『正義』の妖精と『偽善』の白兎のファミリア・ミィス 作:護人ベリアス
前回のアストレア様との話に関してです。
お気に入り登録が300突破!ありがとうございます!
ここでふと作者は気づいた。
近頃はリューさんがヒロインの小説が増えてきて嬉しい限り。
だがリューさんが完全主役の作品は作者のものだけではないか…という説。
この作品ベル君出てこない時多いどころか案外カッコよくない時多いですからねぇ。
ということでこの作品ではリューさんが自らの正義を貫く美しい生き方を描き続けます。そしてたまに幸せそうにデレます。(笑)
「最近すっごく賑わってますよね…『星屑の庭』…」
僕は人ごみを何とか潜り抜けて、アストレア様の普段使っている部屋にお邪魔していた。
なぜかと言うとリューさんとの結婚を認めてもらうため。
反対されるとはあんまり思っていないけど、今まさにリューさんは神様を説得しているところだから僕も!ということでリューさんとタイミングを合わせてアストレア様にお話をしに来たというわけだった。
…ウラノス様からの支援を勝手に受け入れたのは僕だからその弁明も必要かなって思ったのももちろんあったのだけど。
「ファミリアもかつてとは方針を転換して手探りですので色々…と言ったところです。さぁお掛けください。今日はようこそお越しくださいました。」
アストレア様はソファーに腰掛けると向かいの席を指差す。そこで僕もその好意に甘えて座らせてもらった。
「今日ベルさんがお越しになった理由はリューから事前に聞いております。」
「あっ…はい!…単刀直入ですが申し上げてもよろしいですか?」
「ええ。あなたの覚悟。この私にお聞かせください。」
アストレア様はふわりと微笑んで頷いてくれる。
僕は大きく息を吸って吐いた。
アストレア様は僕の目から僕自身の覚悟を測るようにじっと見つめてくる。
だから僕はそれに負けまいと見返して、僕の覚悟を言葉にし始めた。
「僕は必ずリューさんの夢を叶える手助けをし、リューさんを必ず幸せにします。なのでどうか僕にリューさんとの結婚を許していただけませんか?」
ちょっと簡潔かもしれないと思った。
でも何度も練習してみて、色々言葉を考えてみて、やっぱり自分の覚悟と想いをはっきりと表せる言葉が一番いいと思ったから、僕は思ったままにアストレア様に伝えた。
アストレア様は一瞬目を細めたもののすぐに微笑んで頷いてくださった。
「ベルさん。あなたの覚悟に偽りは全く感じられません。私にとってリューの幸せは何よりも大事で心配だった事柄。ベルさんとの結婚。許さないはずがありません。」
「そうですか!やっ…」
僕はアストレア様から許可がもらえたと分かり緊張が解けて喜びのあまり飛び上がりそうになる。だが次の瞬間僕の動きはピタリと止まることになった。
「ただ…ベルさん。あなたに伺いたいことがあります。」
…え?
アストレア様の表情が…打って変わって厳しげ…
何かまずいことを…僕しちゃったのかな…?
「あの…僕まずいことしてましたか…?」
僕は恐る恐る尋ねる。結婚は許してはもらえたんだと思う。でももしかしたらアストレア様はリューさんを慮って許してくれただけで実は僕には不満があったり…
…もし僕の行動のせいで今後の結婚生活に支障があったらリューさんに迷惑をかけることになる。何としてでもアストレア様の質問に答えなければ、と固く決意する。
ビクビクする僕に気づいたのかアストレア様は厳しがな表情を僅かながら解いてくれる。
「そうご心配なさらず。あなたに不満があるわけでも結婚に反対なわけでもありません。…ただベルさん自身にお心あたりはありませんか?できれば私の口から言うのではなく御自身でお気づきになってもらいたいものです。…何を私が気にしているのか…を。」
「えっと…」
アストレア様が僕とリューさんのことで気にしてそうなこと…
…まずいな…色々心あたりがある…
「…僕がウラノス様とギルドによる結婚の支援を勝手に決めてきてしまったことですか…?」
「それは気にしておりません。ここまでベルさんとリューが有名になってしまえばこういった利用を受けるのも想定せざるを得ませんでした。それにそもそもベルさんが独断で決めることになった一端はリューがベルさんとの結婚式を思い浮かべていたとかで意識をどこかに飛ばしていたことにあります。…最近ベルさんの名前をつぶやいたままどこかに意識を飛ばしてしまうことが増えていて…以前から理想主義的な一面はありましたがまさか妄想ばかりするようになるとは…ともかく困ってはいますが…気にはしていません。」
これは違ったみたいだけど…それにしてもリューさん何してくれちゃってるんですか…?確かに顔を赤くしたままポーッとしてるリューさんには最近定期的に出くわしてるけど…僕の前だけじゃなかったんだね…
…お願いだから僕以外の前でデレデレするのはやめて…みんな可愛すぎるリューさんの虜になっちゃうから…
それは置いといて…なら次のはどうだ?
