いろいろ忙しいのでほんとぼちぼちやる感じになるかもしれませんが、これからも見ていただけると嬉しいです
ではどうぞ
レンが危ない。
そう直感した俺は【ロキ・ファミリア】のホームから全力で飛び出した。
窓から外に出る形になったが流石に許してほしい。
ここから【ヘスティア・ファミリア】のホームに行くには大通りより、裏路地を通った方が早い。実際のところは知らないが、七夜の体術は遮蔽物があった方が動きやすい。そのため狭い裏路地の方が動きやすい。
そもそも教会が爆発した理由はなんだ?火事か?……いや、あの教会に火事の要因になるようなものは置いていなかった。それに、火事にしては大き過ぎる爆発音。
故意的なものだ。そう判断し、裏路地に入ってからさらに速度を上げた。
極めて少ないとはいえ、通行人に被害がないように動く。恐喝しているゴツい奴を途中で見かけたのでナイフを逆手に持ってそいつのこめかみあたりをそれなりに力を込めて殴る。
上手いこと気を失ってくれたようなので、放置して先に進む。
道が開けたところで自分が
人の波を七夜の蜘蛛の如き動きでうまく掻い潜る。幸い通行人も気づいてはないようだ。
爆発したものの目的は?そもそも爆発を仕掛けた者は誰だ?
動きながら考え始める。
今の俺の状況からして、アポロンだと考えるのが妥当だが、ベル君が誰かに恨まれていたという可能性がないわけじゃない。
でも、ここは【アポロン・ファミリア】が主犯だと考える。
目的は俺を【ファミリア】に入れること?
執念深い。誰かが言った言葉を思い出す。ダフネさんから言われた言葉もある。そう考えると…………!?
つまり、レンは人質か?
下界の人間1人のために人さらいまでするか普通!!??
とにかく今は急いでレンの下まで行かないとっ!!
さっき視界の端にヴェルフとリリルカさんが見えた気がする。あ、そういえば今日はベル君とダンジョン探察をする予定だったんだっけ。
ベル君やヘスティアの現状もきになる。急ぐぞっ!
教会は火を吹き半壊していて既に原型をとどめていない。
しかし問題はそこではない。
問題は人だ。
ベル君とヘスティアはまだ中にいるのか、それとも今はもう逃げているのか。分からないがこの崩壊度で中にいたのならレンや冒険者のベル君ならともかく、神のヘスティアではまずい。
……いや、そういえば、神は下界で怪我をすると神の力が解放されるって聞いたな。それっぽい現象は起きていないようだし、とりあえず無事なのか。
さっき言った問題に戻ろう。
屋根にざっと10数名、何かを追うように指示を出し、走り去っていったのが数名。
『兎を追え!』 『神もいる!傷をつけるなよっ!』
他にも指示が飛んでいたが、はっきり聞き取れたのはそれだった。
今追われているのはベル君?ヘスティアも一緒みたいだがレンもそっちに……?
そう考えたとき、半壊しながら、地下室への入り口がむき出しになっていた場所から、人が入っていくのが見えた。 爆風や煙で誰かは分からなかったが———
太陽の紋章……【アポロン・ファミリア】!!!
やっぱり予想通り、主犯はアポロン!!消去法だが、中にまだ人がいるとするなら………地下室に入って行った奴の狙いはやっぱりレンかっ!急げっ!
