そうだ!これ、いつかの夜で会ったあの人の!いや、戦ってる時に業物だなーとか思ったけどさ、軽口とか叩ける状況じゃなかったしな。
どうするんだこれっ!今ここで『このナイフ見たことあるんです』なんて言ったら絶対話こじれるだけだろっ!
そうだ、レンっ………て寝てるし……そういえばこの時間は普段寝てる時間だ。ケーキ食べたし仕方ないか
「ダメ………かしら?」
ヘファイストスさんがめっちゃ見てる!ど、どうする?!も、貰っちゃうか?てかこの流れはもらう流れ。ここで貰わなかったら絶対食い下がってくるし………
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貰いました。ヘファイストスさんめっちゃ笑顔。考えても見れば、貰うのを躊躇うようなものでもないよな。あのときのあの人俺のこと
具体的な時間は分からないがもう日も暮れてくる。そろそろ帰らないと
…すこし、散歩でもしていくかな、この街のことよく知らないし。
なんとなく人がいっぱいいた南の方向に行って見る。目抜き通りに軒を連ねる店は全て高く、大きく、外観は豪華で派手派手しい。
高級酒場、カジノ、シアターなど、オラリオの他では見られないような施設が沢山ある。
「へえ、冒険者の街ってぐらいだからこういう豪華なものじゃなくって、荒くれ者の街って感じを想像してたけど、これじゃまるで貴族とかの街って感じだな」
レンは人の姿になって一緒に歩いている。この人混みで猫だと最悪逸れるかと思って。今日は一日付き合ってくれるらしい
「すごいな、カジノなんて行ったことないな。てか、日本にあるのかな」
「…………………………!」
レンが俺の制服の裾をツンツン、と引っ張る
「ん?どうしたレン。…あぁ、アレ。確かにケーキ屋だ。でも、さっき食ったろ?我慢しろよ」
「……………………」
シュンとしちゃったけど、とりあえず分かったみたいだ。でもすこし可哀想だし、
俺はレンの頭にそっと手を乗せて撫でてやる。
「…………………!」
驚いてネコミミが出て来ちゃってる。次の瞬間ネコミミは無くなって、されるがまま撫でられる。うん可愛い
その間周りから刺し殺さんばかりの視線を浴びたのはいうまでもない。
あたりも暗くなって、もう帰ろうとしたとき、不意に見たことある人を見かけた。
「あ、おーい!ベル君!」
「あれ?シキさん?それにレンちゃんも」
路地裏の方に入りかけていたベル君を見かけたので声を掛けみた。
「ベル君、こんなとこで遊べるほどお金持ちだったの?すごいな、Level2でそうなら俺、帝王とかになれるんじゃないかな?」
「い、いえ!!流石にこんなとこでは無理ですよ!ここの路地裏にある『火蜂亭』って場所で待ち合わせしてるんです」
なるほど、路地裏のお店だからすこしは安いのかな?
「そうそうベル君、明日から一緒にダンジョン行けないかな?行ったことないからね。エイナさんにいろいろ教えて貰ったからとりあえず行ってみたいんだ。」
「あ、シキさんのアドバイザーもエイナさんなんですね!でもいいんですか?僕達のパーティ、シキさんのLevelとじゃ、釣り合いませんよ」
「いや、まだちゃんとした装備も作ってないからさ。装備なしで行けるところまでって事で……ね?」
「そ、そういう事なら二人とも納得してくれるとは思いますけど…」
「それと、お金が貯まったらヴェルフ君に装備作ってもらおうと思ってるんだ。エイナさんの提案でね。」
「ほんとですか!ヴェルフも喜びますよ!なんたってLevel6の装備が作れるんですから!」
そっちの方がリーズナブルだし、割引とかしてもらえそうだし
口に出したら怒られるよなぁ…いやベル君じゃなくってそのヴェルフ君に……経験あるもん
「それじゃまた後でね、ベル君。詳しいことは帰ってからってことで」
「あ、シキさん!良ければ一緒に行きませんか?」
そのなんたら亭ってのがなんの店だか知らないけど酒場だよな……酒飲んだことないしな……日本じゃまだ未成年だし。でもこの世界ではそんなのなくって飲みたかったら飲め、というスタンスらしい。なんというか、流石だな
「なんでも、そこの蜂蜜酒が絶品らしいんですよ。冒険者とか鍛冶師の方に人気があるそうで」
蜂蜜酒……なんとなくアルコールが少なそうだ。そんぐらいなら俺でも行けるかな
あ、でも一番重要なもの忘れてた。
「俺、金ないよ?」
根本的な見落としをしていたことに気づいた。そもそもお金ないんじゃ飲み食いできないじゃん
「誘ったのは僕ですから!それくらい出しますよ!」
ベル君めっちゃいい子。
感想待ってます!できれば酷評は……つらい。いや、貴重な意見なのだけれども