東国戦遊志(東国幻想郷シリーズ) 作:JAFW500/ma183(関ケ原雅之)
この作品は2次創作。
強さは自分と相手の相性などで決まる相対的なものになります。
時系列は旧作終了の時点で、そこから先は原作本来の流れと少し違う流れになります。
このシリーズでは「オリジナルキャラクター」・「大幅のオリジナル設定」が出ます。
東方とドラゴンボール二つの要素を持ちながら、「どちらでもないお話」です。思い切って始まってしまったこの新しい「幻想郷」を心ゆくまでお楽しみください。
風が強く吹き荒れる中、決闘は始まった。。
バーダック、ドドリア、実力は互角。
「下級戦士のくせにここまでやるか…。ならッ!!!」
ドドリアの至近距離から連続エネルギー弾を一斉に放ち、バーダックに襲い掛かる。
「っぎい!!」
だが、バーダックは負けない、一気に力を溜めると、咆哮を以てそのエネルギー弾全てを消し飛ばしたのだ。
「効かねえな、そんな攻撃は…。」
次の瞬間、バーダックの足がドドリアの腹深くめり込んだ。
「ば、ばかな…、こんな…。」
「寝言ほざいてんじゃあねえ。てめえとオレとじゃあ出来が違うんだよ。」
ドドリアの脇腹に猛烈な連撃が撃ち込まれた。
[newpage]
大きく宙を舞うドドリアの巨体が地面に叩きつけられた。
「ぐっ…。」
小さなうめき声をあげるドドリア。まだ生きている。
「まだ生きてやがるか…。」
バーダックは、これまでの怒りを拳に纏い、とどめの一撃を入れるため近くまで向かう。
「くっ…。」
ドドリアに死神の足音が近づいた。
そして、
「これで最後だぁ!!」
[newpage]
[chapter:絶体絶命]
ドンッ!!
衝撃がバーダックの胸を貫いた。
「なっ――――。」
一瞬遅れて、力が抜け、バーダックの体が地面にぶつかる。
「く…っ…。」
バーダックは何が起こったのか分からなかった。しかし、しばらくして何が起こったのか理解できた。胸から伝わった痛みを以て。
『撃たれた』
「貴様ぁ…。」
バーダックに銃を向けるあの隊長の姿があった。隊長は戦闘のどさくさに紛れて姿と気配を隠し、彼を倒す機会をじっと待っていたのだ。
バーダックがとどめを刺すときに生じた一瞬の隙が彼の状況を変えてしまったのだ。
「くそっ…、たれが…。」
なんとかバーダックは片膝をつき、起き上がる。
しかし、立ち上がれなかった。右胸に開けられた傷口からの出血がひどく、力が入りきらないのだ。完全に動きが鈍くなってしまった。
「ほう、まだ生きているとはなぁ。なかなかしぶといサルじゃあねえか。」
不敵な笑みをうかべるドドリア。そして、バーダックを打ち抜いた隊長の方に近づき、
「流石オレの教え子だぜ。思っていた以上の活躍だ、いいもん持ってるぜ…。」
「これで、教えたもらった恩を少しばかり返せましたか。」
「十分だ。」
ドドリアは、ベジータにやられた後地獄におとされた。魂だけのまま鉄格子の牢屋に入れられ退屈な日々を過ごしていた。あれから数年後、フリーザが復活し彼を開放した。そしてある日彼の肉体は戻り、復活した。それ以来ドドリアは、フリーザ軍の戦闘部隊の育成係として抜擢され、地獄から集めた志願者の育成を任された。そして、彼のしごきに耐えられた者を順番に入れていった。その中の一人があの隊長だったのだ。ドドリアは基本数回会っただけの者の顔はいちいち覚えていないが、彼は強烈な印象だった。仏のような顔とは逆に、彼からたまににじみ出る吐き気を催すような邪悪さ、それがドドリアの印象に残ったのだ。そして、あの者は戦闘部隊の隊長の一人に任命され、今回この里の制圧を命じられたのだ。
「この野郎…、気配を…。」
バーダックはやっと気づいた。そう、あの不意打ち、ドドリアが気配を消すことができているのだ。この横にいる者がドドリアの教え子である以上彼もできるのだ。気配を消すことが。
「俺たちは戦闘力のコントロールができる。やはり貴様はサイヤ人、せっかくの敵討ちとやらも油断して失敗となるのだ。」
バーダックは気配を読みとることはできたがまだ精度が完全ではなかった。あの時早く決めていれば、そう思ったが今となっては遅かった。
