あんのうじま   作:くにむらせいじ

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 まえがき

 後編です。

 環境によっては表示が変になる(ズレる)かもしれません。



あんのうじま 後編

 

 ジャガーとコツメカワウソ(以下カワウソ)は、キョウシュウのジャングルに戻った後、再びアンノウジマへ向かった。

 

 前回の打ち上げから1か月ほどあと。

 

 建物(小型ロケット整備格納庫)の中。

 

 小型ロケットは、カバーの一部やエンジンなどが外された状態だった。先端のカバーも外されており、姿勢・加速度のセンサーや、内蔵コンピューター(外見は四角い箱)、回収用パラシュートなどが見えていた。内蔵コンピューターからは2本のケーブルがのびており、そのうちの1本がテーブルに置かれたノートパソコンにつながっていた。

 カワウソが、ロケットの内蔵コンピューターを、人差し指でつんつんと突いた。

カワウソ 「この子に……」

 そして、その指を離し、上に立てた。

カワウソ 「名前をつけてあげようよ!」

 格納庫には、カワウソの他に、ジャガー、かばん、はかせ、助手がいた。

はかせ  「名前ならすでにあるのです」

助 手  「RS‐3A(あーるえす、すりーえー)なのです」

カワウソ 「それもいいけど、もっとたのしー名前にしよう!」

ジャガー 「たのしいって、どんな名前だ?」

かばん  「そういうのは、やめたほうがいいんじゃないかな……」

 かばんは、少し暗い表情になった。

はかせ  「まあ、いいのです。みんなで考えてみるです」

カワウソ 「じゃぐわちゃん2号がいいな!」

助 手  「2号? 1号があるのですか?」

カワウソ 「ここに!」

 カワウソが、ビシッとジャガーを指差した。

ジャガー 「え? えー……。それなら、こつめちゃん2号のほうがよくない?」

はかせ  「いまいちなのです」

かばん  「かわいいと思うけど、かわいすぎるというか……」

助 手  「では、“ライカちゃん”なんてどうでしょう?」※1

かばん  「やめて……」

はかせ  「では、“クーニャ”はどうなのです?」※2

かばん  「もっとだめだよ!」

はかせ  「かばんも考えてみるです」

かばん  「うーん……カワウソか……」

 

かばん  「おったん39号、なんてどうかな?」※3

 

 間。

 

カワウソ 「それだっ!!」

 

はかせ&助手「最悪なのです(ハモってる)」

ジャガー 「39号ってなんだ?」

かばん  「えっと、飛行回数?」

はかせ  「そんなに飛ばしてないのです」

助手   「これは4号機なのです」※4

かばん  「分かってるけど、なんか降ってきたっていうか……」

はかせ  「意味がわからないのです」

ジャガー 「いいんじゃない? カワウソも気に入ってるみたいだし」

カワウソ 「決定ー! きみは、おったん39号だよー!」

 カワウソが、ロケット(おったん39号)の胴体をぽんぽんと叩いた。

 

 

 ロケットの残骸の回収の後、前回の打ち上げの失敗を踏まえて、機体と制御プログラムの修正、打ち上げ手順の見直しが行われた。

 ロケットの分解と組み立ては数回行われた。地上試験とシミュレーションが繰り返し行われた。

 ジャガーは、わからないなりに積極的に作業を手伝った。重量のある部品や冶具、発射台などを扱う際は、強力な助っ人になった。カワウソは、あんまり役に立たない……かと思われたが、意外に頭の回転が速く、手先が器用で、細かい作業をこなした。ふたりとも、作業を手伝ううちに、ロケットについての知識を蓄えていった。

 

 

 前回の打ち上げから5か月ほどあと。アンノウジマ。

 

 少し雲があったが、晴れていた。

 

 午前。島じゅうに島内放送が流れた。

 

