『正義』の妖精と『偽善』の白兎のファミリア・ミィス   作:護人ベリアス

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ベル君視点です。
本当はリューさんのラキアとの交渉を入れるつもりだったんですけど、今回で回想でまとめて終わりにします。
当初は三話くらいになる予定でした。(無駄に長い)

これが終わればあとは事後処理を書いて、あとは結婚まで突っ走っていく感じですね!


妖精の交渉録

目の前にそびえ立つ城壁。

 

ついに僕はラキアの首都に到着した。

 

門には当然門番の人が検問をしていたので当然僕の素性を尋ねられた。

 

そこで僕は出来るだけ堂々と『オラリオ代表【ヘスティア・ファミリア】団長ベル・クラネル』と名乗って、取次を頼んだ。(オラリオ代表と名乗って、もしシルさんがギルドの説得に失敗してオラリオの代表になりそびれたと後で発覚したら大変なことになるけど…そこはシルさんを信じることにした。)

 

するとしばらく待たされた後門から大慌てで少し装飾の多い服を纏った男の人が現れた。ラキアの貴族だと名乗ったその人はあっさりと僕を城内に案内してくれた。ただしラキアの兵士の監視付きで。…いざとなってもナイフ無しで対抗できるのかな…

 

そう心配になるもリューさんの夢を今一度思い出して、そんな心配は必要ないと心に言い聞かせた。

 

入ってみると城の中はなぜかお祭りムードに包まれていた。みんな歌って踊って何かを喜んでいる様子。

 

…戦争直前でオラリオを血祭りに上げてやるぜ!的テンションかな?と思って、ちょっと身の危険を感じる。

 

だけどむしろ案内してくれているラキアの人達の方がよっぽど警戒しているように見えて気になったため、貴族らしい人に尋ねてみるもはぐらかされてしまった。…うーん。僕このまま牢獄へ一直線とかないよね?と不安で一杯になる。

 

連れられてしばらく宮殿の門らしきところに着いた。

 

そこで僕はそこの門番に身体検査をされた。宮殿だから流石の警戒だなーと思っていたら、身体検査をしていた門番の人が僕が武器を全く持っていないことにすごく驚いていた。

 

…分かります。僕自身今武器無しで敵中に乗り込んでいってる自分にすごく驚いてるから。その僕はただリューさんを模倣しているだけな訳だから、今まさに自分の確固たる意志でこれをやってのけているリューさんがいかに度胸があるかが分かる。

 

僕の未来の結婚相手が肝が座りすぎて僕舌巻いてます…

 

リューさんの凄さを改めて実感しているとちょっと小さめな部屋に通された。

 

あるのはテーブルと二脚の椅子。…これは誰かが僕と話すために来るということかな?

 

とりあえず僕は置かれている椅子に座ってそのだれかを待つことにした。

 

…これでいきなり兵士が入ってきて槍で串刺しにされるとか嫌だなぁ…とか襲い来る恐怖と戦っているとノックの音がした。

 

「あっ!はいどうぞ!」

 

そう返事をするとドアが開く。入ってきたのはちょっと太っててさっきの貴族っていう人よりさらに綺麗な衣装を纏ったおじさんだった。

 

「そなたがオラリオの代表の方ですかな?」

 

そう聞かれたので僕は礼儀とかも一応考えて立ち上がって答えることにした。

 

「はい。オラリオの代表として来ました【ヘスティア・ファミリア】団長のベル・クラネルと申します。それであなたは…」

 

「儂はマルティヌス・ウィクトリクス・ラキア。ラキアの国王じゃ。」

 

国王…国王…って!?

 

「おっ…王様!?すっ…すいません!!」

 

目の前に突然現れた僕よりも絶対にすごく偉いと分かる人に立ったまま応対してしまうという大失態に気づいた僕はすぐさま必殺奥義の土下座を決行して損ねてしまったであろう王様の機嫌をなんとか取ろうと試みた。

 

…これ初手から大失敗したんじゃない…?僕…?

