もひと段落し、散歩がてら司令室を出る。

まだ司令室に残ると言うVectorと、作戦報告書を提出した後も帰ろうとしないカリーナの2人が、司令室に残っている。

彼女らが2人の時どんな会話が成立するのだろうか。

少し気になったが、カリーナならば少なくとも会話が険悪になることはないだろう。

 

 

15:30

 

昼食をあまり多く食べられなかったため、小腹を満たしに売店へ。

ちょうどコルトSAAが売店近くの休憩スペースでコーラをがぶ飲みしていた。

コーラは売り切れていたためポテチを買い、彼女にコーラとシェアしようと提案する。

快諾してくれたSAAとともにコーラとポテチを貪った。

犯罪的な美味さだったが、早朝のランニングを少し重めにする必要性が生まれてしまった。

 

 

16:00

 

ふと中庭へ向かうとRO635がベンチで佇んでいた。

聞けば、先ほどまでSOPⅡが膝枕で寝ていたが、訓練を忘れていたと飛び起きて行ってしまったらしい。

羨ましいなとついこぼすと、よければと膝枕を勧めてくれた。

 

彼女の太ももはふかふかで心地よく、小腹も満たされていたため、寝落ちしてしまうのに時間はかからなかった。

 

 

16:40

 

危なかった。

彼女に頭突きで起こされなければ、寝過ごしてしまうところだった。

彼女には迷惑をかけてしまった。

今度お詫びをしよう。

 

しかしなぜ頭突きだったのだろうか。

 

 

17:00

 

バッテリーの状況を確認しに宿舎へ。

 

たまたま部屋着姿のAR-15と出くわした。

シャツ・短パンに軽く上着を羽織っただけのもので、目のやり場に困る。

だがよく見るとその着ているシャツには見覚えがあった。

いつぞや新品に変わっていた私のシャツにすごく似ている。

詳しく聞こうとすると、早口で何か言いながら去って行ってしまった。

 

謎は増える一方である。

 

 

18:00

 

司令室に戻りひと仕事終えた後、晩飯のために食堂へ行こうとすると司令室にVectorがやってきた。

食事を持ってきてくれたようだ。

不在だったのは食堂まで行ってくれたからだろう。

 

ありがたく頂くと、美味しいかどうかしつこく聞いてくるVector。

美味いと言うと、そっか、とだけ言い放ちまたどこかへ行ってしまった。

 

猫のような印象を受ける。

 

 

19:00

 

シャワー室の操作パネルが何者かによって完全に壊されている。

一体なぜ。

敵?いや部屋にそんな痕跡はない。

敵だとしてもなぜわざわざシャワー室を。

 

などと考えている間に隣にいたG36が、澄ました顔でお着替えセットを持って手招きしている。

何の説明もないことに疑問を抱きつつ、仕方なく大浴場へ向かった。

 

 

19:10

 

男女を隔てていたはずの壁の穴はだんだん広くなっており、全体が崩れないよう補強工事までされている。

その工事が可能なら修繕に回して欲しいものだ、と胃を痛めながら湯に浸かった。

 

 

19:30

 

スオミに誘われたため、共に新しく増設したサウナへ。

サウナは良い。

汗を掻くのは気持ちがいいし、リフレッシュにもなる。

 

それにしても一体彼女は何分入っているのだろうか…い、意識が…。

 

 

20:30

 

火照った体を冷ましながら、少しだけ残った仕事を片付けるため司令室に戻る。

Vectorは自分の仕事をきっちり終わらせたようで、司令室にはいなかった。

 

 

21:30

 

仕事を早めに切り上げ、就寝前の散歩も兼ねて夜の見回りへ。

途中夜間警備に当たっていたMG5と会った。

彼女は率先して任務や警備をこなしてくれるのでありがたい。

一度しっかり休めと言うと戦力外通告と勘違いしたのか、らしくない悲しい顔をされてしまった。

それ以来休みの代わりにこうした緩めの任務を与えている。

だがそれすら本気でやるあたり、実に彼女らしいと言えるだろう。

 

 

22:00

 

たまたま通りがかったバーの前で、TMPがうろうろとしていた。

どうやらバーは初めてで、入りづらかったらしい。

飲む気は無かったが、彼女が安心するまで一緒に付き合ってやることにした。

 

 

23:00

 

サウナの時より意識が朦朧とする。

何が起きたかよくわからない。

たしかTMPが意外とイケる口で、軽くボトルを飲み干して驚いたところまでは覚えている。

 

いつのまにかVectorに支えられてバーから脱出していた。

心配で来てくれたのだろうか…。

申し訳ない。

 

 

23:30

 

気付けば私室のベッドの上。

とてもじゃないが一人では辿り着けそうになかったので、Vectorには世話をかけてしまった。

 

なぜか一緒に布団をかぶっているVectorが、なにやら隣でもぞもぞと動いている。

やけに涼しげな気がするが、サウナと酒で火照った体にはちょうど良い。

靄がかかった頭では、誰かが隣にいてくれると落ち着くものだ、とぼんやり思うのがやっとだった。

そのまま眠りに落ちる。

 

 

明日も良き一日でありますように。

 

 


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