殺人貴はダンジョンに行く   作:あるにき

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こんばんは
今回も短いな、とかは言わないでくださいね。言い訳なんてありませんから


ではどうぞ


パーティでの出来事 2

『諸君、今日はよく足を運んでくれた!』

 

と、高らかな声が響き渡った。

室内にいる全ての人達の目が向かう先、大広間の奥には、1柱の男神が姿を現している。

陽の光の色を放つブロンドの髪。まるで太陽の光が凝縮したかのような金髪は煌々とした艶がある。アルクェイドの金髪とはまた別の輝きだ。アルクェイドのは月明かりをそのまま髪の色にしたかの様な眩さがあった。

話を戻す。

口元に浮かべている笑みは眩しく、その端麗な容貌に横にいるベル君は心奪われそうになってる。背丈も高い。

……ベル君ってそっちの人だっけ?

頭の上には、緑葉を備える月桂樹の冠。

左右には男女の団員が控えていて、間違いないだろう。きっとアポロンだ。

 

『今回は私の一存で趣向を変えてみたが、気にいってもらえただろうか?日々可愛がっている者達を着飾り、こうして我々の宴に連れ出すのもまた一興だろう!』

 

宴の主催者らしく盛装するアポロンの声はよく通っていた。乗りのいい他の神達がやんややんやと声を上げ、喝采を送っている。こうしてみるといい神に見えるが、アルテミスとヘスティアの間には何があったんだ?

 

『多くの同族、そして愛する子供達の顔を見れて、私自身喜ばしい限りだ。——今宵は楽しき出会いに恵まれる、そんな予感すらする』

 

それから口上に耳を貸していると、不意に。

賓客を見渡していたアポロンの視界が、こちらを射抜いた。正確にはベル君も、だが。

 

(………?)

 

「なぁ、ベル君。アポロンとかいうやつ、こっち見てなかったか?」

 

「やっぱりですか。一瞬見られたような気がしたんですよね…」

 

ベル君と話すも意図は読み取れず、2人揃って自分たちの後ろに顔を向けて、顔を戻す。後ろの人ではないようだ。アポロンは俺たちなんかてんで気にしてないように見向きもせず、挨拶を続けていた。

………【アポロン・ファミリア】とはいろいろあったから、少し神経質になっているのかもしれない。俺たちはさっきの視線をひとまず気のせいだと切り捨てた。

 

『今日の夜は長い。上質な酒も、食も振る舞おう。ぜひ楽しんでいってくれ!』

 

その言葉を最後にアポロンは両手を広げた。

同調するように、男性の神達を中心にして歓声が上がる。沢山の人が洒落(しゃれ)たグラスを掲げ合い、たちまち大広間は騒がしくなった。

 

「で、アルテミス。どうすりゃいいんだ?」

 

「本来ならアポロンと話しておいた方がいいのでしょうが、構わないでしょう。彼奴ですし」

 

「そんなに嫌いか」

 

「それに、話しに行くにしたって後の方が良さそうだ。ほら、どうやら忙しいようだし」

 

アポロンの方をみてヘスティアが言う。

酒場の一件で禍根を残すことをしたくないと俺は思っているが、確かに【アポロン・ファミリア】は忙しそうだ。同一の制服を纏った団員達は給仕役を務めていて、主神であるアポロンも挨拶回りがあるのか多くの神達に囲まれている。話しかけるのも、あれでは骨が折れる。

ヘスティアの言う通り、もうちょっと時間をおいた方がいいかもしれないな。

 

「ま、せっかく来たんだし、パーティを楽しもうじゃないか。美味しい料理でも食べようぜ、ベル君」

 

「あ、はい」

 

そういってミアハさん達の輪に加わった。既に酒飲んでる人もいる。

はい、とナァーザさんにグラスを渡されて、しばらくいろいろな人と歓談することにした。

とりあえずさっきガチガチに緊張していた(ミコト)さんに話しかけて、簡単に自己紹介をする。Levelを言うと案の定『Level6ぅぅぅぅぅうぅぅうぅ???!!!』と驚かれた。何回目だよ……

命さんはタケミカヅチさんの【ファミリア】だけあって極東出身らしい。俺もそうなのかと聞かれて『両親がそうだが行ったことはない』と言って嘘をついた。少し心が痛むが仕方ないだろう。第二魔法なのか知らないが、全く別の世界に来てしまったんだから。

ちなみにコメはあるらしい。

そのあと、ナァーザさんと話してからまた命さんのいた所に戻ろうとすると、Level6ということを聞いて噂の【月の女神の男】か!と神々から怒涛の勧誘を受け、それをやんわり断りながら、命さんのいた場所に戻ると、ベル君が話していた。

 

「あの、(ミコト)さん。18階層ではありがとうございました。たくさん助けてもらって………」

 

「い、いえっ。自分は何も……」

 

俺と話していた時より少し落ち着いたのか、命さんはどもりつつも返事をする。さりげなく、2人の輪に入って話を聞く。

命さんは概要程度しか聞いていないが、前に起きた中層?での事件でダンジョンから帰ってこないベル君を探す探索隊に参加したらしい。

 

「ベル殿こそ、お見事でした。あのような事態に陥っても果敢に階層主へ挑み、最後にはご自分で決着まで……恥ずかしながら、あの光景には心が浮き立ってしまいました」

 

これは志貴勘違いだが今の話を聞いて18階層に迷宮の弧王(モンスターレックス)がいるのだと思ってしまっている。本当は17階層だが本当に概要しか知らないので仕方ない。

 

「あ、あれは僕1人の力じゃないというか、1人じゃ何もできなかったというか……」

 

命さんがしみじみ話すのでどんなんだったのだろうかと興味が湧いたが、ベル君が謙遜する。

2人が譲り合っていると、同時に笑みがこぼれた。

 

「………ベル殿。何かありましたら、いつでも声をおかけください。微力ながら助太刀します」

 

「命さん……」

 

桜花(オウカ)殿も千草(チグサ)殿も、ベル殿達の力になりたいと願っています。無論、自分も」

 

「えっと、それじゃあ………命さん達も何か困ったことがあったら、呼んでください。力を貸しますから」

 

それを聞いて命さんは破顔する。

すっと手を差し伸べて、ベル君は頰をかいて照れながら、しっかりと握り返す。

 

「伝聞ですが、ベル殿の成長には眼を見張るものがあると聞き及んでいます。何か強くなる秘訣はあるのですか?」

 

「ベルは改造人間、私お手製のヤバイ薬を飲んで、日々薬物強化(ドーピング)している……」

 

「嘘言わないでくださいよ?!」

 

「嘘じゃないぞ。かくいう俺も昨日ベル君の薬物強化(ドーピング)の瞬間を目撃してる。」

 

「だから!!嘘言わないでくださいってばぁ〜〜?!」

 

ナァーザさんも交えながら会話を楽しむ。

しかし、『神の宴』には格式ばったこともないらしく、ある神達は口を大きく開けて笑い声を上げている。

和やかなこんな雰囲気はかなり好きだったりする。




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