東国戦遊志(東国幻想郷シリーズ)   作:JAFW500/ma183(関ケ原雅之)

7 / 7
【注意】
この作品は2次創作。
東方×ドラゴンボールとその他(特別編扱い)のクロスです。
戦闘力は撤廃し、相性などの相対関係での強さになります。
時系列は旧作終了の時点で、そこから先はちょっと(?)原作本来の流れと違う流れになります。
このシリーズでは「オリジナルキャラクター」・「大幅のオリジナル設定」が出ます。
東方とドラゴンボール二つの要素を持ちながら、「どちらでもない」、「新しいお話」です。思い切って始まった新しい「幻想郷」を心ゆくまでお楽しみください。(どちらかというと東方っぽいような…。)
(注)第弐幕のだいたいの流れ
・東国戦遊志    フリーザ・バーダックがメイン
・東国戦遊志~紅~ ラディッツ、妹紅、輝夜チームがメイン
・東国戦遊志~夢~ レイム、ルーミア、がメイン
東国戦遊志【番外編】 それ以外メイン



東国戦遊志#7 ノストラダムスの大予言

[chapter:決着!サイヤ人VS華の風見]

<太陽の畑>

「どうしよう…。」

戦いの風に誘われてやってきたあの鴉とは逆に、この風に巻き込まれた客が一名ここにいた。

「逃げれ…ないか…。」

彼女のすぐ後ろを幽香の放った弾幕がかすめた。互いに全開で始まった最後の勝負は佳境に入った。超サイヤ人と最強クラスの妖怪による激しき嵐が辺りに吹き付ける。場所を花畑から西に移し、花畑の丘と西にそびえる山の間にある一本道にて、再開。

「なかなかやってくれるわね…。地面に背を突かされたの久しぶりよ…。」

風見幽香の顔に浮かぶ笑みは強者の『それ』から妖怪の『それ』に変わっている。さらに、傷一つなかった服はあちこち破れ、顔にも擦り傷がいくつか刻み込まれている。

「気に入らねぇ………野郎だ、ここまで………攻撃を受けながら………まだ笑っていやがる…。」

彼の方は冷静であるが体の方はそうもいかないらしい。すでに受けた傷に加え、何十か所か新たに血の河が流れている。

 

 

 圧倒的な力で風見を圧倒した彼だが、相手は幻想郷最強クラスの妖怪、ふらふらと立ち上がるとすさまじい速さで突っ込んだ。直線に突っ込む彼女に鋭い一閃が襲い掛かってきたが風見はそれを紙一重でかわすと一気に間合いを詰め、大きく右手を振りかぶりカウンターの一撃を彼の左ほおに撃ち込んだ。その瞬間、空を覆っていた雲が裂け、天からの光が差し込み世界が一気に明るく息を吹き返した。そして、太陽に照らされた向日葵畑の中に彼女は立っていた。先程まで聞こえた雷鳴はそこにはない。夏のように暑い風が一気に花畑に流れ込んでいる。戦いを見ていた文の周りの向日葵も花を咲かせた。彼女にとって、これ程鮮やかな幻想郷は久しぶりに見た。きっとこれこそが幻想郷の本来の姿、その輝き。

「………っ!!」

バーダックが再び目を開けた瞬間、長髪になった彼女の姿が目に飛び込んだ。そして、彼の手を掴むと彼の骨が悲鳴を上げるほど強く、その指を手首に埋め込ませた。なんとかその手を振りほどこうとする彼だが力が強すぎて外せない。風見はまっすぐな目でこう言った。

「貴方がサイヤ人を超えたサイヤ人だというのなら、こっちは妖怪の上に立つ妖怪の力をその体に刻み込ませる。覚悟だの、信念だの、そういったものではたどり着けない〝絶対〟というものを改めて教えてあげるわ。」

