05:45
予定より少し寝坊しつつもなんとか起床。
どうやら昨日の酒がまだ抜けていないようだ。所々身体も痛い。
もう今日は何があってもBarには近寄らないようにしよう。
隣を見るとVectorが穏やかな顔で寝ていた。
こうして見ると本当に綺麗な顔をし、待て、なんで一緒に寝ているんだ。
……今日は何があっても酒には近寄らないようにしよう。
06:00
若干ふらふらしつつ、毎朝の日課であるランニングへ。
今朝はSPAS-12が準備運動をしながら待機してくれていた。
人間とは比較にならない代謝量の人形でもダイエットは必要なのかと聞くと、運動後の朝食の方が美味しいから、らしい。
そっちか。
人形の代謝についてペルシカさんに聞いたことがあったが、いかんせん二日酔と目の前で上下する無遠慮な体躯のせいで思い出せない。
06:45
私室に戻りシャワーで汗を流す。
Vectorは再起動に時間がかかっているのか、いまだモゾモゾとベッドの上で戯れていた。
こうしてみるとただの猫だ。
07:00
朝食を摂りに食堂へ。
朝から賑わっている中に、本日の副官である
彼女に声を掛け、共に朝食を摂った。
スープをすする姿すら絵になるほど凛としていたが、身支度時に見落としたのかアホ毛のような寝癖が付いている。面白いので黙っておこう。
07:30
本日の日程を確認しつつ朝食を終える。
習慣付いてしまった見回りにでも行こうかと思い席を立つと、配膳カウンターの方にVectorが並んでいるのが見えた。ようやく起きたらしい。
格好は短パンに大きめなシャツ1枚。起き抜けとはいえ身なりに気を……いや、あれは、見覚えが、私の……。
08:00
質問責めに遭いながら、なんとか司令室へたどり着く。
みんなを振り切ったと思いきや、廊下でIWSに泣きそうな目で
今はなんとか納得してくれたのか、上機嫌で仕事の準備に取り掛かってくれている。
私は何もしていない。
たぶん。
09:00
後方支援結果の報告にマカロフがやってきた。結果は大成功。
彼女は状況判断能力にも長け、作戦成功率は高い水準を誇っている。優秀と言うに相応しい人形だ。
そんな彼女のテキパキとした報告の最中、ついそのもふもふとした白い髪に目がいってしまう。少し癖っ毛で、身の丈ほどある長い髪。実にもふもふしていそうだ。
もふもふ。
10:00
先ほど間違えて呼んでしまった「マカモフ」という単語が軽くツボに入っていたIWSだが、彼女も極めて優秀だ。
少々うっかりしているところはあるものの、戦闘能力や作戦遂行能力は言わずもがな、事務作業まである程度の心得はあるようだ。
加えてすらりとした体躯に、整った目鼻立ち、透き通る白髪、明るい性格。どれをとっても非が見当たらない。
ただ、ほんの少し、うっかり屋さんなだけなのだ。
だから今、重要な機密書類を失くしてしまい必死になって探していたとしても、些細な問題だろう。
12:30
昼食を摂りに食堂へ。
たまたま相席したTAC-50が、トーストにふんだんにメープルシロップをかけて食していた。
見ているだけで胸焼けしそうだが、心底美味しそうに食べるその表情を曇らせるようなことは、私には言えなかった。
しかし私の丼物にまでかけようとするのは、勘弁願いたい。
14:00
後方支援結果の報告にHK45がやってきた。四六時中踊っているイメージだったが、報告の際は流石に真面目にやっていた。
かと思いきやすぐにくるくると踊り出す。見ていて飽きない。
ものの見事に一緒に踊る約束を取り付けられたが、まあ機会があれば付き合おう。
15:30
なかなか終わらない書類仕事に見切りを付け、気分転換がてらIWSと共に散歩に出かける。
いつも通り作戦報告書を持ったカリーナとすれ違ったが、またサボりですかと嫌味を言われた。
サボりではない。
見回りだ。
16:00
少し客足の遠のく時間を見計らって、春田カフェへと足を運ぶ。店主のスプリングフィールドが淹れるコーヒーの良い香りが、胸いっぱいに広がった。
今日も彼女特製をいただく。うまい。
IWSはメニューと睨めっこをしている。
16:30
店内の一角に『K5の占いコーナー』なるものが設置してあった。
聞くところによると、不定期に場所を借りては占っているらしい。
たまたま遭遇したのも何かの縁、占ってもらうことにした。詳細の結果は割愛するが、なかなかの運気らしい。
だが『酒に注意』と言われた時は、変な声が出た。
17:00
用事があるというIWSと別れ、バッテリーを回収しに宿舎へ。
すると、何枚かの布を持ったカルカノM1891と遭遇した。新しい服を製作中だとか。
見せてあげます、と私室へ招待されたが、せっかくなので完成まであえて見ないことにした。
いの一番に見せに来ると言うカルカノと約束を交わし、宿舎を後にする。
18:00
司令室に戻り仕事をしていると、IWSが帰ってきた。どうやら晩御飯を準備してくれていたらしい。ありがたい。
出てきたのは、"IWS2000"の生まれ故郷の料理だというターフェルシュピッツ。牛肉の煮込み料理だ。
うっかり味付けを、なんてことはなく、ものすごく美味しかった。
お付きのスープも美味かったが、やたらと体が火照ってくるような気がするのは、香辛料でも入っているのだろうか。
19:00
シャワー室の扉には、もはや立ち入り禁止のテープが貼ってあった。
いるであろうG36に振り返りもせずに問いただすと、修理中なので大浴場へ、と言われた。
夜になると急に壊れるのは一体何故なんだ。
19:30
気付いたら大浴場で混浴していた。
むしろセクハラでもすれば一緒に入らなくなるだろうかとも考えたが、下手に動けば失職どころか命を落としかねないのでやめた。
……タオルは付けてくれ。
走り回っちゃダメ。
泳ぐのもやめなさい。
20:00
火照る身体を冷ますついでに、司令室で残りの仕事を片付ける。
IWSも残るといって聞かなかったが、明日の作戦には彼女にも出てもらう予定のため、早めに休んでもらうことにした。
21:30
ちょうど一区切りつくというところで、M16とAK-47が突入してきた。
手にはもちろん、酒、酒、酒。すでに出来上がっている。
禁酒中なんだと追い返すと、司令室のソファで勝手に宴会を始めてしまった。
勘弁してくれ。
22:30
騒がしいのを聞きつけてか、やたらと人形が集まってきた。ここは宴会場ではない。
頼むからBarでやってくれ。
挙げ句の果てにはHK416までもがしかめっ面でやってきて、転がってきた酒瓶を、手にとって……飲ん──。
23:30
死屍累々の司令室から抜け出し、私室へとたどり着く。心配でやってきたらしいIWSがいなければ、あのまま床のマットと同化していたに違いない。
彼女に感謝を述べつつ、ベッドに横たわる。
ひんやりとしたシーツが心地よく、それとは対照的に温かい彼女の腕に包まれ、心がすっと落ち着くのを感じた。
なんだかとても気持ちがいい。
今日もいい夢が見られそうだ。