書いてる途中間違えて消してしまいテンションが超下がってます泣
ではどうぞ
鳥や獅子など、様々な動物を象った看板が立ち並んでいる酒場の一つで、俺やレンを除いたベル君他3人は、ジョッキとグラスを掲げて重ね合った。
『乾杯!』
笑みとともに泡が弾け、ジョッキからお酒がこぼれ落ちる。ベル君達の声が随伴するように、周囲で騒ぐ冒険者達のデーブルからも、ガチン、ガチン!とグラスを叩き合う音が鳴った。
【ファミリア】のエンブレムとも似た、真っ赤な蜂の看板を飾る酒場『火蜂亭』。ここのオススメらしい蜂蜜酒は、まるで
路地裏の店だけあってすこし狭苦しく、移動するのも苦労するほどの大量の丸テーブルや、小汚い内装、そして、やたらゴツくて小さい人—— ドワーフというらしい——の男性達の笑い合う大声が、どうも心地いいのが不思議だ。
………路地裏?いやなんでもない
ともあれ『これぞ冒険者!』って感じの店だ。あんまりベル君には合わないかな
「【ランクアップ】おめでとう、ヴェルフ!」
「これで晴れて
「ああ……ありがとうな」
はにかんだようにお礼をいう赤髪の少年。エイナさんから聞いていた鍛冶師の人だ。彼が口元からこぼす笑みは喜びが抑えられない証拠だろう。【ランクアップ】と言っていたからきっとベル君の言っていた『中層』での事件で功績を建てたんだろう。
「これでヴェルフ様は、【ファミリア】のブランド名を自由に使うことができるのですか?」
「自由に、とはいかない。少なくとも
彼のレベルがいくつだか知らないが、要は物によってはバベルで見たような武具を作ることができ、そして作ったものに【Hφαιστοs】というロゴを刻めるのだ。物によるという条件がつくもののきっとすごいことなんだろう。
なんてお祝いムードの中、ベル君の表情は暗い。
「でもこれで……パーティ解消、だよね?」
………俺、なんで来たの?
後から聞いたがヴェルフ達がパーティに入ったのは『鍛冶』のアビリティを手に入れるためだったらしく、ランクアップでそれを獲得してしまった今、もう一緒にダンジョンに潜れないと思ったのだろう。もしかしたらその上でまたパーティを組んでくれと頼むつもりだったのかもしれないが、それを言う前にヴェルフが頭をかきながらベル君に告げる。
「そんな捨てられた兎みたいな顔するな」
ジョッキを手で軽く回しながら、ヴェルフは言葉を続ける。
「お前達は恩人だ。用が済んで、じゃあサヨナラ、なんて言わないぞ」
「えっ…」
「呼びかけてくれればいつでも飛んで行って、これからもダンジョンにもぐってやる」
「そうだよベル君。だいたい、それで解散されたんじゃ俺はなんで来たんだって話だしね」
だから心配するなとヴェルフは快活に笑った。
ベル君はそれに目を丸くして、その笑みにつられて破顔する。さっきヴェルフに様をつけていたことから多分エイナさんの言ってたサポーターだろう少女もベル君の隣で目を細める中、もう一度3人は笑いあって、3つの杯を打ち付けた。
「ところでベル様、そちらのお二人は?」
「あ、この人達は——「あ、ベル君、自己紹介は自分でするよ」——分かりました」
ベル君の言葉を遮って俺が話し始める。
「俺は遠野志貴。こっちはレン。ちょっと前にオラリオに来て今はベル君のホームに泊まってる。ベル君には話したんだけど、良ければ俺もパーティに加えてくれないかな?」
「……………………」
「おう、俺はヴェルフ・クロッゾだ。ヴェルフでいいぞ。ベルが連れて来たんだから安心だろうし、俺は構わねぇぞ。それよりアンタ、中々見ない格好してるな」
今の俺はこの世界に来た時の制服姿だ。しかし学校という概念がないこの世界で制服ですとは言えないからな…
「これは地元の民族衣装……みたいなものだよ、うん」
適当にはぐらかした