「ドドリア様、とどめを…。」
「ああ…。」
ドドリアの手がバーダックの顔に向けられた。
「なかなか危なかったが、これで終わりだ!!!!」
[newpage]
凄まじい蹴りがドドリアの胴に直撃し、その巨体が宙を舞った。
「なにぃ!?」
一瞬遅れ、隊長が後ろを振り向く。
「遅いよ。」
隊長の顔に炎を帯びた鋭い回し蹴りが入る。
「お、おめえは…。」
バーダックが顔を上げた。
「ちょっと様子を見に来ただけだったんだけどね…。」
そこには昨日戦った不滅の炎、藤原妹紅の姿があった。
「全く、心配かけさせやがって…。勝負ってのは、最後の最後まで油断しないもの。」
バーダックの傷口の止血をしつつ妹紅が諭した。
「…。」
相変わらず無愛想な顔のバーダック。
「まあこんなものか。」
バーダックの傷口にガーゼを当て包帯で縛り応急処置が終わった。
「手当てできるのか…。」
「まあ、毎日傷の絶えない戦いをしていたから、これぐらいは覚えるよ。」
「…。」
バーダックはこれまで自分で手当てをすることはなかった。ほとんどの戦闘で重傷に至ることは無く、あったとしても自分の乗ってきたポッドにある生命維持装置があれば拠点に戻るまで間に合わせることができたのだ。
「この俺はサイヤ人だ、これ以上貴様の手は借りねぇ…。」
すると妹紅は、
「ならちょっと手を貸せ。」
そう答えた。
体に力を入れ何とか立ち上がるバーダック。普通なら立っているのが限界なのだが、相手がかつての宿敵である以上負けるわけにはいかない。そして、来て早々、自分を叩きのめしたこいつがここにいるのだこれ以上地面に膝をつくことはしない。
「はあっ、はあっ…。くそ――――っ!!」
彼方の瓦礫が崩れ、声が聞こえた。ドドリア達の意識が戻った。
「よくもやってくれたじゃあねえか…。てめえら二人ともぶっ殺してくれる。」
隊長の方もそれに続く。
「…。」
バーダックは腕に巻いていた赤いハチマキを手に取り、頭に結んだ。そして、
「この前の借りだ。おめえにそっちの銃を持った方を任せてやる。」
隣にいる彼女に三下の方を任せた。
「…。そうか、分かった。」
妹紅は、何かを察し、短い言葉でそう返した。
<人間の里の中心街>
「くそ、待て!!」
隊長を追い走り続ける妹紅。
「てめえごときに、負けるわけにはいかねえんだい。」
あれから、妹紅は隊長の方と戦うことになった。しかし、この隊長、全く正々堂々と戦わずさっきから東へ、西へと、妹紅を追い払うかのように細い路地を逃げてばかりいるのだ。妹紅と隊長のいたちごっこが続いている。
「くそ…。いい加減堂々と勝負したらどうだ!このまま逃げても勝ち目がないことぐらいわかっているはずだろうよ!」
妹紅が逃げ続ける隊長に向かって言い放った。
「ほう、堂々と勝負か…。」
隊長が足を止めた。そして、妹紅の方を振り向く。
「いいだろう、お望み通り堂々と勝負してやろう。」
「最初からそうしろよ。」
向かい合い、互いに出方を探り合う。しかし、ふと隊長の顔に悪い笑みが浮かび上がった。
「妹紅、とか言ったか…。」
「…。」
「なぜ、この俺が貴様を相手にここまで逃げてきたと思う?ただ単に逃げ回っていたわけじゃあねえ…。『探していた』んだよ…、『この場所をな』。」
「ま、まさか――――。」
妹紅は辺りを見回した。少し前にいた、見覚えのある場所だった。
「妹紅。近くにいるのか。」
慧音の声がした。
さっき慧音と一緒に彼らを運んだ場所だ。
「慧音、逃げろ!!」
妹紅が、隊長に向かいながら叫んだ。
「遅いぜ、太陽拳!!」
「っ!!」
辺りを強烈な光が包んだ。
「目が…。」
まともに正面から受けた妹紅。目がくらんで何も見えていない。
「絶対に逃がすかよ…。」
何も見えない中、妹紅は彼女の気配のする方へ向かっていった。
<人間の里の中心街の大通り>
眩んでいた妹紅の視界が開けた。
そして、目の前には慧音を人質にとったあいつの姿がそこにはあった。
「そこまでするか…。」
「これが、オレのやり方だ…。これで堂々と勝負してやる…。」
「妹紅…。私のことはいいから。こいつを先にやれ…。」
