流斗「それにあの人はもう、その過ちに気付いてる。」
実乃梨「そっか、わかった。」
話はそこで纏まったようだった。
それからしばらくして、全員朝食を食べ終え、ほとんどが部屋に戻って行った。
その食堂に残った内の柚月と穂花の二人がこちらにやって来た。
流斗「どうしたの?」
穂花「あの、実は謝らなければいけない相手がいるって言ったのを覚えてますか?」
流斗「うん、覚えてるよ。」
穂花「その相手がこの柚月なんです。」
流斗「そうだったんだ。」
流斗はそう言って、柚月の顔を見た。
すると柚月はちょっとむくれていた。
流斗「よければ何があったか教えてくれない。」
流斗がそう言うと、穂花は自分たち二人にあった事を教えてくれた。
話によると、ザンビ騒動が起こり始めた頃、穂花は逃げ込んだ家庭科室で、持病の喘息の発作が起こり、柚月と共に部屋に薬を取りに行った。
その途中、ザンビの群れに襲われ、柚月を身代わりに穂花は自分だけ逃げて行ってしまった。
そして穂花自身も逃げて行った先でザンビとなった先生に襲われ、ザンビ化してしまったという話だった。
柚月「最初、見かけた時は本当に怒りましたよ。でも昨日、神村さんが怒っていたの聞いて、気持ちを切り替えて今は、協力し合わなければならないと思っています。もちろん、私を身代わりにした事は許せませんけど。」
流斗「そっか、そんな事があったんだ。」
流斗「確かに、それは許されることではないと思うけど、場合によっては何かを犠牲にしなければいけないこともある。だけど、本当は犠牲にしなくてもいいんじゃないかとここ最近オレも思うよ。」
穂花「そうですね。ありがとうございます。話を聞いてもらって。」
流斗「キミもちゃんと自分のした事受け止めて、これからを生きていってね。」
そこでその話は終了した。
流斗(フリージア学園の生徒の間にも、いろいろな人間関係があるよな。言うなれば、このザンビの始まりも村の人間が絡んでるし。人間って言うのは本当に恐ろしい生き物だ。)
そんな考えをしていると、楓が話し掛けて来た。
楓「神村さん、今なら、日が昇ってる内だし、校内にザンビを探し回ってみない?」
流斗「そうだね。そうしてみようか。まず村に行くにも校内にザンビは一体も残したくないし。」
流斗はその楓の提案に乗ってみることにした。
なぜなら、ザンビが一体でもいれば、せっかく助けた人がまた襲われ、ザンビが増えて行ってしまうからだ。
それを防ぐには校内にいるザンビはすべて、元に戻さなければならない。
流斗はすぐさま行動を開始した。
流斗「まずは、音楽室行ってみようか。」
楓「最初に二つ目の拠点をしようとしてた所ね。いいよ。案内するから、着いてきて。」
楓はそう言って先頭に立ち、案内をしてくれる。
音楽室は食堂の扉から出て左に進んで行き、突き当たりの右にある階段を、3階まで登って行き、右に曲がると長い廊下がある。
そこを真っ直ぐ進んで一番奥の教室が音楽室だ。
流斗「気配が音楽室に結構あるな。おそらくそこに残ってるザンビが集まってる。活動はしてないけどね。」
楓「なるほどね。」
流斗「うーん」
楓「どうしたの?」
楓は急に考え事をし始めた流斗に、そう訊いてきた。
流斗「いやー西条さんから話を聞いたんだけど、修学旅行に行ったんだよね。」
楓「うん、その途中でバスが故障かなにかして、たまたま立ち寄った村が残美村だった。」
そんな話を続けながら、廊下を進んで行く。
流斗「そんな田舎の辺境にある村に偶然辿り着いたっていうのも変だよな。」
流斗はそう言いながら、一つ可能性を見出していた。
流斗「まさか、先生は残美村出身でザンビの呪いを日本中に広めようとした?」
楓「そんな!そうなってくると、あのバスの運転手も怪しいかも!!」
流斗「なんで?」
楓「だって、あの運転手。先生の親戚の人だもん。」
流斗は浮かび上がって来た真実に驚愕の表情を隠せないでいた。
流斗「まあとにかく、今はザンビをすべて元に戻すことだけを考えよう。その事を今考えてもしかたない。」
楓「そうだね。」
そのまましばらく話しながら、歩いて行くと、音楽室の前に着いたのだった。