僕は 『生きたガイアメモリ製造機』   作:しゃしゃしゃ

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3/29)追記しました。→食糧事情。「完全栄養食」


15日目・上「さらばLよ/永遠の愛娘」

15日目

 

 現実世界に帰還。

 …………………………………………。

 

 え? それは奇妙だ。 落ちる。 私は立ち上がらない、声を動かすことはできない。

 はい? 私の考えは明確ではありません。

 有形です。 それは振り向くカルーセルです、おはよう。

 こんにちは、リリスが待っています。 転がします。 大丈夫ですか ?! 転がし、傷 それは素晴らしいことです。 リリスは強い子です。

 

 

 ………………………………………………。

 

 あなたが変換を回さないならば。 悪夢に来てください。

 サンショウウオが遊ばない場合 脳は変です。 痛みがなければ最高級に危険です。

 私は死にます 頭は圧縮されたメモリの二十五年で沸騰しています。 脳の回路は期限切れになります。

 

 

 

「サラマンダー」

 

【変換】

 

 

 うぐッ!!

 

 あ、あああああああ!

 

 

 あぁ、ぐぎゃっがぐががあががあがが!!!

 

 

 

 あ、

 

 

 

 

 

 

 目が覚める。

 裏駒王の手術室。人造悪魔第二号――改め、リリス。彼女の横たわる手術台の斜め下、床の上で目が覚めた。

 

 床を見ると赤黒いバキバキに固まった血が床を覆っている。

 というか、僕の血だ。眠っている間に、死にかけた間に、サラマンダー・ドーパントの再生能力で何とか峠は越えたようだが、これは致死量のような気がする。良く生きてたな、僕。

 

 あの思考が纏まらない状態で、メモリを起動できたのは奇跡だ。僕は奇跡によって生かされている。

 

 ともかく…体がとてもだるい。再生したといっても傷ついて壊れた箇所を修復しただけで、体の外に出行った血は戻ってないんだから、な。

 よく生きてるな、というかなんで生きてるんだ? 体の不思議については詳しくないけど、確か人間って三分の一以上血液失うとやばいんじゃなかったっけ………どうみてもそんなもんじゃないけど……。

 

 

 

 怖いからこれ以上考えるのはやめておこう。

 

 立ち上がって、リリスを見る。よく眠っている。僕が現実に帰っても、彼女はいまだナイトメアの術中の中にいる。

 僕が能力を解除しない限り、目を覚ますことはない。

 リリス…、愛してる。この世の誰よりも。

 

 ごめんね。お前は優しい子だから…戦うなんてそんな勇ましい子じゃないのに、僕はお前を兵士にしないといけない。最初からそのつもりだったんだ。ごめんね、ごめんね。

 最低の父親でごめんね。

 

 

 

 一旦帰って、シャワー浴びて汚れを落とし、飯を食って歯を磨いた。

 泣いた。

 20年間の記憶、リリスとの思い出。つらかったことも大変だったことも、楽しかったことも嬉しかったことも、何もかも覚えている。頭の中に刻まれて、ふとした瞬間に思い出がフラッシュバックする。

 なんとなく泣いてしまう。感情が抑えられない。罪悪感と後悔と、自分のエゴへの怒りが絶え間なく心を揺らす。

 布団にくるまって、枕を握りしめて絶叫した。ただひたすら咆えた。そうしてないと暴れだしてしまいそうだったから。なにがなんだかわからなくなってしまいそうだったから。

 

 そうしていると、涙が涸れて、喉が涸れて、心が凪のように穏やかになった。

 どんなに苦しく荒い感情も、時間がたてば人は慣れる。そんなことを頭の片隅でぼんやりと考えた。

 

――『どうでもいいと思うことだ。何もかも、どうでもいいと思えばいいい。生きても、死んでも、人類がどうなっても――どうでもいい。そう思えばつらさも減る』

 

 

 掃除をして、顔を洗って、顔を上げる。

 ………酷い顔。

 口の端を持ち上げる。

 笑顔。

 

 リリス。

 

 

 だめだ。だめだって。甘い方に流されちゃだめだ。絶対に、しないといけないことなんだ。僕は分かってる。

 このまま、リリスはこのままで、僕の側にいて欲しいだなんて、そんなのは甘い考えだ。

 僕は悪いやつなんだ。

 リリスは立派に育ってくれた。綺麗で頭がよくて優しくて頼もしい子に育ってくれた。

 だから、僕がしていることを許さないだろう。

 僕は許されない。

 きっとリリスは怒るし、泣くし、僕を嫌いになるだろう。軽蔑されて殴られる。やだなぁ、やだなぁ。

 嫌われたくない。リリスに嫌われたくない。辛い。苦しい。こんなことになるなんて、こんな思いをすることになるなら、始めから作らなければよかった?

 

 記憶を消せばこの苦しみも消えるのかな。

 ……………………消したくない。楽しかったし愛おしかった。僕とリリスが過ごした20年は、夢であったとしても本物で、かけがえのないものだから。

 消したくない失くしたくない。苦しみも罪悪感も怒りも、後悔も、全部抱えて僕は前に進まなきゃいけない。

 

 

 笑う。笑え、笑え。これくらいなんてことない。全部笑って流せって。

 楽しく行こうじゃないか。

 結局自分の勝手だろ? リリスだって………。

 

 あんなのはただの兵士だろ。そのためにつくった、そのために育てた。そうだろう? あれは人造悪魔二号だそれ以上でもそれ以下でもない。そうだろう?