島内放送 『〔ピンポンパンポーン〕おほん! こちらは、アンノウジマ宇宙センターなのです。本日の、ロケット打ち上げ実験は、予定通り、昼すぎに行うです。フレンズは、打ち上げ地点の、規制線の内側には、ぜっったいに、入っちゃだめなのです。島の、南東の海、事前に知らせた範囲は、泳いだり、飛んだりしちゃだめなのです。……(繰り返し)……以上、放送おわり、なのです。〔ピンポンパンポーン〕…………ふぅ……めんどうな〔ガサガサ〕……次は11時? ※5 ……つぎわたしやりたーい! ……はかせ! マイク! 〔ブツッ〕』

 

 

 

 昼過ぎ。打ち上げ施設の広場。※6

 

はかせ 「33、32、31」    ジャガー 「第1触媒バルブ解放」

はかせ 「……、29」       かばん  「30秒前」

はかせ 「28、27 26」    ジャガー 「エンジンヒーターオン」

 

 広場にはロケットの発射台があり、そこに小型ロケット(おったん39号)が設置されていた。

 

はかせ 「25」

はかせ 「24、23、22、21」 助 手  「サンドスター、温度、圧力ともに正常」

はかせ 「……」          かばん  「20秒前」

 

 発射台から1kmほど離れた、小高い丘にある小屋。※7

          

はかせ 「18、17、16」    助 手  「空域内、飛行物体なし」

はかせ 「15、……」

はかせ 「13、12、11」    ジャガー 「第2触媒バルブ解放」

 

 建物の中には、横長の操作卓と、大型のモニターと、ノートパソコンが3台あり、かばん、はかせ、助手、ジャガー、カワウソが椅子に座っていた。

 モニターには地図、コマンドラインのウインドウ、数十項目の数値などが表示されていた。

 

はかせ 「10、9」        かばん  「10秒前」

はかせ 「8、7、6」       かばん  「最終安全装置……」

はかせ 「5」           かばん  「解除」

はかせ 「4」

 

 建物の窓からは、ロケットが見えた。

 

はかせ 「3」

はかせ 「2」           カワウソ 「 いぐにっしょん!! 」※8

 

 ロケットのノズルから、サンドスターが噴き出した。

 

はかせ 「1」           カワウソ 「 あーんど 」

 

 サンドスターはの噴き出しは激しさを増し、強い光へと変わっていった。

 

はかせ 「ぜろ!」         はかせ以外「 リフトオフ!! 」

はかせ 「なのです!」

 

 ロケットが上昇を始めた。

 

 かばんたちのいる部屋にも轟音が届いた。

 

 ロケットは、サンドスターを噴き出しながら、空高くへ上昇していった。

 

カワウソ 「いっけー! おったーん!」※9

 5人はモニターを見つめた。そこには飛行コース(弾道)と地図が表示されていた。

助 手  「コースは予定通りです」

 

 ロケットが低い雲を抜けた。

 

 

 モニターに表示されていた数値のいくつかが、赤く点滅を始めた。

はかせ  「エンジン出力低下! いえ、上昇してるのです?」

 

 ロケットのエンジンノズルから噴き出すサンドスターが、不整脈のように乱れた。噴射量だけではなく、方向にも不規則なぶれがあった。

 

かばん  「ぶれてる……。この前と同じだ……」

助 手  「コースをそれました」

かばん  「修正できる?」

ジャガー 「やってる!」

 ジャガーがキーボードの矢印キーを叩いた。

はかせ  「行きすぎ! あばれてるのです!」

ジャガー 「手動じゃむりだ! まかせるしかない!」

 

 ロケットのエンジンノズルが細かく動いていた。機体に内蔵されたコンピューターが、暴れる機体を必死にコントロールしていた。

 

カワウソ 「おったんがんばれ!」

助 手  「蛇行してますね。高度も低いのです」

 モニターに表示された飛行の軌跡は、予定の線通りに進まず、左右に波打っていた。

ジャガー 「ペイロード分離できないか!?」

カワウソ 「むりむり! こわれちゃうよ!」

かばん  「予定高度までもつかな?」

ジャガー 「もう少し、もう少しだっ!」

 

