『正義』の妖精と『偽善』の白兎のファミリア・ミィス   作:護人ベリアス

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今回はベル君視点です。
アンケートご回答ありがとうございます!
やっぱり?と思いましたね。はい。
リュー×ベルのイチャイチャがやはり優先ですよね!

武力行使路線から平和主義路線に変更です。
平和っていいですね。
まっ戦闘はそれなりに控えます。


妖精の新たな正義

「…リュー?何でこんなことになっているのかな?」

 

「…ベル様もです。なぜこんなことになってしまってるのですか?」

 

 …僕とリューさんはシルさんとリリの前で正座で待機の上お説教を受けている。ちなみに説教を受ける前にだいぶ長い間罰として正座で座らされてたから…何時間経ったんだろ…

 

「言いたいことはいろいろあるけど…」

 

 とシルさんがガミガミと説教するのを右から左に流しながら僕は昨日あったことを振り返った。

 

 

 

 リューさんが魔法を放ったお陰であの闇派閥(イヴィルス)のアジトは大爆発。闇派閥(イヴィルス)の構成員を倒すどころか読み通り天井も崩落して跡形もなく崩壊。危うく僕とリューさんまで瓦礫に埋もれかけるという大惨事になった。

 

 この大爆発を聞きつけた【ガネーシャ・ファミリア】が急行。例の闇派閥(イヴィルス)だというドワーフ等リューさんの魔法を受けても何とか生き残った構成員も皆無事お縄についた。

 

 そのドワーフはリューさんが携わった大賭博場での一件で捕らえられたオーナーの闇派閥(イヴィルス)時代からの知り合いだったらしい。それでオーナーの逮捕を受けて、その隠し財産を引き継いでそれを元手に例の酒の販売を開始し、闇派閥(イヴィルス)再興のための資金を増やしていたらしい。

 

 結果的に闇派閥(イヴィルス)再興の芽は摘まれ、例の酒の中毒症状も【ディアンケヒト・ファミリア】で解毒薬の開発が進められているため恐らく問題はないだろう。

 

 だが問題がなかったのは()()()()だけの話で()()()()()()()は話が別だった。

 

 

 

「…ふぅ…やっと終わりましたね…」

 

 流石のリューさんもため息をつく。

 

「…時間見てみたら合計三時間ですからね…それも正座で。」

 

 疲れ果てた僕とリューさんは並んでソファーにぐったりと座り込んでいた。

 

「…僕らが勝手に行動したのは確かに悪いですよ?…でもなんか…理不尽です。結果的に闇派閥(イヴィルス)は壊滅してオラリオにとっていいことをしたじゃないですか。既に僕らが嗅ぎ回っていることはバレてたんです。なら逃げられずに済んで良かったっていう風にはならないんですかね。」

 

 僕はそう不満を漏らす。リリにもシルさんにも長い間ド叱られて、言わずにはいられなかった。

 

「そう簡単な話ではないのですよ。第一に私の魔法のせいで地下のアジトは崩壊し、地上に住む周辺の方々にもご迷惑をかけてしまった。その事実は伏せようがありません。」

 

「でも…」

 

「正義のためだからとなんでも許されるわけではないのですよ。ベル。」

 

「うっ…」

 

 そう言われて言葉に詰まる。

 

「やはり私はいつもやり過ぎてしまう…私は正義の剣を持つ資格はないのかもしれませんね。」

 

 リューさんが自嘲するように言う。だが僕はそんな言葉認めたくなかった。

 

「そんなことないです!リューさん以外に誰が【アストレア・ファミリア】の正義を引き継げるんですか!」

 

「武力を制御して扱えぬ者に武力を扱う資格はない。そういう考え方もできます。…以前だって私には穏便なやり方があったのではとよく言われます。」

 

 …以前とはきっと闇派閥(イヴィルス)を倒した結果お尋ね者になってしまったときのことを指すのだろう。

 

 僕はその頃オラリオにいなかったからリューさんがどんなことをしたのかは知らない。

 

 それでもリューさんが正義とオラリオのみんなのために戦っていたってことは分かる。

 

「…それでもリューさんが戦ってくれてくれたおかげで助かった人も多くいます。僕だってその一人です。だからリューさんがリューさんの今までの戦いを否定しちゃいけないんじゃないかなって思います。」

 

「…以前もベルにそう言われていましたね。否定するつもりはないのです。ただ正義のあり方。それをもう一度見直す必要があるのかもしれない。そう思いました。」

 

 リューさんは遠くを見るように言った。

 

「アリーゼとはよく将来のことを語り合いました。闇派閥(イヴィルス)が消えた後のことです。当時の私はアリーゼからある夢を聞かされていました。ですがその夢はあまりにも途方もなかった。その夢は前提として平和でなければ成し得ないこと。私からすれば平和からは程遠かったオラリオにいて、まず平和なオラリオなど想像もできませんでした。それなのにアリーゼはオラリオが闇派閥(イヴィルス)が消えた後の平和になったオラリオがどうなったらいいかばかり話して…」

 

 リューさんはアリーゼさんとの思い出を思い出しながら苦笑する。

 

「ですが闇派閥(イヴィルス)はもうなくなったに等しい。少しずつオラリオも平和になってきている。だからようやく…もしかしたらようやくアリーゼの夢を成すための素地ができたのかもしれません。」

 

「そのアリーゼさんの夢っていうのは何だったんですか?」

 

「それは…」

 

 

「武器を用いずに平和を維持することです。」

 

 

 一瞬時間が止まった気がした。

 

 それくらいに途方もなかった。

 

 そして想像がつかなかった。

 

 リューさんは言葉を続けた。

 

