「……佐倉さん、最近特訓に力が入ってなかったり、表情が悪いことが増えているような気がするの。何かあったの?」
マミが住んでいるマンションの一室で、温かい紅茶を片手に、少しうつむきがちな杏子へと声をかけていた。
「そう? 平気だよ」
「本当?」
嘘だった。
杏子と出会って短いが、それでも濃い時間を過ごしてきたマミにはそれが嘘だと分かっていた。
「何かあったんじゃないの? そうじゃないと、あんなに強くなることに真摯だった佐倉さんが、特訓で力が入らないなんてことがないもの」
「……」
「さぁ、佐倉さん。一体何があったの?」
杏子に話しても大丈夫だと言うことを伝えようと、マミは柔らかい表情を浮かべながら、ゆっくりと話しかけていた。
すると、うつむいていた杏子はゆっくりと顔を上げ始め、固く閉じられていた口を開き始めていた。
「……マミさんは、魔法少女になったのが原因で、仲が良かった人と衝突したことってある?」
衝突があったかと聞かれて、マミは少しだけ考えるような素振りを見せながら口を開いた。
「衝突とは違うかもしれないけど、すれ違いなら多いかもしれないわね」
「……」
「魔法少女になった頃は戦いが毎日で、遊ぶ時間なんて作る暇がなかったわ。相談なんてできるはずもないし、クラスの子と疎遠になっていった……今は考え方も何もかも変わって、そんなことも少なくなったけどね」
「考え方が変わった?」
「えぇ、少しね、色々あったのよ。今は大丈夫だけど、昔の私ならすれ違いが多くなっても後悔はないって言ってたんじゃないかしら? それに、大切な弟子もいるんだから」
マミの話を聞いて、杏子は一息をつきたいのかお茶菓子として出されていたケーキに口をつける。
そしてまた、杏子の口がゆっくりと開かれていく。
「マミさん、あたし思ったんだ。あたしは周りの人達を助けてるつもりになってたんじゃないかって。マミさんは前に言ってたよね。『私の正義はこの世の中に対して本当に正しいとは思っていない』って」
「ええ」
「それって、あたし達が取り憑かれた人の命を救ったとして、それが必ずしも喜ばれる結果になるとは言えないってことだよね」
「……」
杏子のその言葉は、自分のやっていることに不安を持っている弱々しいような言い方ではなく、はっきりとした強気な口調だった。
「魔女の呪いで狂った人が、おかしな行動をして自殺しようとしているところを、偶然身近な人に見られてたとしたらどう思う? 魔法少女に救われて自殺を逃れたとしても、身近な人はその人のことを普段と同じ目で見てくれるのかな」
「……」
「もし、喜ばれない結果になるんだとしたら、誰にも気づかれずに魔女に殺されて悲しまれてしまうのと、気付かれたことで大切な人に避けられながら生き続けるの、どっちがマシなんだろ。結局みんなが嫌な思いをするんなら、あたしは最初から人助けをするべきじゃなかったのかな」
喋り続け乾いた喉を潤そうと、杏子は紅茶を一口飲み込み、息を吐く。
「マミさんが魔法少女のことを誰にも相談できないように、魔女の存在を知らない普通の人たちに、こっちの事情を理解してもらうのは難しいってことなのかな……」
先程までの強気な表情や口調とは変わって、魔法少女のことを理解してもらえないのかと話す杏子の表情は弱々しかった。
変わっていく杏子の表情から何かしらの事情を察したマミは、小さく息を吐き、喋り始めた。
「そうね……事情を理解してもらうのは、はっきり言って難しいわ。そもそも魔法少女と魔女の存在自体が異質で、本来あるべきものではないと私は思っているの」
「本来あるべきものではない?」
「ええ、人間……いえ、地球という星には過ぎた力。何かの間違いで、元々無いはずのものを無理やりねじ込まれた存在。そんな存在を分かってもらう事は、相手が分かろうとする、知ろうとする意思があったとしても難しいはず。その当事者の私達でさえ、知らないことが多すぎるもの」