彼女は強くつかんだまま一気に西に向かって花畑を抜け木々を抜け、その崖下にある谷底の道に思いっきり彼を投げ飛ばした。バーダックは咄嗟に受け身を取ったがその威力の前では塵に等しく、背中、頭を強く打ち付け動きが鈍くなった。そして、彼が立つよりも早く馬乗りになりバーダックの顔面を殴打。彼は腕で以てそれを防ごうとするも、風見はその腕ごと顔面を強烈にたたく。するとバーダックはその腕を防御から攻撃に変え、振り回してカウンターで顔面を狙おうとするも一瞬早く気づいた彼女が間合いを開けたため空しく空を切るにとどまった。しかし、空を切ったその手で地面をたたくと反動で起き上がり立ち上がることができた。

そこからは互いに肉体言語での戦いになった。バーダックはサイヤ人特有のタフさと容赦のない連続攻撃、凄まじい爆発力のコンボで、風見は一番の持ち味である体術と妖術そして魔法を混ぜ合わせた複雑かつ広範囲射程の攻撃で攻めに入った。単純な戦闘能力なら風見が上、しかしサイヤ人の爆発力は筆に尽きることがないほどで、彼女の放った元祖マスタースパークを無理やり割り裂きカウンターの一撃を入れてしまっている。マスタースパークを破った彼だったが吹っ飛ばされゆく彼女が咄嗟に切り返して放った一撃を浴び後ろにのけぞった。そして、ここからが風見の凄い所、一回転すると体勢を立て直して地面を踏み蹴り、切り返して彼の懐へと突撃に入った。なんとか立て直したバーダックだが彼の腹に突っ込んできた彼女の右肘がえぐる。くの字に折れ曲がってしまった瞬間、風見は下がった彼の顔面にその手の裏拳を打ち込む。彼は鈍い音と共に彼方の地面に叩きつけられた。この瞬間、スピードバトルは終わった。しばらくして、彼は何とか立ち上がったが足さばきがおぼつかない。どうやら裏拳が眉間に入ったらしく軽い脳しんとうを起こしている。

「…『その状態』で………まだ立つのね。」

風見は憐れむような目で彼を見つめている。どこか寂しさの残った声がその言葉には含まれているようだった。

「フリーザを……倒す…まではな…。いくらでも…立ち上がるッ。」

バーダックの目に光が戻り始めた。それは、生きようとする強き者が持つ瞳のように何か決意の灯ったものだった。

そして、バーダックはその腕に巻いた鉢巻に手をかけると獣のような咆哮を上げ、金の力の輝きを最大にまで上げた。

「貴様を次で倒すッ!」

最後まで取っていたわずかな爆発力を一連の攻撃に賭けた。まだ立ち眩みが収束していないらしい。動きは大幅に鈍くなっている。もはや先程までのスピードはおろか、一気に間合いを詰めることはできない。それでも彼は足を前後に構え、前へ走りだした。大地を踏みしめる毎にその間合いが詰まる。だが、風見の動体視力はしっかりと彼の動きをとらえている。右手に蓄えられているその光、先程金の姿に彼が変わった直後に繰り出された一連の動きの締めにくらわされたあの一撃――ライオットジャベリン(至近型)――を何かしらの動きでくらわせようとしているのだ。

「だァっ!!」

彼はその光を集めたと逆の手を出す、しかし、それは顔を狙ったフックだ。しかも振りが大きい。今の間合いとその振りでは彼女が避け、必殺の一撃が入る前に彼女がカウンターを入れて決着がつく。

――――もらった――――

そう彼女が未来の構図をとらえた直後、その動きが崩れた。

「………っ!?」

バーダックの体勢が崩れた、大きく下の方に。石だ、彼の足が石に引っかかって前のめりになった。だが、それによってすぐににガードができないところの範囲に入られた。前ななめ下がわの脇腹に。

「ぐっ!?」

彼女が構えを取っていた肘の下をすり抜け強烈な一撃が入った。そして、続けざまに青く輝きを纏った拳が強烈な光を放ち腹に入った。だが、閃光の量が前とは違う。辺り一帯を青白く覆い尽くす程の強き光。

