ムース1/2   作:残月

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ムースの日記16

△月○日

 

新作のラーメン試食の名目に乱馬の様子を見に天道道場へ。取り敢えず、あの後から女乱馬は出てきていないらしい。暫くは経過観察が必要だと婆さんに言われた。

 

 

△月×日

 

いつの間にか天道道場へ帰ってきていた爺さんが天道道場の前で店を開いていた。とは言ってもガラクタばかりの物で誰も買っていなかったが、その中に綺麗な手鏡が混ざっていた。あ、これは……と思ったのも束の間。婆さんが即座に爺さんに襲い掛かっていた。それと言うのも、この手鏡は婆さんの家の家宝『南蛮ミラー』だったのだ。南蛮ミラーとは、頭に思い描いた過去か未来を思いながら鏡に涙を落とすと、その思い描いた世界へと行ってしまう秘宝。爺さんが婆さんの若い頃を思いながら悔し涙を流したもんだから近くに居た俺、シャンプー、リンス、婆さん、乱馬、あかね、玄馬さん、早雲さん、爺さんを巻き込んで過去の世界へ。

 

 

△月△日

 

昨日はとんでもなかった。まさか過去の中国に行ってしまうとは……。しかも若い頃の婆さんに会ったのだがメチャクチャ美人だった。人生をどう生きたら、あの様な姿になるのか不思議である。

そして過去の世界で明らかになったのは若い頃の爺さんは婆さんに惚れていたという事実だ。しかし、爺さんは婆さんに惚れてると言う割りには他の娘にアプローチを掛けまくり。キレた若い頃の婆さんにボコボコにされた若い頃の爺さんは逆恨みで婆さんの家の家宝南蛮ミラーを強奪していた事が判明した。後になり、自分の行動を「こうした苦労の末にワシは南蛮ミラーを手に入れたのじゃ」とか言って誇っていたが全員から叱責されて涙を流して「元の時代に帰りたい」と呟いて南蛮ミラーに落とし、全員揃って元の時代へと帰って来た。

俺はこっそりと爺さんから南蛮ミラーを取り上げた。ほとぼりが冷めたら婆さんに返してやろう。

 

 

△月◇日

 

出前の帰り道、乱馬が郵便ポストに襲われていた。あり得ない状況に一瞬思考が停止したが、紅つばさの話だと理解して……スルーした。今回の話はあまり絡みたくない部類の話だ。だってフォローのしようがないんだもの。

 

 

△月◆日

 

猫飯店に乱馬が愚痴りに来た。先日の紅つばさの一件で色々と嫌な目に会ったと言う。うん、見た目が可愛い女の子なのに男に迫られればそうだろうと、思いかけたが呪泉郷の呪いで女になる俺達はどうなんだろう……と思いかけて考えるのを止めた。虚しくなるわ。

 

 

△月□日

 

俺の目の前にシャンプーが二人居る。そして瓶底眼鏡を掛けたムースも居る。オロオロと俺と瓶底眼鏡のムースと二人のシャンプーを交互に見ているリンス。

今回は俺自身の仕出かしてしまった事だがどうしよう……俺は南蛮ミラーを握り締めながら焦りから冷や汗をダラダラと流していた。いや、マジでどうしよう。

 

 

 


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