ムース1/2   作:残月

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ムースの日記17

 

×月○日

 

元の世界へ戻る前にこっちの世界での日記を書き写す為にノートを貰った。それと言うのも、原作世界へ入り込んだ当日に帰ろうと思っていたのだが、婆さん(原)から『今回は偶然に近い転移だっただろうから、ちと調べてから試した方が良い』と言われた。なんせ本来の南蛮ミラーとは違う使い方をしたから次も同じように作動する保証が無いとの事だった。数日調べるから待てと言われ、俺とシャンプーとリンスは親戚の子として猫飯店に一時的に住む事になった。

ちゃんと帰れるのだろうか……とてつもなく不安だが、俺がそんな顔をするとシャンプーとリンスも不安になるだろうからポーカーフェイスを保とうと決めた。

 

ムース(原)から向こうでの生活を聞かれたので、答えると同時にこっちでの話を聞いた。やはりほぼ原作通りの展開みたいだが俺としては話を聞いていると胸が痛む。

今まであまり考えていなかった事だが俺が憑依した事で今の俺(ムース)がある。そうでなければ、こっちも原作通りに話が進んでいたのだ。俺はそれを周囲に黙りながら原作とは違うように生きようとしていたが、目の前に原作のムースが居るとその考えで良かったのかと思ってしまう。

 

 

×月×日

 

原作世界へ迷い混んだ次の日。猫飯店は臨時休業にして買い物へ。リンスは兎も角、俺とシャンプーはいくらなんでも、そのままだと親戚の子として誤魔化すには無理があるから服装と髪型を変える事に。俺はシンプルにパーカーとジーンズを選んで終了。男なんてこんなもんだ。髪も後ろで一本に纏めている。

 

しかし、シャンプーはそうはいかなかった。シャンプー、シャンプー(原)、リンス、婆さん(原)は、はしゃぎながら服を選んでる。女の子の服選びは時間が掛かるね。

『妖怪が混ざってるが女の買い物は良いものだ』とムース(原)が呟き、婆さん(原)にぶっ飛ばされていた。口は災いの元だと言う良い例だ。

 

因にだがシャンプーの服装はチャイナ服から七分丈のシャツにロングスカートと普段は着ない様な服装で髪型もポニーテールに結われていた。ヤバい……メチャクチャ可愛い……

 

この後、外食したのだがウェイターさんが水を溢して俺は女に変身してしまい驚かれた。いや、ウェイターさん以上にシャンプー(原)、ムース(原)、婆さん(原)に驚かれたんだが。その後、俺が娘溺泉に落ちた経緯を話したら、もっと驚かれた。そういや呪泉郷に落ちたことは話したけど、どの泉に落ちたか話してなかった。

逆にムース(原)がアヒルに変わったのを見て、シャンプーとリンスが凄い驚きながらも可愛いと言っていた。改めて見ると眼鏡を掛けたアヒルって超シュールだ。

 

 

×月△日

 

俺とシャンプーは猫飯店の厨房を手伝い、リンスも店の外を箒で掃いたり、テーブルを拭いたり、店の手伝いをしている。学校に行かせようかとも悩んだが、原作世界にリンスはそもそも存在しない。となると迂闊に外に出すわけにもいかないから結局、猫飯店に居るしかないのだ。

 

婆さん(原)は南蛮ミラーを調べているみたいだ。過去の文献を調べたりと色々と忙しくしている。そしてシャンプー(原)とムース(原)は俺達が店の手伝いをしているから出前の頻度を増やしたり、乱馬に会いに行ったりしているみたいだ。

そういえば乱馬(原)やあかね(原)に俺達の事を話しているのだろうか?明日にでも聞いてみよう。

 

先日からムース(原)と話した事で少しナイーブになっていた俺だがシャンプー(原)から『元気無いけど、どうしたアルか。どの世界でもムースに悩む顔は似合わないアル』と罵倒だか励ましなのか分からない事を言われた。冷たい対応だけどやっぱシャンプー(原)も普段からムース(原)の事は見ていたんだな、と思った。

 

 

×月◇日

 

風林館高校で乱馬(原)と決闘する事になった。どうしてこうなった?


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