見習い軍師は夢を見る   作:サキナデッタ

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※リバイブルガチャでカタリナとユリアを10凸させたいと思っている今日この頃。しばらくの新キャラは超英雄ばっかりだし、余裕でオーブを貯められますな(*'ω'*)
※それと今回はかなり長めとなっています。




一途な願い

 

「話…ですか……」

 

「そう。あなたが探してるクリスって英雄についての話だけど」

 

「彼について何か知ってるんですか?!」

 

「あらあら凄い食いつきっぷりねぇ。興味を持ってくれたみたいで何より♪」

 

「教えてください。彼は今どこにいるんですか」

 

「話してあげてもいいけども、ただでってわけにはいかないわよねぇ?」

 

「……何をすればいいんですか」

 

「いいわねぇ、その顔……どんな無茶なお願い事をしても聞いてくれそう」

 

「__ッ!!」

 

「ふふっ、かわいい反応。でも安心して条件はとぉーっても簡単なものよ」

 

「な、何ですか?」

 

「私と一緒に彼を探すのを手伝ってほしいのよ」

 

「えっ?」

 

 予想してたものとは大分違った条件に、思わず間の抜けた声を出してしまう。

 ロキはそれを聞いてクスクスと笑いだした。

 

「ねっ、とても簡単でしょ」

 

「でも…どうして、何のために私に協力するんですか」

 

「そんなに難しく考える必要はないのよ。ただ知りたいだけなの、歴史の闇に葬られてた影の英雄についてね」

 

「…………」

 

 私はこのロキという人物とは全くの初対面ではあるけども、この短い間に彼女について一つだけ分かったことがある。

 彼女の底が全く知れない。十中八九この人はクリスや私を利用して何かを企んでいる。

 でも、それが一体何なのか今の私には分からない。

 

 私がどうするべきか考えているとロキが急かすように私に言ってきた。

 

「さあどうするの? このままあてもなく彼の情報を探し続けるのか、それとも私と一緒に来るか……」

 

「それは……」

 

 今の段階ではもう彼に関する手掛かりは何もない。これはきっと彼と見つけるまたとないチャンスになるはず……

 でもこのロキという得体のしれない人と行動するのは、あまりにも危険すぎる。

 

「この話はあなたにとっても決して損な話ではないわよぉ?

 だって会えるかもしれないんですもの、思い焦がれた大切な人に」

 

「…………」

 

 行動を共にするか否か、答えを出せずに迷っていると突然部屋のドアが勢いよく開かれた。

 

「カタリナさん! 大丈夫ですか?!」

 

「シャロンさん!!」

 

 部屋の中に入ってきたシャロンさんは私の隣にいるロキの姿を見るやいなや、槍を構えてその矛先を彼女に向けた。

 

「ロキ! カタリナさんに何をしてたんですかッ!?」

 

「あらんシャロン王女、もう戻ってきたのね。もう少しお話しできると思っていたのに」

 

 ロキは残念そうな顔をしながら、視線を私の方へと向ける。

 

「残念だけど今日はここまでみたい。これ以上この場にはいられない雰囲気だしねぇ?」

 

「逃がしませんよ! もうすぐここにお兄様やエクラさんもやって来ます。大人しくした方が身のためですよ」

 

「そう…なら扉から出るのはダメみたいねぇ。それなら……」

 

 ニヤリと笑いながらロキは手に持っていた杖を窓に向かって振りかざす。すると窓ガラスはガシャンと大きな音を立てながら、跡形もなく砕け散ってしまった。

 

「「なっ?!!」」

 

「また会いましょカタリナさん。あなたの答え、待っているわ」

 

 そう私に告げてロキは割れた窓に向かって大きく飛び上がり、そのまま城の外へと消えていってしまいました。

 嵐のように去っていった彼女に私達が呆気に取られていると入り口の方から入れ違いにエクラさん達がやってきました。

 

