『正義』の妖精と『偽善』の白兎のファミリア・ミィス 作:護人ベリアス
結婚前エピソードの長期化が予想されるため、章を分割+章名を変更しました。
色々な人をリューさんとベル君に絡ませていきたいのでちょっと長期化するかもです。
あと結婚前エピソードは色んな人の結婚への反応やリューさんがデレたり、ベル君が嫉妬したりが中核ですが、【アストレア・ファミリア】のあり方とかも触れていくつもりです。まぁその中でも二人はイチャコラするんですがね。
あとアンケートご協力ありがとうございます!今日で締め切らせていただきました。アンケートのキャラのエピソードは責任を持って描くのでご安心を。
成婚に向けて
「ベル。どうぞお好きな場所に腰をかけてください。」
「じゃあリューさんの隣で。」
「…どっどうぞ…」
僕がリューさんの許可のもと隣に腰掛けると、隣でリューさんはちょっとだけ頰を赤く染めている。流石にもう隣に座るくらいじゃ大慌てした挙句自爆してくれることはなくなったけど、まだ少しだけ恥ずかしいらしい。
早朝からリューさんが可愛すぎる…
ちなみに早朝っていうのは決してヘルメス様の言う『あさちゅん』というものの後に静かに二人でティータイム…と言うわけではない。僕は『星屑の庭』にはまだ泊まったことはないのだから。
なら何で朝こんな早くに『星屑の庭』にいるのかと言うとこれはシルさんのおかげ。
何とシルさんが僕達がラキアから帰るまでの間にリューさんの偉業達成祝いにと【ゴブニュ・ファミリア】に依頼して『竃火の館』と『星屑の庭』を結ぶ地下通路を作ってもらっていたのだ。
…まぁ【ゴブニュ・ファミリア】には温泉を作ってもらったりしてたから地下通路くらい作れるのかな?とかどうしてシルさんはサラッとそんな依頼ができるの?とかそもそもいつの間にシルさん【アストレア・ファミリア】に入ったの?とか色々疑問はあるけど、怖いから聞かないでおいた。
ちなみにその地下通路、リューさんの部屋直通である。すぐにリューさんに会いに行けるというのがすごく嬉しくてシルさんから聞かされた時は小躍りしかけたほどだった。
ただいざその地下通路を初めて使ってリューさんに会いに行ったらどうやらリューさんは知らされていなかったようだ。お陰でリューさんはお風呂上がりの際どい格好で僕は悶え死にかけてからの撲殺されかけるという大惨事になったが。
…ちなみにリューさん的にはポコポコ叩いたつもりだったらしい。シルさんに教えてもらったあざとい振る舞い方だった…とのこと。非常に残念なことにリューさんはLv.5で力が強いため可愛いどころか激痛が走り続けるだけという残念な結果に終わってしまったが。
…シルさん?僕にお楽しみを与えようと暗躍してるのは薄々分かるんだけど、それが定期的に僕とリューさんに大惨事を巻き起こしてるの気づいてます?
…ということでとにかく僕は暇があればいつでもリューさんにすぐに会いに行けるという素晴らしい環境を手に入れていたのである!
それでここ一週間はリューさんの部屋を訪れてはお話ししてるんだけど、訪れる度に変化していく部屋が興味深い。
最初のうちは殺風景で本当になにもなかったけど、どんどん鏡台やらドレスを入れるクローゼットやらが増えていっている。
…きっとシルさんのお達しでこんな風に変わっていってるんだろうけど、僕としてはリューさんがそう言う女の子らしい方向に変わるのは嬉しい限り。僕がラキアからの帰りに買ったリューさん用のドレスとかも収納できたから大助かり。
ただ今日目についたのはそんな女の子らしさのあるものではなく、僕の見慣れていたけど最近は目にしていなかったものだった。
「リューさん。小太刀を飾り始めたんですね。」
その目についたのは棚の上に飾られたリューさん愛用のニ双の小太刀だった。
「あっ…ええ。もう武器を使わないと決めた以上双葉も不必要と言えば不必要と言えます。ですが双葉は輝夜の遺品なので処分するのも忍びなくて飾ることにしました。流石に刃を落として切れなくしておくぐらいはしましたが。」
リューさんが小太刀を眺めながら言う。あぁ。僕も
…あれ?つまり…
もうリューさんとダンジョンで共闘することもできないってこと?
「あの…リューさん?一つ聞いていいですか?」
僕はリューさんの方を向いて恐る恐る尋ねようとする。そんな僕を見たリューさんは不思議そうに首をかしげる。
「まさか…僕リューさんと一緒にもうダンジョンで共闘できないってことですか?」
そう聞いた途端リューさんの動きが完全に停止した。
そして次の瞬間にはリューさんは絶望に飲まれたように呆然としていた。
「武器を取れない…つまりダンジョンで共闘できない…モンスターからベルと一緒に魔石を取り出せない…」
いやぁ…リューさん?だからなぜモンスターから魔石を取り出すことにそんなに執着してるんですか?
