強く気高く孤高のマミさん【完結】   作:ss書くマン

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プロローグ
1話 繰り返す少女


 

 

 

 

 繰り返す。

 空は濁った白い雲が覆い、一切の光も通さずにいる。

 

 繰り返す。

 強風が吹き荒れ、そこにいる人間や物を容赦なく吹き飛ばそうとする。

 

 繰り返す。

 大地には強風などで飲まれたのか、ビルや家、自然物。あらゆるものが破壊され、混ざり、散らばっている。

 

 繰り返す。

 その空間には逆さ刷りにされたドレスに、大きな歯車が付いた奇妙な物体が浮いている。狂気をはらんだような響き渡る笑い声を出しながら。

 

 繰り返す。

 繰り返す。

 繰り返す。

 

 あまりにも現実的ではない。そんな世界が何度訪れようと、たった一人の女の子を救い出すために美しい黒髪をなびかせる少女____暁美ほむらは何度でも繰り返す。

 数えてしまうことを辞めてしまうほどに、途方も無い時間を費やしたとしても。

 

 救える時を廻り続ける。

 約束を守るため、ほむらは少女を地獄のような世界から救い出す。

 

「まどか」

 

 救い出す少女の名前を愛しげにつぶやき、時の狭間を歩き続ける彼女は確かにそういった。

 

「そのためならいつまでも時を越え繰り返し、私が必ず救い出す。それが、私の願いだから」

 

 彼女はまた地獄のように続く、永遠とも言えるほどに長い時の狭間へ身を投げ出す。たった一人の親友を____鹿目まどかを救うために。

 魔法少女であるほむらは、いくつもの時間軸を廻り続けていた。

 

 

 

 

 

「ねえ、キュゥべえ。これは一体どういうことかしら」

 

「なんのことだいマミ。いくら僕でもそれだけの言葉で君の質問には答えられないよ」

 

 日本にある一つの都市____見滝原市のとあるマンションの一室。その中には一人の少女と謎の生き物がいた。

 手入れの行き届いている金色のツインロールが特徴の少女。歳は16にも満たず、まだ中学生という幼さが残るはずの少女には、それを思わせない雰囲気と体つきをしていた。

 その少女____巴マミは、その質問の先にいる赤く丸い目をした白いウサギのような、猫のような不思議な生き物に問う。マミに問われた生き物____キュゥベエは、その質問の意味が解らないという風に首をかしげながら質問を返す。

 

「ふざけないで頂戴。()()()()がやったことでしょう? 分からないはずがないわよね?」

 

 求めていた答えとは違う言葉が返ってきたことに不服な様子を隠すこともせずにいたマミは、明らかに怒気を込めながら再度キュゥべえに問いただした。

 それでもキュゥべえは言っている意味がわからないと、先程と同じような言葉を繰り返し伝えていた。

 

「本当に分からないの?」

 

 嘘のつきようがない。絶対に知っているはずの情報を分からないと答え続けるキュゥべえに、おかしいと感じたマミは怒気を込めていた表情から徐々に困惑に変わっていった。

 

「マミ、君は一体何が知りたいんだい? ()()は嘘はつかない。君が何を知りたいのかそれをはっきりと言わなければ、僕もマミが満足するような答えが帰ってくることもないというのは、君が一番よく知っているんじゃないかい?」

 

 困惑を浮かべているマミに諭すような言い方で声を掛けていた。

 キュゥべえの言う通り聞かれた質問には嘘をつかない。

 実際には遠回しな事を言って内容をぼかそうとする節はあるが、問いただせば素直に喋る。問いただしている状況になっている時点で素直かどうかは怪しいが、キュゥべえという存在は自ら言うことはしないが聞かれれば話すといった存在だ。

 マミはそんなキュゥべえと長年共に暮らしている。共に暮らしているというのは少し語弊があるかもしれないが、マンションで一人暮らしをしているマミにとっては一緒にいる時間は少なくない。つまり、キュゥべえが面倒くさい存在であり、聞けば嘘はつかないことなど以前から知っていたことだった。