「なら…リューさんと僕が至る所でイチャイチャしては話題の中心になっていることとか…ですか?」
…これはだいぶ自覚がある…
最近シルさんなんて『またですか…』って白い目で見てくるくらいとにかく定期的に僕とリューさんは引っ張りだこになっている。
一番最近だと顔を真っ赤にして放心状態のリューさんを手を引いて【ロキ・ファミリア】の本拠から連れ帰ったこととか…
…あれ?これって僕よりもリューさんに問題ないか?
「…それは…ええ。まぁ適度なら私もシルも許せますし、微笑ましく見られるのです。…ですがこう頻繁に事を起こして…その度に愚かな男神達が騒ぎ、独り身の方々が恨めしそうに視線を向けると言う事態が発生し続けるのは…少々看過しがたいと言えばし難いですが…そこまで気にはしていません。何せ嫉妬の目は私には向けられませんから。…もちろんリューやベルさんがの身に何かあれば話は別ですが。」
…微妙に当たりだったみたい。アストレア様の顔が引きつってた。
だがそれ以上にアストレア様の言葉の最後の方のアストレア様の表情が怖かった…
それだけリューさんのことを心配してくれてるってことだよね。旦那さんになる僕からすると嬉しい限り。
…でもこれでもない…となると…やっぱりあれがダメだったのかな…?
「…【ロキ・ファミリア】とのことですか?」
そう言うとアストレア様は小さく溜息をついた。
「…最初から分かっていたなら最初に言えばよかったではないですか…」
「あの…どちらもリューさんが気にしていたことだったので…聞いておきたいなって…」
ウラノス様のことはギルドの介入を独断で(リューさんの意識が飛んでいたとは言え)決めてしまったのをリューさんは後ろめたく思ってたみたいだし…
リューさん、あのリューさん的には超恥ずかしくて僕的には悪い虫除けに絶大な力を発揮してくれるあの二つ名をアストレア様があっさり許した理由が全く理解できないみたいだったし…でもこれで確定した。デレデレし続けるリューさんにちょっとストレスを感じてたんだね…アストレア様…
「リューのことを気遣ってあえて回りくどく話した、と言うことですね。まぁいいでしょう。さてここからは本題です。リューからは話は聞いています。リュー自身が希望し、【剣姫】アイズ・ヴァレンタインに依頼した結果【ロキ・ファミリア】との提携は成立した、と。ただリューを気遣う私としては引っかかる点があります。それはお分かりになりますか?」
…それは僕も即座に答えることができた。
「アイズさんの…ことですね?」
「…そうです。リューからだけでなく、神ヘスティアからも過去の経緯は聞かせていただきました。…その点の弁明をお聞きしたいのです。」
…アストレア様はきっと神様から聞いたのだと思う。
僕がかつてアイズさんを憧れて冒険者としての高みを目指していたことを。
僕がかつてアイズさんのの事を想っていたことを。
懸念するのは当然だと思う。僕なら絶対にリューさんの想い人が近くにいるとなれば嫉妬に狂うに違いない。
…さらにもし僕がリューさんの立場でリューさんが他の男性を頼ると言ったら、場合によっては浮気を疑ってしまっていたかもしれない。
だがリューさんはそんなことしなかった、どころではなかったからこそ実は僕自身も驚かされていたのだ。
なぜならリューさんは自らアイズさんを頼って、僕のそばにアイズさんを近づけようとしたのだから。
「…実はリューさんから僕のために何かしたいっていうことは、リューさんがダンジョンで僕と一緒に共闘できないと聞かされた時に同時に言われていたんです。だからどんなことをしてもらえるのかなってちょっと楽しみにしてたときもありました。…もしかしてダンジョン行く前に必ずハグしてくれるとか…」
結局リューさんの僕のためにすることはそういう癒し方面ではなく、アイズさんに訓練と護衛を頼んだり、リリにダンジョンでの立ち回りを記した書物を渡したり、ヴェルフに今までに集めていた貴重なドロップアイテムを無償で渡したりと…とにかく実務方面が多過ぎた。さらにリューさんに頼まれた人達から困惑と確認の声が殺到して…ということで少々僕としては残念さが拭いきれなかったのは事実と言えば事実。
…今度リューさんにハグをダンジョンに行く前にハグして欲しいって頼んでみようかな…いや…いっそキスでも…リューさんもオラリオを出る前に絶対したかったような様子見せてたし…うん。今度言う覚悟ができたら聞いてみよう。
「ベルさん。リューを溺愛しているのは良く分かります。ですがそう言った妄想はどうぞリューといる時になさってください。今は私に弁明をお聞かせ願いたいです。…まぁこれだけ溺愛しているのが分かれば聞く意味もないのかもしれませんが…」
…
あれ?アストレア様が呆れ顔…
それに妄想…
まさか…僕のキスしたいとかが声に出てたとか…いつもの自爆するリューさんみたいに…?