「……」
「魔法少女が魔女の呪いで死に追いやられている人を救うことは……そうね、元々死にたいと思っている人が魔女の呪いで死のうとした所を私達が止めれば、それは救われた人にとっては酷く余計なお世話になるでしょうね」
「だったら____」
「それでも魔法少女は、魔女の呪いにかかった人たちは必ず救わなければいけないって、思ってるの。それは、魔法少女を魔法少女たらしめる行為だと考えてるから」
「魔法少女を魔法少女たらしめる行為……」
「異質な存在同士である魔女と魔法少女。私達魔法少女にとって魔女は悪、魔法少女は正義として捉えてるかもしれないけど、私はそうは思わない。魔法少女も魔女も結局は同じ存在。何も知らない人からしても、どちらとも過ぎた力を持つ化け物に見える人は多いと思うわ」
「魔法少女と魔女が……同じって、言うの?」
「ええ、そう受け取ってもらっても、間違いではないと思うわ」
杏子は、目の前にいるマミのことを信じられないような表情で見つめていた。
魔女も使い魔も全て残らず倒し、街にいる人達に一切危害を加えさせないずに行動をしていた魔法少女が、魔女と魔法少女は同じ存在と言っているマミの姿を。
「だからこそ、魔法少女は魔女から街の人々を守らないといけない。魔女の呪いにかかっている人を見捨ててしまったら、魔法少女は一体何なのかしら? もしそんなことをしてしまえば、人の救いであるはずの魔法少女が人を見捨ててしまえば、魔法少女は意思と力を持った、本当の化け物になってしまうじゃないかって」
「……」
「だけどこれは、どこまで言っても異質な存在の意見。私の勝手な自己満足な考えや願いに過ぎなんだけどね……そうね、佐倉さんの言う通り、私達の願いは必ずしも相手にとっていいものになるとは限らない……本当なら、佐倉さんがこの意味を一番理解しているはずなんじゃないかしら?」
「それって、どういうこと? あたしはもう理解している……?」
「だってその答えは、佐倉さんの一番身近にあるものだから。私はそう思ってるわ」
まるで杏子に渦巻いている何かを知ってるかのように、求めている答えが分かっていると話すマミの視線は、鋭く貫いているように見えていた。
その視線から目をそらすことが出来ずにいた杏子は、焦りからなのか、困惑なのかも判断がつかずに妙に吹き出る冷や汗を感じながら、静かに見つめていた。
自分だけでは答えを出せないからマミに聞いているはずなのに、マミのその言葉を聞き、杏子は本当に答えを知ってて、見て見ぬ振りをしているんじゃないかと、そう思わずにはいられないでいた。
「自己満足に過ぎない。だけど、だとしても、たとえどんな事があっても、魔法少女は魔女から人を助けないといけない。そして、長い年月がかかっても、この世界にいる魔女を倒すことが、私の正義だと思っているわ……これを話すのはもう少し後にしたかったのだけど、佐倉さんの状況を考えると仕方ないわね」
「……ねぇ、マミさん」
「ん?」
「その先に……その先に、マミさんの言う魔女のいない世界に、魔法少女は一体どうなっているの?」
「ふふっ……さぁ、一体どうなってるのでしょうね」
「どうなってるって……」
「それに、前にも言ったとおり、私は私の正義を貫いて、結果的に多くの人を救えているだけ。私がやっていることが絶対に正しいなんて思ってないわ……佐倉さんにはそう説き続けているのだけれど、もしかしたら、佐倉さんは佐倉さんの正義が芽生えているのかもしれないわね」
「私の正義?」