「何も武力を行使しなければ正義を貫けないという考え方は間違いです。人には良心があります。良心を以ってお互いに接すれば争いは決して起こりません。誰もが武器を取らずに済み、かつ取ることを許さない誰もが良心を持った世の中。そうなれば自ずと争いが起こらない平和な世の中が続く。それがアリーゼが示した真の平和です。」

 

「…そんなこと可能なんですか?」

 

 リューさんに聞いてみる。リューさんはアリーゼさんに何かしらの方法を聞いていたかもしれないと思ったからだ。

 

 そう思って聞いてみたが、リューさんは肩を竦めてしまった。

 

「さぁ。私はおろか言った張本人であるアリーゼでさえも分からなかったのです。第一に()()()()()()()()()()()()()()()にそんなことができるのかと思いました。」

 

 その通りだ。

 

 僕ら冒険者はモンスターを倒してお金を稼いでいる。武器を用いて。

 

 なのに僕らが武器を取ることを許されなければ、どうやって生活していくんだ?想像もつかない。

 

「アリーゼ自身笑っていました。そんな時代が来たら私達の居場所はない、と。私達【アストレア・ファミリア】も例外でなく力があるからこそ生き残ってきた派閥。その力が活かせなくなれば生活していくすべさえもない。ですが…それでもアリーゼは自分たちの居場所がなくなるかもしれない平和な世の中を得るために戦うと言いました。」

 

「どうして何でしょう…?アリーゼさんがそうまで言ったのは…」

 

「私達自身武器に助けられると同時にその武器によって仲間の命を奪われてきたから…でしょうね。」

 

 そう言われてハッと気づかされる。

 

 僕が握ってきたナイフは何度も僕の命を救ってくれた。

 

 ということは同時に僕はナイフで確実に相手の命を奪ってきたということ。

 

 そんな今更なことを思い出させられた。

 

「近しい人を失う苦しみを防ぐためなら、いっそ自分たちの居場所がなくなったとしてもそんな世の中になればいい…そう思ったのでしょう。…正直荒唐無稽です。このオラリオは武器を以ってモンスターを倒すことで収益を得ている。その収入源を自ら放棄するというのと武器を取らないようにすることは同義ですから。はっきり言ってあり得ません。」

 

 リューさんはそう言い切ったかに見えた。

 

「…ですが私はそんな世の中が見てみたいのです。アリーゼが目指した世の中はとても安らかに感じる。」

 

 確かにそうだ。

 

 もしダンジョンに潜らずに生計を立てられるなら僕はリューさんと危険に関わることなくずっと一緒に生きていける。

 

 武器を取ってはいけないならファミリア同士の抗争も起きなくなる。

 

 つまり誰も傷つくことのない完璧な平和。

 

 それは武器を誰も手に取らないことで初めて成し遂げられるのかもしれない。

 

 リューさんやみんなと一緒に笑い合って生きられる世の中。

 

 誰かを失う恐怖に苛まれることなく生きられる世の中。

 

 …家族を失う恐怖がないというのが何より僕にとって魅力的に感じた。

 

「僕もそんな世の中で生きてみたいです。そんな世の中ならお互いに歳を取ってもずっと一緒に生きていけそうですね。」

 

「はい。その通りです。ずっとベルと一緒にいられる…考えるだけでも素晴らしいです。そんな世の中にできる方法を私は探したい。それが今の私の正義(希望)かもしれません。」

 

「とってもいいと思いますよ。リューさん。」

 

 僕がそう言うとリューさんはふわりと微笑んだ。

 

「ありがとう。ベル。そう言ってもらえると私は嬉しい。」

 

 するとリューさんは突然僕の肩にコテンと乗せてきた。それに僕はビックリして頰を熱くする。

 

「どっ…どうしたんですか!?」

 

「あっ…あの…」

 

 僕が動揺した声を上げるとリューさんも言葉に詰まってしまう。

 

「…私は今回オラリオの外で武器を用いない平和な世の中を築くための方法を探ってみたいと思います!もしかしたらオラリオの外に手がかりがあるかもしれません!だっ…だから私はその方法を探るために精一杯努力するつもりです!」

 

「はっ…はい!リューさん頑張ってきてください!」

 

 リューさんがテンパりながら頑張ってくるアピールをしてくるのでとりあえず応援しておく。…リューさんつまりは何が言いたいんだろうか?

 

「なっ…なので!オラリオを出る前に!わっ…私を応援するために…!どこかに連れてっていただけないでしょうか!?」

 

 どこかに連れてってって…

 

「つっ…つまり…」

 

 リューさんの言いたいことを大体察して、頰を熱くしながらリューさんの方を見るとリューさんとすごく至近距離で目が合う。

 

 リューさんの顔はもう真っ赤になっていた。

 

「…ベッ…ベルとデッ…デートに行きたいのです…!!」

 

「えっ…えええええ!!!」

 

 リューさんからのデートのお誘い!?!?

 

 つまり…!

 

 初デート!?!?




デートへの繋げ方が無理やりじゃないかって?…そこは置いときましょう。
あと初デートじゃないんじゃないかって?
迷宮探索はあれはお出かけです。
初デートは次の話です。

そしてダンまちの根底を覆す展開。(笑)
武器を使うとみんな傷つくからいっそ武器使うのやめれば?という思想。
ダンジョンもしないし、ファミリア同士の抗争もしない。
リューさんの普段の行動からは考えられない平和主義。(笑)
ただ平和のために戦っていた【アストレア・ファミリア】の方々ならきっとこんな世の中も望んでたんじゃないかな、と。
そしてその方法の答えの一部はもう原作で示されていたり…
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