助 手  「ん? これは……」

ジャガー 「なんだこれ!? 横に飛んでる!」

 飛行の軌跡は、予定の線から大きく外れ、カーブして進んでいた。

かばん  「センサーの異常!? じゃないね……」

助 手  「レーダーは嘘をつかないのです」

はかせ  「このままだとキョウシュウに向かうのです!」

 飛行の軌跡の先には、キョウシュウがあった。

カワウソ 「がんばれ! おったんがんばれー!!」

かばん  「お願い! 言うことをきいて!」

 かばんがキーボードのテンキーを叩き、エンターキーと矢印キーを何度も叩いた。

ジャガー 「戻れ! 戻ってくれ!」

はかせ  「もう修正できないのです! かたむきすぎなのです!」

 

助 手  「空域をはずれます」

かばん  「エンジン停止! タンクの圧力を最大に!」

カワウソ 「え?」

助 手  「やるんですか?」

はかせ  「しかたないのです」

ジャガー 「やるって、なにを?」

かばん  「爆薬ブロックE」

 モニターに警告メッセージが表示された。

 

 

 ロケットが高い雲を抜けた。

 

 

カワウソ 「だめぇーーー!!」

 

 

かばん  「ごめん!」

 かばんがエンターキーを押した。

 

 

 

 

 沈黙。

 

 

 

 

 

 

 

 

助 手  「レーダーから消えました」

はかせ  「通信不能なのです……」

 

 モニターに表示されていた飛行の軌跡が途切れていた。いくつかのエラーメッセージが表示され、数値の大半が「----」を表示していた。

 

 カワウソが、呆然と窓の外を見つめていた。海上の高い空に、飛び散り落下していく破片と、広がっていくサンドスターが見えた。

 

カワウソ 「おったん、死んじゃった……」

 

 

 沈黙。

 

 

かばん  「72秒、自爆。打ち上げ失敗」

 かばんは冷静な様子だった。ほんの少し、声が震えていた。

 

ジャガー 「うそだろ……」

 

 

 

カワウソ 「みてみて! なんかきらきらしてるよー!」

 カワウソは、窓の外を見つめ続けていた。他の4人も、モニターから目を離し、窓の外を見た。

 

 サンドスターが、きらきら光りながら、高い空に薄く広がっていった。

 

かばん  「サンドスターの、雲?」

 雲状に広がったサンドスターが、ゆっくりと空を流れていった。それは徐々に降下していき、霧のように地表近くに広がっていった。

はかせ  「向かってくるのです」

 サンドスターの霧は、打ち上げ施設の方へ向かっていた。

かばん  「風で流されてる?」

カワウソ 「みんなー! 外に出てみよー!」

 カワウソは楽しげだった。

かばん  「え? あぶないかも……」

ジャガー 「だいじょうぶ。あぶないものじゃないよ」

はかせ  「有害物質はふくまないはずなのです」

かばん  「なんでわかるの?」

助 手  「野生のカン、ですかね……」

 

 

 5人が建物を出た。建物の周囲の広い範囲に、霧雨か粉雪のようにサンドスターが降っていた。粒は小さいが、一つ一つがきらきら光っていた。

 

 5人は空を見上げて、サンドスターを浴びた。

かばん  「すごい……」

 かばんは、驚いた顔で周囲を見回した。

 

カワウソ 「帰ってきた! おったんが帰ってきたよ!」

 カワウソが走り出した。

 

 ジャガーが上を向いて、目を閉じた。

ジャガー 「しみてくる……からだ……こころに」

 

はかせ  「前よりは、長く飛んだのです」

かばん  「そうだね。一歩前進かな」

 

カワウソ 「お空にきらきらのサンドスター! たーのしー!」

 カワウソは、サンドスターを浴びながら、丘を走り回っていた。

 

 ほかの4人は、走り回るカワウソを見ていた。

 

カワウソ 「あはははは!」

 

助 手  「…………」

 助手が、カワウソから顔をそらした。

かばん  「え?」

はかせ  「泣いてるのですかー? じょしゅ?」

 助手がはかせを見た。いつもの顔だった。

助 手  「なにを言ってるのです? そんなわけありませんよ、はかせ」

かばん  「はかせ、助手、また、残骸の捜索をお願いします」

はかせ  「まかされたです。……もう変なものは拾ってこないのです」

ジャガー 「だから変なもの扱いするなって……」

 