「ええ、佐倉さんの正義。佐倉さんが貫くべき信念。私とは違う、佐倉さんは佐倉さんのやり方があるのかもしれない……私から言えるのはこれだけかしら。佐倉さんが満足する答えが出せれたか分からないけど、ただ一つ言えることは、なるべく後悔をしないようにやりなさい。自分が大切に思うものは、何が何でも手放さないようにしなさい。それが出来る力は、十分身についてるはずだから」
「うん……わかった。ありがとう、マミさん」
「いいのよ、私が出来ることなら何でも言って頂戴。いつでも相談に乗るから……頑張ってね、佐倉さん」
杏子が父の教会で魔女と戦ったあの日から、多くの人が訪れていたはずの教会の扉は、固く閉ざされる日々が続いていた。
「……」
杏子は父に会おうと教会の廊下を歩き進み、ふと窓の外を見てみると、父の信者であろう人々が、一向に姿を見せない神父に対して声をかけていた。
杏子が入ろうとしていた部屋の扉は力なく開いている。扉の隙間からは、酒が入っていたであろう大量のガラス瓶が転がっていた。
「ただいま……お酒、また増えている。体壊しちゃうよ」
部屋の状態を見た杏子は、大量の酒を飲み干していた父の体を心配し話しかけていた。
しかし、杏子の父は心配をかける娘の声に何も反応を示さず、異様なほど静かに椅子に座っているだけだった。
「聞いて、父さん。今日もね、あたしは魔女を倒したんだよ。自殺しようとした人を一人救ったんだ。父さんがなくしたかった世の中の不幸や悲しみの芽を、あたしたち魔法少女は着実に摘んでるんだ。これってさ、悪いことじゃないよね」
杏子の声に反応は無い。
それでも、杏子は喋り続けた。
「あたしはね、父さんの話、今でも好きだよ。だから、みんなが父さんに耳を傾けてくれたとき、凄く嬉しかった。なによりさ、世の中の不幸に悲しみ続けてた、父さんの幸せそうな顔が見られたから、あたしは____」
「全部お前の生み出した幻じゃないか」
先程まで微動だにせず座っていた父の口から、冷たく、鋭い声が静かな部屋に響き渡った。
「私の下に訪れた者達はみな信仰のためではなく、ただ魔女の力に惑わされ焚き付けられただけの____哀れな人々だ」
「(どうして…)」
「そうして惑わした人々をお前は手にかけるつもりだったんだろう? あれは悪魔と交わした契約の生贄だったのか? 教会の娘があろうことか悪魔に魂を売るなどと……」
「(どうして……っ!)」
父の声とは別の声が、杏子の頭の中で聞こえ初めていた。
「だから……ッ! 何度も言ってるじゃないか! 魔女と魔法少女は違うんだ! あたしは誰の命も、奪ったりは……」
『あんたたちね! 悪い魔法少女っていうのは!』
緑色の少女の声が繰り返される。
「奪ったり……は……」
『とどめを刺しなさい』
マミの声が繰り替えされる。
「ち、違う……」
『 私が……私が殺らないと……でも……』
杏子自身の声が繰り返される。
「(違わない……あのとき私は、私の意思で、一人の少女を殺したんだ……街のために、父さんのために、マミさんのために……自分のために……)」
「お前は最初から、私の話など聞く耳も持たれなくて当然の、誰の救いにもならないただの世迷い言だと、そう思っていたんだろう」
「____」
「ああ、全くその通りだ。私に世の中を救う力がないから、悪魔などにつけ入れるすきを与えてしまったんだ。お前が悪いんじゃない。全ては私の責任なんだ……」
先程まで椅子の上で微動だにしなかった体を、ゆっくりと立ち上がり始めた。
「お前の力さえあれば世の中の不幸や苦しみを着実に摘める? そんな当てつけがましい言い訳を聞かせるぐらいなら、いっそ無力な父親だと罵ってしまえばいい!」
『どこまで言っても異質な存在の意見に過ぎない。私の勝手な自己満足な願いに過ぎなんだけどね』
「(自己満足……だったのかな……)」
「今のお前がやってることはなんだ? 父親などいなくても、世の中は救えるのだと、信仰を踏みにじり人を惑わし、嘲り笑う悪魔の所業ではないのか。それすらの自覚もなく嬉々として語るお前の姿を____」
