「ノックして、もぉしもぉ~し。」
フーゴ「おい.....ちょっと待てシィラ.....
スタンドでドアを叩き割るんじゃない.....。」
ベットから起き上がりフーゴが顔を洗って服を
整えていると
シィラ「まったく、部屋ぐらい自分で片付けられないの
かしらフーゴは?」
待ち時間が余程暇だったのかフーゴの室内を
掃除していた。
フーゴ「おい.....ドアを叩き割るなって.....。」
シィラ「鍵ぐらいおとといスッとられた事ぐらい
気がつきなさいよ。」
フーゴ「え!?いつの間に!?」
シィラ・カペッツート17歳
スタンド『ウードゥー・チャイルド』
2年前麻薬チーム討伐の際に共闘したスタンド使いの
少女。
あの後病院送りだったが、しばらくやることも
ないからとちょくちょくフーゴがお見舞いに
来ていたのを期になついたのか部屋をちょくちょく
掃除に来たり無理にピアノをフーゴから教わりに
来るなど、腐れ縁というやつかそんな関係が
今も続いて.....あろうことかついこの前互いに初めてを
捧げあったとは仲間にも誰も言ってない。
後日ヘビが家に侵入してきて焦ったが花束に
変わったのを見てジョジョには既に
ばれているんだなと悟った。
シィラ「付き合う女も予定も無いんでしょ?
じゃあたまには食事位付き合ってよ?
一線.....こえちゃった.....し.....えっと。」
いつもの戦闘スーツより乙女っ気のある清素な
服装で来ていた。
フーゴ(力入れすぎ.....というか.....どう声を
かけたらいいんだ?)
昔は2歳年下の妹分としか見ていなかったが
復讐の目標も無くなって年を経て女性として感じる
成長感した感を感じる。
フーゴ「に.....似合って.....いるよ。
というか.....他にもいい男いるはずなのに.....
どうして僕なんだ.....?。」
シィラ「いくわよ、今日ぐらい私が料金持って
あげるからついてきなさいよ。」
フーゴ「おい、ちょっと.....ちょっとま.....。」
有無も言わさず腕を引っ張られて行くフーゴ。
自宅の施錠をシィラの『ウードゥー・チャイルド』が
済ませると.....フーゴとシィラはこれで
何回目かわからないデートへと向かう。
二人は普段の服装とは違い、自分達がいつもは着ない
きっちりした服装で外へ出る。
ムーロロやミスタにいじられたくは無い。
いや、無駄な努力でどーせバレることはわかっちゃ
いるがこの時間を侵食されたくはない。
今日は世間でも休日なのかあらゆる喫茶店や
レストランは満員だった。
シィラ「どこもかしこも気が効かないわねぇ.....
こんなにお客さん多いと入りづらいじゃない.....。」
フーゴ「いつもみたいに混んでるとき外しているが
今日は難しいな.....。」
シィラ「あ、あそこのレストランわりと空いているわよ?
行ってみ.....。」
店名『ristorante piccolo ragazzo』
直訳 レストラン・キチガイ
フーゴ・シィラ「............................。」
どうしよう。
やや混んでなさそうな店はここしか無さそうだが。
店名が酷い。ここから見る限り内装には問題は無いが。
フーゴ「まあ....飲み物だけ頼めば気にならないし
....嫌だったら出ればいい。なんならこの店の評判を
『ウードゥー・チャイルド』で見てみれば
地雷を踏む危険性は防止できるはずだ。」
シィラ「そそそそそうおねーフーゴ!!じゃあ
入ってみよう!!」
はにかんでおどおどする様子に可愛いと思ったら
僕の負けかなとも思ったフーゴだが
シィラと一緒に奇妙な料理店へと入っていく。
フルート「いらっしゃいませ、お客様2名様ですか?」
フーゴ(開幕知り合いじゃないか!!)
