『正義』の妖精と『偽善』の白兎のファミリア・ミィス 作:護人ベリアス
…まぁ魔法使ってすぐに倒れた時点でマインドダウンだってお察しですよね。(笑)
あとシナリオ考えてたら章をいくつか分けるほどそんなに長く続かないと判断し、章を削除しました。
最後にカフェオレさんとイベリさん感想ありがとうございます!
「んん…」
視界に入るのは木材でできた天井。
頭の下にはフカフカな…枕か。
そして僕の右手に感じる暖かい温もり。
ちょっとだけ頭を起こして右手を見てみると黄緑色のショートヘアの後頭部が僕の手の上に乗っかっていた。
その姿を見てすごく安心した。
リューさんは生きてる。
…でもカッコイイところ見せるどころかだいぶ迷惑かけちゃったなぁ…
目を覚ました途端に深く後悔するもとりあえず状況を把握しておこう。
包帯が巻かれている感触もないし、ちょっとだるいかなってくらいだからきっと
それでここは…少なくともバベルの治療施設でもホームではないのも確か。窓から光が差し込んでもこないからきっともう夜。どれだけ寝てたんだろう…
どこかと確認したいものの意識がだんだんハッキリしてきて気づいたのは、リューさんは頭を僕の手に乗せるだけじゃなく両手でしっかりと僕の右手を握りしめていたこと。痛くはないけど絶対に解けそうにないくらいにしっかり握られている。
振り解くには忍びないので動くのを断念して、せめて辺りを見回して何か分からないかと探ってみる。だがこれと言って手がかりになるものも見当たらない。ということで仕方なくこのままリューさんが起きるのを待つことにした。
…と言ってもやれることなんだよな…
リューさんを見ようにもリューさんはこっちを向いて寝ていないから後頭部しか見えないし…
手持ち無沙汰にじーっとリューさんの後頭部を見つめていて、ふと思った。
リューさんの髪の毛って綺麗だな…
毛先も整ってるし、髪の色も綺麗だし。短くない戦闘を終えた後のはずなのに乱れが全く見られないリューさんの髪の毛…触ってみたいなぁ…
って!?触ってみたいじゃないよ!?何考えてんの!?…でもリューさん目を覚ましそうにないし…うーん…
ここでいつもの如く心の中のおじいちゃんと神様が格闘を始める。
だがいつもと違っておじいちゃんと神様が仲良く手を握ってる?寝込みを襲うのでもなく何もしないのでもなく、髪を撫でるだけにしろって?それならばきっといいよね。リューさんもきっと怒らない。うん。きっと大丈夫。
心の中でそう納得した僕はそーっと手をリューさんの方に伸ばしていく。
あとちょっとで触れられ…
「よう!【
ドカンと音を立てて扉が開いたと思えば、ヅカヅカと入ってきたのは隻眼の黒い眼帯をした男…ボールスさんだ。
そしてボールスさんと目が合う。
リューさんに手を伸ばす僕。
ニヤリと笑うボールスさん。
…不味い…
「…ほう。なるほどなぁ…だから【疾風】をあの時庇おうとしたのか。ほうほう。…いやぁ【
ボールスさんが豪快に笑う一方僕は急速に背筋が凍る感覚を覚え始めていた。
そんなに大声で笑ったらリューさんが…
「うるさい!!!」
それは一瞬の出来事だった。
リューさんの長い耳がピクピクと動いたと気づいた瞬間には僕の前を小太刀が滑空していて、その後に怒声が続き、怒声であっと驚いた時にはもう小太刀はボールスさんの横の壁にめり込んでいた。小太刀を投擲したもののリューさんの片手は僕の手を握りしめたまま。ちょっと力が入ってて痛い…
「ベルは病人だ!!私一人で看病すると言ったろう!!」
リューさんが寝起きとはとても思えない恐ろしい剣幕で無許可で入ろうとしたらしいボールスさんに怒鳴るが、さすがはLv.3と言ったところか全く動じず、それどころか悪そうな笑みまで浮かべ始めまでした。
「まぁ分かるぜ。【疾風】さんよぉ。俺と【
…ん?何を?
「べっ…ベル!あっあの男の言葉は気にしなくていいのです!聞く耳を持たないでください!」
リューさんが顔をかーっと赤くしてブンブンと首を振っている。
うん。可愛い…
何があったのかはさっぱりだけど、とにかく可愛い。
でも手が痛い!そんなに力込めないで!
「なぁ【
「いや、え…あ…?」
気になる。と言えば気になる。リューさんがこんなに恥ずかしがるようなことがあったなら知りたくもある。でもリューさんが可哀想だし…
「そうか!そうか!気になるかぁ!」
「えっ…ちょっと!?」
僕まだ何も言ってないですよ!?