「(父さんのために祈ったこの願いは……父さんのためにじゃなくて……)」
「魔女と呼ばずになんと言うんだ」
「(自分のため……だったのかな……)」
杏子の父は、涙を流しながらそう語った。
魔法少女としての正義を、魔女から人を救う魔法少女を目指していた杏子にとって言われ難い言葉のはずなのに、自身が魔女と同じ存在だと父から言いつけられたとき、杏子自身でも驚くほどに飲み込めれていた。
それは、マミから同じようなことを、魔法少女と魔女は同じ存在だと言われたからというのもあれば、父に言われたことが、そうなんじゃないかと理解してしまったからだった。
「(ねぇ、マミさん。私達の願いは必ずしも相手にとっていいものになるとは限らないって、こういうことだったのかな……マミさんは、何れこうなるって、知ってたのかな……魔女だって言われたとき、不思議と否定が出来なかった……受け入れられたんだ……父さん……ごめんなさい……)」
再び酒に溺れる父の背中に杏子は声をかけることが出来ず、杏子が出来たのは、静かにその部屋から立ちさることだった。
部屋の隙間からは大量の酒瓶と、父の何かを呟く声が小さく響いていた。
「ティロ・フィナーレ」
この世のものとは思えない異様な空間____魔女の結界の中で、マミの合図とともに巨大な砲身から体が痺れるほどの衝撃波が放たれた。
砲身が向けられていた魔女や使い魔は、その砲身から打ち出された魔力と強い衝撃波になすすべはなく、結界と共にバラバラに吹き飛ばされ
そこにはグリーフシードだけが残されていた。
「ふふっ……」
「どうしたんだい? マミ」
魔女から取ったグリーフシードを眺めながら、マミは不敵な笑みを浮かべていると、そんな様子をどこからともなく現れたキュゥべえが疑問に思い声をかけていた。
「良いことがありそうな予感がしただけよ。さ、帰りましょう。少し気分がいいから、キャットフードでも与えてあげる」
「そこはケーキでいいんじゃないかな」
「インキュベーターにとってはキャットフードもケーキも同じなんだから、口答えしないの」
不満の声を漏らすキュゥべえの声を物ともせずに、マミは冷たく言い捨てた。
「佐倉さんはどうしてるかしら?」
「……気になるのかい?」
ふと思いついたというように、相談に来てからマミのもとに現れない杏子のことが頭によぎり、魔法少女の状態を詳しく知っているキュゥべえに声をかけていた。
しかし、その声色は心配していてかけた声ではなく、暇つぶしに聞いてみたというように淡々とした声であった。
「そうね……気にならないと言ったら嘘になるけど、あの子なら大丈夫でしょうね。土も育てて種も蒔き終わった。芽も腐らずに生えてくれた。後は何もしなくても、勝手に咲いてくれるでしょう」
「断言するんだね」
当たり前だという風に、自信に満ちた表情と言動をしていたマミを見ていたキュゥべえは、何処からその根拠が湧いてくるのかと疑問を浮かべるように聞いていた。
「あの子は一度、絶望を乗り越えたの。そして、今度は佐倉さん一人で絶望を乗り越えようとしている。それを乗り越えたとき、佐倉さんは最高の魔法少女になっているはずよ……うふふっ……輝き、濁った佐倉さんの瞳は、その濁りに負けないほどにより強く輝くことを選んでいた……そんな佐倉さんの姿を想像しただけで、嬉しくて鳥肌が止まらないわ」
嬉々として語るその表情は、高揚していて頬は赤く染まっていた。
薄暗い路地裏に似合わないその姿を見ていたキュゥべえは、表情は変わらないもののため息を吐いている演技をするように、わざとらしい姿を見せていた。
「まったく……君は僕たちにとって困った魔法少女になったね。魔女になる前の魔法少女を潰して、更には魔女になりにくい魔法少女まで育てるなんて。これじゃあエネルギーが回収できないよ」