 

 

 気楽にいこう、楽しくいこう。

 娘を脳改造して兵士に仕立て上げるなんて最高にサイコじゃないか。燃えるシチュエーションだろ? 最っ高にクールだろ?! 最高にロマンだろ! テンション上がるだろ!!

 

 なあ!

 笑えよ!

 馬鹿みたいに笑って、狂ったように笑えよ! テンション高くキャハキャハ笑ってよだれを垂らして喜べよ!

 

 なあ! おい!

 

 

 つまらない。弱くて、薄っぺらいままだ。僕は力に流されるだけの弱者だ。

 嫌なのに、したくないのに、「改造しない」という選択ができない。

 愛してるのに、今もずっと愛してるのに。

 

 

 ごめんなさい。

 僕は僕の心を抑えられない。ごめんねリリス。

 

 

 

 

 

 

 “裏駒王”。

 リリス、さようなら。

 

 

 

「ジーン」

 

「メモリー」

 

「死神博士」

 

 

【変身】

 

 

 僕一人でやる。

 リリスの記憶をコピーしてバックアップを作る。

 

 これより、人造悪魔第二号「リリス」の脳改造手術を始める。

 

 

 

 

 

 

 手術成功。

 問題なく、絶対服従と感情制御の術式が終了した。

 

 …………………………。

 

 

「ナイトメア」

 

【変身】

 

 

 解除。

 リリス、起きろ。

 

 

 ……………。

 ……………。

 …………。

 

 う、あ、ああ。うぅぅぅぅぅぅあああああ。

 くっ………ああっ………………………ッ!

 うぁああああ……………っ!

 

 

 

 

 結論からいって、実験は成功した。

 脳改造を終え、起動したリリスは魔力を操ることができ、兵士として申し分のない性能を持っていた。

 彼女の記憶を作業員の製造工程と同様の手順で生み出した人造悪魔に転写すると、その人造体も魔力を使用可能になることが分かった。

 

 これで、消滅の魔力を有した上級悪魔の軍隊を作り出すことは可能となった。兵士はいついつでも増産可能であり、リアス・グレモリーの子とも言うべき彼らには恵まれた才能が眠っていると考えられる。

 これから原作開始までの4ヶ月間、全てを訓練と鍛錬、魔力や体術の習熟に努めさせれば、最上級悪魔、魔王クラスの戦力になる可能性がある。

 そうすれば僕の勢力はおよそ敵なしになる。少なくともインフレ前は。

 

 作業員ドーパントを新たに作り、連れてきて、

「悪魔兵士生産工場」を建てた。

 

 今この時も生産されている。

 リアス・グレモリーの血液サンプルを培養し、それも元に

「ジーン作業員」が受精卵を作り、

「オールド作業員が」20歳前後まで成長させ、

「手術用記憶入力作業員」達が脳改造を行い、

「メモリー作業員」がリリスの記憶を入力する。

 

 そうして人造悪魔兵士がぽかじゃか生まれてくる。

 

 

 とりあえず、その生産工場を5つ作った。

 一つの工場から、一日で500人は作れるはずだから………300万人…? まぁいけるな。

 

 食糧と土地はどうとでもできるし。

 

 生まれた兵士たちに命令を与える。

 工場に隣接して建てた高層マンションに住んで生活しろ。家事は自分で、健康に生きろ。

 訓練しろ、鍛錬しろ。滅びの魔力を強く巧く扱えるようにパワーアップしろ。体術もほどほどに特訓しろ。

 

 

 人造悪魔兵士たちが生活するための生活必需品や食料を用意する作業員ドーパントも近くに配置する。

 

 

 

 ん、んー…。

 食い物わざわざ用意するのって非効率かな。

 「死神博士メモリ」の中の知識を探る…………………………………。

 

 

 

 見つけた。完全栄養食*1 *2。作り方も………まぁまぁ複雑だけど問題ないな。この知識を共有し、工場を稼働させ大量生産する。

 味がしないのがけど、人造悪魔兵士は味がしなくても文句は言わない。楽でいいな、本当に。

 

 食糧生産ラインと運搬ラインを構築。できた分から兵士寮に箱で届けるぞ!

 

 

 

 

 よし、システム構築完了。作業員についても命令完了。

 

 

 

 

 

*1
映画ドラえもん のび太の恐竜2006にも登場したひみつ道具『コンクフード』のようなもの。

*2
見た目的にはカロリーメイトのようなゼリーパック




 割と真剣に命の危機。
      &心の危機。

 スタートの奇妙な文章は「再翻訳」です。
 【変身】は割とどの言語でも、【変換】になってへー、と思いました。


 タイトル元ネタは本編17・18話「さらばNよ/メモリキッズ・友は風と共に」から。


IF.『もしも脳改造を施さず目覚めさせていたら』
→今までの自分の人生が全て作り物だったと知ったリリス、自害。娘が自殺したことで心を病む。
→“父親”の所業に絶望と恐怖を抱いたリリスが主人公を殺害。

 脳改造していないと主人公は殺されるか狂うかします。BAD ENDルートに行かないためには脳改造するしかありませんでしたとさ。


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