酒場の事件のあった日の夜
「つまり、他所の眷属を5人負傷させて店に迷惑をかけたと」
「…………………はい」
「私が待っているのを忘れて酒場に行ってご飯まで食べてきたと?」
「…………………はい」
拳を構えるアルテミス
「だぁーーーー!!!待て!何か因果律が狂ったんだ!!運命の悪戯だ!!!!」
「言い訳は以上ですか?では…」
「は、早まるなッ!!」
殴られました。そりゃもうボコボコに。
ちなみに志貴は知り得ない話だが、志貴の元いた世界のアルテミスには湯浴みを覗いた男を鹿に変えて愛犬たちに襲わせる。なんてことをした逸話が残っている神でもある。つまり————男に容赦などしないのだ。
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場所は【ヘスティア・ファミリア】の
あの酒場での揉め事のあと、アルテミスにボコボコにされ、気を失い、目を覚ましたのは朝だった。Level6の意識刈り取るとは本当に神か?でも考えてみたらオラリオにくるまでに森の中でモンスターに遭遇した時も割と普通に戦ってたな。……思えばあの時魔石を回収しておけばよかった。アルテミスは
話を戻そう。
今ここにはベル君、ヴェルフ、リリ、ヘスティア、アルテミス。ほぼ全員いる状況だ。レンは散歩に行った。
「他の【ファミリア】の相手5人を気絶させた、かー」
ヘスティアはリリから状況説明を聞いて納得した素振りを見せている。
アルテミスはまだ少しお怒りだった。
酒場の
「とりあえずシキ君、ボクのために怒ってくれてありがとう。ベル君も怒ってくれたんだよね?思ったよりやんちゃで、ボクは嬉しいような、悲しいような………」
「シキ様がやってくれたから良かったもののシキ様が先に出ていなければ乱闘騒ぎでしたよ。これはきっとヴェルフ様の影響です!ヴェルフ様に会ってから、ベル様はどんどん性格が
「おいおい、それは言いがかりだろう………つか、それ以前にシキのLevelが6だったとはな」
「ええ、Level6の新人冒険者なんてオラリオに革新が起きますよ」
そっからのリリはアルテミス同様大層お冠だったようで「全くっ」「心配するこっちの身にもなってください」「あの時だって…」と小言を繰り返している。主にベル君に。
……アルテミスとリリは仲良くなりそうだなぁ
リリの小言にはヘスティアも苦笑いだった。
「しかしシキ君、君はいくら強くてもそういう揉め事を起こすようなタイプだとは思わなかったよ。やっぱり男の子なんだね」
「それは、確かに志貴は基本的に平和主義の塊みたいな考え方ですが、怒ったときはかなり毒のある話し方をしますよ。オラリオにくる前にだって……」
言いかけて真っ赤に赤面して俯いてしまうアルテミス。多分あの時のことか……?でも赤面するような要素あったっけか…。
それを見てそれぞれ頭の上にはてなマークを出すが、ヘスティアだけニヤニヤしていた。
話を切り替えて、ヘスティアとベル君のことに切り替わり、家庭の神と言われるだけあってヘスティアがベル君を嗜める。
「今度は笑い飛ばしてやってくれよ。僕の神様はそんなことで一々怒るセコイやつじゃない、懐が広いんだ、って。シキ君もさ」
俺は兎も角、ベル君は頭が冷えてきたようだった。俺が先に行ったことにより怒鳴ることもできず、行き場のない怒りがあったのだろう。
ベル君は押し黙り黙って頷く。
「今度は、我慢します……ごめんなさい」
ヘスティアは暖炉の火のように微笑んだ。
「シキ。貴方も我が
その笑顔を正面から見れない。
多分俺の今の顔はさっきのアルテミス並みに赤いだろう。自分の浮かべている表情に気づいて同じくまた赤面するアルテミス。
側から見たら初々しいんだろうな…
恥ずかしいな。
「ところで、皆はその人たちの【ファミリア】が何処だか分かるかい?」
周りがこの空気に耐えられないとばかりに話を変える。皆少し顔が赤い。
ともあれ【ファミリア】か。
無論俺は知らないのでベル君の方に視線を送るが首を横に振られる。知らないらしい。
ああ、でもそういえば
「太陽っぽいエンブレムがあったよな」
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