 

「そう畏まらなくてもよいぞ。そなたはオラリオの代表なのだから儂と同格と言ってもいい。」

 

そう言われるも僕は本当に顔を上げていいのか戸惑う。

 

「そういうものなんですか…?…すいません。僕交渉ごととか初めてで…」

 

そう伝えると王様は豪快に笑い出した。

 

「ガッハッハ。自分の弱点を自らさらけ出すとは!バカ正直というか何というか!さらに敵中にたった一人で乗り込む度胸があるときた!オラリオの者は面白いのう!それもまたラキアにいる大半の者にはない魅力か!」

 

「えっと…ありがとうございます?」

 

…褒められたのか褒められていないのかとりあえずお礼を言っておく。

 

…なんでこんなに陽気なの?ていうかこの王様噂じゃ愚王とか呼ばれてるって聞いたことあるんだけど…

 

「まぁいい。交渉は先に来たエルフの冒険者殿と大方話が付いている。それの事後承認だけだ。心配するな。オラリオには何一つ害はない。」

 

エルフの冒険者…ってまさかリューさんのこと!?!?

 

僕はそう気づいた瞬間勢いよく立ち上がっていた。

 

「リューさんは!?リューさんは無事なんですね!?」

 

…あ…勢いのあまり掴みかかっちゃった…また僕やらかした?若干王様も引き気味だし…

 

「おっ…おう。リュー・リオン殿と申したか?彼女なら儂の愚息が世話役について国賓待遇でお招きしているから心配はいらないぞ。」

 

「よっ…良かった…」

 

その瞬間僕は一気に肩の力が抜けるような感覚を覚えた。

 

リューさんは安全な場所にいる。

 

それがきちんと確認できたのは何よりも安心することができた。

 

「そなた。その反応…リオン殿とは深い仲なのか?」

 

そう聞かれて僕は言うか一瞬迷ったがきちんと答えることにした。…ちょっと照れ気味に。

 

「はい。近々結婚することになっている僕の最愛の人です。」

 

…あれ?僕ちゃっかり初対面の人に何言ってるんだ?…これじゃあリューさんのこと言ってられない?

 

「そうか。なるほどな。ならばリオン殿のことを聞きたいか?」

 

「是非お願いします!」

 

「…そっ…そうか…だがまずお互い席に着かんかね?」

 

「あっ…はい。」

 

王様と僕が席に着くと王様は今に至るまでの経緯を洗いざらい話してくれた。

 

 

リューさん個人の経緯は分からないらしいのでリューさん本人に後でお話を聞きたいなって思いながらもここでは王様の話を大雑把にまとめることにする。

 

僕も知る通りラキアの神様のアレス様はオラリオへの第七次侵攻を計画し、その軍資金を集めるためにラキア領内の村々に重税を課した。だが税を払うことを拒否した村があり、その村に支払いを強制させるためにラキアは部隊を派遣した。

 

そこにいたのがリューさんだった。

 

リューさんは村の入り口で武器も持たずに仁王立ちしてラキアの部隊の前に立ちはだかった。

 

そして村の代表としてラキア王への直談判を要求した。

 

その部隊の隊長がラキアの第一王子マリウス、つまり王様の息子で戦争に消極的な【アレス・ファミリア】の副団長だったことはリューさんにとってかなりの幸運だったらしい。

 

じきにリューさんの指示で村が財産も人ももぬけの殻になっていたと発覚し、税の徴収が叶わないと王子様は知ることになる。

 

さらにリューさんが仁王立ちしてその手で掲げていたのが『正義の剣と翼』…つまり【アストレア・ファミリア】のエンブレムだと気づいた王子様はリューさんへの無粋な対応は大きな問題に発展すると判断した。

 

【アストレア・ファミリア】は大派閥ではないもののかつての闇派閥(イヴィルス)と戦い抜いた正義のファミリアとしてオラリオの外でも名高かった。そのため【アストレア・ファミリア】の意向の代弁者であるリューさんを無視すれば、オラリオの反発どころかラキア領内の【アストレア・ファミリア】を慕う人々の争乱に発展しかねない。それほどまでに【アストレア・ファミリア】の影響力は大きかった。

 

それでリューさんは王子様の計らいの元ラキアの部隊の護衛(?)付きで一人堂々とラキアの首都に入城することに成功した。

 

…この時点で僕は思う。

 

緑色のロングコートを纏い、武器一つ持たず、たった一人で『正義の剣と翼』の旗を掲げて大部隊を前に物怖じすることなく仁王立ちするリューさん…

 

ちょっとカッコ良すぎない!?

