5日目
ジュエル・ドーパントの能力。
人間をダイヤに変える煙で
僕ってあったまいーい♪
あ~んど、邪悪~♪
むむっ! あのおっさん…サツ 連れてきやがった。あのやろー………!
「
【変身】
四本同時起動、
スパイディーの糸でおっさんを上に引っ張り上げ、それと同時にサツどもに『何もおかしなことはない』というウソの針を撃ち込む。
よォ…おっさんよォ…。せっかく助けてやッたッてのニよォ…。
ああん?
化け物だの、助けてくれ! だの言うのでスマホを持たせて写真を撮らせる。
いえーい☆
いーとー巻き巻き いーとー巻き巻き
あっはっは、びくんびくんおもしれー!
呼吸できない? 苦しい?
かわいそうに…早く助けなきゃ!(使命感)
ジュエル煙ぶっしゃー! 宝石化。
まったく…恩を仇で返しやがって。お前食う時死なないようにしながらじっくり食ってやるからな。
さて、スマホスマホ。
おー、良い感じ。やっぱりドーパントの特徴が勝り合ったような外見だ。
スパイダーの生物的な姿にジュエルの無機質な煌めき、それをインビジブルの包帯が隠すように巻き付き、頭部が針千本のライアーヘッド。
うーむ、怪奇的。これは怖いわ。
ごめんねおっさん。許さへんけどな。
ん? …あーあー! このホーム画面の二人そっか! 家族か! そっかそっか、おっさん家族いたのか! なかなか美人の奥さんと可愛い娘さんじゃないの。
………そうだよな。誰だって、家族がいて、帰りを待っている人がいるんだよな…。さっき僕が宝石にした3人も……親がいたりするんだよな。きっと悲しむんだろうな………。僕はその家族から、大切な人を奪ってしまったのか…。
ああ…なんて………。
なんて…。
なんて愉快なんだろうか!!
楽しい! いや、愉しい。だ!
これが、愉悦というものか?! 多分違うけど、きっとそう!
これが力! これが力か! 理不尽を与えられる力!
他人の幸せを! 誰かの日常を踏みにじれる力!
彼らの家族の悲しみを想像すると笑えてくる! ニヤけちゃって、笑みが止まらない…っ!
口角が…っ、戻らない…っ! 心の底から愉快で愉快で…。楽しくて楽しくて、もう我慢できない………!
かわいそうに、かわいそうになぁ…。
あっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!
あれだ、あれあれ。
――『強いってのはおもしろいねえ。落語と同じくらいおもしろい』
そうか、これが超越者の、化け物の持つ驕りか。優越者の視点か! 圧倒的な力を持つ者の見える景色か!
悪魔の、堕天使の、天使の、神性生物の!
「格が違う」と自惚れる連中の感覚か!
そりゃあ、驕るよ。軽んじもする。嘲りもする。弄びもする。
こんなに楽しいんだから…!
誰かの大切な者を奪って、絶望の海に沈めるのは、こんなにも! こんなにも痛快なのだから!
おっとっと。『まるで悪役のようですよ、秋敏さん』、だ。危ねぇ、危ねぇ。テンプレートな雑魚ヴィランなるところだった。
でも彼らの気持ちが分かった気がする。この、甘美な悪の味は中毒性があってクセになる。
時間もない。さっさと行こう。いつの間にやら日付も変わっちゃってるし!
“中指と薬指を畳んで 手首を前に突き出す”ポーズ。
ひゃっほー!!
到着。スマホのアプリと現在地情報から、あの建物が保健所の犬猫の入っている所っぽいな。
飛んできただけなのに疲れた。どうやら4本挿しは体力の消耗もそれなり以上にあるらしい。
あるいは単純に重かったか。途中でインビジブルとスパイダーだけに戻ればよかった。
人間体に戻る。
よろける。めまいとかはないけど、単純に疲れてる。一日某千葉の遊園地を遊びまわって歩き回って並びまわって、ホテルに着いたときって感じの疲労感だ。
まあ、限界も見えたし良しとしよう。
もうひと頑張りといこうか!
「インビジブル」
「ジュエル」
そして、
「
【変身】
うおっ、………と。不思議。
体がおかしいのにおかしくない。
昨日…じゃなかった、一昨日ゾーンメモリを使って変身した時は、疑問にも思わなかったのに。今は不思議なことを不思議なこととして感じられる。
こんな、ピラミッドみたいな体になったことも、浮かんだこともないのに、どうすればいいのかが考えなくてもわかる。
不思議と、それがおかしいと思えない。すごいとも思えない。なんだろう、とっても不思議。
自分が前々からそういう生き物だったような…。
ともかく、ゾーン・ドーパントとしての座標移動、テレポートの能力を使って建物の中に、転移っ。
………うるせぇ!
煙・大・放・出!!
オラオラぁ! 通風孔とか伝わせてここの生き物全部宝石に変えてやるぜ オラぁ!