「シキ様の顔を見るに極東の方とお見受けしますが、レン様も極東出身なのですか?ハーフエルフのように見えますが」
サポーター(仮)の質問だ。
「俺とレンは家族なんだ。同じ極東出身でね。…えっと、キミは?」
名前を呼ぼうとしてサポーター(仮)じゃダメだなと気付いて名前を聞いてみた
「あ、失礼しました。リリはリリルカ・アーデと言います。ベル様、リリもシキ様のパーティ入りは賛成です。これでもいろんな人を見て来ましたから、そういう『目』は持っているつもりです。シキ様はきっとベル様みたいなお人好しの部類ですね。この人が何かすることもないでしょう。あ、シキ様。もしかしてそちらのレン様も……」
ダンジョンに来るのか、とニュアンスで伝えて来る。
「いいや、レンはダンジョンにはいかないよ。レンはそういうのあんまり興味ないしね」
言ってから危険とかではなく興味ないで片付けてしまったことに後悔したが、別に二人は気にしてないようだ(ベル君には説明済み)
「じゃあ、構わない感じ…かな?」
ベル君含めた3人が笑顔で頷いてくれた。やはりベル君みたいな心の綺麗そうなやつの周りにはいい人が集まるんだな。
「じゃあよろしくお願いします」
ちょっと照れ臭くて後頭部を手で押さえながら軽く頭を下げる
それから運ばれて来た料理を食べる。蜂蜜酒とよく合っていてとても美味しい。
「そういえばベルは【ランクアップ】したのか?」
「うん、僕はまだ」
詳しいことは後で聞くとして今はとりあえずちょっと前にダンジョン18階層『リヴィラの街』でとんでもない事件が起きたらしい。さっき言った『中層』での事件だ
ダンジョンの中に街とかあるの?とか思ったが説明が長くなりそうだったので後でベル君から聞こう。
「Level1と、Level2では獲得する
そこからは俺のよく分からない話だった。なんだか不吉な雰囲気だったり、したしもしかしたら重要なことなのかもしれないのでさっきのこともまとめてあとでベル君に聞こう。
「そういえば、ベル様達は大丈夫なのですか?ギルドに言いがかりをつけられて、
さっきから話していた事件についてギルドから言及され、いちゃもんつけられたのちに罰金らしい。理不尽は話しだ。罰金額は
「えっと……【ファミリア】の資産の半分」
「………キツイな」
……今更ながらに奢ってもらっているのが、罪悪感だ
明日ダンジョンで頑張ろう
俺の考えを表情で察したのか、ベル君は気遣うように
「半分って言ってもうちのファミリアなら数十万ぐらいなので、安心してくださいシキさん!それに取り返せる目処もたってるので!」
「そ、そうなのか?ならいいが…」
半分と聞いて未だに嘆いているヴェルフには俺とベル君揃って苦笑いするしかなかった。
ふと、リリルカさんの方を見ると、なんというか下を向いて心ここに在らずといった感じになっている
「……?リリルカさん?」
「リリ………大丈夫?」
俺たちの声でハッと上を向いて「大丈夫です。ちょっとぼーっとしてしてしまいました」と言って誤魔化した
「それと、シキ様、リリのことはリリ、で構いませんよ」
「そ、そうか?」
強引に話を変えられてしまった。そしてベル君の方に向き直って、
「ベル様も、先日の事件で随分株が上がったことだと思います。少なくともあの
「う、うん…」
完全に話をそらされてしまい、ベル君も空返事を返してしまっている。
それに聞き耳を立てていたのか、別のテーブルにいた客、おそらく冒険者が聞こえよがしに大声で
「——何だ何だ、どこぞの『兎』が一丁前に有名になったなんて聞こえて来るぞ!」
なんていっていやがる。全く、楽しいお祝いが台無しだ。
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