『正義』の妖精と『偽善』の白兎のファミリア・ミィス   作:護人ベリアス

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リューさん視点です。
超はっちゃけた神々の介入も終わり、ようやく二人はファミリアの仲間達の元へ…
え?マリウス?まだラキアですよww

アンケートご協力ありがとうございます。
まだ結婚前エピソードに突入しないのでまだアンケートは継続します。
ご協力よろしくお願いします。


星屑の元での誓い

大恥を晒した凱旋式をなんとか乗り越えることができた私達はようやく私達の帰りを待つ仲間達の元へ向かった。

 

ベルはすっかり『竃火の館』に戻るものかと思っていたが、戻ったと神ヘスティアなどに報告するやいなや私の元に戻ってきてしまった。…ファミリアの仲間をぞんざいに扱うのはあまり好ましいことではない気がしますが…それだけ私のことを大切に思ってくれているわけで…私としては困ったものです。

 

そして私とベルは二人である場所に向かった。その場所にアストレア様とシル、アリゼルさんがいると神ガネーシャから聞いたからだった。

 

だがその場所を聞いた時私は耳を疑った。

 

 

なぜならそこはかつての【アストレア・ファミリア】の本拠、『星屑の庭』だったのだから。

 

 

ふと思い出してみるとアリーゼ達を失って以来私は本拠には苦い過去を思い出し罪の意識に苛まれるため、どうしても立ち寄れずにいた。お陰でこの五年間一度たりとも近づいたことがないと気づく。

 

…私がいながら私達の本拠を荒れ果てさせてしまうとは…アストレア様に謝罪しなければ…そう思っていた私がその時いた。

 

だがいざ『星屑の庭』の前に到着すると私はこの目を疑った。

 

 

『星屑の庭』は荒れ果てるどころかとても綺麗に整備されていたのだから。

 

 

…アストレア様はともかくアリーゼを始めとしたかつての仲間達の多くは(もちろん私も含めてだが)上品さに欠けていたり、体面などを気にしない者が多かったため、少なくともみんなが存命中もこんなに綺麗に整備されていたのを見た記憶がなかった…

 

ポカンとして自分のかつての実家を見上げていると私達の出迎えにアリゼルさんが勢いよく飛び出してきた。

 

「リオンさん!ベルさん!お帰りなさいませ!」

 

アリゼルさんはその勢いのまま私の胸に飛び込んでくる。

 

「ちょ…アリゼルさん!?」

 

「リオンさん。流石すぎます!もう言葉にできないぐらいの偉業を成し遂げてしまって…もう感激です!尊敬します!」

 

アリゼルさんにぎゅっと抱きしめられた上に私の賛美の言葉を並びたてられ、恥ずかしさで死にそうだったのでベルに視線を向けて助けを求めるもベルは何かを考え込んでいる様子。

 

「うーん…アリゼルさんは女性だから引き剝がさなくてもいい…?でもリューさんを抱きしめられるのは僕だけっていう特権も魅力的…あぁでもシルさんがいるしそれは難しいか…?」

 

何をベルは小言で悩んでいるのですか!?

 

とりあえずアリゼルさん…離れて…

 

と願ったお陰か分からないが、アリゼルさんはぎゅっと私を抱きしめていた腕を離すとふっと息を吐いて真剣な表情になった。

 

「リオン団長。此度の偉業達成おめでとうございます。アストレア様とフローヴァさんもお待ちです。行きましょう。」

 

「ええ。ありがとう。アリゼルさん。…と礼を言って流しそうになりましたが…団長…とは?」

 

アリゼルさんは確かに『リオン団長』と言った。…私が団長…?何の話だ?

 

「え?リオンさんは【アストレア・ファミリア】の団長じゃないですか?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「いや僕を見ないでくださいよ…」

 

お互いに話が噛み合わない私とアリゼルさんは第三者であるベルの方に視線を向けるが、当然ベルだって困惑した表情を見せるしかないわけで…

 

「僕も事情はよく知りませんけど…きっとアストレア様やシルさんに聞けばわかるんじゃないですか?」

 

「確かに…その通りです。さすがです。ベル。」

 

ベルが妥当な結論を出してくれて私も賛成だったので笑顔でベルに言うと目の前のアリゼルさんがこう…感極まった表情をしている。

 