「…申し訳ありません。私はもうベルに同行できません…私は自身の誓いを破ることができません…」
リューさんはシュンとして僕に謝ってきてしまう。僕は慌ててリューさんを慰めようと試みた。
「もちろんリューさんと一緒にダンジョンに行けないのは残念ですけど、ダンジョン攻略は僕の役割です!僕やファミリアのみんなで頑張ります!だから心配せずにリューさんはリューさんの役割で頑張って欲しいです!」
「しかし…」
「役割分担も大事ですよ。リューさん。僕はファミリアのみんなと一緒に絶対にリューさんの元に帰ってきますから。それに僕とリューさんはこれから夫婦になるんです。夫婦は役割分担が大事って言うそうですよ。だから僕とリューさんはそれぞれの役割で頑張るようにしたほうがいいと思うんです。ね?そう思いませんか?」
笑顔でそう説得してみる。…きっとリューさんはそばにいない時に僕が死んでしまうことへの恐怖と自身の誓いとの板挟みになってるのではと推測した。だから帰ってくると約束した上で夫婦のあり方を説くことで安心してリューさんの誓いを守ってもらおうと試みた。
するとリューさんはフワリと微笑んでくれた。
「そう…ですね。ベルと私は夫婦…ふふ。分かりました。ベルの言葉に甘えさせていただきます。ただダンジョンには同行できずとも少しでも私はベルの手助けをしたいです。それは許していただけますか?」
「もちろんです!是非お願いします。僕はリューさんにそう言ってもらえて嬉しいです。じゃあもしリューさんがリューさんの役割のことで困っていることがあったらいつでも相談してください!お手伝いしますから!」
「ふふ…是非お願いします。」
うん。ひとまずリューさんが沈んだ気持ちになるのはなんとか防げた。…いまのは僕の不手際かもだけど、どちらにせよ近いうちに聞かなきゃって思ってたことだから今聞いておいて正解だったかな。
「さて今日は結婚の手筈に関して話そうと言ってありましたね?」
「はい。日程とか証人とか幹事とか…」
「…来賓は恐ろしいことになりそうですが…」
「あっ…あははは…」
リューさんが遠い目でそう言うのに僕は苦笑いするしかなかった。
何せギルドの支援で行われる結婚式。豪勢さはそれこそ数日前の凱旋式並み。オラリオで一番大きい教会で挙式っていうのはどうやら確定らしい。
来賓は…少なくとも僕の関係者だと【ヘスティア・ファミリア】を始め、【タケミカヅチ・ファミリア】、【ミアハ・ファミリア】のみんな。リューさんの関係者だと【アストレア・ファミリア】や【ガネーシャ・ファミリア】、『豊穣の女主人』の方々。みんなだけでも五十人近い。
その上娯楽好きの男神様達一行やら近所の僕達を生暖かい目で見守ってくれた(?)方々やらでもう何人の人が来るのかもはや想像したくない。
そんな場でのリューさんとの結婚式。…リューさんとの愛の強さを大アピールして悪い虫がつかないようにするのに絶好の機会ではあるけど、流石に人が多すぎて恥ずかしい…
「…ここで大事なのはまずは私達が一番信頼できる方を証人にお願いすることです。」
…どうやらリューさんは来賓の取りまとめをする苦労が絶えないに違いない幹事の役割をひとまず忘れることにしたらしい。
「はい。その人を今日呼んで欲しいってことでしたよね?そろそろ来ると思いますよ?…多分正面玄関から。」
この地下通路。実は僕以外のファミリアのみんなからは使用自粛が広がっている。理由は僕が撲殺未遂にあったから。お陰で特にヴェルフにはこう言う神様達の言う『らっきーすけべ』というものへの憧れを消滅させるほどの悪影響を与えてしまっていた。それでこの地下通路は僕しか使っていない。
きっと僕が証人候補に呼んだ人もきっと地下通路を使わないことだろう。
するとノックする音がした。どうやら到着したらしい。
「どうぞ。お入りを。」
リューさんがそう言うとドアが開かれる。
姿を現したのは僕が呼んだリリとリューさんが呼んだであろうシルさんであった。
「ベル様?今日はどうしてリリをリュー様のお部屋に?というかリリと一緒に来ればよかったのではないですか?」
「いや…リリも地下通路使って来ないでしょ?」
「…それは…というかベル様はあんな大変なことになったのに地下通路を使っているんですね。あーベル様も男の子だったんですねーやっぱり男っていうのはみんな似たり寄ったりですねー」
「ねー」
…ちょっとリリ?軽蔑を含んだ目で見ないで?そしてシルさんは『ねー』ってちゃっかり相槌打たないでね?さらに隣のリューさんは何のことか分からないとばかりキョトンとしないで?リューさんの場合は可愛すぎるから。
「…よく分かりませんが、今日シルとアーデさんをお呼びしたのはお頼みしたいことがあるからです。」
リューさんがそう言うと二人はささっと僕達の向かい側に座る。…何でリューさんの言葉ならすぐ従ってくれるんだろう…?ちょっと理不尽な気がする。