カワウソ 「あはははは! きっもちいー!」

 

助 手  「しかし、今回は捜索範囲が広いですよ」

はかせ  「レーダーの記録から計算しても、簡単には見つからないのです」

かばん  「流されるし、沈むよね……」

ジャガー 「わたしとカワウソが、海を泳いで探すよ」

かばん  「ええ!? また遭難するよ!」

ジャガー 「迷わないように、空からはかせと助手に見てもらえばいい」

かばん  「じゃあ船も使おう。わたしもいっしょに行くよ」

ジャガー 「しょっぱい水は、苦手だけどね」

 ジャガーが微笑んだ。

 

 サンドスターの雨が止んだ。

 カワウソが立ち止まった。

 

 短い草の隙間に落ちたサンドスターが、きらきら光って消えていった。丘よりも広い範囲にサンドスターが落ちて、消えていった。5人はそれを見下ろした。

かばん  「地上の星だね」※10

 

 カワウソがジャガーに駆け寄ってきた。そしてジャガーに抱きついて、その胸に顔をうずめた。

ジャガー 「わっ! どうした?」

カワウソ 「……むぅむぅー……」

 カワウソは、顔をぐりぐりとジャガーの胸に押し当てた。

カワウソ 「ぅ……ぐしゅ……」

 ジャガーに抱かれたカワウソの肩が、少しだけ震えていた。

 

ジャガー 「やっぱり、しょっぱい水は、苦手だ」

 ジャガーは、コツメカワウソの頭をやさしくなでた。

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

※1 犬です。光学機器メーカーのことではありません。この犬には名前が複数あります。

 

※2 これも犬の名前です。

 

※3 「おったん」の発音アクセントは、「お」につきます。「坊ちゃん」と同じです。「おっさん」とは違います。

 

※4 RS‐3Aは、前回失敗したものが3号機、今回打ち上げるのが4号機です(ヒトが飛ばしたものや地上試験機は含めない)。5号機が組み立て中です。地上試験はなんとかうまくいきましたが、これまでの打ち上げは全て失敗しています(リフトオフ直前に爆発したものも)。

 RS‐3A以前の機種を含めると、かばんたちは25回ロケットを打ち上げています(そのうち少数が成功)。

 

※5 この放送は数回行われました。「11時」と言っていますが、時計が読めるフレンズはごく一部でしょう。

 

※6 射点から半径2km(管制室は例外)と、飛行予定コース上+余裕分(かなり広く設定)は立ち入り禁止、飛行禁止になっています(周囲に生息するフレンズには通知済みです)。

 

※7 小型ロケットの打ち上げ用の、簡易の管制室がある小屋です。一応、小さな破片が飛んで来ても大丈夫なつくりです。大型ロケット用の発射台や管制室は別にあります。

 

※8 「イグニッション(点火)」と言っていますが、サンドスターロケットの場合は「エンジンスタート」と言うほうが合っているかもしれません。これは気分の問題です。「イグニッション(点火)」から「リフトオフ(浮上・発射)」まで2秒ほどかかります。

 カワウソが点火ボタンを押したのではなく、コンピューター(管制室)のタイマーでエンジンスタートをしています。基本的には自動です。

 

※9 カウントアップを読み上げていませんが、これも気分の問題です。コンピューター上ではカウントアップをしています。

 

※10 作品を台無しにしかねないセリフですが、入れたかったんです。

 




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 また「ひこうじょう」や「トンネル」みたいになってしまいました。ですが、打ち上げの準備段階(ロケットの製作・整備・改良、発射台などの設備の修復、制御プログラムの改良など)の記述は最小限にしました。また、そこをちゃんと書くには筆者の知識が足りません。ごめんなさい勉強不足です。

 「ロケットの打ち上げ施設のある島に、ジャガーとコツメカワウソが流れ着く」というアイデアは、半年以上前からありました。しかし、いつ、誰が、何のために、どんなロケットを上げるのかが決まらず、なかなか書けませんでした。(ロケットの打ち上げ自体無しの案もありました)
そこへアニメ2期のネタを混ぜたら形になりました。
 元は、ジャガーとコツメカワウソがジャングルに帰って行く所で小さなロケットが上がり、そこで終わりでした。(前編部分だけで完)また、この島の名前は当初「タネトウ」でした。