――――ファイナルスピリッツキャノン――――

 

 

「貴方はもうこれ以上戦うことはできない……これで終わり。」

風見は彼に向けて右手を突き出す、元祖マスタースパーク。これを動けなくなってしまったあの男にとどめを刺すらしい。

「………ちッ。」

男もこのままくたばるわけにはいかないのか右手に光を纏う。だが、なかなか集まらない。もうパワーが残ってないらしい。

「………あら?」

突如、彼女は撃つのをやめその手を下ろした。

「………?」

それに合わせて彼も手を下ろす。

「残念、もう魔力が残ってないみたい。」

すると彼女は持っていた傘を広げふわりと宙に舞った。

「またいつか会いましょう、サイヤ人さん♡」

そして、強者の持つ笑みを残すとまたあの花畑に戻っていった。

 

[chapter:人類消去]

<尋問ルーム>

「ほ……本気ですか………。」

「同じことを2度言う必要はありませんよ。」

ザーボンにとってあの一言と体験は衝撃的なものだった。まだ、目の震えが止まらない。そして、立ち上がる事さえもまだままならない。

「まあ、限界ギリギリまで受けたのにもかかわらず、こうして貴方が心を折らずに喋れることには驚きですが…。」

ザーボンの額には大粒の汗が浮き上がっている。そして、彼は確信した本当の宇宙の帝王はフリーザ様こそがふさわしいと、そしてこの技を受けて破れるものはいないということを。

「ありがとう…ございます…。鍛え続けた甲斐が………ありました…。」

「確かに貴方は強い…。ですが…。」

身動きの取れないザーボンの膝に向かって一筋の光が貫く。

「ふ………フリーザ様ぁ…。」

「まだ甘いのですよザーボンさん。貴方の心にある微かな驕りがッ!!」

そして、残ったもう一つの膝にもそれは撃ち込まれた。

「う………ぐっ………。」

「貴方は以前、博麗の巫女に会いましたね。」

「は………はぃ………。」

「貴方はあそこでとどめを刺すべきでしたよ。気づいていないでしょうが、彼女は将来最強の巫女として歴史に残りますからね………。」

フリーザはザーボンに近づくと指をその左胸にねじ込んだ。

「ぬぅ………ぐあっ!!」

ザーボンの呻き声が上がるが、フリーザは表情一つ変えずそのまま指をねじ込んでいく。水気を含んだ生々しい音とむせ返るような血の匂いがゆっくりと立ち込める。

「いいですかザーボンさん。次の出撃の時、あなたにも先陣を切って行かせます。ですが、ドドリアさんやベジータさんの時のように油断しないでくださいね。頭の切れる貴方がまた油断して死んでは困りますから…。それから――」

フリーザはねじ込んでいた指を引き抜くとギニューの方を向いてこう言った。

「ギニューさん、貴方もですよ。あなたの部下は前回のナメック星の時、遊び半分でかかって殺された。まあ、彼らの練習を見てそんなことはないと思いますが…。私の言いたいことは分かりますね…。」

「は………はい。」

ギニューも汗が流れている。彼は、フリーザの技を受けてないが尋常でないほどの苦しみ方をしたザーボン、そして容赦なくケジメを施したフリーザの何一つ変わらない表情を見て、改めて計画に対する『覚悟』を問われていることを思い知らされた。ここまで真剣になった彼を見たことはない。

「それから、貴方たち。何をぼーっと突っ立っているのですか、早くザーボンさんを運んであげなさい。このまま私に彼を殺させる気ですか!」

「はっ!!」

近くに侍られていた救護隊が駆け付け、担架にザーボンを素早く担ぎ入れた。運ばれていくザーボンは、一気に血を失っているため痙攣を起こし、瞳孔も激しく揺れ、口から血があふれていた。そして、彼らが出て行ったあと換気扇が回され、あたりに漂っていた血の香りがゆっくりひいていった。