 

僕も生で見たかった…なんてちょっとだけ不謹慎な感想をつい抱いてしまう。

 

それはともかく入城後王様と主神のアレス様はリューさんが代表として到着したことの報告を受けた。当然といえば当然税の徴収に失敗したことにアレス様は激怒する。それでアレス様は詰問すべくリューさんを自身と王様のいる謁見の間に連れて来させた。

 

これでリューさんの交渉の場は成立した。

 

だがここからが問題だった。

 

なぜなら相手は激怒したアレス様だったから。

 

アレス様は事の全てを主導したと言ったリューさんに全ての責任を問い、もし徴収し損ねた資金の補填ができない場合処刑するとリューさんに迫った。

 

…リューさんを処刑?神様だからって何言っちゃってるのかな?もしそれ実行してたら冗談抜きで神殺しの大罪とか御構い無しに僕空に光の柱を一柱を立てるとこでしたよ?と流石にアレス様の対応に僕は聞きながら怒りを覚えた。

 

それで当事者であるリューさんはというと…

 

 

『あなたには用はない。神アレス。』

 

 

の一言で一刀両断。

 

リューさんの最初の一言である。

 

 

リューさん…?やっぱり交渉の仕方わかってないんじゃないんですか?まさか自分の持論を述べて相手の意見も御構い無しに論破するつもりだったとかないですよね?

 

そもそも交渉相手の神様にその一言はまずいとかそういう次元超えて詰みの一手に等しいんじゃ…と聞いた時は思った。

 

だがリューさんは他の意図を持ってその発言をしていた。

 

 

リューさんはその代わりに王様との会談を求めたのだ。

 

 

リューさんがそう言った瞬間謁見の間は驚きに包まれ、同時に失笑まで起きた。

 

なぜならその王様…まぁ目の前にいるわけだけど、その人はラキア国内外で愚王として名高くアレス様の言うことにホイホイ従うと有名だったから。そんな人に交渉を求めてもアレス様の意向に逆らえないため無駄だと誰もが思った。だからその場にいる誰もがそんな王様に交渉を求めるリューさんの無知を笑ったのだ。

 

王様自身アレス様に従う気しかなかったためリューさんの発言は無視されようとする。

 

だがリューさんはそれでもこう言って畳み掛けた。

 

『処刑するなら私はそれでも構いません。私には資金も税で徴収することのできる額よりも遥かな巨額を提供する用意があります。なので陛下。どうか重税を廃止し、ラキアの人々にこれ以上の苦しみを与えないでください。』

 

処刑するなら構わないとリューさんが言ったことに僕はリューさんが無茶をするであろうという予想は全く間違っていなかったと悟る。

 

そしてアレス様は資金に当てがあるとわかり、どこにその資金があるのかを聞き出そうとした。

 

するとリューさんは首にトンと手を当ててこう言った。

 

 

『この首には8000万ヴァリスの価値があります。それでお支払いしましょう。』

 

 

そう言ってのけたのだ。

 

リューさんにはかつて商会から懸賞金がかけられていた。その額が8000万ヴァリス。

 

リューさんは命と引き換えに支払おうと言うのだ。

 

そう聞いたアレス様は歓喜してすぐさまリューさんの首を刎ねて懸賞金を獲得してやると叫んだ。

 

だがリューさんは黙っていなかった。

 

『ですが私もただ首を差し出すつもりはありません。交換条件として陛下との会談を求めます。陛下。もし私の言葉に正義がないと思えば、私を処刑し懸賞金を手に入れていただいて構いません。ただし私の言葉に正義があると思えば、すぐにでもオラリオへの侵攻を中止してください。どちらにせよラキアの人々に課された重税の廃止。この一点は結果がどうであれ履行することをお約束いただきたい。』

