見習い軍師は夢を見る   作:サキナデッタ

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※遂に最終回…長いことお待たせいたしました。詳しいお話しはまた後程。



エピローグ

 

 

【戦渦】の中でカタリナと別れたクリスは彼女が通ってきた道とは別の出口から現実世界へと戻ってきた。

その出口には彼の協力者であるハイドラが彼のことを待っていた。

 

『ご苦労だったな。クリス』

 

「いえ、マルス様や仲間達のいる世界です。その世界を救うのは近衛兵として当然のことです」

 

『そうか。ところで先程、君が元居た世界の仲間達を見たが彼らとは何か話をしなくていいのかい?』

 

「え?でも俺の記憶はマルス様以外、皆忘れているんじゃ…」

 

『その件だが記憶は戻しておいたよ。私の都合でもうこれ以上、苦しむ者は見たくないからね』

 

苦しむ者、その言葉を聞いて先程別れたばかりのカタリナの顔を思い出した。

彼女がこれ以上、俺のせいで悩み苦しむことがなくてホッとするクリス。

 

 

〚約束。ちゃんと守ってくださいね〛

 

 

「……!!」

 

『クリス、何かあったのか? 顔が赤いようだが…?』

 

カタリナのことを考えたせいか彼女との別れ際でのやり取りを思い出してしまう。

急に様子が変わったハイドラは不思議に思い、俯くクリスの顔を覗き込む。

 

「な、何でもない…です…」

 

〚酷く緊張してるようだが、どこか具合でも__「何でもないです!!」__そ、そうか……』

 

そんなやり取りをしていると彼らの背後からゆっくりと近づいてくる者がいた。

二人はその気配にすぐ気づき振り返ると、そこには拍手をして称賛を送るロキの姿があった。

 

「流石ねぇ…英雄王の腹心なだけあってとぉっても強かったわぁん」

 

「誰だ!?」

 

クリスはフードの男を庇うように前に出て、声の主に向かって剣を抜く。

だが男はそれとは対照的に落ち着いた様子で言葉を返した。

 

『『混沌』か。一体私達に何の用だ』

 

「そんなに警戒しないで、私はどうしてもあなたと会いたかったのよ。古の神祖竜サン♪」

 

『…………』

 

「ねェ、あなた不思議に感じたことはない?

何故、元の肉体へと戻って消えてしまった『良心』のあなたがこうしてまた現世に存在していられるのか?」

 

『それは……』

 

「こうは思わない? 何者かが『あなた』を必要として存在をこの世界に呼び寄せた。

それと一緒に同一の存在であるあなたも蘇った」

 

「そんなこと…出来る者などいるはずがないだろう!」

 

「普通の人間ならば不可能でしょうねぇ。で・もそれが神様の手によって行われたらどうかしら?

それこそ死を司るような神階に位置するような存在…とかね」

 

「『!!!』」

 

「ふふっ、今日はここまで。また何処かで会いましょう? 透魔竜と影の英雄さん♪」

 

そう言ってロキは異界の裂け目へと姿を消した。

次なる混沌を探し求めるために……

 

 

 

 

【戦渦】の騒動が終わり、私達はマルス様や第七小隊の皆さんと別れを告げて再びアスクに戻ることになりました。

そこで私を待っていたのは……

 

私のことを心配してくれていたクライネが涙目になりながら抱きついてきたり。

勝手にアスクから離れてしまったことをアンナ隊長に怒られてしまったり。

クリスと【戦渦】で再会できたことをシャロンさんに伝えたら、数時間も彼についてのお話をすることになったり。

 

…などと怒られたり心配されたり多くの人達に迷惑をかけてしまいましたが、またこのアスクで平穏な日々を送れるようになりました。

そしてそれから数ヶ月の時が流れ……

 

 

テ~ンテンテンテ~ンテ~ン♪

 

 

【戦渦】の騒動が起こった後のことを思い出していると遠くの方からチャイムが聞こえてきた。

講習の終了を告げるチャイムの音です。

 