 フレンズの記憶や世代交代、ヒトがどうなったのかについては、あんまり深く考えずに書きました。公式設定からのズレや矛盾が生じている気もします。
 宇宙へ行くよりも前に、地球上でヒトを探すべきなんですが、作中の時点では、地球上にヒトは見つかっていない(地球上の捜索も継続中)、ということにしてあります。
 けものフレンズの舞台は大部分がパークの中です。パークの外がどうなっているのかは謎です。

 2019/03/10 かばんちゃん(かばんさん?)には、1期と2期の間にかなりの苦難があったんじゃないかと思っています。そしてとても強いひとに成長したのではないかと。

 2019/03/12 前編を投稿した直後にTVアニメ2期第9話を見て、月が大映しになるカットに、意外なものが映っていてびっくりしました。偶然です。狙って書いたわけではありません。
 ほんのちょっとですが、パークの外が描かれた、珍しいカットだと思います。
 チーターとプロングホーンじゃないですが、ちょっとだけ追い越した気分になれて、嬉しかったです。



 ――― 設定 ―――


 アンノウジマ

 キョウシュウの南東の海上にある島。キョウシュウよりもずっと小さく、南北に長い形。島の北側に港があり、中央部にヘリポート、南端にロケットの打ち上げ施設(アンノウジマ宇宙センター)がある。
 ロケットの打ち上げ時は、射点から半径2km以内が立ち入り禁止になる。ロケットの打ち上げ施設から5kmほど離れた所に丘(作中の丘とは別の場所)があり、ロケットの打ち上げを見られる。
 現在(作中の時点)は(かばん以外)ヒトがおらず、打ち上げ施設などは潮風でかなり傷んでいて、半ば廃墟と化している
 この島を棲み処にしているフレンズが少数いる。
 ヒトがいた頃は、サツマイモの名産地だった。現在(作中の時点)でも、サツマイモ畑は存在しており、島を訪れるフレンズたちの楽しみの一つになっている。


 サンドスターロケット(エンジン)

 サンドスターを、化学反応と加熱により急速に膨張させ、ごく薄いガス状にして、高速で噴射して推力を得るロケット(エンジン)。
 比較的単純な構造で、理論上は、液体水素/液体酸素エンジンを超える比推力が得られる。
(原作の描写から、サンドスターには質量があるように思えます。でも軽そうなので、推力重量比は大きくなる気がします)
 だが、まだ(作中の時点では)研究途上であり、理論値よりも効率が悪い。制御が難しく、「安定して動くかは、サンドスターのごきげん次第」とも言われる。


 RS‐3A

 作中で打ち上げに失敗した、小型サンドスターロケット。単発単段式のシンプルなもの。長さは約5m、直径は約0.6m。可能なのは弾道飛行までで、人工衛星を地球周回軌道へ投入する能力は無い。先端部分が、パラシュートを展開して降下し回収される。小さな固定式の安定翼がある。姿勢・飛行方向の制御は、エンジンノズルのジンバル機構(推力偏向)によって行う。
 ヒトが残していった部品や図面をもとにして、数機製作された。
 サンドスターロケットの出力や推力軸にブレが生じて、内蔵コンピューターで制御できなくなると、 “暴れて” しまう。かつてヒトはこれを問題なく制御できていたが、作中のかばんたちには、まだそこまでの技術がない。
 昔ヒトが作ったものがRS‐3で、かばんたちが作ったものがRS‐3A。
 SS‐1、SS‐2、RS‐1、RS‐2などの先代機種がある。


 RSH‐X

 巨大な組み立て棟にある大きい方。試作機。サンドスターロケットの2段式で、固体燃料ブースター(未使用の“在庫”があった)が4基ある。高さは約50mで、H‐IIAロケットより少し小さい。低軌道への軌道投入能力は8000kgほど。






 需要は無いと思いますが、この作品の独自設定などをご自分の作品(SSに限らず)に使って頂いても構いません。そんな作品があったら見てみたいです。

 

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