フーゴ「ああ、2名で。」
フルート「かしこまりました、オープン席と
個室席がありますがどうされますか?」
フーゴ「へぇ~気が利く店だな~じゃあ個室席で。」
フルート「かしこまりました、こちらにどうぞ。」
案内された席は天井から光は差し込むが壁に窓の無い
ソファー有の個室食事スペースだった。
フーゴ「雰囲気はいい場所だな。」
フルート「お客様、表メニューと裏メニューが
ありますが表メニューの表記がお気に召さない場合
裏の普通メニューも楽しめますのでどうかゆっくり
お楽しみ下さい。」
フルート「へぇ~裏が普通で表メニューが....え?」
コーヒーや紅茶と言った飲み物やドリンクの表記は
至って普通だった。
だが表メニューの表記が....奇妙過ぎた。
表メニュー
『髪の毛』『鳥の骨』『芋虫盛り合わせ』
『秒殺スープ』『油糸』『人間の腕』『蝶と蛾の刺身』
『絶品肉ゼリー』『ドルチェの天ぷら』『食える蝋燭』
『ベイクアイスケーキ』『果実のようなナマコ』
『燃えるシャーベット』
フーゴ(なんじゃこりゃぁあああああ!!
どうしてこんな食欲の失せる料理名前を
こんなにいともたやすく並べる事ができるんだ
この料理店!!やはり地雷だったのか.....!?)
フーゴ「.......いいや裏メニューは至って普通の
イタリア料理だし何処にも問題はないから
裏頼もうよ裏を。」
シィラ「......気になるわね.....この店はゾンビでも
飼ってるのかしら.....あのフルートって奴は
ボスの親友であり実力者であるとは聞いてはいるけど
いまいち.....わからないわね.....私やフーゴやミスタより
ジョルノ様との関わりは長くは無いはずなのに
何故かジョルノ様は気にかける.....正体を掴む
必要があるわね。裏で人間を食材にしてるようなら
この店を潰す必要があるわね.....。」
フーゴ「ジョジョがそんなことを許す奴じゃない事は
僕も一応理解はしているつもりだ。
きっとハロウィンの衣装を着たような感覚の
料理なんだろう、気になるなら
『ウードゥー・チャイルド』で確認してみたら
どうだ?もしかしたらこの店一押しの料理が
わかるかも知れない。」
シィラ「そうね、そうしてみるわ。
『ウードゥー・チャイルド』。」
エリエリエリエリエリエリエリ.....。
キツツキが突っつくようにスタンドで
コツコツテーブルを突っつくといくつもの
唇が現れて喋り出す。
『ウードゥー・チャイルド』は殴った場所から
唇が出てその場所から人間の話した言葉をリプレイ
したり、人間を殴れば本音や深層心理からの
罵倒を吐き出す。
「うめえよこの髪の毛!!」
「がっはっはっは絵面ひでえ!!」
「この人の腕!!中身がカリカリホクホクだ!!」
「いかれた見た目だが旨いぞ!!」
「ナマコもっと食べたい!!」
「キモ旨い!!」
「シェフ!!芋虫もっと頂戴!!」
「肉ゼリーなんて表現がもったいないわ!!
ベストオブジャストミートよ!!」
「蝶と蛾を食べてる構図がおもしれえな。」
「手のひらうっまあ!!」
「とーりーのーほーねー!!」
フーゴ(このスタンドでおすすめメニューを
聴くはずが.....食欲が失せるダメージを受けたのは
俺達だった!!)
シィラ「なにこれ.....客狂ってんの.....!?」
フーゴ「落ち着くんだ.....注目すべきは表メニューを
頼んだ連中は誰も『味に関して不満』を述べていない
.....だが.....表メニューを頼んだ場合グロテスクな
物が出てくるのか.....絶品料理が出てくるのか
全くわからない.....どうして誰も普通に食えるはずの
『裏メニュー』をほとんど選んでないんだ?」
シィラ「.....逆に興味が沸いてきたわね.....裏で
人間を食材にしてるようなら.....この店を潰す!!」
フーゴ「落ち着け、あのフルートが働いているんだ
そんな店だったら彼の性格上真っ先に潰している。
ジョルノがそんな残忍な奴をそもそも側近に据える
筈が無い。」
「もう、フルート。親友が現れたら
露骨に僕が嫌いなものを勧めて追っ払おうとしないの
気持ちはよくわかるけど.....じゃあ.....。」
フーゴ・シィラ「!!?」
フーゴ「この声は!?」
シィラ「ジョルノ様!間違いなく!ジョルノ様だわ!!」
フーゴ「ジョジョも.....こっそりこの個室で食いに
来ていたのか!?」
【リプレイ】
「『芋虫盛り合わせ』と『油糸』と
『果実のようなナマコ』を頼むよ。」
フルート「お客様は何名様でしょうか?」
ジョルノ「ミスタとミランチャとジュノーには
仲良くするように別の店で交流して貰っている。
いつもの店なら僕らの態度には慣れているけど
ストレス源は一人の方が気が楽だろう?
