ホテルに到着したは良いけどボロボロのホテルだった。そりゃもうホラーな感じの。
「こんな事だろうとは思ったわよ」
「お父さんったら一番安いホテル選んだわね」
フロントでチェックインをしている早雲さんに聞こえないように、なびきとあかねが話し合ってる。まあ、言いたくなる気持ちもわかる。
そして部屋割りが決まったのだが『俺、乱馬、良牙』『あかね、シャンプー、乱華、リンス、なびき、かすみ、婆さん』『早雲さん、玄馬さん、爺さん』となった。俺と乱馬と良牙は若者で纏めて、あかね、シャンプー、乱華、リンス、なびき、かすみさん、婆さんは女性で固めた大部屋。早雲さん、玄馬さん、爺さんは酒を飲む大人組って感じかな。
各自部屋に移動して休む事に。やれやれ、やっと休めるな。乱馬もお湯を貰って男に戻っていた。
部屋の片隅には温泉のパンフレットがあるので目を通す。
「ふーん、天然掛け流しの温泉……自然に囲まれた露天風呂は絶景で効能はありとあらゆる難病奇病に効果があり、武道の上達にすら効果がある……なんて胡散臭い紹介……っと」
「ありとあらゆる難病奇病に効く……」
「だとすれば……」
読んでいたパンフレットを乱馬と良牙がひったくる。なんか凄い期待した目でパンフレットを見詰めてる。
「「女が(豚が)治るかも知れない!!」」
「いやぁ、コレで治るなら苦労は……」
「「露天風呂に行こうっ!!」」
俺の話を聞かずに乱馬と良牙は俺を左右で挟んで温泉へと連行する。本来だと爺さんが風呂を覗きに行こうとするのを阻止する為に行こうとするんだけど流れが変わったかなぁ。
「おい、二人とも落ち着いて……」
「「行くぞ、行くーぞ。露天風呂!」」
ああ、ダメだこりゃ。完全に浮かれてる。まあ、一縷の望みを掛けて呪泉郷の呪いが治る事を願ってんだな。なんて乱馬と良牙に引き摺られていると温泉の入り口でシャンプー達女性陣が居た。あっちも風呂に入りに来たらしい。
「あっかねちゃーん、シャンプーちゃーん!!」
「ふん!」
「ていっ!」
すると俺達の背後から爺さんが宙を舞いながらシャンプーとあかねに迫るがシャンプーとあかねは拳で迎撃した。お見事。
「あら、乱馬君達もお風呂?」
「ええ、まあ……」
「武道の上達にも効くって聞いたもんだから」
「まあ、体を休める事で武道の上達に効果があるってのは否定出来ないが」
かすみさんの疑問に良牙と乱馬は苦笑いで答える。難病奇病に効くから呪泉郷の呪いが解けるかもなんて期待をしたなんて言えないもんな。乱馬と良牙の二人からの拘束から解放された俺は立ち上がる。
「体を休めるのが武道の上達に関係するんですか?」
「うむ。体を鍛える為に酷使するばかりでは疲弊してしまうからの。キチンと体を休めて回復させる。そしてまた鍛えるを繰り返す事で疲労回復効果を高めるんじゃよ」
「お婆様のお墨付きの効果なんですね」
乱華が俺の疑問に首を傾げると婆さんの解説が入る。流石、年の功だ。即座に正解を出してくれた。リンスにも勉強になったようで何より。
「あっかねちゃん、シャンプーちゃん一緒にお風呂に入ろうよぉ」
「ダメよ、この看板が目に入らないの?」
「私、一緒に入るならムースと入るネ」
爺さんが懲りずにあかねとシャンプーに迫ろうとするがペシっと突き放す。看板には男湯と女湯の文字。つまりは混浴じゃないって事だ。
シャンプーは何気に惚気てくれて嬉しい。ちょっとこっちに目配せしてくれた時はドキッとした。
「残念でした」
「覗いたりしちゃダメよー」
「だーれが覗いたりするもんか!正々堂々と女湯に入るまでじゃ!」
あかねとなびきが爺さんに笑顔で釘を刺すが爺さんはズンズンと女湯に入ろうとした所であかね、シャンプー、婆さんの格闘技経験者が容赦なくぶっ飛ばして爺さんは屋根を突き抜けて外へと追い出された。
「油断も隙もないわね」
「あらあら、雨漏りしないと良いけど」
「この面子が揃ってる中で強行しようとしただけでも凄いとは思います」
「お爺さん大丈夫でしょうか?」
なびきは爺さんに呆れ、かすみさんは空いた屋根から雨漏りの心配をして、乱華はある意味感心していて、リンスだけが爺さんの心配をしていた。
さて、この後は温泉を堪能したいが……湯太郎の出方次第で対応が変わってくるな。