剣に化けるまで   作:にんころ

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ゲームも割と片付いたので少しずつペースを上げて行きたいです。


第三章:記憶の片鱗

夢の世界、、、俺は今そこにいるのかもしれない、、、曖昧な感覚。

 

 

真っ白で何もない世界、そこに一人、自分だけ、、、、、

 

 

意識はあるが変な浮遊感だけを感じる世界、、、

 

 

「ーーーーー」

 

音が聞こえる。

 

「シ、、ウ」

 

近づくにつれてそれが誰かの声だとわかる。

その声は懐かしくも優しい声だった。

 

「シロウ、、」

 

ここに来て自分の名前を呼んでいる事に気がつく。

 

「シロウ、君に私の、、、、、を託す」

何か大切な物を貰った気がするが大事な所が聞こえない。

 

「これで君の、、君だけの可能性の形を探して欲しい、、」

 

(なぁあんたは一体)

 

「欲を言えば幸福になれる道を選んでくれ、、、次のエミヤは君だよシロウ」

 

「ッ」

その一言が聞こえた途端世界に亀裂が走り次の瞬間には砕け散った、意識が浮上していく感覚に襲われる。

 

「ッ!?」

飛び起きあたりを見渡す。

俺が居たのは天幕の中のようだが、ダンジョンにそんな物があるはずもないので思考を巡らせる。

(俺は一体何を、、)

そこで思い出す。

 

「ベルッ」

最後に見た相棒の背中、ズタボロになりながらリリとヴェルフを背負い走る姿が鮮明に蘇る。

 

「落ち着いて、君の仲間は大丈夫だよ」

「ッ」

テントの入り口から顔を出したのはアイズさんだった。

 

「そうか、、良かった。また助けられちまったな」

罪悪感に苛まれる。一度ならず二度までもと言うのは流石に精神衛生上よろしくない。

「ううん、そんな事ない。最初のは取り逃がしだから私達の失態」

 

「まぁこの話は平行線で終わらないだろうし他の話をするが。ベル達の所に案内をお願いできるか?」

「うん、わかった」

自分が言い出した事なのに自分で切るのは流石に失礼だなと思いながらテントの外に出た。

 

「ほう、なるほど、ダンジョンは何でもありなんだな」

あたりを見渡すと野営風景が広がっていたがそんなことよりも、、

明るいのだ、地下にある筈の場所が。

(何かしら仕掛けはあるだろうが、今はベル達の様子を見に行くのが先だ)

そう判断してアイズさんの背を追う。

 

「ここだよ」

そう言って天幕の前で止まる。

「ありがとうございます」

そう言ってテントの中を確認する。

「「「すぅ、すぅ、すぅ」」」

と三人が静かに寝ていた。

 

「良かった」

そう一言だけ呟き俺は天幕を閉める。

 

「これからどうするの?」

アイズさんからそう聞かれて返答を考えていると、飽きたのかテントの中を確認するアイズさん。

(この人は待つのが苦手なのか?)

そんな事を思っていると中から

「えぇっ!?」

と大きな声が聞こえたので中を覗くと大きな目を見開いて驚いていた。

 

「元気そうだなベル」

「シロウ!?生きてたの!?良かったぁ」

そう言って身体から力を抜くベル。

 

その後何やら話していたが家族の恋路の邪魔はしたくないのでテントの外で待つ事数分、ベルとアイズさんが出てきた。

 

「話は終わったか?」

「うん!この後団長さんに会わなきゃいけないみたいなんだ」

「ふーん、そうか。じゃ!頑張れよ!」

と肩を叩いて立ち去ろうとすると

「シロウも呼ばれてる」

「え?」

そう言われアイズさんに連行される。

 

 

周囲の天幕より一回り大きな幕屋。

そこで俺とベルはオラリオの最高戦力の一角と相対していた。

 

「アイズからは報告されていたけど、、、、よもや君達が、僕達のキャンプに担ぎ込まれてくるなんてね」

外見は金髪で小柄な子供だがその眼光に宿った覚悟が只者ではない事がわかる。

「ほう、この者らがお主らが話しておった例の冒険者か、リヴェリア」

「ああ、ガレス。白髪の方がベル、赤髪がシロウだ」

筋骨隆々のドワーフとダンジョンですれ違ったエルフ。彼等は俺の敵であり恩人でもある事を自覚する。

ロキ・ファミリアの団長である小人族の勇者、フィン・ディムナ。ドワーフの老兵、ガレス・ランドロック。そして迷宮都市最強の魔導師リヴェリア・リヨス・アールヴ。

この三人はLv6に到達している最強の一角だ。

 

(何が目的で俺達を助けたんだ?)