「シャロン! カタリナ! 無事かい!?」

 

「はい! 私達二人とも大丈夫です」

 

「そうかそれならよかった」

 

「それよりもさっきのは……ロキか」

 

 そう言いながらアルフォンス王子は割れた窓から外の様子を見る。

 少しの間、辺りを見回してましたが、やがて窓から離れて私達に向かって首を横に振った。

 

「ダメだ。彼女の姿はどこにもない」

 

「毎度のごとく逃げ足の速い…

 カタリナ、ここでロキと何があったんだ?」

 

「……私の前に現れて、クリスについて知っていることを話すと言っていました」

 

「それでロキは何を教えたんだ?」

 

「いえ、話を聞く前にシャロンさんがこの部屋に入ってきて、そのまま逃げてしまいました」

 

「そうか。他には何か言われたりしなかったか?」

 

 私はエクラさんに"クリスを共に探そうと提案された"と答えようとしました。でも何故かそのことを告げられずに別の答えを言ってしまった。

 

「……いえ、何もありませんでした」

 

 どうしてこう言ってしまったのか自分でも分からない。

 もしかしたら私は気づいていたのかもしれません。このままエクラさんやシャロンさんと一緒に居ても何の手掛かりも得ることは出来ないって。

 

 

 

 

 その後アルフォンス達は一度新たなる紋章の世界からアスクに戻り、エンブラ帝国の再襲撃に備えるための準備をすることになった。

 

「エクラ、カタリナがどこにいるか知らないかい? 一緒にアスクに戻ってから急に姿を見なくなったんだけど……」

 

「いや、分からない。シャロンは何か知ってる?」

 

「カタリナさんでしたら、ちょっと一人になりたいから自室に戻るって」

 

「そっか……」

 

「彼女にはしばらく休んでいてもらおう。心の傷が癒えるまで」

 

「お兄様……」

 

「でも、この件が終わったらもう一度探しに行こう。諦めなければきっと手掛かりは見つかるはずだから」

 

「だね!」

「そうですね!」

 

 クリス捜索のためにより一層力を入れることを決意した特務機関の一員達。そんな中、カタリナは……

 

「…………ここは、とってもいい景色ですね」

 

 自室から抜け出して城から少し離れた草原にいた。辺りはもう暗くなっていて、明りも何もないこの場所では一寸先は闇であった。

 普通の人間なら何も見えずに闇に囲まれて、身震いをするところだがカタリナは違う。

 かつて暗闇の中で育った彼女にとってはこの程度の闇はどうってことなかった。

 

「私はどうしたらいいんでしょうか……」

 

 昼にロキに言われたことを思い出しながら、草むらに座り込む。

 今までただ人形のように言われるがままに生きてきたカタリナにとって、自分の意志で行動を起こすのはとても難しいことだった。

 戦争が終わった後も何度か悩み、自分なりに答えを出してきたが今回はどうすればいいのか彼女は全く分からなかった。

 

「こんな時、クリスだったらどうしてたのでしょう?」

 

 消息が不明になっている想い人の名前を出し、大きなため息をつく。

 

 答えを見つけられずに思い悩むカタリナ。そんな彼女の元に一つの影が近づいていた。

 彼女の後ろからゆっくりと、忍び足などではなくごく普通の足取りで。

 警戒しながらカタリナが後ろを振り返ると、そこには……

 

「こんな時間にどうしたの? カタリナ」

 

「……リンさん」

 

 烈火の世界からやってきた英雄、リンことリンディスがそこにいた。

 

「リンさんこそ、どうしてここに?」

 

「ここの景色を見に来たの。とても綺麗で風も心地いいから」

 

「確かに、とってもいい景色ですね」

 

「それに今日は雲一つないから、上の景色もとっても素敵なのよ。ほら」

 

 リンの指差す方を見るとそこには夜空に満天の星が広がっていた。

 アスクに来てからも何度か星空を見たことはあったが、ここまでのものを見るのはカタリナは初めてだった。

 