ふー…疲れた。宝石の回収、考えてなかったせいで大変だったぜ。途中まで、わざわざ一つ一つ回収してさ…。「ゾーンで手元に転送すればよくね? 克己ちゃんみたいに」と思いつくのがもう少し早ければなー。もっと早く上がれただろうにさ。やれやれ…。
それでも結局夜が明けてしまったがね。
初日の出~♪ 新年あけましておめでとうございます!
よーしっし。手も合わせたし、新年の祈りオーケー。どうするかな、これから。
リュックは宝石でぱんぱん。こんなんで空中機動は危ないし、電車で帰るか。
でも、まだ微妙に時間が…。ここで待つわけにはいかないし、かといってぶらぶらしてるのは体力的に…。うーん…。
…………ということでやってきました、漫画喫茶! 身分証や財布を入れておいてよかった~。会員カードを作ってー。
ほー、ほー、ほー。………パクリみたいな漫画がたくさんー…ってかそれしかねぇ。あ、「ドラグ・ソボール」じゃん。本家本元と比べてやろうではないかー!
読了。
なんだかんだ面白かったな。
ちょいちょい「パクリーッ! 」って冷める処もあったけど、全体的には読破した今となっては面白かったな。うん、やるじゃん。
他も読んでみるかぁ。万札もあるし、まだまだ居れるし。次は「魔法少女ミルキー」(コミックス)読んでみよう。vivid的な外伝もあるしそれも合わせて読んでみよっと。
お腹が鳴った。気が付いたら17時。お前…お前…僕だけど、お前…。夢中になったら時間を忘れるのは僕の悪い癖♪
………。予定はアレしたけど大丈夫。
まぁでも後悔はない。帰ろう。その前に…。
ただまー。
アクシズ教徒じゃないけどアクア様ちやほやしてあげたい。その上で取っ払って落ちぶれるさまを笑顔で見たい。アクア様には泣き顔が似合う。あ、僕はゆんゆんが好きです。
炊いてラップ巻いておいたご飯をチンして、コンビニのコロッケをおかずに夕食。コロッケは美味しいなぁ…。
いただきます。
やっぱりソースは中濃ソースに限る。ひったひたにしたコロッケはご飯に合う合う。たまりませんなぁ~。
ごちそうさまでした。
『さあ、実験を始めようか! 』
……申し訳ねーなー。ヒーローに申し訳ない。すまんこ。
ドライバーオン。
「ロード」
【変身】
よしよし。腹は満たされている。道を作るわけじゃない。開くだけだ。だから大丈夫、大丈夫。
ロードで“裏駒王”に入り、宝石を詰めた袋を置く。
危ないから変身解除。
今度は、
「ジュエル」
「ジーン」
【変身】
ジュエル=ジーン・ドーパント
宝石を生き物に戻し、ジーンで順次人間に変えていく。
もどしもどし。
動くな動くな。ぐーるぐるぐる。
………んにゃ。うまくいかない。体型が違うからかな。生きてるからかな。うまくいかんぞ? んー………よし。
2本挿ししよう。同じ種類のメモリをドライバーに挿せば、能力が上昇するはず………!
………多分!
「ジーン」
はいできた! 変換らっくらくや! 一匹当たりの作業時間もめちゃくちゃ短縮できるぞ、これ!
――『痛みは一瞬だ』
――『ちょっとくすぐったいぞ』
持ってきた分人間に変換完了っと。
メモリ増やせばよかった。
朝の後悔が活かされてないぜ。あ、強化アダプター付ければさらに能率上がったのか。しまった。うっかりうっかり。
メモリーコウカーン! (ベルトさん風)
「
【変身】
スイーツ・ドーパント
ゲロ(にしか見えないクリーム状硬化粘液)…オエーッ!!
かっちかちやぞ。これで気を失っているこいつらが目を覚まして逃げることはない っと。
いよいよ…。
ごめんなさい。ここにいる自分以外の命たち。
あなたたちは僕のために、僕のためだけに、燃料になってもらうよ。
みんなみんな、僕のためにありがとうな。
〔DOWNLOAD complete〕
「ロード・アップグレード」
〔DOWNLOAD complete〕
「ロード・アップグレード」
うぐぐ…。大丈夫。
なれた。大丈夫。道を作る。わかってる、わかってる。僕は。道を。
うっ………。
裏駒王を拡張する。大丈夫、わかってる。
作る、作る、作る作る作る。
肉体が足りない、血が足りない。肉が足りない。腹が減った。
戻る。どれでもいい。
こいつにしよう。
これ…邪魔、とれた。いただきます。
まずい、固い。脂が足りない。でも食べる。命は大事に、食べる。
お残しはだめ。ごちそうさま。
道、道を。建物、生える。写して、写して。なんだっけ。作る。作る。道を作る。僕は、
僕は道を
なかなか時間が取れません。
明日もこれぐらいになるかも。
タイトル元ネタは風都探偵28~37話「pは悪魔だ/以下略」より。
次回もお楽しみに!