気になるんだよ.....君の料理が。ここは一人で
優雅に吟味して楽しみたいんだ。
今日はそういう気分なんだ。」
フルート「一応気を使ってはくれているのか
すまなかったな、飲み物はいつもおまえが
気に入ってるいつものを出せばいいんだな?」
ジョルノ「わかってくれているじゃないか。」
フーゴ「そうだ!!ジョジョの感想ならどういう
料理を選べばいいかの参考になる!!
誤魔化しようがない!!」
シィラ「ジョルノ様は.....料理を食べてなんて
言うかしら(ごくり.....)。」
【リプレイ】
ジョルノ「この芋虫は素晴らしいね、後2皿追加で
頼もうか?」
フルート「かしこまりました。」
ジョルノ「このスープパスタもいい、他の店じゃ
味わえない食感と味。beautiful!!
ジョルノ「ナマコって書いてあるけど絶品の
デザートじゃあないか。こういうの嫌いじゃないよ。
もう一度食べたくなるね.....。」
ざわ.....ざわ.....ざわ.....。
フーゴ(どうするっ!?カルボナーラとかマルゲリータ
とかペペロンチーノとか普通に頼める料理
はいくらでもあったはずだ!!どうしてそれなんだ!?)
シィラ「覚悟を決めた.....私はジョルノ様の勇姿を
見習い.....この表裏が裏返ったエグいメニューを
注文することにするわ!!」
フーゴ(まずいぞ.....シィラはなんだかんだで
今は普通の女の子.....構図的にそれは色々とマズイ!)
フーゴ「わかった.....どれでも頼んでいい.....
僕が味見する.....無害ならいくら食べてもいいし
ショックを被るのは僕でいい.....無理をするな。」
シィラ「わかったわ.....でも私だってこれでも
パッショーネのメンバー.....これしきの...事...
これしきの...こと...。」
手が震えている。
やっぱり...ギャングの一員とはいえ女の子には
生理的にきついようだ。
オーダーを呼ぶ。
シィラ「『芋虫盛り合わせ』を.....一つ。」
フーゴ(無理をするなぁあああ!!一緒に食べてやるから
顔を真っ青にしてオーダーしなくていいからぁあ!!)
フルート「かしこまりました。ただしお客様、
ひとつ約束をしてください。
名前が奇妙な料理を食べるときは、
名前で外見は大体察しがつきます。
ですからどんなものが出ても食べる『覚悟』が
出来ていると判断しますので.....
どんな外見の物が出てきても.....断る前に必ず一口.....
お口に運んでいただくことをお願いします。
不味ければお代は受けとりません。では.....。」
フーゴ(何を出すつもりなんだぁ.....フルートぉ!!)
フルート「お待たせしました『芋虫盛り合わせ』
でございます。」
フーゴ(うぉぉ.....想像以上にリアルだ.....
大きなモンシロチョウの幼虫のような8匹の芋虫
色は黄緑・茶色・白色・紫....4色2対。
二匹には鰹節がまぷしてあったり
ある二匹にはごつめに衣をまとってあったり
毛虫をイメージしたのだろうか?
ご丁寧に青野菜とトマトのサラダの上にリアリティーに
乗っかってる!!何を思ってつけたのか
蝶のサナギがサラダの脇に緑、茶色2つ。
繭が一つ添えてある.....。
添え物はケチャップとマスタード.....
やばい.....食える自信が無い.....!!どうしてこんな
リアルに作っちゃったのか!?)
ピクピク.....ピクピク.....。
フーゴ(う、動いたぁああああ!!)