かすれ声になりながらも妹紅に伝える慧音。人獣とはいえ、まだ明るく、満月でない今日では、ハクタクになることはできない。彼女は、この里に住む普通の人間と同じ。
「ほう、そうか…。お前こいつの仲間か…。」
隊長は意外な土産をもらうと二つの道を迫った。
「二つ、道を与えてやる。今ここで死ぬか、ここから逃げ出すか。」
妹紅に彼が左手につけている銃が向けられた。
「妹紅、早くやれ。おそらくこいつは、ここ一体を吹き飛ばすはずだ。」
慧音は、横に置かれた小さな包みを見つめる。大きな茶色い包みに覆われた物、中から滲み出ている花火を上げる時に立ち込める臭い。火薬。
「…。」
しかし、妹紅は黙ったまま動かない。
「一分だけ、時間をやろう…。よく考えろよ。」
慧音とあの男の間には距離がある。
このまま立ち向かえばこいつは倒せるだろうが慧音は間違いなく死ぬ。逃げれば、慧音は放してもらえるかもしれないがこの男は気配を消して逃げる。
「四十秒…。」
「妹紅…。」
目の前にいる慧音は、孤独に生きていた自分に手を差し伸べた。そして、変わり切った自分の姿を嫌な顔一つせず受け入れてくれた里の人たちがいる。どちらもここで消えてはいけない。
「一分!さあ、答えを聞こうか!!」
一分が過ぎた。
妹紅は、慧音の顔をしっかり見つめ言い放つ!
「里の人々も、慧音も消させない。自分に生きる意味を教えてくれた。」
男が、チョッキの内ポケットからスイッチを取り出す。
「ほう…、ならば仲良く死ねぃ!!!」
「もう決着はついたよ。」
次の瞬間男の背後から、紅い炎が広がった。
「これは…。」
「気づいたんだよ。『こっち』の間合いに入っていたことに。」
紅く燃ゆる大きな翼、空に響き渡る気高き咆哮、
不死「火の鳥-鳳翼天翔-」
男の体が一気に業火に包まれた。
彼は体に燃え広がった火を消そうと必死になっている。
「二つ道はあるって言っていたけど、どうやらお前のとれる道は一つしかないみたいだな。」
妹紅が言った。その手には慧音の体がしっかり掴まれていた。
「燃える…。フリーザ軍の隊長のこの俺がああ!!!!!」
妹紅は男に背を向けこう言い残した。
「行ったことはないが、逝くといいよ。あの世にある裁判所ってところで『過去を裁かれに』」
大きな火柱が上がると同時にその声は消えた。
辺りには、黒くなった灰が残っているだけだった。
<市街地南方>
バーダックとドドリアの戦いは白熱。互いにそれぞれの生死をかけた空中の死闘となっている。
「てめえらサイヤ人がフリーザ様に勝つことは無理なんだ!!」
ドドリアの拳がバーダックの肩に直撃した。
「くっ…。」
バーダックに痛みがはしる、しかし、
「つあっ!!!!」
負けじとドドリアの胸に強烈な一撃を入れる。
けがを負えどバーダックは攻撃の手を緩めない。仲間たちと約束したこの赤いハチマキに誓って。
「ぐふ…。ゲへへ…、今の攻撃は効いたぜ…。ちいとアタマにきちまったな…。」
「ここで、負けるほど柔じゃない…。俺たちサイヤ人の血はな。」
バーダックは残った力を全開まで上げ一気に勝負を決めに入る。
「ぬう!!」
ドドリアが構えた。
「うおおおお――――っ!!」
バーダックの強烈なラッシュがドドリアを襲う。
「ぐうっ!!!」
ドドリアの防御を破りバーダックの攻撃がその巨体に嵐のように打ち込まれる。
そして、
「こいつで最後だ――――っ!!!」
バーダックの強烈な気弾がドドリアの胴に直接ぶち込まれた。
「がっ!!」
ドドリアの体が地上に落ち、そのまま地面に叩きつけられた。
辺りに大量の砂が舞い上がった。
「はあっ、はあっ…。」
全力を使い果たしたバーダック。息は既に上がっている。
「…。」
手ごたえはあった。あの一連のラッシュと渾身の力を込めた一撃が効いているようだった。
が、
「てんめぇ~、調子に乗りやがって…。」
なんと、ドドリアにはそんなに聞いていなかったのだ。
「…。」
意外な状況になってしまった。もう、バーダックにはあれ以上の力はおろか、こうして飛んでいるのを維持する力しかないのだ。
「ぶっ殺してやるぅ!!!」
ドドリアが突進してきた。
「ぐあっ!!」