「お前がここに連れ込まれた時、【疾風】はえらく取り乱しててよう。事情を聞いてもお前の名前を呟くだけで何の情報も得られせん。すっかりお前が
「貴様ぁ…!今すぐその口を閉じろ!!」
…言ったらリューさんに悪いし、そんなに心配させたのは僕だけどそういうリューさんも見てみたかったな…
リューさんはきっとボールスさんを睨みつけるけど、もう薄っすら涙目になっている。それで嗜虐心を刺激されたかに見えるボールスさんはさらに暴露を続ける。
「しかも俺らがお前を診てる間中、【疾風】はずっとお前の手を握り締めて名前を繰り返し呼び続けてよぅ。凄え心配のし具合だ。ただのパーティだとは思えねぇ。さては…」
ボールスさんは今日一番の悪そうな笑みを浮かべた。
「【疾風】は【
ボールスさんが小指を立てながら言う
恋人のことだ!?
「「違います!?」」
リューさんと見事にハモる。
「リューさんとそういう風に見てもらえるなら嬉しいっていうか…でもまだきちんと告白してないって言うか…」
「ベルとそういう風に見ていただけることはとても嬉しいことですが…ですがまだ私は告白もできていないですし…」
「「ってボールスさん(貴様)、何言わせてんですか(だ)!?」」
何かすっごく嬉しいことを聞いた気がするけど、僕の頭は『ボールスさんにリューさんと僕が恋人同士と見られた。』という事実でキャパオーバーしていて、耳から入ってきた情報を処理しきれない。顔がすごく熱い。今すぐ枕に顔を突っ込んで悶えたいところだ。
きっと僕の舞い上がる心が生み出した幻聴だろう。ついでにパンクしたまま凄い事口にしてしまったし、もう今日のことはなかったことにしたい…
「いや…そんだけ息ピッタリで付き合ってないって…」
「「出て行ってください(行け)!?」」
もうボールスさんに揶揄われることに耐えられなくなった僕はボールスさんに向かって手元にあった枕をボールスさんに向けて投げつける。それと同時に目の前を再び小太刀が滑空していた。
僕の投げた枕とリューさんの小太刀がボールスさんの心臓目指して飛んでいくも流石のボールスさんはすぐに反応して、ドアを閉めて盾にして対応する。
枕が先にドアに当たり、その後を追って小太刀が枕を貫いてドアに突き刺さり、小太刀の開けた穴から羽毛が舞った。
「まぁいいさ!お二人さんはゆっくりとお楽しみになればいいさ!邪魔者はとっとと失礼するぜ!」
そう捨て台詞を残して、ボールスさんはドアを開けることもなく立ち去ったようだった。
残されたのは小太刀の突き刺さった羽毛を舞い散らせる枕と息絶え絶えになっている僕とリューさん。
すごく気まずい沈黙がしばらく続く。
とりあえず呼吸が整ったところで僕が口を開く。
「リュ…リューさん?あの…?」
「寝ましょう。」
リューさんが涙目のまま視線を逸らして僕の顔を見ずに言う。
「…え?」
「ベルも私も目が覚めた時にあの男が居ない。その状況で一度仕切り直しましょう。」
「あっ…あの?リューさん?」
「今のは夢です。私の望んだ妄想の結果。そうです。こんな都合いい言葉が聞こえてくるはずもない。あの男はきっと私の妄想の産物だ。」
え…あ?
「お休みなさい!」
リューさんは勢いよくうつ伏せになって、寝るフリをしたかと思ったら、そのまましばらくしたら寝息を立て始めていた。
本当に寝るの早いなぁ…やっぱりダンジョンですぐに寝られるって言うのは大事なスキルなんだね。
…って流せないよね!?
今リューさん『望んだ』って確かに言ったよね!?これまさか幻聴!?やっぱりリューさんの言う通りこれ夢!?『ボールスさんにリューさんと僕が恋人同士と見られた。』をリューさんが望んでたってことになるよ!?そんな僕の望み通りにあっさりなるものなの!?
「…僕も寝よ。」
うん。これやっぱり夢だ。そんな都合のいい展開ないよ…
僕は目を閉じて、さっき起きた(と思われる)時と同じようにリューさんに僕の右手を両手で握られながら、今度こそ都合の良すぎる夢から覚めるために眠りの世界に入って行った。…矛盾してる気がするのはきっと気のせいだね。
ボールスさんは二人のキューピットに…
なれませんでした。相手が悪いです。相手は超奥手のベル君とリューさんなんです。また振り出しです。
ということで次回はリテイクです!