ムース1/2   作:残月

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ムースの日記18

 

 

 

 

 

□月○日

 

翌日、乱馬の様子を見に行くと見事にへこんでいた。あかねもどう励ませば良いか悩んでる様だ。こればっかりは俺にはどうしようもないな。店に来たらラーメン奢ってやるか。

 

 

□月×日

 

シャンプーの妹分のリンリンとランランが来た。アニメ同様に乱馬を襲う事はなかった。何故ならばアニメや原作と違い、シャンプーは女傑族の掟から解放されているのだ。つまり、リンリンとランランは乱馬を襲う理由がない。まあ、力試しと乱馬に戦いを挑もうとしていたので止めたのだが。

 

 

□月△日

 

出前の帰りに川辺で水を被り、Pちゃんになろうとしている良牙を発見。取り敢えず拳骨を落として阻止した。理由を聞くと「俺はこれからペットとして、あかねさんの傍に居る」と宣言。何を拗らせたんだ?と思ってから、『史上最強!?良牙とムース同盟』だと気付く。俺が原作と違い、乱馬を敵視してないから、この話には至らないと思ってたけど、良牙が勝手に思考を拗らせたらしい。今の乱馬は精神的に傷付いてるから、それどころじゃ無いっての。

良牙って真面目で誠実とは言われてるけど、考えすぎて拗らせるタイプだよな。後、目先の事に捕らわれて後悔するタイプとみた。

 

 

□月□日

 

小太刀が天道道場に嫁入りしようとしていた。乱馬自身が何もしてないのにトラブルが舞い込むのが凄い。小太刀には「乱馬は今、疲弊してるから、あんまり構うな」と告げて九能の家に送り返しておいた。後程、佐助から頭を下げられた。本当に苦労してるね、この人。

 

 

□月◆日

 

乱馬も少しずつ、いつもの調子を取り戻しつつあった。普段から強気な奴だから一度へこむと長いな。あかねも心配してたけど、これからは大丈夫かな。

実を言うと俺は婆さんから話を聞いたり、女傑族の文献調べたりして肉体分離香の安全な使い道がないか調べていた。あのまま、さよならじゃ浮かばれないと思ったからだ。しかし、婆さんが言っていた通り、肉体分離香は正しい心と邪悪な心で分かれるのみで例外は存在しなかった。その例外が乱馬だった訳だが。

 

当面、色々調べた方が良さそうだと俺は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

出前からの帰り道、何故か乱馬に突然襲われた。

 

 

「この間まで、へこんでた割には急に元気になったな。それは何よりだが、少々乱暴だな」

「……ククク」

 

 

乱馬の攻撃を避けてから話し掛けると乱馬はニヒルに笑い始める。中2病が発病したか?

 

 

「せりゃ!」

「おっと、決闘なら奇襲をせずに来たらどうだ」

 

 

乱馬の蹴りを避けた後に俺は乱馬の腹に膝を叩き込む。乱馬の体がくの字に曲がった後、首筋に手刀を落とそうかと思ったが乱馬は体を前宙して逃げる。なんだ、この違和感は?なんか、妙に乱馬の動きに違和感を感じる。悩んでた期間に体が鈍ったか?

そんな事を思っていたら、なんと乱馬は風呂敷を広げ姿を隠したと思ったら良牙に変身した。驚く俺を尻目に良牙は足下に指を突き刺した。

 

 

「爆砕点穴!」

「おわっ!?……逃げたか」

 

 

良牙は爆砕点穴で砂塵を起こし、砂塵が収まった頃には良牙の姿は無かった。なんだったんだ今の乱馬と良牙は。少なくとも本物ではなかったのだろうけど……

 

 

「途中で姿を変えたが呪泉郷にそんな泉あったかな?」

 

 

途中で姿を変える呪いなんて……あ、もしかして。

 

 

「真似っ子けんちゃん……だな」

 

 

思い出したのはアニメオリジナルエピソードの『登場!ものまね格闘技』

あの話、好きだったけど目の前で姿が変わるのは奇っ怪としか言いようがないな。

 

 

 

 

 

 


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