ザンビ〜生と死の狭間を彷徨う者達への鎮魂歌〜   作:ルコル

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第10話

亜須未「神村くん、今大丈夫?」

 

 

流斗が恵美を慰めていると、亜須未たちが声を掛けてきた。

 

 

流斗「うん、大丈夫。どうしたの?」

 

 

亜須未「調理室を少し調べてみたんだけど、なんとかガスコンロは使えるみたい。ただ、水はやっぱり出ないみたいなんだ。」

 

 

流斗「そうなると、作れる料理が限られるな。」

 

 

凛「ちょっと残念〜」

 

 

詩織「そうですね。さっき手に入れた水はかなりの量がありますけど、それを使っちゃうと、水分補給のための水が足らなくなっちゃいそうですし。」

 

 

瀬奈「確かにそうだな。」

 

 

食事についての問題が一つ発生してしまい、その話合いをしていると、また一人、呪いから解放された女の子が目を覚ました。

 

 

楓「鈴音!良かった。目が覚めたんだね!」

 

 

すぐ隣でその声を聞き、流斗がそっちへ向くと女の子が一人辺りを見回していた。

 

 

鈴音「楓·····?ここは·····?」

 

 

楓「ここは食堂だよ。」

 

 

鈴音「私は一体何を?」

 

 

流斗「良かった。呪いも完全に消えてるみたいだ。」

 

 

流斗はそう言いながら、彼女に声をかけた。

 

 

鈴音「えっと、あなたは?」

 

 

流斗「オレは神村流斗。今ここで起きてる事件を解決しに来たんだ。」

 

 

鈴音「私は、佐倉鈴音です。今ここでは何が起きてるんですか?」

 

 

流斗は包み隠さずに今起きていること、そして自分の事についてすべて鈴音に説明した。

 

 

鈴音「そんな、みんながそのザンビっていうものに?」

 

 

流斗「ああ、おそらくね。今ここにいる山室さん達は最初にここに来た時はみんなザンビになってて、オレがその能力を使って元に戻したんだ。」

 

 

鈴音も先程の恵美と同様、信じられないという表情だったが、流斗が言っていることは偽りではないという事を感じ、流斗の話を信じた。

 

 

その時、突然食堂の扉を叩く音がした。

 

 

ドンドン!!ドンドン!!

 

 

流斗「ッ!!」

 

 

恵美&鈴音「キャァァァァァ!!!!」

 

 

凛「怖いよぉーー!!!!」

 

 

瀬奈「大丈夫!!私が守るから!!」

 

 

亜須未「ど、どうしよう!!」

 

 

楓「そんな!!神村くんが張った結界が効いてないの!?」

 

 

突然、扉から鳴り響く音に慌てふためく楓たち。

 

 

だが、流斗はみんな落ち着かせまいと、冷静に皆に声をかける。

 

 

 

流斗「いや、みんな大丈夫だ。落ち着いて!!」

 

 

皆「え?」

 

 

流斗「この結界は邪なる存在が触れようとすると、その存在を浄化しようとして、バチバチッ!!って弾くんだ。」

 

 

流斗は冷静に且つ優しい声で、結界の効力を皆に説明した。

 

 

楓「つまりザンビは今、呪いによって邪なる存在になってるから触れられるはずもないってこと?」

 

 

流斗「ああ、そう言う事だよ。」

 

 

瞬時に流斗が言いたい事を理解した楓は、皆を落ち着かせる。

 

 

楓「みんな、落ち着いて。神村さんの言う事を信じてみよう。」

 

 

楓がそう諭すと、亜須未達は流斗を信じ首を縦に振った。

 

 

流斗「もしかして、まだ人間がいるのかもしれない。」

 

 

流斗がそう言って、扉に近づき、開けようとすると、楓が鏡を渡してきた。

 

 

楓「念の為、これで相手を写してみてね。」

 

 

流斗「わかった。」

 

 

流斗は渡された鏡を受け取り、食堂の扉を開けた。

 

 

その瞬間、二人の女の子が流斗に抱き着いてきた。

 

 

流斗「え!?大丈夫!!?」

 

 

女の子「助けて!!」

 

 

女の子「お願い!!」

 

 

流斗は突然の事で状況を把握しきれていないが、先程の楓の言葉思い出し、二人を鏡に写してみた。

 

 

だが、手記に書いてあったように二人の姿が歪んて写ることは無く、なんの異常も見られなかった。

 

 

楓「聖!!実乃梨!!」

 

 

聖「え?楓!?」

 

 

実乃梨「無事だったの!?」

 

 

二人の女の子は楓を見るとすぐさま駆け寄って行った。

 

 

流斗「良かった。無事だった人もいたんだ。」

 

 

流斗は生存者がいると分かり、少しホッとした様子でそう言った。

 

 

聖「えっと、あなたは?」

 

 

実乃梨「学園の生徒ではないですよね?」

 

 

流斗「ああ、ごめん。オレは神村流斗。とある理由でここに来るよう言われたんだ。」

 

 

流斗はここに来ることになった経緯について、二人の女の子に説明した。

 

 

聖「外からの助け!?」

 

 

実乃梨「よ、良かった。」

 

 

二人の女の子は安堵の表情を浮かべながら、そう言った。

 

 

聖「あ、自己紹介がまだでした!私は甲斐聖です。」

 

 

実乃梨「私は諸積実乃梨です。よろしく。」

 

 

二人の自己紹介が終わると、楓が今後の方針について、一つ提案を出てきた。

 

 

楓「神村くん、一つ提案があるんだけどいい?」

 

 

流斗「うん、いいよ。」

 

 

楓「実はこの食堂の近くには女子寮があるの。そこの安全確保ができればと思ってるんだけどどうかな?」

 

 

流斗「なるほどね。まあ確かに、食堂ではなかなか休めないだろうしね。」

 

 

亜須未「私もいいと思うよ。」

 

 

そんな話をしている誰かのお腹がなった。

 

 

グゥゥゥ·····

 

 

恵美「すいません///私です///」

 

 

可愛らしいその音の主は恵美だった。

 

 

流斗「その前に腹ごしらえにしよっか。」

 

 

詩織「そ、そうですね。」

 

 

凛「やったー!ご飯!!」

 

 

瀬奈「アハハ·····良かったな。」

 

 

実乃梨「さすがに私もお腹空いてきちゃった。」

 

 

聖「うん、この所なにも食べれてなかったからね。」

 

 

流斗「そうなの?っていうかよく3ヶ月もの間、無事だったね。」

 

 

実乃梨と聖は3ヶ月もの間どうやって飢えを凌いでいたか、話してくれた。

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