 

リューさんはラキアの人々を苦しみから解放することにこだわった。そして自身の言葉に一縷の希望をかけて王様に戦争を止めるように説得しようとしたのだ。

 

まさに命懸けの説得。

 

しかしアレス様は聞き入れる理由がないと突っぱねる。…相変わらずのクズっぷりに僕は呆れ果てた。ここまで覚悟を示した相手にその対応はあり得ないとは思ったが、力がないと思っている相手にはこれくらいの対応は普通かもしれないとも思った。

 

それどころかアレス様は護衛兵を呼び出してリューさんを取り囲ませ、すぐにでも処刑しようと企んだ。

 

だがそれにも全く動じる様子を見せなかったリューさんが言葉を続けようとしたその時。

 

ある人物が声を上げた。

 

リューさんを連れてきた王子様だった。

 

その王子様はリューさんに剣先を向けていた護衛兵に指示を出すと突然護衛兵の剣先がアレス様と王様の方に向いたのだ。

 

その時王子様はリューさんを処刑するとオラリオとの関係が決定的に悪化し、さらにそもそもリューさんは村の代表として来ているのだからラキア全体の民衆争乱に発展しかねないと説き、リューさんの言うように重税を廃止して戦争自体を止めるように主張した。最後にもし自分の意見が通らないならば今ここでアレス様を軟禁するという脅迫も添えて。

 

これは王子様の起こしたクーデターと言っても過言ではなかった。

 

神様の意向に逆らい、軟禁するなんてあってはならない行為だからだ。

 

さらに激怒するアレス様が自分の指示に従うように護衛兵に叫ぶも度重なる戦争に疲れ果てていた兵達はみんな王子様の味方で指示に従う気配は全くなく、アレス様は動揺した。

 

ここまでされてしまえば、アレス様も王子様とリューさんの要求を呑むしかない。その場にいる誰もがそう思った。

 

だがその時その考えを覆すような発言をした人がいた。

 

『マリウスさん。控えてください。私はこのような形での決着を望みません。どこの誰がクーデターという手段で平和が築けると言いましたか?』

 

リューさんだった。

 

リューさんは何か異論を言いかけるマリウスさんを鋭い視線で制するとまた王様の方に視線を向けた。

 

『先程から申している通り私は陛下のご意見を伺いたい。この国の統治者として。この国の国民全ての父として。陛下は今のこのラキアの現状をどうお考えになっているのか。私はそれを神アレスやマリウスさんの圧力なしにお聞きしたい。陛下自身はどうお考えになっているのですか?私にお聞かせ願いたい。』

 

 

「…儂はすぐさま返答することができなかった。なぜなら儂に意見を求め、儂の判断に頼ろうとした者はラキアには誰一人いなかったからな。」

 

王様は寂しげに言う。…きっと愚王という悪名もアレス様とかが独断ですぐに決めていてみんなから存在さえも無視された結果生まれたんじゃないか?

 

「しばらく儂は考えた。その間リオン殿の迫力のおかげでアレス様も愚息も黙り込まざるを得なくなっていたから儂はひたすら考えた。そして儂は結論を出した。」

 

『結論』という言葉に僕は息を飲んで聞き耳を立てた。

 

 

「リオン殿が正しい、と。」

 

 

リューさんの正義が王様に認められた瞬間だと思った。

 

「儂の役割は国民を危険から守り、幸福へと導くこと。戦争から得られるのはあのバカ神の欲求不満の解消くらいだ。儂はそんな欲望満たす価値もないと思い出した。だから重税の廃止を決断し、リオン殿との一対一の交渉を了解した。」

 

「でも…アレス様は反対しなかったんですか?」

 

「あぁ。あのバカ神は今後の国家改革の邪魔になるから幽閉してやったわ。」

 

あっけらかんと言う王様。

 

さっきから薄々感づいてた噂と全く違う振る舞い。

 

…まさかリューさんのおかげで変わった…みたいな?