「あら、私の知ったことではないわね」
やれやれと聞こえそうな言い方をするも、やはりあいも変わらず無表情であり、その声には焦りの様なものも全く感じれずにいた。
そんな様子のキュゥべえを見ていたマミは、何かを思うような素振りもせず、ただ淡々とした声で喋り続けていた。
「全て計算通りだったのかい?」
「まさか、弟子なんて作ったことがなかったし、手探りで教えてたわよ……だけど、魔法少女にとどめを刺すよう指示したときは、少し早かったって思ったわ。見滝原に私のことを知った上で侵入してくる魔法少女が、あの人たち以外にまだいたなんて、少し予想外の出来事だったもの____あら」
喋り歩いていたキュゥべえとマミは、いつの間にか薄暗い路地裏から日の当たる街道へと出ていることに気づき、暗闇に慣れた目が日の明かりに過敏に反応していた。
街中にいる学生や主婦、スーツを着ている男性などは、いつもの日常のように街を歩いていた。
マミはそのどこにでもあるような日常を、静かに眺めていた。
「平和ね……」
「君が護っている街だからね」
「ふふっ……私がいる限りここでのエネルギー回収は、グリーフシードだけしか望めないと思ったほうがいいわ。それとも、前みたいに多くの魔法少女でもけしかけて私を倒そうとする?」
「それじゃあ前と同じだよ。もう一度やっても、君には良い研究材料が増えるだけだろう。あまり得策ではないと思うかな」
愚問だという風に、マミの提案をキュゥべえは首を振りながらひと蹴りしていた。
「あら、残念。佐倉さんが倒した魔法少女は特に変わりのない子だったから……そう、ね。そうよ……」
杏子が止めを刺した緑の魔法少女のことを思い返していたマミは、その少女が口にしていたとある言葉が頭に引っかかり、考え始めていた。
『あんたたちが倒されてくれれば私を助けてくれたあの人たちも喜んでくれるの!』
「……緑色の子は多分あの子達の知り合いで見滝原にやってきた。もしかしたら近々、あの子達がまた来るのかもしれないのね……ふふっ、やっぱり、予感は的中するものね。良いことが一つだけ見つかっちゃった」
面白いことを思いついたのかくすくすと笑い始め、楽しそうに独り言を言いながら歩いていた。
そんなマミの近くを歩いていた通行人は、一人で笑っているマミに対して怪訝な表情を浮かべていた。
「これからどうするつもりなんだい」
「佐倉さんの動きを待つことにするわ。私が佐倉さんのとこに行っても、佐倉さんの成長の邪魔になると思うから。あの子は私に甘える癖があるからね」
「甘えてほしくはないのかい? そう仕向けたのは君自身だったはずだけど」
杏子から甘えられるのが嫌だとマミが言うので、キュゥべえは杏子から甘えられる環境を作っていたマミに対して疑問の声を上げていた。
「もちろんそうだけど、今は私に背中を押されて行動する時期は過ぎて、佐倉さんが自分で考えて自分の足で踏み出す時期に入ったのよ」
「……やっぱりわけがわからないよ、君たち人間というのは。そうやって遠回しに自分の意思を汲み取ってもらうようにするその行動がね」
「あら、随分昔から宇宙の存亡という大きな問題の解決手段に人間を選んだインキュベーターが、その人間を未だに理解できていないのね。ビジネスパートナーとしてまだまだなってないけれど、一体いつになったらその高度な知能が生かされるのかしら? 宇宙人が聞いて呆れるわ」
「人間の言葉を使うなら、君は随分と口が汚くなったと言うんじゃないかな」
「大丈夫よ。あなたにだけだから」
スラスラと出てくる罵倒にも、キュゥべえは無表情で受け流しマミに答えていた。
簡単に受け流されていたマミはこうなることが分かっていたように、笑いながらキュゥべえだけだと答えを返して、マンションへと歩き進んでいった。