 

 それでもマミはそう聞かざるをえなかった。

 マミにとってそれを知ったのはつい先程の出来事。目の前から人間が現れたと言っていいほどの急な出来事であり、それを知っている、関係する存在はキュゥべえ以外にあり得ないからだった。

 

「本当に私の言っていることが分からないのね。なら、はっきりと言わせてもらうけど……」

 

「うん、それが良いと思うよ」

 

 無表情ではあるが、あくまでも白を切り通すように返答してくるキュゥべえにため息を付きながら、マミはゆっくりと口を開いた。

 

「魔法少女が現れたわ」

 

 魔法少女。漫画やアニメ、おとぎ話のような存在。しかし、この世界には確かに存在する。正義を貫き、悪を倒し、罪なき人を救う存在____巴マミという少女は、そんなおとぎ話の一人である魔法少女であった。

 そして、魔法少女の素質を持つ少女を見つけ、どんな願いでも一つだけ叶えることを条件に、罪のない人間を食物とする魔女を倒す魔法少女に変身できるようにする知的地球外生命体____キュゥべえが、そんな魔法少女を作り上げいた当事者であった。

 マミはそんなキュゥべえと願いを叶えることを条件に契約した一人であり、だからこそ突然現れた魔法少女のことを分からないと答えるキュゥべえが、契約を持ちかけている本人が白を切ろうとすることが不思議でならなかった。

 魔法少女が現れる。それはキュゥべえが少女の願いを叶え、魔法少女へと契約を果たした何よりの証拠だろうと思っていたからだ。

 

 マミが暮らしている見滝原市には、魔女からの被害が人間に出ないように、魔法少女や魔女が持っている魔力を持っているモノが現れた時、迅速に対応出来るように自身の魔力を至る所に充満させていた。

 魔法で作った道具を通してではあるが、張り巡らされたマミの魔力に触れた魔力を持つものは、まるでレーダーのように反応を起こしマミに伝える役割をしていた。

 そしてその範囲には先ほど現れた魔法少女も入っており、まるでその場に突如現れたように魔力が反応したのを感じ取ったのが、キュゥべえに質問したその時だった。

 見滝原市で魔法少女ではなかった少女と契約を結び、新しい魔法少女が産み落とされたのだろうと思っていた。

 だからこそマミは新しい魔法少女を作るために、何の罪もない少女に契約を持ちかけただろうとキュゥべえに再度問う。

 

「キュゥべえ答えて。どういうことかしら?」

 

「マミ、申し訳ないが君が思うような答えは得られないと思うよ____僕は見滝原市で、新しい魔法少女の契約を結んではいない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見滝原市にある病院。その一室の窓からは、光り輝いている太陽から光の柱が部屋に差し込んでいた。

 覗き込む空は晴天とも呼べるほど綺麗な青色と、所々に真っ白な雲が点々として、小鳥のさえずりが聞こえてくるほどに晴れ晴れとした空気だった。

 窓から風が入ってきたのか、白い雲のように汚れひとつ付いていない白いカーテンがゆらゆらと揺れており、カーテンの先には同じく真っ白なベッドが設置されている。風に煽られた病室は、清潔感を思わせる少しばかり独特の匂いが広がっていた。

 

 ベッドの上には真っ白なカーテンとは対照的に、黒色の艶やかな長い髪をなびかせる少女が座っている。しかし、少女の表情は暖かい空気と爽やかな風が流れている空間に似つかわしくないものであった。

 

 覚悟を決めている者の表情。幼さは残るものの、静寂な雰囲気を持つ少女はベッドを出て、慣れた手つきで制服に着替え始める。同じ動作を繰り返してきたようにその動作は、一つたりとも迷いはなかった。

 

 繰り返す。

 繰り返す。

 繰り返す。

 

 親友を救うために。約束を果たすために。

 

「今度こそ。私は、必ず……」

 