「…まさか…声に出してましたか?」
もしそうなれば今後リューさんに注意する立場がなくなる。それで恐る恐るアストレア様に尋ねる。
「いえ…如何なる妄想をしていたかは声にはなっていませんでした。」
…よかったぁ…何とかリューさんと同じ自爆だけは回避できていたらしい。…じゃあ何でアストレア様は呆れ顔に?
「…ただそのベルさんのうっとりとした表情からどうせリューとの交際を妄想していたに違いない…それは恐らく私のような神でなくとも想像がつくと思いますよ。」
僕どんな表情してたんだろう…自爆はギリギリ免れた…というぐらいだったかな…
…さて妄想は一旦これくらいにして気を取り直そう。と思って、僕は一回頰を両手で叩いたことで冷静さを取り戻した。そして一度咳払いをして…って僕何を話してたんだっけ?…あっ。リューさんが【ロキ・ファミリア】との提携の話を持ってきたときの話だ。…って全然話進んでなかったね…
「…えっと。とにかくリューさんは二人で話した後僕のために色々手を回してくれていました。その一つがアイズさんへの依頼でした。…正直僕が一番驚かされました。その時までには僕はリューさんが浮気の心配するといけないと思って、アイズさんにはきちんと事情を説明して、訓練を断ってありました。だけどリューさんは自分の意思で再び僕にアイズさんを近づけた。…最初はアイズさんに断った時と同じ理由でリューさんに断ったんです。」
リューさんに心配かけなくない。
僕がリューさんを見捨てるかもしれないという可能性を少しでも残さないようにして、リューさんにはいつも笑顔で照れたりして可愛い姿を見せて欲しい。そう思っていたから。
「…でもリューさんから説得されて気付かされたんです。リューさんが心配なのは僕が他の女性に浮気することよりも僕がダンジョンから生きて帰ってこれないことなんだって。だから例えアイズさんがかつての僕の憧れの人だったとしても頭を下げて頼んでくれた。…僕をどこまでも心配してくれたからこその行動だったんだって。だから僕はリューさんの説得を聞き入れました。正直リューさんはどれだけ器が大きくて心が広いんだって驚きっぱなしでした。」
リューさんはアイズさんなら信頼して僕の身の安全を自身に代わって託せると言っていた。
リューさんは僕は絶対に私の元を離れないと約束してくれたのだから、僕を欠片も疑わずに僕の帰りを地上で待っていると言ってくれた。
…だけどリューさんよりも器が小さくて嫉妬とかをついしてしまう僕は実はリューさんも口には出さないけど心配が全くないわけじゃないんじゃないのか。そう思わずにはいられなかった。
「…でもリューさんだって浮気とかの心配はないわけじゃないと思うんです。…僕は困ってる女の子とか助けるのについ勝手に身体が動いちゃって、別の女の子と一緒にいることも少なくないですし…だからリューさんに伝えたんです。僕はリューさんの元を絶対に離れないって。僕は毎日何度でもリューさんに愛してるって言って、リューさんへの僕の想いは絶対に消えないんだって伝えることにしたんです。そして…僕はアイズさんやファミリアのみんなの力を借りながら絶対にリューさんの平和への夢をダンジョンを攻略してモンスターとも共存できるって示すことで手伝うってリューさんに誓ったんです。」
…これで弁明になったのかなぁ…?自分ではイマイチわからないけど、今までの経緯、そしてもしかしたらあるかもしれないリューさんの心配をなくせるようにリューさんに僕が伝えたことを話したからきっと大丈夫じゃないかな?