シィラが震えている。
楽しいデートが我慢大会みたいになってしまっている。
フルート「ああ、それは練り込んだ芋に適度に
空気を入れて揚げる事で空気の収縮の割合によって
揚げたてにピクピク動くギミックが
再現できるんです。」
フーゴ「どうしてそういう方向に力を入れたんだ
君はぁああ!!食欲を破壊することしか考えてないのか
お前はぁあああ!!」
フルート「てへ。」
小さく舌を出してとぼけるフルート。
シィラ「覚悟とは....暗闇の荒野に進むべき道を切り開く
事であるっ!!ジョルノ様が食べれて私が食べれない
筈が無い!!」
ザクッ!!
シィラはフォークで茶色い芋虫をぶっ指して
フーゴ「まてぇええええええ!!シィラぁあああ!!
それはそこで使う台詞じゃあないぃいい!!」
カプッ。
食べた。
モグモグモグモグ..............。
シィラ「........................................................
うまぁあああ!!」
フーゴ「!?」
シィラ「これポテトよポテト!!練り込んで空気を
入れてフワッと揚げたポテトに練り込まれたお肉の
詰め物がじゅわっと染み出る!!
なにこれ!!見た目を無視すれば美味しい料理じゃない!!」
フーゴ「なんだと!?そんなに旨いのか!?」
勇気を出して芋虫を噛ってみるバンナゴッタ・フーゴ
カリッ。
フーゴ「うまぁあああああい!?なんだこれは!?
確かにこれはポテトだ!!揚げたての練りポテトだ!!
空気が入っていてふっくらカリカリ!!
芋虫の中には、ひき肉、バジルソース、
ホワイトソース、うま煮ソース!!
芋の衣はじゃがいも、さつまいも、むらさきいも
野菜ソースを染み込ませたじゃがいも!!
カシューナッツとマカダミアナッツの衣で
さらに香ばしさをかもし出す!!」
二人は気がつけば芋虫を美味しく頬張っている。
フーゴ「これは旨い!!サラダの葉っぱにくるんで
食べれば更に絶品マスタードやケチャップとも合う!!
添えてあるトマトと食べればスッキリする!!」
シィラ「サナギのオブジェはルイペやクエの旨味を
閉じ込めた魚のムニエル、糸はメレンゲで出来ている!!
凄い!!気がついたら食べきっちゃった!!」
フルートはにっこり笑って持論を語る。
フルート「どんなに食欲が壊滅する見た目であろうと
一口食べれば180度評価を覆す。それが俺達の料理だ。
人間はいくら表面は飾り立てても内面が弱ければ
いずれボロボロに崩れていく。
俺達の料理がわかるのは、『本質をわかる覚悟』を
備えた奴だけでいい。それだけよ!!それが満足よ!!
『本質で圧倒し勝利する!!』それが俺の座右の銘だ!!」
フーゴ「確かにあれだけ食欲を破壊する見た目
だったのに一口でそれが吹き飛んでしまった.....
これが.....君の料理.....え?俺達?」
フルート「俺と同等の腕を誇る若いシェフが後
3人はこの店で控えているってことさ。」
フーゴ「今の料理でちょっと気が楽になったな。
じゃあ僕は.....高いな.....この『絶品肉ゼリー』
を頼むよ。シィラ、高い分は僕が出すからいいよな?」
シィラ「そう.....じゃあ私は『人間の腕』
と『果実のようなナマコ』をお願いするわ。」
フーゴ「え?『人間の腕』を頼むのか?」
シィラ「この料理は絶品だったけどこの人をまだ
完全に信用してるわけじゃないわ。
それに『油糸』の正体が『スープパスタ』だって
事はジョルノ様の感想でわかっている。
後は得体の知れないメニューの正体を解き
明かせばいいの。」
フルート「有り難き幸せ....その姿勢によりやりがいを
感じますよお客様。さあ、料理を続けましょう。」
と、そこに『ウードゥー・チャイルド』の
展開してあった唇がジョルノの声でしゃべる。
フーゴ「ん?」
【リプレイ】
ジョルノ「この芋虫のいいところは香ばしくて
食べやすいって言うのはあるけど...。」
フーゴ・シィラ「?」
ジョルノ「僕の嫌いな鶏肉が使われていないのが
一番嬉しいポイントかな?」
フルート「好き嫌いすんじゃねえ!!言うべき料理の
感想はそうじゃあねえだろ!?」