「フリーザ様…。」

ギニューは立膝を突き、フリーザにこう願い出た。

「一体、人間や妖怪どもの『何』を見たのですか…。」

最初の出撃の時、フリーザはこう命令した。『抵抗するものは皆殺せ』と。しかし、血まみれに帰って以降、考えが変わったらしい。『次の作戦時、手あたり次第殺せ。』という指令に代えられたのだ。なにかが、フリーザの意思を変えたのだ。

「あなたには、言葉でじっくり話しますよ…。あとで服装を整えて私の部屋に来なさい。」

フリーザは、ギニュー隊長にそう伝えるとドアの彼方へと消えていった。

 

――――『消去』するんですよ人間たちを――――

「………?」

ギニューの頭に浮かんだ第一声はそれだった。結論だけ言われても納得のいくものではなかった。

「私が以前、トワという方と接触したのは覚えてますね。」

「はい、たしかフリーザ様が復活した直後に自らの手で消した方でしょうか。」

「ええ、そうです。しかし、私が今から話すのはその前のことですよ…。」

 

西暦1943年 太平洋にあるどこかの国

トワに連れられて、私は『外の世界』へとやってきた。彼女に手を貸す代わりとしてその返礼に外の世界を見せてもらっていた。

「戦争ですか…。」

かつて自分が惑星ベジータにいた時に起きたサイヤ人同士の内乱のことを思い出した。彼らは私を殺すか殺さないかとか殺した後はどうするかなどと下らない意見の違いで大切な戦力をそぎ落とし、そして自分たちの想像を超える圧倒的な力を目の前にしたとき戦いをあきらめ、絶望に暮れ私に殺されていった。

「そう、これが戦争。まあ、貴方の行くことになる世界では終わったことよ。」

「そうですか…。」

するとトワは何か思いついたらしく2年後に飛ぶことを提案した。なにか興味深いことでもあるのだろうか。私は快くその提案を受け入れた。

西暦1945年 夏 大日本帝国 某地区

「これは…。」

私の記憶に今でも残っている光景だった。キノコのように傘を広げた大きな雲と凄まじい光線。そして一瞬遅れて届く爆風。これといって強い力を持たない人間がこれほどまでの技術を持つものなのか。

「原爆って呼ばれているらしいわ。」

次に彼女が映し出したのはその爆撃を受けたらしい人間だったものが歩く姿だった。髪は焼け、瞳は垂れ落ち、肌は黒く焼け焦げ所々赤白い肉が見えている。そして、両腕は焼けちぎれなにか苦しそうに必死でもがいている。そして、近くにあった川にたどり着くと力が抜けたのかそのまま倒れるように崩れ息を引き取った。もっとも、あの熱風を浴びた時点で呼吸すらできていなかったらしいが。

「なかなかムゴイものですね。」

特に感じることはなかった。だが、その異常な殺され方は他に類を見ないほどだったのは覚えている。

「さて、最後はさらに450年後の世界かしら。」

そして、トワはその杖を振ると私をその未来の世界へと連れて行った。

西暦 2400年 町があったと思われる場所

「また、ですか…。」

フリーザの第一印象はそれだった。だが、よく目を凝らすと様子が違う。さっきまでのような大型の武器は使ってないが逆に小型の銃による撃ち合いらしい。

「食料争奪戦争とでも言っておきましょうか。人口が増えすぎたのよこの地域は。そして、明日だけでも生きようとして必死で少ない食料を取り合っている。」

「理解できませんね…。この程度の問題ぐらいさっきの爆弾に使ったエネルギーで何とかなるでしょう。」

だが、フリーザの頭には疑問符が浮かび上がった。あのように高度な兵器を創る彼らならこの程度の問題は解決するぐらい簡単なはず。あの膨大なエネルギーをこのために役立たせることは可能なはずだ。