 その少女____暁美ほむらもまたキュゥべえと契約を交わし、たった一人の少女を救うために願いを叶えた魔法少女であった。

 

 

 

 魔法少女の扱う魔法は、願いを叶えるときに左右されるという。ほむらは魔法少女であった親友の少女を____鹿目まどかを二度と魔法少女にさせないために、願いを叶えて魔法少女になった。

 その願いで得た魔法は限定的な時間逆行。砂時計のように決められた時間を繰り返すことが出来るものであった。

 

 まどかが魔法少女になる前の時間に遡り、魔法少女の契約を防ぐための魔法。失敗しては繰り返し。失敗してゃ繰り返し。ほむらには数えることを忘れてしまうほど膨大な時間を繰り返し続け、何度も、何度も、何度も。ほむらはまどかを助けるために過去を繰り返してきた。

 

 そして今日もまた同じ時間に戻り、終わりの見えそうで見えない道を歩き続ける____はずだった。

 

 

 

 

 

「転校生を紹介します」

 

 見滝原市の市立中学校の教室では、教卓に立っている若々しくも大人の雰囲気を含む女教師の声が教室に響き渡る。その声を合図を切っ掛けに、出入り口の扉がガラガラと音を鳴らしながら開かれ、教室に居た生徒たちは一斉に音の方へ注目を集めていた。

 そこから現れた見慣れない黒髪の少女の靴が、地面が触れ合うたびにコツコツと小気味の良い音が静まり返っていた教室に反響し、そんな様子を物ともせずに手馴れた動作で挨拶をしていた。

 

「暁美ほむらです、よろしくお願いします」

 

 彼女の瞳には、均等に並べられた机と椅子の一つに座っている、救うべき親友しか写ってはいなかった。

 小学生に見間違えられてしまうほどの幼い顔つきをした、可愛らしいピンク色の髪の毛を赤いリボンでツインテールに結んでいた少女____鹿目まどかは、そんな転校生である暁美ほむらをどこかで見たことがあるようなと言った表情で見つめ返していた。

 

 転校生の紹介が流れるように終わった教室では、中学生にしては雰囲気のある新しい生徒に興味を持っていた少女たちが、ほむらへ集まり次々に質問攻めをしていた。

 そんなほむらは次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴る前には、質問を切り上げるように立ち上がり、まどかのもとに歩き始めていた。

 

「 鹿目まどかさん。貴女がこのクラスの保健係よね。連れてって貰える?保健室」

 

「え、あ、う、うん!」

 

 ほむらが始まりを告げた場所である病院の一室。その中のベッドで横たわっていたのには、心臓病を患い入院しているという訳があった。

 魔法少女になった副産物で病は落ち着きを取り戻し、元々病弱で運動を出来るような体を作れていなかったほむらは、一般的な中学生以上に動けるようにはなっていた。

 しかし、救うべき親友のまどかがクラスの保健係でもあったことから、心臓病がまだ完治していないことで話を通して、なんの前触れもなく話さずとも自然に接触できるようにしていた。

 そもそも急に心臓病が治ることもおかしな話ではあるので、病院側の辻褄を合わせる意味でも、ほむらには都合が良かった。

 

 教室から保健室に移動していると、まどかから他愛のない会話を持ちかけられていた。

 他愛もない会話。まどかにとっては初めての転校生であり、新しく友だちになれるかもしれない女の子として話しかけていたかもしれないが、ほむらにとっては何度も繰り返していた描写の一つに過ぎず、内容もそのたびに聞いていたものだった。

 恥ずかしそうに、しかしちょっと不安げな表情で喋りかけているまどか。そんなまどかを救うために何度も繰り返して、繰り返して。それでも変わらない朝の日常。それがまるで、お前は何をやっても変われやしない。救えやしないと言われているようで、無表情を貫いていたほむらはまどかの方に勢いよく振り返り、話しかけ続けているまどかを遮るように語りかけた。

 

 

「 鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」

 

