剣に化けるまで   作:にんころ

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第三巻:自分の内側をその手に
第一章:シロウの憂鬱


「オッタル。あの子、また強くなったわ」

「重畳、ですか?」

「ええ」

ここは迷宮の真上に築かれた摩天楼施設。その最上階。 「見違えたわ。[ステイタス]がどうこうじゃないの。魔法という切っかけ一つ手に入れただけで、あの子の輝きは一層鮮やかになった、、、私の目には器が洗練されたように見える」

 

しかしフレイヤは、その透いた色こそ何事にも代えがたいと思っているかのように。

「器の発展・進境が著しいと?」

「そういうことになるかしら」

部屋の隅で顔色を変えることのないオッタルと、短く受け答えをする。

直立不動の姿勢で主神を見つめる従者は静かだった。

「でも、一つだけ……一つだけ、輝きを邪魔する淀みがある。まるで枷のようにあの子を縛っているわ」

「そうね、十分に足る器はある。けれど、芯が足りない。いえ芯そのものはある、でもそれが曇って見える……何かが欠けているのか、何かが邪魔しているのか」

「オッタルはわからない?」とフレイヤは振り返り意見を求めた。まるで同じ男の子でしょう、と尋ねるかのように。

巌のような獣人はしばし口を引き結び、主人の問いに答えた。

「因縁かと」

「因縁……?」

「はい。フレイヤ様がお話してくださった。ミノタウロスの因縁、、、本人もあずかり知らない場所で棘となり、苛んでいるのでいるのかもしれません」

オッタルにはミノタウロスの話を聞かせてある。フレイヤ自身もそれらしい話を聞いただけなのだが。

 

「それならあの子に取り付いている茨を取り除くには、どうしたらいいのかしら?」

「因縁たる存在を打倒する以外にありますまい」

オッタルの言葉を聞いて思案する。

「今度のあの子への働きかけ、貴方に任せるわ、オッタル」

「どのような風の吹き回しですか?」

「私よりあの子の事理解してるんだもの、、嫉妬しちゃうくらいに。それに貴方も試したい相手がいるでしょう?」

「・・・」

オッタルの目には確かな闘争心が芽生えていた。

 

_____________________

 

今日はベルに呼ばれてカフェを目指していた。すると後ろから声をかけられ振り向くと。

「よぅシロウ君、修行がひと段落した感想はどうだい?」

「まぁ楽しかったですよ」

声の主はヘスティア様だった。

「そんな話より今日呼ばれた用件って何なんですか?俺ベルから何も聞いてないんですけど」

 

そう今回のサポーター騒動に関して少ししか知らない俺は今日呼ばれた事が何なのかわからずにいた。

「まぁ着いてからすぐわかることさ」

「そうですね、っと着きましたか」

そんな話をしていた矢先に着いた。

 

店内に入る

「おーいベル君!」

「来たぞベル」

「あっ神様とシロウ!」

ベルが座っている席に向かって歩く。

「お待たせ。すまない、待ったかい?」

「そんなことないです」

「それで彼女がそうかい?」

「あ、はい。この子が前話した」

「リ、リリルカ・アーデです。は、初めましてっ」

どっかの恋人の親への挨拶っぽい感じだった。

 

「いけない。神様とシロウの椅子を用意してもらってないや……」

「.…! なぁにっ、気にすることはないさ!この客の数だ、代わりの椅子もないだろう!よし、ベル君座るんだっ、ボクは君の膝の上に座らせてもらうよ!」

「あはは、神様もそんな冗談を言うんですね。ちょっと待っていてください、店の人に頼んできますから」

笑いながらベルは去っていった。 謀 を知らない純粋な子供の笑みだった。

置いてかれたヘスティアはしばし動きを止めていたかと思うと、へにゅん、とツインテールがしおれる。

 

「……ちょ、ちょうどいい。ベル君には最初から席を外してもらう予定だったんだ、何も問題はないさっ」

「は、はぁ」

ヘスティアはぴょんっとベルの座っていた席に腰かける。リリもそれに倣った。

「じゃあ、早速付き合ってもらうよ。あの子もすぐ帰ってくるだろうしね。自己紹介なんかはいいだろう? 君もベル君からボクのことは聞いているだろうし」

「は、はい」

ヘスティア様が目を細め眼光に真剣味が帯びてくる。

「率直に聞くよ。サポーターくん、君はまだ打算を働かせているかい?」

(久々にヘスティア様のこんな顔見るな)

二人の緊迫した空気は何処吹く風、一人だけ能天気な人間がいる。

そんな事を考えたりぼーっとしたりしていたら。

「シロウ君はこの子を信用できるかい?」

問いかけられた。だが魔剣の歴史を見た俺の答えは決まっていた。

「ええ、できますとも」

即答である。

「理由を聞いてもいいかい?」

二人の意識が俺に向く。

 

「リリ、俺は武器の経験を、つまり君が魔剣を持っていた時の出来事を全て見たんだ」

リリは恥ずかしそうに顔を赤らめ視線を落とす。

「だからこそ俺は君を信用できる。まぁその他に理由もあるけど君の心を暴くような真似はしないよ」

そう答えた。ヘスティアはその理由に満足したのか微笑みを浮かべていた。

この後もやりとりは続いたがベルの面倒を見てほしいとリリにお願いしてリリも願ったりって感じで話が終わった。

 

ごめんなさーいっ遅くなりましたー!」

「パーティの加入を許可する。あの子のお守りも任せた。けどっ、くれぐれもっ、出過ぎた真似はしないようにッ」ここからは修羅場が永遠と続き俺が雷を落とすまでそれは続いた。

(こんなんでこの先大丈夫か?、、、はぁ)

と心の中で溜息をつくのだった。

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