「彼らはあのエネルギーを使うことを止めて別の道を探し始めた。しかし、これと言ってそれに相当するものは見つけられない。その結末がこれ…。」

「………助け合ったりしないのですか…。」

「無理ね。結局行き詰まると自分のことしか考えられなくなるの。」

「他のところが助けるというのは…。」

「やっているらしいわ。でも、金を遣るばかりで現実を見ようとしなかった。必死で頑張り始めているけどもう手遅れね。結局『国のプライドや敵対関係の国』のせいで上手くいってない。手が差し伸べられたのはこの戦争が終わってから。救うべき者がいなくなってからやっと手を差し伸べたのよ。」

この瞬間、フリーザは幻想郷はもちろん外の世界も自分の手中に収めようと決めた。自分が帝王として君臨すれば、彼らの持っている技術は全て自軍の技術となる。そして、彼らの行う『無駄な争い』とやらも無くなる。両者winwinとなる構造が頭に浮かび上がった。

「いいでしょう、あなたのその計画。手を貸してあげましょう。」

「よろしく、フリーザさん。」

こうして、両者の協定は結ばれた。 

 しかし、その協定は崩れ去る。フリーザはその活動領域を最終的に地球から観測できる宇宙全てとし、フリーザ軍一色にするつもりだと言った。それに強く反対したのはトワだった。フリーザ軍に従順なものたちが全て占領されると続けて歴史改変が起こせない。トワは傷を治した兄を引き連れフリーザの目の前に現れた。しかし、適うはずはなかった。以前よりパワーアップしたフリーザによって一瞬にしてダーブラは葬り去られ、そして彼女が魔術を発動するより一瞬早くフリーザの凶弾が彼女を貫いた。

 残るフリーザの障壁はサイヤ人だけ。しかし、幻想郷に本格的に足を踏み入れ、戦った時障壁は増えた。この世界にいる知恵を与えられし者全てだ。彼がそう思ったのはまず耳からだった。あれだけ軍勢を投入すれば降伏してこちら側に着くものが一人でも現れると思ったが、全員の答えはこれだった。

――――いかなる条件であろうとも、拒否――――

やはり、サイヤ人と同じ頑固者はここにもいた。そして、適うはずのない敵に命を懸けて立ち向かう人々。サイヤ人の時と似ている。そして、歴史を集めるうちに知った。彼らは自治体はつくれども国家は建てない。それは外の世界でも似たようなものだった。国家はつくれども統一国家はつくらない。そして外の世界においては、サイヤ人と同じく飼い主の手を噛むような行動も見られる。外も内も結局その根っこは同じ。この時点でフリーザは彼らを配下にするのをやめ、ほぼ全滅まで追い込み、残った有能な者だけ自分の配下にする。そういう結論に至った。

 

「先人ではないですが、同じ轍は踏まないということですね。」

「そう。もうすでに『核』の在りかはつかめました。それに関する書類の場所も部下がしっかりと…。」

フリーザは既に王手の域に入った。そして、あの能力とサイヤ人を葬れる実力。間違いない、この宇宙の帝王の玉座に座れるのはフリーザ様ただ一人だけだ。

 

[chapter:迷コンビ?]

「何なんだおめえは…。」

バーダックは、半分呆れ顔になっていた。その源は先程の自分の情けなさではなくこの隣を歩いている青い妖精だった。

「あたいはチルノ。この幻想郷で最強を目指す者だ。」

「そうか…。じゃあ頑張れよ…。」

バーダックは軽くあしらい歩みを進める。もはや、呆れを通り越してこう言ってやりたい。『バカ』だ。

「何を!こっちは本気で最強を目指しているんだぞ!!」

「おめえが思っているほど簡単じゃねえんだよここは…。」

バーダックはちょっと歩く速度を上げた。このめんどくさい奴を引き離したい。そう思ったから。

「本気でやり切れてないあんたに言われたくないね!!」

その瞬間、バーダックの足が少し遅くなった。

「ただ戦いを見ていた青いガキの貴様に何が解る。」

「わかるよ、私にだって。最後の一撃を放った後もう一度溜めなおす時があった。でもあんたは、相手が攻撃を下ろしたとき溜めかかっていた光を自分の体に戻した。」

バーダックの心から変な淀みが出始めた。あのとき、相手が下げたので咄嗟に下げてしまったがまだ溜め続けていれば最後に彼女が飛び立つ時にイラっとさせることぐらいはできただろう。

