服を剥ぎ、遺伝情報を転写し、姿を変える。
自分と死体の彼の顔や体格が同じになったのを彼のスマホを鏡代わりにして確かめて、指紋も声帯も同じものに変える。
下着姿の彼を葉っぱに変える。風と共に、彼であった葉っぱは散らばって飛んでいく。
財布を開き、免許証を確かめる。
ここがどこかは分からないけど、免許証の住所を見ればGoogle Map使って家にたどり着けるはず…。指紋認証対応しててよかった。旧機種だったらパスワード要求されてたところだ。
えーっと?
…………んー?
……………なるほど。
ここはやっぱり僕が生きていた世界じゃない。日本だけど、異世界だ。
免許証に書かれている住所には“駒王町”とある。
うん。
ここは人外魔境『ハイスクールD×D』の舞台となるあの町だったらしい。
ふう…。
疲れた。アイス食べたい。
喜ぶべきか、悲しむべきか。
喜ぶべき…は、まぁ、知識があることだろう。原作知識――ハイスクールD×Dは僕が前世(仮)で愛用していた小説サイト「ハーメルン」で作品数一位になるほどで、僕も読みまくっていたし、原作も読んでいた。原作の流れもヒロインやライバルの過去や動機も全部知ってる。原作ルートであれ、アニメルートであれ、名前も知らない作品に放り込まれるよりはよっぽどマシなはずだ。
それにその…美人が多いのも良い。
前世でも、『いつも息子がお世話に(ry』だったし。
個人的にはゼノヴィアだな。好き。
じゃなくて、命の危険の多い世界でもあるけど何とかなりそうな気がする。
メモリ目当てに、怪物に狙われそうではあるけど…。
嘆くべき、なのはそこだ。ガイアメモリは地球の記憶。僕の中のガイアメモリが神器と同じ扱いであったなら、人外が“気配”なんて曖昧な隠しようもないものを探って狙ってくるかもしれない。
いくらなんでも、ドーパントにならなければ僕は非力な人間でしかないんだから、厳しい。狙われたらまず助からない。死ぬ。
ドライバーを取り上げられる可能性もあるし…生体コネクタ手術をしておくべきかもしれないな。ドライバー24時間腰に巻き付けっぱなしというのも現実的ではないし。メモリも胸ポケットとかに入れておこう。
あ、と…例えば『バイラス・ドーパント』のウイルスは人外にも通じるのか。『テラー』や『オールド』の攻撃は効果を発揮するのか、確かめておかないといざという時「通用しませんでした♪」では笑い話にもならない。
確か、この世界では“格”による特殊能力無効かという仕様があった気がする。ギャスパーの時間停止を一誠が天龍の格で防御したり。
存在の格でメモリの能力防御とか最悪だ。格上には手も足も出なくなるじゃないか。ただでさえドーパントは能力特化で馬力弱いのに。
山を吹っ飛ばす火力の連中とドーパントの火力では、さながらミサイルと拳銃だ。膂力からして相手にならない。テラードラゴンだって上級悪魔? ぐらいの脅威でしかないだろう。たぶんだけど。
能力が効果なかったら逃げよう。田舎に潜ろう。
原作に関わるなんて無理だ。
さて、アプリダウンロードして…検索して…
鍵を開けてアパートに入る。
………散らかってるなぁ。
………ちょっと耐えられない。掃除しよう。
清掃終了~。ゴミの山が凄い。ゴミ袋ぱんぱんだ。変な所に仕舞っておかれてたから新しいの探すの手間だったけど。
ふふふ、その捜索中に発見した彼の元カノとの思い出の品もゴミ袋に突っ込んでやったぜ げっへっへ。
ゴミは後で収集所に持っていくとして、お腹すいた。空きすぎた。初めから空腹だった。腹が減った。
冷蔵庫を開ける。
……………ビールしかねぇ。
炊飯器に飯半分。戸棚にも米が少しあるな。
冷凍食品もないし…アイスキャンディーしか入ってないやん。食べるけども。今冬だろ? 馬鹿じゃね?
しゃーなしだな。今日は米を遺伝子組み換えで食品に変えてそれを調理しておかずにしよう。
完成。米100% 焼き鳥丼。
いただきます。
ごちそうさまでした。
自画自賛ながらなかなか美味でした。
歯を磨く。使用済みとか使いたくないから歯ブラシを新品に交換。虫歯とか危ないしな。口内ケアは大事だよ、うん。
鏡を見る。ジーンで変えた顔のまま。田中耕一28歳、サラリーマン。外見では40歳ぐらいにも見えるくたびれたおっさんや。なにがあったんだろうなぁ。
さてさて、シャワーを浴びるとしよう。
さっき風呂掃除で噴きつけたカビキラーもそろそろ浸透しただろうし、落としてシャワー浴びよう。
さっぱり☆
ほっかほかだ。風呂場から出たときは寒かったけど。
なんだかねむくなってきた…。
…メモリの研究は明日にしよう。
おやすみなさい。
はい。
どうでしたでしょうか。
今回のタイトル元ネタは
小ネタですが主人公の名前は「5周年」を音読みできるように変換した名前です。
なんで5周年なのかは…忘れました。
これから5周年くんは力をつけて勢力を広げていきますが、見守ってあげてください。
それではまた明日―。