「わぁ……凄いです」

 

「城にいる時と違ってここには明かりもないから、いつもよりハッキリ星が見えるでしょ」

 

「そうですね。リンさんはこれを見るためにいつもここに来てるんですか?」

 

「うーん。それもあるけど、ここに来ると昔のことを思い出して懐かしい気持ちになれるの」

 

「昔…ですか?」

 

「ええ、私ね昔は草原で暮らしていたの。広大でどこまでも続く緑豊かな大地で……」

 

「リンさん…?」

 

「あっ、気にしないで。ところでカタリナはこんな所で何をしてたの?」

 

「えっと…ちょっと悩み事があって……」

 

 自分の悩みを正直に話してもいいか迷うカタリナ。するとリンがニコッと彼女に笑みを向けながら言った。

 

「私で良かったら力になるわ。もし言いづらいことだったら無理しなくても大丈夫だけど」

 

「でも迷惑がかかるかもしれないですし……」

 

「迷惑だなんて、これは私が好きでしてることだから気にしないで。それにこういう時は一人で悩むより誰かに相談した方が気が楽になるって相場が決まってるのよ」

 

「そうなんですね……では、お言葉に甘えさせてもらってよろしいでしょうか?」

 

「もちろん」

 

 カタリナは全てを話した。ただしロキとの交渉の部分だけは少し言葉を濁してだが。

 その説明をしている間、リンは静かに頷きながら話を聞いていた。

 

「__ということがあったんです」

 

「そうだったのね。カタリナはそのクリスって人ともう一度会うために」

 

「はい。でも手掛かりももうなくて私どうしたらいいのか分からなくて……」

 

「……カタリナ。少し"私"についての話をしてもいい?」

 

「リンさんのですか?」

 

「正確には私じゃなくて、異界の私のことなんだけどもね。

 実は私にも元の世界にあなたと同じように大切な人がいたの。マークって言う軍師で私のことをずっと助けてくれたの。

 一緒に旅をしてお互い一人前の剣士と軍師になるために努力して……戦いが終わるまでみんなを守ってくれたのよ」

 

「軍師……どんな方だったんですか?」

 

「無口で不思議な雰囲気を醸し出してる人なんだけども、軍師としてはとても優れてて何度も私達を危機から救ってくれた頼もしい仲間だったわ。一説では私達の戦いが終わった後に国同士で彼を巡った戦も起きたとか」

 

 肩をすくめて話すリンを見て、カタリナは目を輝かせる。

 

「そんな凄い人と一緒に戦っていたなんて凄いですね。その人は今どこにいるんですか?」

 

 そう聞いた途端、リンの表情が少しだけ暗くなる。

 カタリナは失言をしてしまったかと少し焦ったが、リンはその表情をすぐに隠して話を続けた。

 

「それがね…行方不明なの彼、彼を求めて大陸中を探し回った国もあったのだけども結局どこにいるのかも分からないままで……」

 

「…ごめんなさい変なこと聞いてしまって」

 

「謝らなくて大丈夫よ、たとえ行方が分からなくても彼はきっとどこかで元気にしてるって信じてるから」

 

「どうしてそう言い切れるんですか?」

 

「それはね、マーク自身が選んだ道だったからよ。

 ちょっと危なっかしい所もあるけども、彼の選んだ道に間違いは一つもなかった。だから私達は彼の旅を安心して見送ることが出来たの」

 

「皆さん、マークさんのことをとっても信頼していたんですね」

 

「勿論よ。けどそれは私の話で、これから話す異界の私は違ったの。

 彼女は私と同じくマークのことを信頼していた。でもね彼女はそれをとても後悔してた…どうしてだと思う?」

 

「えっ? ええっと」

 