「結局あんたは負けたんだ。自分が超えるべき最後の壁に。」

その言葉を聞いた時、バーダックの手がチルノの首元に噛みついた。

「貴様ごときに………、このオレの心が解ってたまるか…。」

しかし、チルノは氷の魔法で彼の手を目いっぱい冷やすと、彼の手に力が伝わらなくなり、両手で押し広げてその隙間から脱出した。

「…分かるよ…たった一つだけど…。あんたの目は、死んでいない。このまま何も勝てずに終わるような、中途半端な強さを持った人じゃないよ…。」

バーダックは心から滲み出ていたものがスッと引いていくものを感じた。そして、足を止め、その青いガキの方を向き、こう返した。

「半人前のくせに、一丁前なこと言いやがって…。おめえは〝最強〟を目指すとか言っていたな…。」

「もちろん!」

その氷の妖精は自信たっぷりの笑みを浮かべて返した。

「最強を目指すなら内と外、両方の面で強くならなきゃ意味がねえ…。」

「………?」

「せっかく一人前のことを言いやがったんだ、貴様に一人前の戦いってやつを学ばせてやってもいいだろう。」

そう言い放つと、再び背を向け里に向かって歩き出した。

「じゃあついて行っていいってことなんだよな!」

その背に向かってチルノが叫ぶと、

「好きにしろ。」

そうバーダックが返したような声がした。

 

[chapter:相応しき姿目指して]

<人間の里>

「やっと戻ってこれたか…。」

あれから1か月と半分、バーダックは再び人間の里に帰ってくることができた。

「あんまり変わってないな~。」

この青い妖精を連れて。

「どこ行ってもこんなもんだろ、対策が取れない間はこうなるのがほとんどだ…。」

かつて、惑星ベジータが滅ぼされる寸前までバカ騒ぎをやっていた奴らの顔がちらついた。結局あいつらは地獄へ行ったのだろうか?だが、地獄から蘇ったフリーザ軍にあいつらがいないことを考えるとどの道まともな道を行けてないような気がする。