 

「リオン殿にもお伝えしたが、儂は彼女に深く感謝している。儂の役割、君主としてのあり方を思い出させてくれた。この国にそのような諫言をしてくれる者は未だかつていなかった。リオン殿が初めてだ。そなたは素晴らしい伴侶を持ったと心から思う。」

 

「ありがとうございます。」

 

ぺこりと頭を下げて礼を言う。

 

やっぱりリューさんが褒められるっていうのは自分のことのように嬉しい。

 

そして何よりリューさんの正義を理解してくれる人がいたと言うのが嬉しかった。

 

「それでリオン殿との交渉内容はここにまとめてある。そなたも目を通しておいてくれ。」

 

王様から渡されたのは巻物だった。それを僕は開いて上から読み始めた。

 

 

一.ラキアは国内への重税を廃し、ラキア国民が不自由なく暮らせるように尽力する。

 

一.ラキアは戦争行為の主導にあたった神アレスから権力を剥奪し、今後神アレスの主導のもとの戦争行為が起こらないようにする。

 

一.ラキアはオラリオへの侵攻を二度と図らないとする。

 

 

 

長々と色々書いてあって読むのが大変だったとしか言いようがない。

 

…リューさんこんなの王様と話しただけでまとめあげちゃったの?

 

…僕のお嫁さんは天才ですか?

 

「一番驚いたのはオラリオに圧倒的優位な条件がなかったことだ。むしろラキアのことを思ってリオン殿は話してくれたのではと思うほどだ。」

 

「それは…リューさんはきっとラキアの税金に苦しんでいる人を助けたい。ただ本当にそれだけを願ってここに来たからだと思います。リューさんは困っている人達をほっとけない性格ですから。」

 

「そのようだと儂も話して改めて思った。ここまで無欲で有能な人物には出会ったことがない。是非今後のラキアの政治を担ってもらいたいと頼んでしまうほどにな。」

 

「…え?」

 

リューさん王様にそんなこと頼まれたの…?

 

リューさんの目的はラキアの人達を助けること。

 

…もしかしたらラキアに残ってこれからもラキアの人達を助ける、とか言わないよね…?

 

僕はそんな可能性にちょっとだけ不安になる。

 

「まぁ即断られたがな。リオン殿にはオラリオに自分を待っていてくれる人がいるから、だそうだ。その時の表情はそれまでの凛々しい精悍な表情から一変して普通の乙女のような表情になっていて見ていられなかったわ。」

 

王様がそうニヤつきながら言う。

 

…きっとその『待ってくれる人』って僕のことだよね?

 

…またリューさん人前でデレちゃったの?

 

リューさんお願いだから人前でだけはデレないで…後から聞かされる僕が憤死しちゃいそう…

 

「それはともかくとしても今のラキアには戦争なしで生きていく方法をわからぬ者が多すぎる。ということで最後の条項のことはそなたにも力を貸して欲しいものだ。」

 

え?最後?

 

そう言われて僕は最後のところに目を落とす。

 

 

一.ラキアの第一王子マリウスは【アストレア・ファミリア】に一時的に入団し、オラリオに冒険者として出向する。

 

 

え?

 

「愚息がリオン殿の元で交渉やらを学びたいと申してな。リオン殿も快く承諾してくださった。恐らくここに来るまでの間何かしら話でもあったのではないか?」

 

僕は硬直していて、王様の言葉も右から左に流していた。

 

…王子様が【アストレア・ファミリア】に入団?

 

つまりファミリアの仲間としてリューさんのそばにいる。

 

そして王子様ということは男。

 

…これまずくない?

 

これって僕が懸念していた事態が発生したってことだよね?

 

 

リューさんに変な虫がついた!?!?

 

 

その王子様はクーデターまで起こしてリューさんを助けようとしている。明らかに行動がおかしいのだ。

 

きっとリューさんのカッコよさと可愛さに惚れてしまったに違いない。

 

そんな男がリューさんのそばにいるなんて危険極まりない。何としてもリューさんに考え直してもらわないといけない。

 

リューさんに未曾有の危険が迫っていることを確信した僕は無意識に立ち上がり、王様の制止も構わず部屋を飛び出していた。

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