志貴はいまダンジョンの1階層に来ている。
ダンジョンは上層、中層、下層、深層、この四つの階層でモンスターは住み分けができている。
志貴が今居るのは上層。本当に入ってすぐのところだ。
ダンジョンがどんなとこなのかと思っていたが、上層は本当に普通の洞窟だ。少し狭くはあるが七夜暗殺技法を使うには丁度いいぐらいの広さだった。
1階層にはゴブリンやコボルトといったモンスターが現れた。
2体ともゲームとかに出てくるやつそっくりで、ザ・モンスターだと思った。(その手のゲームに手を出したことはないが)
油断して居るわけではないが流石にこんなところで魔眼を使うのは躊躇われ、ナイフのみで戦うことにしたのだが、正直、モンスターにこのナイフの刃が通るのか心配だったのだ、1階層のモンスター程度なら問題なかった。1階層においては暗殺技法を使うまでもなく、単調に飛んでくるモンスターに危なげなくナイフを突き刺さすだけで終わった。ゴブリンやコボルト以外のモンスターも見たくなって40体ほど倒して魔石を回収し、予め持っていた腰に当てている魔石入れ(ギルド支給)に入れて2階層、3階層とどんどん進んでいく。
2階層から4階層ではヤモリ型のモンスターや、カエル型のモンスター、フロッグ・シューターという大型犬ぐらいの大きさの犬型モンスターなんかがいた。
6階層に来たところでエイナさんから教わった新米殺しといわれるウォーシャドウだ。
全身が影でできているようで真っ黒。
俺より少し小さいぐらいの二腕二足。
十字型の頭でその頭には手鏡のような真円上のパーツが組み込まれている。
俺は高速で敵に突っ込みすれ違い様に斬りつける
『閃鞘・七夜』を喰らわせウォーシャドウを真っ二つにして倒した。そしたらここで初めてドロップアイテムを採集することができて、「ウォーシャドウの指刃」を手に入れた。少し大きくてこれだけでそれなりに魔石入れが埋まってしまったので、次の階層で魔石入れを満杯にしたら帰ろうと思う。
「にしても……もう7階層か。案外すぐだったけど、やっぱり1人で持てる量には限界があるしサポーターってのは重要なんだな」
サポーターが冒険者の間で批判を受けていることを知らない志貴はサポーターを重要なものだと勘違いしている。
事実として、荷物持ちがいるというのは助かることではあるが、自分は戦わず荷物を運ぶだけというスタンスは冒険者にはあまり気に入られていない。大手の【ファミリア】ともなれば変わってくるものの、そもそもサポーターというのは冒険者と違い正式な役職として認められていないのだ。
ともあれ、7階層に降りて来た志貴は、1から6までと変わらない洞窟を目の当たりにする。
「まったく、飽きないよなほんと。……確かここだと、キラーアントが出るんだったよな」
キラーアントとはさっきのウォーシャドウと同じく新米殺しといわれているモンスターで、でっかいありみたいな見た目のモンスターだ。エイナさんの講習ではピンチになると仲間を呼ぶと言っていた。
一撃で仕留めるのがいいだろう。
ダンジョンの壁を用いてキラーアントの上空にまで接近し、頭上から奇襲攻撃を喰らわせる、
『閃鞘・八穿』を用いて助けを呼ぶまでもなく消滅するキラーアント。
のちにニードルラビットという兎のモンスターもなんなく倒して魔石入れには入らないほど魔石が溜まったところでダンジョンから出ることにした。
「これでいくらぐらいになるのかな〜」
もしこれで大金だったら、ゆくゆくは自分たちの【ファミリア】のホームをかうことだって夢じゃないだろうか
などと期待に胸を膨らませる。
Level6が上層で魔石稼ぎをした結果、同じ階層にいた新米冒険者はほぼ、全くモンスターに遭遇しないという事件が起きたことを志貴は知らない……
少し経ってダンジョンから出た志貴はギルドに向かうことにした。入る時もそうだったが視線を向けられる。それはおそらく防具でもなんでもなさそうな見たこともない服を着ているせいだ。制服だが、前にも言ったがここ世界には学校がないから当然変な目で見られるだろう。その視線にむずむずしながらもギルドに向かう。
ギルドに入ると昼間になってギルドが騒がしくなったためか、レンは受付で寝ているのではなく、奥の方の職員の事務処理用のデスクの上(おそらくエイナさんの)の上に座っている。前足で手紙を抑えているのでまだ帰ってはいないらしい。エイナさんに戻ったと報告する前に換金窓口で魔石とドロップアイテムを換金する。
62000ヴァリス。ここで今更だが、日本金とこの世界での金銭は基準が違う。
普通50ヴァリスもあればお腹は満たされるぐらいの感覚らしい。
ベル君がよく行くという酒場は少し高めでパスタでも300ヴァリスするが、とても美味しいとか。そう考えると6万というのはかなり稼いだ方なのではなかろうか?Level6のくせに小心者故、あまり行き過ぎないようにしていたが、今思えば行かな過ぎだったように思う。もっと行っていたらどんぐらい稼げたんだろうか……
とりあえずエイナさんに報告をする。
「エイナさん」
「はい……あ、シキ君!随分と早かったんだね」
「ええ、7階層までしか降りてないんで、エイナさんの言ってた『冒険者は冒険してはいけない』は守りましたよ」
これは、あくまで命優先という意味らしい。
「あはは、シキ君が冒険するにはそれこそ深層とかに行かないとだからね。換金は済ませたの?」
「はい。だいたい62000でした」
「やっぱり第一級冒険者なら上層でもそんなに稼げるんだね……」
うん。やっぱり6万はデカイか
「レンは大丈夫でしたか?」
「うん、すごく大人しくてね。あんまり触られるの好きじゃないんだね、レンちゃん」
エイナさんのことが気に入ったからといってそこが変わるわけじゃないらしい。しかし、エイナさんの口からそんな発言が出るということは激しく撫で過ぎたのだろう。多少撫でるぐらいならレンは何も言わないし、むしろ好きなぐらいな訳だし
「あはは、独り身の悲しみってやつなのかな……」
「シキ君?」
「あ、なんでもないです」
目が笑ってない。というかかなり小さい声で言ったはずなのになんで聞こえてるんだか。
「じゃあエイナさん、今度また講習お願いします。おいレン!帰りにケーキ買って帰ろう」
ケーキという言葉に反応し、耳をぴこぴこさせて、こちらに寄って来て、俺の肩に飛び乗った
「バイバイシキ君。お疲れ様」
「ありがとうございましたー」
「あ、シキ君!」
「?なんですか?」
ギルドから出ようとしたとき、エイナさんに呼び止められる
「その、ベル君にも伝えて欲しいんだけど……【アポロン・ファミリア】には悪い噂もあるから、その…気をつけてね?」
「……ありがとうございます。ベル君にも言っときます」
そう言って昨日のケーキ屋の方に足を運ぶ事にした。
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