「なら、お前は対策か何かあるのか?」

「まだ見えねえ…。だが、必ずフリーザはこの手で倒しきる…。それだけは変わらねえよ。」

バーダックは腕に巻いた鉢巻を見つつ返した。

「そのハチマキは何か意味があるのか…、よかったら教えてくれ。」

「言葉で表せねえほど大切なものとでも言っておいてやる。」

「なんじゃそりゃ?」

バーダックは、歩みを止めることなく歩き続ける。この商店街を抜けると立ち寄り地の寺子屋だ。

<商店街>

「やっとつかめた。」

鈴奈庵を出て、里の北へ続く道を目指す妖夢。

――――迷える子羊から獅子になるとき、次に恐怖の大王が配下戻りて、かげりなき影の反対よりこの地に降りん。恐怖の帝王戻るとき、深き闇を以てこの地を滅ぼす。――――

「迷える子羊から獅子になるとき。この二つは生まれ座のことを表している。つまり、次な彼らの軍が来る時はおそらく7月か8月。でも…。」

1文目の後半が解らない、かげりなき影とは一体何か。

「影に陰りか…。」

自分の影を見つめても見えない。やはり、また視点を変えなければいけないらしい。

「あの~すみません…。魂魄妖夢さんですか?」

突然後ろから声をかけられた。妖夢はその声のする方をゆっくりと振り向く。

「そう…ですけど…。って、貴方は…。」

初めて見た顔だが何となくわかった、あの式神と似たような服装で。

「初めまして、藍様のお手伝いをしております。えっと…名前はまだありません。」

要するに無名の式神らしい。そして、尻尾が隠しきれてない。おそらく元は化け猫か何かだろう…。

「今日は何の用ですか…。」

いつもよりちょっと間の抜けた返事で返してしまった。無意識に気を張ってしまう性格のせいかこんなことがたまにある。

「えっと、藍様から『一文目の後ろの文と情報交換をしないか』ということをほかの式神から伝えられて探しに来ました。」

どうやら、取引をしに来たらしい。

「いいでしょう…。」

静かに答えると妖夢は、これまでに解いてきた一文目の訳をゆっくりと伝えていった。その式神はせっせとメモを、ひらがなであるも、それに合わせてしっかり取り続けた。

「――ということですよ。」

これで、妖夢の説明は終了。続いて相手側の説明…のはずなのだが…。

「月が…えっと…。」

どうやら、そっちのメモは取り忘れてしまったらしく、上手く伝えられないらしい。

「まあ、いいですよ。後の文ぐらい何とかなりますから。」

妖夢は式神になったばかりのその子猫に笑って優しく返した。

「すみません。すみません…。」

平謝りするしか返す言葉がないらしい。そこで妖夢はこう一言残しておくことにした。

――若いうちはたくさん失敗してそこからたくさん学べばいい。成功も失敗もかならず活きる。若いからこそできることを今のうちにやりなさい――

その子には伝わったらしい。流れそうになった涙を拭くと、もう一度私の方をしっかり見つめ、お辞儀をして走り出した。

「この言葉でよかったんですよね…師匠――」

妖夢の見つめる東の空には月が出始めている。今どこに師匠はいるのか分からないが、きっと同じ星々を見ているのだろう…。

 

<寺子屋>

「ほ…本当なのか…?」

帰って早々、バーダックの衝撃の一言に慧音は固まった。

「……ああ、本当だ。」

バーダックは、全く動じてない。もう腹は決まっているらしい。

「いくらなんでも…それだけのためにって…。」

素の口調に戻っている。やはり、これを言ったのはまずかったか…。だが、一応世話になってしまった彼女には伝えるべきだと思い伝えた。ただそれだけだった。

「とにかく、俺はフリーザを倒す。あいつが次に来る日までに、対等に戦う力をつけてここに戻ってくる…。」

バーダックは、立ち上がり勝手口の扉を開けた。次の行き先は決まった。

「じゃあな…。」

「最後に一つ!」

バーダックが一歩を踏み出したとき、慧音が止めた。

「お前には…息子が一人いるはずだ…。」

「カカロットのことか…、あいつは――――」

「そうじゃない、もう一人の方だ…。」

その瞬間、バーダックはフリーザの言っていたことが解った。しかし、振り向くことなくそのまま出て行く。

「話は聞いたよ。」

いきなり横の方から声をかけられた。

「お前、本気であの化け物を倒す気なんだな。」

その氷の妖精は腕を組んでいる。先程まで明るく無邪気だった顔は少し影が差し込んだ険しいものとなった。

「当たり前だ。それより貴様はどうする?言っておくが、あまり楽しい戦いは期待できねえぞ。」

バーダックは先程問うた時より重い声で再び選択を迫った。これから先、彼は死ぬ気で戦い続ける。それぐらいの覚悟を以て戦うのだ、生半可な覚悟の奴は要らない。

「分かった。」

チルノは組んでいた腕を解き、まっすぐ彼の瞳を見つめた。

「あたいも一緒に行く。一度決めたら目は逸らさない。」

それが、この話を聞いてしまった、最強を目指す彼女の出した答えだ。

「そうか…、なら…。」

バーダックたちは、ふわりと宙に浮くとチルノを先頭に目的地の方角を向いた。

「行くぞ。」

「よし!」

まだ星がきらめく中、西に向かってゆったりと動き出す。この島の西果てにある島、鬼ヶ島へ――――

 