ジョルノ「わははははwコンビニの弁当でも
嫌いなものも大概一緒に入っていて萎える事
無いかなって例えだよ。嬉しいじゃないか好物
だけ入ってる弁当って。テンション上がらない?」
フルート「それはお前だけだぁーーーー!!」
シィラ・フーゴ「スコーーーーー!!」
二人の気持ちは盛大にずっこけた。
フルート「『人間の腕』です。熱いうちにお召し上がり
下さい。」
フーゴ・シィラ「じぃぃ.....。」
ほっかほかの湯気を立てているごつい男の腕
これが女性の腕ならば吉良吉影が大喜びしたであろう
見た目である。
フーゴ「やっぱりな、フルートの本質を現してる
と考えれば気楽に解るもんだ。」
もう騙されないぞという空気でフーゴがフォークで
掌を突っつく。
フーゴ「皮膚や指の部分をよく見たらイセエビを
揚げたり焼いたりして加工してパリパリに再現
している。爪はベーコンの上にぺろんと薄い形状の
パスタを張り付けてある。断面は.....。」
パリっ。
フーゴ「..............。」
腕の断面が無駄にリアルに出来ている。
よく見たらチーズとひき肉と生地とソースのラザニア風
詰め物なのだが....リアルなデザインゆえに食いづらい。
シィラの目がさっさと食べて感想をくれという目で
こっちを見ている。
芋虫はOKで人間の腕はNGなのか。
あ、そうかこっちはジョルノは食べてないのか。
だから無理にシィラも食う必要が無い。
フーゴ(いいだろう....ここで覚悟を見せなくては
男が廃る。食うぞ.....食うぞ.....食うぞ!!)
カリッ!!
皿に乗った指をナイフで切ってフォークを刺して
食べる。
フーゴ「旨いっ!!イセエビの衣と甘いプリプリした
あっつあつの汁を含んだ身の部分中央から染み出る
クリーミーなソースが絶妙にマッチしている!!
腕の部分は.....。」
切り分けて食べてみる。
フーゴ「んんん!!まい!!これはパリパリの特性クレープ
の二重構造に特製のラザニアとイセエビのパリパリの
衣が皿に食間と旨さを引き立てるっ!!
こんなに旨いラザニアがあったとは!!
他の店より断然旨いぞ!!」
シィラもフォークでつんつんして食べ始める。
シィラ「見た目のインパクトのわりには.....
美味しい只の料理.....全力で警戒していた
私は一体.....。」
なんかどんよりしていた。
フーゴ「君は悪くない。見た目が悪趣味な方が
問題だ。絶品料理なら普通に....綺麗に
盛り付けられなかったものか?」
シィラ「ほんとそれ!!」
フルート「メインディッシュ『絶品肉ゼリー』!!」
でかい皿に不思議な色合いのステーキが乗っかってる
所々半透明の黄色い模様が柔らかい高級肉に
まだら模様にちりばめられている。
フーゴ「今までの料理で一番まともな見た目だ。
果たして.....。」
湯気が立つ中柔らかい高級牛肉ステーキとは
別の良い香りが漂う。
嗅いだことの無い肉の匂いだ。
フーゴ(.....純粋に.....旨そう.....!!)
フルート「お客様、フォークよりスプーンの方が
この料理はおすすめです。」
言われるがままにスプーンを使って肉を切る。
まるで肉がプリンのようにプルンとすくえる。
フーゴ「ごくり。」
バクッ。
食べる。
フーゴ「..............!!デリシャス!!グレートだぁこの
肉わぁ!!口の中で適度に繊維を残して肉の食感を
残しつつ柔らかい高級肉のステーキにまだらに
組み込まれたこの肉が口の中に旨味を放出して
さらりと溶ける!!なんなんだこの肉は!!
食ったことも無い食材だ!!なんだこれは!?」
フルート「それは、スッポンメインの濃縮スープの
煮こごりに多少スッポンの肉を浮かべて予め
柔らかく調理して焼いた肉を型で組み込んで
軽く冷やして固めて、客に出す前に炭火で
溶けてしまわないように全体に軽く熱を通す。
こうして絶品の食感が出来上がります。」
フーゴ「スッポンだと!?そんなものイタリアには
ほとんど無いぞ!?」
フルート「親友に数限定で仕入れさせて
頂いています。」
フーゴ「値段に十分見合うだけの味..............。」
シュパッ!!