アストレア様は僕の話を何も言わずにただちょっと微笑ましそうな表情で聞いていた。
そして僕が話し終えたと分かるとアストレア様は少しだけ姿勢を正した。
「リューが【ロキ・ファミリア】との話をまとめた後に妙に機嫌が良くなったのを大変不思議に思っていたのですが、やはりベルさんのお陰だったのですね。流石はリューが愛した男性です。リューのことをよく分かっています。…リューもきっと自ら依頼しながらも不安や心配はあったに違いありません。そんな不安や心配もきっとリューはベルさんのことを思えば隠して平気なふりをすることでしょう。ですがそれをベルさんは見事に気づき、あなたの言葉でリューの不安や心配を取り払ってくれた。…ふふ。このような立派な伴侶を持ててリューは幸せです。そしてリューを見守ってきた者として私からは感謝を。ベルさんのような方にリューを託せてよかった。」
アストレア様は僕に笑顔を見せてくれると共に感謝まで僕に伝えてくれる。
リューさんが尊敬してやまないアストレア様にそこまで褒められると…僕も流石に照れる。
ここまでアストレア様に言っていただいたんだ。
僕は僕のすべきことでアストレア様に応えなければ。
「ありがとうございます。アストレア様。僕が絶対にリューさんを幸せにします。そしてリューさんの夢を助けられるように最大限の努力をします。」
僕は心を込めてアストレア様に僕の覚悟を伝える。
「はい。期待…いえ。ベルさんなら必ず成してくれると私は信じていますよ。」
それにアストレア様は頷きと共に信じているという言葉を伝えてくれた。
…これでアイズさんに関する心配は打ち消せたし、結婚の承諾も無事得られた。じゃあこれを今神様と話しているであろうリューさんに伝えに…
「それでベルさん?今後はどうなさる予定ですか?」
アストレア様に断りを入れて、すぐさまリューさんの元に向かおうと思ったところアストレア様の言葉でとりあえずは思いとどまる。…ん?今後の予定?
「今からリューさんとお話ししてきますよ?」
そうさらりと告げるとアストレア様はこめかみを押さえる。…あれ?また僕変なこと言った?
「…そうではなくて…今後とは今日一日限定ではなくて、式を挙げるまでのことです。その予定をお聞きしたいのです。…最も式の日程の目安があまりに多い来賓のお陰で決まらないとシルも嘆いていましたので、近日中の予定と言うのが正確かもしれませんが。」
近日中の予定…
「とりあえず僕達【ヘスティア・ファミリア】は近いうちに【ロキ・ファミリア】の【深層】への遠征に研修を兼ねて同行することになっているのでそれまではリューさんと一杯お話しして…遠征が終わったらリューさんとまた一杯お話しして…あぁ!あとその後に【深層】から帰還する時に助けてくれた【
武器を握れないリューさんを守れるのは僕だけ。つまり僕のかっこいいところをリューさんに見せられる絶好のチャンス!
そして【
「なるほど…リューの話していた共存できる可能性のあるモンスター達とですか…分かりました。覚えておきます。…ただ一杯お話しすると仰いましたが、加減にお気をつけくださいね?何せリューもあなたと同じ団長なのですから。」
リューさんは【アストレア・ファミリア】の団長。それは知ってる。
…それがリューさんとお話しすることに何の関係があるのだろうか…?
僕がよく分からずに首をかしげるとアストレア様は小さくため息をついた。
「…まぁいいでしょう。そこはシルやアリゼルが何とかしてくれるに違いありません。すいません。引き止めてしまって。ではリューに報告に行ってあげてください。」
…まさか僕アストレア様に気を使わせちゃった…?
…それはともかく許可はもらえたのだから今すぐリューさんに報告しに行かないと!
とアストレア様にお礼を伝えて、すぐにリューさんと神様がいると聞いていた客間に向かった。
そこで僕の懸念は何処へやら。神様はリューさんをハグしていつの間にやらすごく仲良くなっているようだった。
神様とリューさんの関係の険悪化という懸念材料も無くなった今僕とリューさんの結婚への道は順調そのもの。
…残る懸念はだんだん近づいてきた【ロキ・ファミリア】との合同遠征。
リューさんと離れたくない…
けど行かないとリューさんの夢の手助けをしないことに…
…うん。今のうちに一杯リューさんとお話ししてリューさん成分を補給しよう。うん。そうしよう。
そう決めた僕はそのまま神様とリューさんの会話に加わった。
…その後僕は神様とリューさんの選んだ自分のかっこいい(キザとも言う)名言暴露大会のお陰で途方もなく恥ずかしい思いをすることになったが、これはまた別のお話。
結婚前イベントでいつまで経っても結婚には入れない問題…
まだまだ続きます。あとはアンケートに入れた方々や初期予定の方々で…
まだ結構続くかな?って感じです。