自問自答しているが一向に答えが見つからない。

(金?)

違う、弱小ファミリアにそんな物期待する事は無いだろう。

(ま、善意でも何でもいいが警戒するに越した事はないだろう)

そう自分に言い聞かせて思考を切った。

 

「こっ、こっ、この度は助けて頂いてっ、ほほほほ本当にありがとうございましたっ!?」

これ以上ないくらいに緊張した面持ちで言う。

 

「そう畏まらないで、どうか楽にしてくれ。そっちの君もね」

俺が警戒している事に気がついていたのかこちらに視線を飛ばしてくるが、はいそうですかと言える程楽観的ではない。

 

「それに、アイズの知人と聞いておきながら見殺しになんかしたら、僕は彼女に恨まれてしまうからね」

おどけた口調で喋っているのは多分ベルの緊張を解いて喋りやすくする為だろう。

「君達の事情は概ね理解しているつもりだけど、一応説明してもらえるかい?僕等の現状も話しておくから、情報交換といこう」

そう言われてベルが説明し始める。

 

「がははっ、中層に進出したその日には18階層か!なるほど、フィン、リヴェリア、確かにこの若造は面白い!」

「ガレス、この場は内輪だけではないんだ。抑えてくれ」

 

ガレスさんが豪笑しそれを指摘するリヴェリアさんと言う感じの図ができた。

 

「僕等の方は見たの通り、ここで休息を取っている。本来なら、遠征の帰りとは言えダンジョンに留まらずに地上を目指すんだけど、帰路の途中で、モンスターから厄介な毒をもらってね」

ロキ・ファミリアの下っ端が毒に侵されて身動きが取れないらしい。

 

「ベート、、ファミリアの中でも足の速い、、、」

ベートと言う名前が出てからその後の言葉が頭に入ってこなかった。

(ベート、あいつはここには居ないのか。まぁ居たとしても今の俺では力が足りない)

 

自分の無力感に苛まれているとベルが立ち上がり礼を述べて天幕の出口に向かっていたので後を追う。

 

「シロウ君、君は少し残ってくれないか?」

そう後ろから言われ流石に無視もできないのでベルに「先に行っててくれ」と言いその場に残る。

 

「さて、呼び止めてすまなかったね」

「流石に助けられて無視できる程恥知らずじゃないさ」

ベルが居た時とは明らかに三人の雰囲気が違う。

 

「君が僕達に思う所が有るのは知っているんだけど、少し聞きたい事があるんだ」

「ほう、ベルにじゃなくて俺にか」

大手が弱小ファミリアに何を聞きたいのか、と思っていると衝撃的な言葉が飛び出した。

 

「君は精霊と縁、もしくは所縁はあるかな?」

「ッ!?」

そう言われた瞬間俺は双剣を投影し臨戦態勢に入っていた。

 

「何が目的だ?」

「まぁそう警戒しないでくれ、ゆっくり話もできない」

そう言われても流石に俺の何かに関わっている物だ、警戒するに越したことはない。

 

「実はロキ・ファミリアにも精霊と縁のある者が所属しているのだが精霊の情報が少なくてな君が何か知っているなら教えてほしいのだ」

そうリヴェリアさんが言って確信した。

 

「アイズ・ヴァレンシュタインか?」

「流石に気がつかれてしまっていたか」

頭を抑えるリヴェリアさんと苦笑いを浮かべる男性陣二人。

 

「そうなんだだから少しでも恩を感じているなら教えてくれないかな?」

そう言われて投影物を消して臨戦態勢を解いた。

 

「はぁ、それは話せないな」

三人の雰囲気の鋭さが増した。

「なぜか聞いてもいいかい?」

有無を言わさぬ眼光と圧力が俺にのしかかる。だが理由は単純明解だった。

「俺は精霊の事を覚えていないからそもそも教える事が出来ない」

三人の目が見開く。

「嘘ではないようだね」

「ああ、俺が教えて欲しいくらいには覚えていないな」

そう言い天幕を出た。

 

 

_______________________________

 

「良かったのか?フィン、あの小僧はまだ何か隠しているぞ」

「うーん、今聞いた所で彼が僕達に話してくれる事は絶対にないだろしね。それに彼は僕達が手を出せないことを理解していたから警戒はしていたがベル・クラネルとの話に口を挟まなかったしね」

しかもこの三人を相手に逃げるではなく臨戦態勢に入った事が何よりの証拠だ。

 

「まぁ一番の問題はこれから彼が敵になるのか、はたまた味方になるのかで変わってくるだろうから気長に待つことにするよ」

そう言って彼が出て行った出口を見つめていた。

 

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