 このやり取りも、一体何度繰り返しただろうか。数えることを辞めていたほむらにはどうでもいいことだった。

 初対面の挨拶で、どれだけこれからの行動に影響があるかは分からない。まるで業務のように心配の言葉を投げかける文章と思われ、大した影響がないかも知れないし、あるかもしれなかった。

 それでも言わなければならないほど、まどかは優しすぎた。

 優しすぎる故に魔法少女という正義を翳すも、その魔法少女が救いようもない存在に触れてしまう。だからこそ、冷たく接しなければならない。

 

「貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」

 

 お願いだからキュゥべえの____インキュベーターの誘いに答えないで。

 魔法少女になんて憧れを持たないで。

 自分が何もできないなんて思わないで。

 そのままでいい、特別なことなんて何もいらない。

 まどかはまどか、あなたのままで居てほしい。

 そんな思いが頭の中で駆け巡りながらも、ほむらは突き放すようにセリフを吐いた。

 

 

 

 

 一日の授業が終わり、学校中にはその終わりを告げるチャイムが鳴り響いていた。

 バタバタと駆け出して帰る生徒もいれば、ゆっくりと歩き寄り道でもしていこうと話す生徒もいた。

 暁美ほむらも、帰宅していく生徒の波に紛れ、魔法少女としての仕事を済ませに歩いていた。

 最終的な目的を果たすために彼女は街を駆け抜ける。それは、親友を魔法少女にさせないための手回しをするために。

 魔女への攻撃手段が乏しいほむらにとっての主戦力である重火器の入手。そして、魔法少女の素質を持つまどかに付け入れようとするキュゥべえの殺害。

 全ての魔法少女はキュゥべえと契約をすることが条件である。だからこそほむらは、まどかが出会うであろう見滝原にいるキュゥべえの殺害を、第一目標として走り回っていた。

 

 ただの人間には決してたどり着けない、肉体の限界を超えた動きで街を駆け抜ける。誰よりも早く駆けつけるために。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 肉体の限界を越える魔法少女といえど疲労感が蓄積されていく。しかし呼吸が激しく息が上がろうとも、彼女は止まらず駆け続ける。

 そして____

 

「インキュ、ベーター……っ!!」

 

 目標を発見したほむらの表情が、殺意を込めるように歪んでいった。

 白いウサギのような猫のような不思議な生物が映し出され、彼女は先程よりも素早い動きで滑るように拳銃を構え、その照準をキュゥべえへと向けられていた。

 

 見滝原市の路地裏。街中はまだまだ明るい夕方のはずなのに、光が通らないその道は薄暗く、好んで人が入りたいと思うような場所ではなかった。

 しかしそこには一匹と一人が、散乱している鉄骨などを避けながら走っている。ほむらが指をかけていた拳銃の引き金に力が入り、火薬が爆発する音が静かな路地裏に響いた。

 銃の常備を禁止している日本の中でほむらは銃を扱っていたが、民間人に発射音を聞かれないよう配慮しようと、音を抑制する部品が付けられてはいた。

 しかし発射された鉛玉がキュゥべえの肉をえぐり取った音。壁や露出していた鉄骨に当たり、耳を痛くするような甲高い音が鳴っていた。

 鉛玉を受け死んだはずのキュゥべえは、新しい肉体に乗り移ったように傷のない姿で現れほむらから逃げ続ける。何度でも現れ逃げ回る白い獣に向けて、ほむらは鉛玉を当て続けていた。

 それでもキュゥべえは小さな体を活かしながら物陰を通り、ほむらの手から逃れようとしていたのだが、キュゥべえはまるで誰かを呼ぶ音を出していたい。

 

「助けて……まどか……」

 

 口は開いてないがキュゥべえは確かにそう言った。

 周りにはまどかはいないはずだが、何度も鉛玉を当てられようとも、ほむらに追いかけられながら発し続ける。何体ものキュゥべえが死体と変わっていったが、最後にはほむらの放った銃弾がキュゥべえの脚を傷つけ、逃げることすら出来なくなりその場に倒れていた。