「それじゃあ今回の講習はここまでにしよう。皆、参加してくれてありがとう」

 

教卓でベレスさんが終わりの挨拶をすることで室内にいた人達は自由に行動していました。

私は急いで講習の終わり際に聞き逃していた板書の部分をメモをし、他の英雄さん達と一緒に退出する。

それから荷物を自分の部屋に置いた後、空を見上げて大きく伸びをした。

 

「今日はとってもいい天気ですね…」

 

そんなひとり言を呟いてから、私はある場所へと足を運んだ。

そこはこのお城から少し離れた場所にある草原。

以前リンさんとお話ししてからお気に入りの場所になって何度かコッソリと出向いているんです。

私はその場所で__

 

「あっ、カタリナ。お疲れ様! フォドラの講習はどうだった?」

 

「とても斬新で興味深いものが多かったです。特に自分の部隊と共に行う計略が__」

 

同じくここをお気に入りの場所としているリンさんと二人っきりでお話しをするんです。

とは言っても別に二人だけの特別な話をするわけでもなく、今みたいに今日あった出来事についてなどの他愛のない話がほとんどですが。

 

「リンさんも今度一緒に参加してみませんか?」

 

「うーん。でも私はルフレ達と違ってそこまで策を講じながら戦うタイプじゃないし……

だったら前の訓練みたいにペトラからとかに剣技を習った方が私にとって合ってると思うのよね。

それにそういうのは彼の方が……」

 

「リンさん……」

 

「!! そんな悲しい顔しないで。私は全然気にしてないから!」

 

「でも……」

 

「前にも話したけども、私は彼の選択を信じている。不安じゃないって言ったら嘘になるけども……

信じて待ち続けていればいつかまた会うことが出来るってカタリナが私に証明してくれたから!」

 

「リンさん…ありがとうございます」

 

「どうしてあなたが礼を言うのよ。お礼を言いたいのは私の方なのに」

 

「ふふっ、そうですね」

 

 

 

「おーい! カタリナァーー!! いるかーー!?」

 

顔を見合わせて二人で笑いあっていると、お城の方から誰かが私を呼ぶ声が聞こえてきた。

声のする方を見てみると、ヘクトルさんとエリウッドさんが並んでこちらへ向かっていた。

 

「二人ともどうしたの? こんな所に来て」

 

「召喚士のヤツがすぐにカタリナを呼んできてくれって俺達に頼んできてよ」

 

「それで周りの皆に聞いたら、城の裏口から出ていく君の姿を見たって言っていてね」

 

「んで、そこから歩き回ってカタリナを探してたらここに着いたってわけだ。ここで一体何やってたんだ? リンと一緒に?」

 

「ひーみーつ。ねっ、カタリナ?」

 

「あはは…はい。秘密ですね」

 

「なーんだそりゃ」

 

「それで? エクラはカタリナに何の用なの?」

 

「詳しくは教えてくれなかったけども、カタリナと合わせたい人がいるって言いながら儀式の場に向かっていってたね」

 

「!!!!!」

 

エリウッドさんの言葉を聞いて私の頭にある予感がよぎる。

 

「カタリナ。すぐに城に戻った方がいいと思うわ」

 

それをすぐに察したリンさんはすぐにエクラさんの元に行くように促してくれた。

エクラさんがわざわざ私を探していたってことは、やっぱり……

 

「ありがとうございます。私…行ってきます!!」

 

私は三人に頭を下げて、全速力でエクラさんの待つ儀式の場へと走り出した。

 

 

 

 

「カタリナ。会えるといいわね……」

 

「リン、君は何か知ってるのかい?」

 

「確証はないけども、彼女にとって素敵なことが待ってる…ような気がするの」

 

「なるほどな」

 

「………………」

 

「オイ、リン」

 

遠い目をするリン。

それを見たヘクトルがその背中をバシッと叩いた。

 

「きゃっ…ちょっといきなり何よ!」

 

「そんな湿っぽい顔してるんじゃねぇよ。アイツにそんな顔見せたら笑われちまうぞ?」

 

「え?」

 