「リオンさんの笑顔がすごく柔らかくて綺麗です…はっ…これが愛の力!?やっぱりリオンさんをここまで美しくするベルさんはすごいです!」

 

「そこで僕を褒めます!?可愛いリューさんじゃなくて!?」

 

「あの…どうか外で私を褒めちぎらないでいただけませんか…?そろそろ我慢が…ふふふ…」

 

まずい…私を慕ってくれている同胞の前でこれ以上だらしなのない表情を見せるわけには…

 

「あっ…アリゼルさん。リューさんがそろそろやりすぎちゃう段階に入りそうでまずいです。本拠に入らせていただいてもいいですか?」

 

「あー確かにリオンさんの表情がそろそろ蕩けそうに…分かりました。すぐさま案内します。」

 

ベルとアリゼルさんが二人して私の今の表情に苦笑いしている…そんなに私の表情は緩んでいるのだろうか…と自分では答えの分からない疑問を抱きながらひとまず私は五年ぶりに『星屑の庭』に足を踏み入れた。

 

 

 

「お帰りなさい。リュー。よくやりましたね。」

 

「お帰り!リュー!頑張ったね!」

 

「ただ今…戻りました…」

 

案内されたのはかつてよくアリーゼ達と正義を語り合った一室。

 

恐らくアストレア様もその時の記憶を思い出して、この部屋を選んだのだろう。

 

そしてアストレア様とシルへの返事もなおざりにしてしまうほど私はこの部屋に私は目を奪われ、ぐるりと見渡していた。

 

…最後に訪れた時とほとんど変化が…ない?

 

無人だった間に盗賊が入ったような様子は愚か、埃も溜まっている様子さえも見て取れない。…三人が掃除をしたのか?

 

「この部屋…いえ私達の本拠のことがやはり気になりますか?」

 

「あっ…申し訳ありません…つい…」

 

そんな私の様子をアストレア様に気づかれてしまったらしい。

 

「気になるのも無理がありません。先に言いますが、整備したのは私達ではありませんよ。」

 

「ならば誰が…」

 

 

「周辺に住む方々ですよ。」

 

 

その言葉に私は耳を疑った。

 

…五年もの間…頼まれもしないのにこの広い『星屑の庭』を周辺に住む方々は守り続けてくれたと言うのか?

 

「リューが以前言っていましたね。オラリオに住む多くの人々が私達【アストレア・ファミリア】の復活を望んでいる、と。その想いを抱く多くの人々がこの『星屑の庭』を…私達の正義を守ってくれたのです。」

 

「そんな…そんなことが本当にあるのですね…」

 

そんな話すっかりおとぎ話の美談ぐらいでしかないと思っていた。

 

だがこの『星屑の庭』がそんな美談が事実であることを示している。

 

「実は私達もリューの凱旋式を見ていました。リューの演説…そしてリューの演説を受けて巻き起こった大喝采…これこそが多くの人々が私達の正義を信じてくれた何よりの証拠。その正義はリュー、あなたが守り抜いてくれた。正義の神として感謝に絶えません。」

 

「いっ…!いえ!…今回の一件もアストレア様やシル、アリゼルさん、ベル…皆さんの協力があったからこそ成し遂げられたこと。今までも同じです。アストレア様に感謝していただくようなことを私はしておりません…」

 

「ふふ…その偉業を成しても驕らぬ謙虚さ。少しだけ複雑に思いますが、その謙虚さはやはりリューの美徳と言えるのでしょうね。」

 

ニッコリとアストレア様が微笑む。ここで私は先程抱いた疑問を尋ねることにした。

 

「あの…一つお尋ねしたいことが。アリゼルさんから聞いたのですが、私が団長というのは…何かの間違いですよね?」

 

「何を言っているのです。リュー?【アストレア・ファミリア】の団長はリューを置いて他にはいないでしょうに。」

 

「そうだよ。リュー。というより私的には今更な気がするんだけど?」

 

アストレア様とシルは二人して何を言っているの?と言わんばかりの表情だ。

しかし…

 

「団長というの大役ならシルのような人望の厚い人がやるべきだと思います…」

 

「何言ってるの!リュー!人望ならリューの方が凄いんだから!それはあの凱旋式を見ればわかるでしょ!」

 

シルがちょっとプンスカしながら言う。…その言い分はもっともだ。…しかし私にはそれでも不安が大きかった。

 