 

「死になさい」

 

 力なく倒れているキュゥべえに向けて拳銃を構え、眉間を狙い指に力を加えたその瞬間だった。

 

「!?」

 

 キュゥべえが倒れている向こう側から、勢いよく空気が発射される音と共に、白い煙がほむらに吹きかけられ視界を染め上げられてしまう。咄嗟のことにほむらは目を瞑り手で顔を覆っていると、ある程度の大きさを持った金属が地面に何度もぶつかる音がしていた。

 ほむらは漂っている煙を吹き飛ばし、音が鳴った方向に目を向けると消化器が投げ捨てられていた。

 

 周りを静かに見回してみると、倒れていたはずのキュゥべえはいなくなり、二人の人間が走っている足音が、ほむらから遠ざかるように鳴っていたのを聞いていた。

 ほむらは知っている。誰がキュゥべえを助けたのかを。

 

「まどか……」

 

 その場には居ないはずのまどかに向けてつぶやいた。

 ほむらだけに聞こえる悲しげな声。しかし、その表情には強い意志が宿っていた。

 

 

 

 

「なんなのよあれ! 変な格好して拳銃持ちながら動物撃ってるとか電波少女すぎんでしょ!? 声が聞こえるからってまどかに着いてきたけど、こんなことになってるなんて!」

 

 青い髪のショートカットが激しく揺らしながら走っている少女____美樹さやかは快活そうな声で叫んでいた。

 友人であるまどかが助けを呼ぶ声が聞こえると言い、ふらふらとその方向に歩きだしていったまどかを心配して着いていったのだが、まさか今日の朝、転校生として紹介されたほむらが奇妙な服装を着て動物を撃っている姿が目に映るとは、さやかも思うことが出来ず叫ばずにはいられない様子であった。

 さやかは機転を利かし、消化器を吹きかけ目くらましを図り、傷ついていた動物を救出することに成功していたのだが、余りにも衝撃的過ぎて気が動転していた。

 

「そ、そんなこと言われたって分かんないよ!」

 

 傷ついていた動物を抱えていたまどかは質問に答えようとするが、まどか自身も何が何だか分からない様子で答えるにも答えることが出来なかった。

 助けを求める声を頼りに裏道を歩き進んで行っていただけであり、まどかも巻き込まれた一人に過ぎなかった。

 

 ただ、何も分からない状況でも。二人の意見が噛み合わなくても。二人には一つだけ分かることがあった。

 この白い動物を助ける。今はただ、それだけで足を激しく動かし続け、裏道を駆け抜ける____しかし。

 

「ちょっと待って……なにこれ、どういう事」

 

「さ、さやかちゃん……」

 

 世界が変わる。それは、比喩表現では無かった。

 今まで見ていた風景。色合い。物。ありとあらゆるものがぐちゃぐちゃに塗りつぶされていく。空間の上から違う空間を変えていくように、先ほど走ってきた道も何もかもが変化していった。

 

 花。蝶。植物。鉄格子。トランプ。標識。

 様々なものが混ざり、飲み込み、作られる。

 

「な、何かがいる」

 

「わ、私、悪い夢でも見てるんだよね!? まどか!!」

 

 そして、いつの間にか現れていた何者かが、二人を囲んでいた。

 異様な空間に笑い声が響く。ジャキジャキと、大きなハサミが擦れる音と共に、理不尽な悪意が彼女たちを飲み込もうとしていた。

 

 ____何処からか足音が聞こえる。

 

「大丈夫」

 

 悪意に飲み込まれようとしていた二人の周りに、光の柱が伸びていく。そして、周りにいた不気味な何かその光にあてられ消えていった。

 

「あなた達はもう安全よ」

 

 何がなんだか分かっていない二人に、優しい声が包んでいた。

 

「だから……おやすみなさい」

 

 それを最後に、二人は意識を強制的に閉ざされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




改行句読点誤字脱字めちゃくちゃですが、宜しければお付き合いください
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