ドドリアの頭突きをまともにお腹にくらった。
バーダックの呼吸が止まる。
そしてバーダックが隊長によって貫かれた右側の胸の傷をめがけて、
「くらえ――――っ!!」
全力を込めた一撃が振り下ろされた。
バーダックは凄まじい痛みを受けつつ地面に叩きつけられた。
しかし、なんとか意識と気力だけは保った。
「…。」
体はもう限界近くまで来ていた。
何とか体制を立て直そうとするが力が入らず、また倒れる。
ドドリアが降りて来た。
「俺たちフリーザ軍は永遠に不滅だ…。あの世に送ってやるぜ。」
バーダックの顔にドドリアの手が向けられる。
「くそ…、ちくしょ――ッ!!」
その時、ふとかつての仲間から託されたあの言葉がよみがえった。
「っ!?」
「まだまだ死ねねえな…、貴様とフリーザを倒すまではな…。」
バーダックに、温かい力が湧き上がる。
「はあああああああああ――――っ!!」
辺りに雷鳴が轟いた。
[newpage]
[chapter:雷鳴]
金色の逆立った髪、体に纏う金色のアウラ、そして、相手を射抜くあの碧い瞳。
「あの髪、あの瞳…。てめえ、まさか…。」
ドドリアは、出発する前にフリーザから言われたある言葉を思い返していた。
「ドドリアさん、相手が弱いとはいえ侮ってはなりませんよ。」
「はっ、しかし、フリーザ様。サイヤ人というのはそこまで強い化け物になってしまうのですか…。」
「ええ、全く嫌な思い出でしたよ、あの時のことは。」
怒りをにじませるフリーザ。ナメック星で起きたあの日ほど彼にとって屈辱的な日は無かった。そして、ドドリアの方を振り向きこう言いつけた。
「いいですか、例えどんなことがあろうと油断してはなりません。特に、サイヤ人だけは!!」
「う…、あ…。」
ドドリアはやっと理解できた。フリーザ様の言っていたことが。これまでとは桁違いな力とフリーザ様に匹敵する威圧感。圧倒的なものを前に言葉が出なかった。
「なるほど、おめえも知っているらしいなこの姿を…。」
「ま、まさかてめえが…。伝説の…。」
――――超サイヤ人――――
「……。」
「く、くそお…。こんなことが…。」
圧倒的なものを前にどうすることもできないドドリア。その顔は絶望にも似たようなものだった…。
「『覚悟』は、いいなドドリア…。」
今までにないほどの低い声だった。その奥にある強い思いと怒りがドドリアの心を押しつぶしていく。
「う…、うおおおおおおあああああああ!!!!!」
ドドリアは後ろに下がりゆく足を無理やり前に出し一歩前進した。
「こ、こんなサル野郎ごときに殺されてたまるかぁ!!!!」
ドドリアはありったけのパワーを両手に集め、エネルギーの詰まった球を出した。
今までの中で一番大きなものだった。
「たとえ、貴様が超サイヤ人であろうとこの俺が退くかァ!!」
「…。」
バーダックは構えず、ドドリアを睨みつけている。
「この里と一緒に吹き飛べ!!!」
ドドリアの咆哮と共にバーダックを白い光が襲う。
「…。」
バーダックは、しっかりドドリアの動きをとらえると地面をけった。
そして、光をかき分けバーダックは、ドドリアの目の前に出た。
「はあ――――――っ!!」
青い炎を纏ったバーダックの拳がドドリアの体を完全に貫いた。
「く…くそぉ……。フリーザ様ああああああああ!!!!!」
夕暮れに染まりゆく空。
バーダックが久しぶりに見た清々しい空の姿が瞳いっぱいに広がる。
「や…やった…。」
バーダックは頭につけていた赤いハチマキを取り手に取った。
あの覚醒の瞬間、声が聞こえた。
フリーザにサイヤ人の恐ろしさをおもいしらせてやれ。
あとは、頼んだぞ、『隊長』。
彼はやっと仲間の、自分の仇をひとつとれたのだ。
「見守りに来やがったのかよ…。」
仰向けになりながらもバーダックはその気配のする方へ目を向けた。
「ふっ…。」
トーマ、セリパ、トテッポ、パンブーキン。そこには、かつて一緒に戦った仲間がいた。
「おめえらのことは、絶対忘れねえ…。だから、さっさと行けよ。」
その言葉を聞くと彼らは黄色い光と共に消えていった。しかし、その顔には後悔も悲しみもなかった。ただ、あたたかい。そんな顔だった。