「彼女はね、マークのことが好きだったのよ。

 初めて草原で出会ってから一緒に旅を続けている内に彼に惹かれていって、ツラくて苦しい戦いだったけども彼と共に戦えることが幸せだった。

 そして彼が旅立つ日、彼女は自分の気持ちを押し殺して、彼の未来を思って笑顔で送り出した。

 それからしばらくは彼がいなくなっても普通に暮らすことは出来た。でも時が経つにつれてその気持ちは抑えられなくなり、彼女は彼を探す旅に出たの。

 旅はとても困難なもので、彼女は何の手掛かりもなしにただひたすらに彼を探し続けたみたい」

 

「それで……異界のリンさんはどうなったんですか?」

 

 カタリナが不安そうに尋ねるとリンは笑顔でこう言った。

 

「ふふっ、彼女ね…奇跡的にマークと再会することが出来たの。そして自分の想いを彼に伝えて、結婚することになったの」

 

「本当ですか!?」

 

「ええ、ウェディングドレスを着た彼女が嬉しそうに話してくれたのよ。そして彼女は私にこう言ってくれたの。

 たとえどれだけ困難なことでも諦めなければきっと願いは叶う__想いは現実を超えるのよ__って」

 

「想いは現実を……」

 

「カタリナ、今あなたが置かれている現実はとても厳しくて苦しいものかもしれない。

 でも諦めずにあなたの大切な人を探し続ければ、きっとあなたの願いは叶うと思うの」

 

「私が諦めなければ……」

 

「そうよ。でも、もしまたどうしようもない状況になったら、また一人で抱え込まないでね。私や他のみんなにしっかりと相談すること! いい?」

 

「……はい!」

 

「ふぅー、あまり慣れないことを言ったりしちゃったけども大丈夫だった?」

 

「いえいえ…リンさんのお蔭で私、どうすればいいのか答えを見つけることが出来ました!」

 

「そう。力になれたのなら良かったわ」

 

「では、リンさん。私は先に失礼しますね」

 

「ええ、気をつけて城に戻ってね。あっ! それともう一つ言い忘れてたことがあるんだけど」

 

「なんでしょう?」

 

「諦めないで、とは言ったけどもくれぐれも無茶をしてはダメよ。

 それであなたが大変な目にあったら、あなたの大切な人達が悲しむことになるから」

 

「分かりました。ちゃんと気をつけます」

 

 しっかりと頷いて、カタリナはリンに手を振りながら城の方へと向かって行った。

 その後ろ姿を見送りながら、リンはポツリと呟いた。

 

「諦めなければ……か。私も会いたいな、あの頃のように4人揃って……」

 

 

 

 

 翌日、改めて新たなる紋章の世界に向かおうと準備をしていたアルフォンス達。

 だがそんな彼らに一つの知らせが舞い込む。それは英雄王マルスからの救援だった。

 

「みんな! 急いであの世界に向かうわよ!」

 

「シャロン? どうしたんだ、早く行かないとアンナ隊長にどやされちゃうぞ」

 

「エクラさん…実はさっきまでカタリナさんを探していたんですけども、どこにも姿が見えなくて」

 

「ああーそのことだったら大丈夫。大事な用が出来たらちょっと出かけてくるって、クライネから伝言を預かったからさ」

 

「……でも私なんだか胸騒ぎがするんです」

 

「意外と心配性なんだね、シャロンって」

 

 エクラに励まされるシャロンであったが、どこしても彼女の胸の奥底にある不安の種は消えることはなかった。

 

 

 

 

 

 

-新たなる紋章の世界 某所-

 

 

「あらん、来てくれたのね。まあ、あなたならきっとそうすると思ってたけども」

 

「……それよりも"あれ"は何ですか? あの空にある"巨大な渦"は……」

 

「あれは時と空を歪めてあらゆる異界を取り込み混ざり合った混沌の渦。またの名を……【戦渦】」

 

 

 





次回、第7話 戦渦の連戦 -再会-
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