シィラが『ウードゥー・チャイルド』で
肉の半分を吹き飛ばして自分の取り皿に乗っけて
がっつく。
シィラ「んんんんんんんんっ♥」
凄くお気に召したようだ。
フーゴ(素直にくれって言えよ.....。
そんな嬉しそうな顔するんなら.....。)
フルート「ちなみに材料も貴重なので一日10皿
限定なのでお気をつけて。
まあ大概売り切れてしまうわけですがね。」
フルート「デザートは『果実のようなナマコ』です。」
紫色の大きめのナマコが皿にドンと置かれている。
フーゴ(デザートはもっと見た目がいいやつが
いくらでもあった気がしたが、今までの傾向を
見るに見た目と味が合致していない為
全く味が予想できない。)
フーゴが味見でナマコの尻尾を切る。
すると中から虹色のソースが出てきた。
どろっ。
グロい。
フーゴ(デザートにまで覚悟を決めなくてはならない
とは.....いいやここまで来たら食うしかない!!)
ぱくっ。
フーゴ「..........おお!?これはナマコじゃない.....
ブドウとチューイングキャンディの中間のような
固めのもちもちとろりとしたブドウ味の生地にミックス
フルーティーな甘さ控えめのソースがスッキリ締める!!
立派なデザートだ!!」
シィラ「よし全部没収ー。」
皿を丸ごと自分側に寄せてもぐもぐ食べ
はじめるシィラ。
なんだかんだこの料理店を一番たのしんでいるのでは
なかろうか?
ちょっと寂しい気持ちを払拭すべく別のデザートを
頼む。
フルート「『ドルチェの天ぷら』です。」
フーゴ(本当にドルチェショコラケーキを天ぷらに
してやがる!!いいや世の中にはアイスクリームの
天ぷらもあるのだ!!もう料理に外れが無いと
わかった以上がっつり食べさせていただく!!)
シィラ「いただきます!!」
カチン!!
フーゴ(どうしてこっちにフォークを!?
いいや食べ終わるのが早い!!あれそれ相応に量は
あったろ!?)
シィラ「それも今すぐよこせぇえ!!」
フーゴ「ちょっ.....全部は無いだろ全部.....。」
パァン!!
フルートがフーゴのドルチェからフォークを外すと
シィラにドルチェの乗った皿を飛ばす。
シィラ「やったー♥」
フーゴ「おい、これ僕が頼.....。」
コトッ。
もう一個同じものを置いてくれた。
フーゴ「あっ.....。」
フルート「売り切れじゃ無い限りお作り
いたしますんで喧嘩は控え目に。」
フーゴ「あっ.....すっ.....すまないなぁ.....。」
グロい料理を作るシェフの精神は
想像以上に紳士だった。
フーゴ「いい店だったな。」
料理の見た目はともかく味は最高だった。
シィラ「まあ、怪しいのはシェフの感性だけ
だったわね。」
否定はしない。
だが十分一流名乗っていい腕だ。
一時はどうなるかと思ったデートだったが
無事最高の思い出として胸に残る事となった。
シィラ「あの.....フーゴ。」
フーゴ「どうした?今日の肉は旨かったとか?」
シィラ「それもそうだけど...................くふっ.....
できちゃったみたいなの。」
フーゴ「........................................................
え?」
どうやらグロい見た目の料理を食べる以上に
人生ってやつに『覚悟』を決めなくては
ならない事態らしい。
パッショーネ初の独身卒業がまさか自分になろうなど
とは.....思いもしなかった。
『ristorante piccolo ragazzo』
料理の見た目の破壊力A 料理の味A
料理の出来上がりのスピードC
射程距離 イタリアのとある現地
リピート力A 集客の数C 精密動作性A 成長性A
清潔感ある店内とは裏腹に
食欲を破壊するグロテスクな料理が
出てくるが、一口食べれば食欲が一気に溢れる。
一月に一度季節メニューの変更もあり
ジョルノリスペクトの『てんとう虫のパフェ』や
『カミキリムシのソテー』
『タランチュラのショコラケーキ』
等もお目にかかれる。
なお飲み物は普通に旨い。
一応普通のメニューも食べさせていただけるが
スリルの欲しい客は表の奇妙な料理を積極的に
注文する風潮がある。