「さすがに君みたいに笑いはしないだろうけども、心配はさせてしまうだろうね」

 

「なっ…俺だってんなことしねーよ!」

 

「二人とも…気づいてたの?」

 

「当たり前じゃねぇか」

 

「僕達もリンと同じ気持ちだからね。様々な英雄達が集うこのアスクなら、また彼と会うことが出来るかもしれないって」

 

「そうよね。私達も信じて待っていればいつかはカタリナみたいに……」

 

そう呟いたリンの顔からは先程まであった不安げな雰囲気が消えていた。

それを見たエリウッドとヘクトルは顔を見合わせてニッと笑う。

リンはそんな二人のやり取りには気づかずにいつも通りの明るい表情で。

 

「じゃあエリウッド、ヘクトル。彼がアスクに来るまで絶対に覚えておきなさいよ。万が一忘れたりでもしたら承知しないんだから!」

 

「勿論、そもそも僕は彼のことを一度だって忘れたことはないよ」

 

「あぁ…何があっても絶対に忘れるかよ」

 

「さっ、それじゃ私達もそろそろお城に戻りましょうか」

 

「そうだな」

「そうだね」

 

こうして三人は城へと戻るために草原を後にする。

しかしリンだけはその間際に一度足を止めて、青く澄み渡った空を見上げて二人に気づかれないように小さく言った。

 

「いつかもう一度皆で会おうね。マーク……」

 

 

 

 

リンさん達と別れた後、私は必至でエクラさん達の待つ儀式の場へと向かいました。

途中何人かの英雄さん達とすれ違ったけども、頭の中が彼のことでいっぱいで気にすることなんか出来ませんでした。後で謝らないといけませんね。

そしてようやく辿り着いた儀式の場にはエクラさん、シャロンさん、アルフォンス王子、それとアンナ隊長がいました。

 

「エクラさん! カタリナさんが来ましたよ!」

 

「おっ、丁度いい。たった今儀式の準備が終わったところだ」

 

「じゃあもしかして…!」

 

「ハァッ…ハァッ…! エクラさん、シャロンさん、儀式ってもしかして…?!」

 

「はいっ! 本当にお待たせしましたッ!」

 

「どうやら前のスヴァルトアルフの一件で、彼との繋がりが出来たみたいだね」

 

「アルフォンスの言う通り、確かに思い返せば敵の中にアカネイアの英雄達もいたわね」

 

「えっ、アンナ隊長。アカネイアの英雄さん達と知り合いだったんですか?」

 

「直接的な関わりはないけども、姉妹の一人にアカネイアの英雄と婚約してる子がいてね」

 

「三人とも、雑談はそのくらいにしてくれ。カタリナがまだかまだか…ってウズウズしている」

 

「へっ!? し、してませんよっ!」

 

「ふふっ、顔を真っ赤にして言っても説得力ないですよ?」

 

「はうぅー」

 

「シャロン、からかうのもその辺に。ほらっ…いくぞッ!!」

 

エクラさんがブレイザブリクを構えて召喚石がはめ込まれた石板に向けて弾丸を放つ。

弾丸は召喚石へと吸い込まれていき、その衝撃で辺りに地響きが起こる。

そして石板から眩い光が周囲を包み込み、そして……

 

 

 

「うっ……あれっ、ここはもしかして…?」

 

石板の方から聞き覚えのある…否待ち焦がれる声が聞こえてくる。

胸を高鳴らせながら目を開くと、そこには……

 

「おおっ! あなたがカタリナさんが言っていた!!」

 

「!! そうか、あなた方がカタリナの。えっと……

 

『俺はアリティアの宮廷騎士、クリス。

英雄王マルス様の近衛をつとめていた。

気兼ねなく、クリスと呼んでくれ。』

それと…ただいま。カタリナ」

 

三人に自己紹介をするクリス。

そしてこちらに顔を向けて、笑みを見せながら言った言葉に私は。

 

「おかえりなさい。クリス!!」

 

今自分に出来る精いっぱいの笑顔で応えた。

 

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