<妖怪の山>

「あ”~~~。」

地獄のような徹夜作業から解放され一息つきに温泉に来た。温泉と言えど妖怪の山に建てられたものだから社内温泉といったものだろうか。

「まあ、投票数1位取れたからいいけど…。」

百聞は一見に如かず。やはり、現場で撮ったあの迫力ある姿に驚かない者はいない。しかも、あの最強クラスと言われた彼女相手に初戦ですべての種類の戦闘術を見せた者はいない。

「あのニューフェイスたちは一体…。」

新人たち、それはここ最近この幻想郷にやってきた者たちを指している。博麗の力が狙われたあの事件の直後、もう一つの月らしきものが現れて話題を呼んだという。その首謀者と思われるあの特徴的な禿マジシャンの男。次に来たのが奇抜な塗り絵(?)を体に施したあの趣味の悪い熟年カップル二人。もっとも、情報によると最近、死体となって発見されたらしいが…。そして、1か月前にここに現れたあの変態集団と孤高に戦う宇宙人。会話からして、一応こっちは同じ次元から来た者と言ったところか…。そして、一番注目を集めているあの白紫。あの言葉の意味は大体察しがついた。

「恐怖の大王ってとこですかね…。」

ちょっと前に結界を抜け、外の世界に行ったときに効いた噂がヒントだった。それにしてもあれは、何故そんな噂まで知っているのか。そして、最後の一文がまだ引っかかる。

「『恐怖の帝王戻るとき、深き闇を以てこの地を滅ぼす。』か…。」

おそらくこれは、彼の能力を示しているものなのだろう。『ラディオ』の店主に聞いたところ、特殊な能力をいくつか持っているらしい。

「なんなんだろう『闇』って…。」

「それはまさにあなたのことですよ、文さん。」

せっかくの謎解きにうるさい犬が一匹参上ときた。

「愛と正義と真実に生きるこの幻想ブン屋(+その他諸々のジャーナリスト)の私に〝闇〟という辞書はないですけど…。」

「あなたのクソどうでもいい罠にかかってハッピーになれない私にとってあなたは闇以外の何者でもないですけど…。」

この〝イヤミ〟を訴えに来ている白狼、もといこの白犬ちゃんは一応私の同僚の犬走椛。

「犬も歩けば棒に当たる。一歩出しゃばっている貴方には十分いい戒めになりますよ。」

そう、言い残し風呂を出ようとしたとき椛から一言。

「まだ入って5分もたってないのにもう出るとは…。烏の行水ですか?」

「カラスの勝手でしょ♪」

ストレスのせいか、ちょっとイラっと来た。私は、大浴場に入っていたのだが外にある露天風呂へと路線変更せざるを得なくなった。そして、私が抜けた大浴場にあのワンコは堂々と入りやがった。今度、投稿者:匿名として「負け犬」と題をうって記事の付け合わせに過去話でも挙げて赤面にしてやろうか。

「さて、あの子犬ちゃんの話より…。」

本題に戻ろう。フリーザの闇の話だ。あの式神からの情報から変化形、特殊の攻撃は一切通じない。また、打撃による攻撃は一応通じるも効きが薄いらしい。

「フリーザの方はこれで終わり。あとは巫女の方か…。」

もう一つ同時進行で起こっていることがある。博麗の元巫女と愉快な(?)仲間たちについてだ。まず、あの緑の悪霊さんからの情報だがあの元巫女だが一時的にどうやら『洗脳』されたらしい。それも、あの大群を相手に戦った後から違和感があったと…。そして、額にうっすらとⅯの文字が入っていたらしい。おそらく、フリーザ軍にそれ方面に精通した者が一人はいる。あとは…、まあ自機組がウォーミングアップをはじめましたと言ったところか。

「いい風が吹いたかな…。」

とりあえず、次に出す記事のネタは揃った。もちろん見出しはインパクトのあるこの言葉で決まり。

――――ノストラダムスの大予言――――

 

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