「ですが…私にはとてもアリーゼのように振る舞えるとはとても思えません…」

 

あの太陽のように私達を照らし導いてくれたアリーゼ。

 

今の私に夢をくれたアリーゼ。

 

彼女は私には眩し過ぎた。

 

彼女と同じ立場に立っても彼女のように私は太陽になることなどとてもできる気がしない…

 

「できますよ。リューなら。アリーゼに導かれて私の元に来て、その背中を追い、守ってきたリューなら。アリーゼの夢を引き継いだリューなら。私は必ずやり遂げられると確信しています。それにリュー。周囲をご覧なさい。」

 

アストレア様が優しく微笑みながらそう告げた。

 

そして私はアストレア様に言われるがまま周囲を見渡した。

 

「シルやアリゼル、ベルさんの表情を御覧なさい。その表情に一点の曇りでも見て取れますか?リューがやり遂げられない、そう心配しているように見えますか?」

 

私はシル、アリゼルさん、ベルの順にその表情を確かめていった。

 

シルはコクリと頷き、アリゼルさんは応援してくれているかのように両手にガッツポーズを作っている。

 

そして最後に笑顔を浮かべてくれているベルを見た瞬間に不安はスッと消えていくように感じた。

 

「…私を信頼してくれてくれているということがありありと伝わってきました。」

 

「ふふ…そうですか。ならばリュー?お引き受けいただけますね?」

 

シルやアリゼルさん、そしてベルの信頼に応えるため。

 

アリーゼの夢を叶えるため。

 

 

私は【アストレア・ファミリア】の団長として立つ。

 

 

その瞬間そう固く決心した。

 

私はその場で跪き、宣誓する。

 

「不肖の身ですが…!【アストレア・ファミリア】の団長のお役目。このリュー・リオンが引き受けさせていただきます!私の誇りにかけて私達【アストレア・ファミリア】の正義を貫くとお誓いいたします!」

 

「今の言葉だけでもリューの覚悟の強さが分かります。ではリュー?よろしければ私達の前で改めて今の想いを聞かせていただきたいです。団長としての初の役目…と言ったところでしょうか?」

 

「はい。分かりました。」

 

私は立ち上がり、アストレア様やシル、アリゼルさん、ベルを見渡せる位置に静かに移動した。

 

私は小さく息を吐いた。

 

あの凱旋式の時とは少しだけ違う。

 

正義を共に掲げていく仲間達へと伝える言葉。

 

それをゆっくりと私は紡ぎ始めた。

 

「清く正しく聡明で完璧…それがかつての【アストレア・ファミリア】の団長…アリーゼ・ローヴェルの口癖でした。」

 

そう言うと当時を知るアストレア様は苦笑いする。

 

…あの自画自賛はアストレア様でもやり過ぎだと思っていた…と言うことですか…

 

「私はそのようにはあれません。学がなく多くの間違いを犯す私はアリーゼのようにはあれません。…ですが清さと正しさならアリーゼには決して負けないという自負があります。そして何より私にはそのアリーゼの遺してくれた夢があります。」

 

アリーゼ…そちらで聞いていてくれていますか?

 

私は今あなたの跡を継ぎ、オラリオにあなたの思い描いた未来を実現します。

 

「武器なき平和の実現。それがアリーゼの夢。その実現は決して容易くはありません。ですが私はその思いを叶えるため死力を尽くすとここに誓います。ですが…」

 

アリーゼは一人で戦っていたわけじゃなかった。

 

そばには輝夜が。ライラが。みんなが。そして私も。

 

仲間がいたからこそ夢を掲げ戦い抜けたと確信している。

 

だから…

 

「私一人では成し遂げることはできません。アストレア様。シル。アリゼルさん。ベル。皆さんの協力が不可欠です。」

 

私の言葉にみんなは一斉に頷いてくれる。

 

…アリーゼ。私はかつての大切な仲間達と同じくらい素晴らしい大切な方々に出会うことができています。

 

私はそんな大切な方々と共にこれから戦います。

 

 

「共に戦いましょう。アストレア様の名の下に。私達の正義を貫き、このオラリオに真の平和をもたらすのです。」

 

 

だからどうかアリーゼ。

 

 

これからの私の正義の戦いを見守ってください。

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