「シル。アーデさん。知っての通り私とベルは近日中に結婚します。なので証人の役割をお引き受けしていただけないでしょうか?あなた達が私達にとって一番信頼の置ける方々です。なのでどうかお願いします。」
リューさんはそう言って頭を下げる。それで僕もリューさんに倣って二人にお願いすることにした。
「リリ。シルさん。僕が言いたいことはリューさんとほとんど一緒。やっぱり僕とリューさんの結婚式はいつも見守ってくれた二人に証人お願いしたいなって思ってる。だから僕からもお願いします。証人を引き受けてくれませんか?」
僕もリューさんに倣って頭を下げた。
すると二人はなぜかくすくすと笑い始めた。
「もぅ。リューが畏まって後で来て欲しいって言うから何事かと思ったけど、そういうことかぁ。」
「正直もっと重い話をされるのかと思ってビクビクしてましたよ。」
二人がクスクス笑いながら言う。
「そんなの決まってるじゃん。二人とも?」
「そうです!リリとシル様の答えは聞かれるまでもなく決まってます!」
「「喜んで!!」」
二人が口を揃えてそう言ってくれる。僕もリューさんも顔を上げて二人を見ると笑顔を浮かべてくれていた。
「ふふ…私達はとても素晴らしい仲間を持ちましたね。ベル?」
「はは…そうですね。リリもシルさんもたまに怖いけどとってもいい人なのはずっと前から知ってましたから。」
僕とリューさんは顔を見合わせてそう言い合って笑った。
ただ当の目の前の二人は頬を膨らませてちょっと不機嫌そうになっていた。
「ベールさん?『怖いけど』っていうのは余計じゃなーい?」
「そーですよ。ベル様。リリ達にそんなこと言ってもいいんですか?」
…どうやら原因は僕にあったらしい。もうここはリューさんが助け舟を出してくれるのを期待するしかない。そう思ってリューさんを縋るように見る。
「そっ…それはともかく証人を引き受けてくださってありがとうございます。」
うん。リューさんに上手い話のそらし方は期待し難いと思ってたけど、話題を戻してくれたおかげで二人は表情を柔らかくしてくれた。
「うん!何か困ったことがあったら何でも言って!私手伝うから!」
「はい!リリも出来る限りの事をします!」
二人が満面の笑みでガッツポーズを決めながらそう言ってくれる。二人とも頼もしい限りだなー怖いっていうのは訂正し難いけど。
だが本当に怖いのは目の前の二人ではなかった。
「ではお二人に幹事の役割をお引き受けしていただけますよね?今何でもと仰ったので。」
隣に今の言葉を聞いてニヤリと笑ったリューさんがいたのである。
「え?」
「え?」
「え?」
僕まで含めた三人が揃って同じ言葉を発する羽目になる。
リューさんが…誘導尋問的なことをする…だと…?
「リュ…リュー?本当に言ってるの?ギルドとの調整やら日程調節が壮絶に大変そうな幹事を?」
「はい。他に引き受けてくださる方は恐らくいませんし、この役割はやはり私の一番信用する方にお頼みしたいので。」
「しかしリュー様!そんな大変な役割は流石に…」
リリもシルさんも完全に引き受けたくなさそうな様子。
「ダメ…ですか…?」
だがダメ押しにここでまたも繰り出されるのはリューさんの上目遣い。
これには横で見ていた僕は当然悩殺寸前に追い込まれる。
だが効果はそれだけではなかった。
「ぐふっ…分かったよ。リュー…私頑張るよ…」
「ちょ…シル様!?どういうおつもりですか!?」
突如抵抗を諦めるシルさん。シルさんに裏切られた形のリリはもはや叫んでいた。
「だって…こんな可愛いリューに頼まれたら断れないよぉ…」
「何ですか!?その理由!?」
リリが再び叫ぶ。だがシルさんが陥落し、僕も幹事が早めに選ばれることに一切の不満がない今もうリリに味方はいない。
結局シルさんとリリには証人と幹事を兼任してもらうことになった。ただリューさんもただ意地悪したのではなかったこともあり、僕と二人での手伝いを申し出たため、事実上四人で分担することになった。
これで幹事も証人も選ばれた。後は来賓の選考だけになった。
…ちなみにリューさんの用いた言質を取って追い詰めたり、上目遣いで悩殺する方法を仕込んだのはシルさんだったと後になって聞いた。
…シルさん?この結果はつまりあなたの自業自得ですよね…?
一つ言っておきましょう。
リューさんは武器を持ってベル君と共闘できないとは言ったが、ダンジョンに潜り18階層などに行くことができないとは言っていないのである。
ベル君にただ守ってもらうリューさん…意外と珍しい光景になるなと作者は想像してつい思いました。
ということで異端児には会いに行けます。ご安心を。
ただ地上で色々済ませないといけないことがあるので意外と先になると思います。
先週でお気に入り数250突破!ありがとうございます!
それにしてもウラノス様パワーに驚愕してます…ウラノス様が登場した途端に突破とは…
ウラノス様…そんなに登場を期待されてたんですか?…もう登場予定なかったんですが…やはりもう一度ご登場願ったほうが…(ウラノス様のお陰というのは明らかな作者の勘違い…ですよね?)