—————————————————————
私の名はヒュアキントス。
今回の作戦は、以前酒場にて私達に圧勝したあのシキという少年の身内の誘拐だ。
なぜだかは知らないが、アポロン様はアレをえらく気に入ったらしい。
しかし、他の団員のようにひたすら追いかけ回すだけでは圧倒的に開きがあるLevel差の前には意味をなさない。
そのため人質だ。
人質を殺すと脅せばまず最低限、交渉のテーブルには着くだろうというのがアポロン様の狙いだった。
アレの身内は妹と申告しているそうだが、まず違うだろう。
アレは人間だが、人質……名前はレンと言ったか。レンはエルフ、あるいはハーフエルフだ。耳の長さからしてハイエルフではないことがわかる。
オラリオは来るもの拒まずが流儀なため、基本身分のないものだろうが、入れてしまう。
検査したであろう門番も深く物事を考えず、その家の都合、程度に考えていた筈だ。
聞けば、冒険者登録はしていないようなので今回の作戦にて私が一番楽な役回りかもしれない。
それもそうだたかだか10歳やそこらの少女だ。【ロキ・ファミリア】の【剣姫】でもあるまいし、万が一にも【ステイタス】を刻まれていてもLevelなど上がっているはずもない。
Level.3とLevel.1での差。
それは、シキと対面で理解している。
もうあの殺人鬼と会いたくもないが、我が崇拝する神の命だ。私はそれを執行するのみ。
兎に角、今は己の役割を果たすとしよう。
私は外から魔法や、火薬を使って爆破した廃墟の地下室の扉から地下室に向かった。
階段は石造りでまるで秘密基地でも思わせるようなものだった。
長い階段なわけではなく20段がそこら。階段を下がったところにとびらはなく部屋の光が階段から見えていた。
無いと断言はできないが、トラップなどがあるかもしれないので腰を低くして、ゆっくり階段を下る。
………………
……………………
………………………………
下がり終わる。
別に長い階段ではないのですぐだ。
地下にあったのは別段広いわけでもない、少し狭いぐらいの空間だった。
ベットのあるこの空間ではおそらく一番広い部屋のほかに一見して風呂場などしかない。
ベル・クラネル、神ヘスティア、シキ・トオノ、レン、神アルテミス。
この数の人数が暮らすにはかなり狭いだろう。
しかし、目的のレンがいない。
隠れている?
その可能性がないわけではないが、レンがいない代わりに、ベットの真ん中にポツリと座る。
一匹の黒い猫がいた。
それ自体は何の変哲も無い。ただ毛並みがすごく綺麗で顔立ちも端正なように感じる。路地裏で見かけるような汚い猫では無いというのが分かる。
それから、Level.3の五感を持ってこの地下室にこの猫以外のものがいないことを理解する。
逃げていた?
他の混乱のなかこの部屋から誰にもバレずに逃げ出すだと?
あの混乱はあくまで我々が故意的に起こしたもの。
隙などなく、死角などなかったはず。
ではなんだ?
あのレンという少女が我々の予想を超える化け物だったということか?
シキ・トオノと同じように?
あれほどの男だ。連れも規格外でも納得はできる。
不意に、猫が立ち上がりてくてくと歩き始める。
その猫は私の目の前まで止まり、ジッと私を見る。
私が瞬きをしたその瞬間。
目の前にいたのは猫ではなかった。
水色がかった銀髪に、黒い貴族のような服装。
それは紛れもなく、攫うつもりであった少女、レンだった。
少女は指先から丸く青白い魔力の塊のようなものを発動させた。大きさはそれなりに大きい。せいぜい目の前の少女の握りこぶしよりも大きいだろう。
魔法?!詠唱もなしに!?いや、そもそも詠唱破棄の速攻魔法でも魔法名は言わなければならないはず!
第1、なぜ猫がレンに!?これも魔法か!!??
なんなんだっ!!なんなんだよっ!!!???
レンはその魔力の塊を使い、まるで踊るような動きで私の意識を完全に刈り取った。
———————————————————
「レン!?」
「…………………………………」
俺が奇襲をかけてきた連中を殺さないように気をつけながら倒しつつ地下室に入ったときにはレンはもうヒュアキントスを倒していた。
気絶しているヒュアキントスには傷があるので眠らせているわけではなく普通に倒したらしい。
しかし、気絶したヒュアキントスが身悶えているので悪夢は見せているのかもしれない。
「レン、遅れてきちゃってごめん。大丈夫だったか?」
「………………………………………………………………………………………」
コクコクと首を縦にふる。
とりあえず問題ないかな
「ありがとなレン。それと、なんだかベル君たちも襲われてるらしいから助けに行くんだ。来てくれるか?」
言いながら頭を撫でる。
「………………………!」
慌ててる慌ててる。
それでいて撫でられるのを拒むわけではないらしい。
たまにはこういうこともしてやらないとな。
レンは少し撫でられたあとコクンと頷く。
「そっか。それじゃあ———」
レンを撫でるのをやめてナイフを取り出す。
「いくか」
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