ムース1/2   作:残月

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南蛮ミラーの使い道③

 

 

 

 

◇◆sideムース(原)◇◆

 

 

 

オラは夢でも見ているのかと思っただ……最近、別の世界から来たオラはオラ自身とは違う人生を歩んでいただ。その世界のオラはシャンプーと許嫁となっていただ。しかも乱馬よりも強い……オラは乱馬に勝つことを目標にしていただが、あっちのオラは乱馬よりも強く、シャンプーを嫁にしておる……なんで同じオラでこんなに差が出るんじゃ……

今、乱馬と戦っているあっちのオラは乱馬を相手に余裕の戦いを見せていた。

 

 

「差が出るのも当然じゃな」

「む、猿の干物」

 

 

オラがあっちのオラと乱馬との戦いを信じられない思いで見ていると、猿の干物がオラの隣に居ただ。

 

 

「誰が干物じゃ」

「ぶがっ!」

 

 

猿の干物の一撃でオラは沈められた。しかし、差が出るとはどういう意味じゃ。

 

 

「あちらのムースは幼い頃にシャンプーに勝利し、ワシの指導の下、修行をしておったと聞く。素質が同じだったとしても始まりが違うんじゃ差が出るのも当然じゃな」

「そ、そんなん言われなくても……」

 

 

オババの発言に反論しようとしたが言われた通りなので反論も出来ん。乱馬との戦いをあんなにも有利に進められてるのを見ると尚更じゃ。ん……今、あっちのオラと目があった様な……

 

 

「ホッホッホッ、あちらのムースも思うところがあるんじゃろう。お主に乱馬との戦いを見せ付ける様に戦っておるわ。本来ならとっくに婿殿を倒せるのに敢えて時間を掛けて戦っておる」

 

 

オババの言葉に改めて戦いを見ると、確かに何度も攻め手があったのに手を出さぬ事がある。

オラは乱馬を倒す事は諦めてはおらん。じゃが、最近は猫飯店のバイトが忙しく修行はサボっておった……

 

 

「どうした、乱馬?その程度だか?」

「くそっ!どんな修行しやがったムース!」

 

 

今も乱馬をあしらいながら戦っておる、あっちのオラを見ていると……武道家としての血が騒ぐだ。

 

 

 

 

 

◆◇sideシャンプー(原)◆◇

 

 

 

 

別の歴史から来たムースや私、そして居ない筈の妹のリンス。一時的な事故として、この世界に来てしまった、あっちのムース達を曾バアちゃんの考えで猫飯店でバイトとして雇っていたアル。

そして話の流れであっちのムースと乱馬が戦う事になった……と言うよりあっちの私が乱馬じゃなくてムースなんかに惚れている事が我慢ならなかった。だから乱馬とあっちのムースが戦えば、あっちの私の目が覚めると思ったネ。でも、結果は全然別のものとなった。

 

あっちのムースは乱馬と互角……ううん。それ以上の戦いをしていた。私の想像とは違う結果に呆然としていると隠れて戦いを観戦している、あっちの私やリンスはあっちのムースに見惚れているのかポーッと顔を赤らめていた。ムースは顎が外れるんじゃないかというくらいに口が開いたまま戦いを見て呆然としているネ。

 

そんな思いで戦いを観戦していたけど、終わりは意外な形で訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇side乱馬(原)◆◇

 

 

 

いつもの調子の果たし状を受け取り、ムースからの決闘を受けた。良牙からも果たし状が届いていたが、いつも通り指定した日時には帰ってこないだろうから、ムースの果たし状を先に受けた。

ムース相手ならアッサリと決着をつけられると思っていたがムースはこの短期間にかなり強くなっていて、俺の攻撃が当たらなかった。焦れば焦るほど俺の拳はムースに捌かれて、一切当たらない。ここで俺は違和感に気付く。今日のムースは暗器をあまり使わないし、口調の訛りも少ない。なんだ……なんなんだ、この違和感は……

 

 

「乱馬!俺との果たし合いを無視してムースと決闘とは何事だ!」

「げ……なんで、今回に限って日時ピッタリに帰ってくるんだよ!?」

 

 

俺とムースの戦いを遮るように怒声が響き渡る。振り返ると怒りの表情で俺とムースを睨んでいる良牙が立っていた。

 

 

「乱馬、俺の決闘を受けてもらうぞ!ムース、お前には悪いが先に仕留めさせて貰うからな!」

「……やれやれ」

 

 

良牙は俺と決闘をする為にムースを倒そうと襲い掛かろうとしている。待てよ、良牙!俺は先にムースと戦って……

 

 

「甘く見られたもんだな」

「がはっ!?」

「な、良牙を一瞬で!?」

 

 

ムースは良牙の右拳を受け止める仕草をしたと思えば、良牙の腕を絡めとり関節を極めて地面に投げ落とす。トドメとばかりに地面に落とした良牙の腹部に一撃を与えて気絶させてしまった。俺がその光景を信じられないと思っていたらムースは俺の方に振り返る。

 

 

「これじゃ仕切り直しって雰囲気じゃないし……そろそろネタばらしといこうか」

 

 

そう言ったムースの笑みはイタズラが成功したような楽しそうな笑みだった。

 

 


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