界王神界で戦いが行われていた頃、地上の人間はそんなことも知らず平和な日々を過ごしていた。
勿論あの戦士たちもだ。
「ていうかなんでブウまで連れてきたのよ...パパ...」
ビーデル、悟飯、ミスター・サタン、ミスター・ブウの四人は街のデパートに来ていた。
「だってブウが行きたいっていうんだからしょうがないじゃないか...」
「まったく...パンの誕生日まであと少ししかないのよ?早くプレゼントを買っとかないと」
そんなことを言いながら四人はおもちゃコーナーに来た。
「ねえ?悟飯くん。プレゼントはお人形にしようと思うんだけどうかしら?」
「うん...パンが喜びそうなものならなんでもいいんじゃないかな」
「ビーデル~!こんなのはどうだ?パンちゃんもきっと満足するだろ!」
サタンは向こうにある恐竜のおもちゃを手にとって見せた。
「パパ?そんなので女の子が喜ぶと思ってるの?」
「え?ダメなのか...」
「ならあそこのクッキーがいいな。きっとおいしいぞ!」
ブウは向かいのクッキー屋を指差す。
「駄目よ。お菓子なんて食べたら終わりじゃない。はぁ~あ、こんなことならチチさんも連れてきたらよかったなー」
「・・・。」
夫の悟飯もいつもなら頼りになるがこういう女の子のことになるとめっぽう弱かった。
これもやはり悟空の子であるせいか。
ふと悟飯がポケットの携帯電話が鳴っていることに気づいた。
「もしもし?ああ、母さん。...え?パンが!?」
「そうだべ!ちょっと目を離した隙に窓から飛んでったみてえで...」
チチは焦っているためだろう。早口で喋っていた。
「わかった。すぐ見つけるから。うん、大丈夫」
そう言うと悟飯は電話を切り、他の者に事情を話すとパンを探しにその場を離れた。
「頼んだわよー!悟飯くん!」
「うん!わかった。任せておいて!」
悟飯は気を探れるためパンを見つけるのに苦労はしないが、まだまだパンは幼い。
何かあればそれこそ一大事だ。
「えーとパンの気は...いた!...まてよ?あの方向はまさか...」
そこは悟飯もいったことのある場所だった。
・・・・・
「わぁー!こんなにたかくとんだのはじめて!」
当の本人であるパンは皆の心配も知らず西のエリアを悠々と飛んでいた。
「あれ?あんなたかいところにおうちがある!」
こんな高度の場所に家...そう、パンは今カリン塔に向かっていた。
そこにはいつものようにカリン様とヤジロベーがいる。
「おいカリン様。ありゃ誰だ?」
ヤジロベーが青い空の中にいる人を指差した。
「ん~?どれどれ...ありゃ?なんだか妙に小こいのう」
スタッと幼い身体がカリン塔の広場に降り立つ。
「あ!こんなところにネコちゃんがいる!おじさんも!」
「なんだ?このがきんちょは...おい。おみゃー誰だ?どっから来た?」
「うぅ...このおじさんこわいよ...」
「...おじさんじゃなくてヤジロベーな...」
高圧的に捉えられてしまうヤジロベーの言葉遣いにパンは怖がっている。
「あーお嬢ちゃん?名前を教えてはくれんか?」
「あたしパン!」
「ほう、パンという名前か。で、どこから来たんじゃ?」
「パオズ山からきたの!」
「パオズ山...?確かあそこは孫悟空が住んどった場所じゃなかったかのう...」
「カリン様、冷静に考えたらここまで飛んできたってことはそんじょそこらの人間じゃ無理だがや。どうせ孫の孫だろ」
「そういえば悟空も孫ができたと言っておったな」
などと話し込んでいると悟飯がパンを迎えにやってきた。
「こんにちは!カリン様。ヤジロベーさん。すみません、うちの子がお邪魔してしまって」
「ほらみろ。やーっぱり孫の家のもんだ」
「久しぶりじゃな。悟飯。また少し大きゅうなったんじゃないか?」
「そ、そうですか?」
「それにしてもおみゃーも大変だな。どうせそいつが逃げ出して追っかけてきたんだろ?」
「その通りです...育児というのはなかなか大変で...」
懐かしのメンバーに悟飯もついつい話が進んだ。
「パパー。そろそろかえろ?」
「ったく...元はといえばパンがここまで来たからなんだぞ?....じゃあ僕らはこの辺で。さようなら!」
「おお。達者でな」
悟飯がパンを抱えて飛び立とうとしたその時だ。
巨大な赤い気の玉が尾を引いて遠くに落ちていく様子が見えた。
「な、なんだ?」
その玉は地面に着くとドーム状になって膨らみ、ものすごい爆発を起こした。
遠く離れたカリン塔にも爆風が届くほどの威力だった。
「...!!あそこには..ビーデルさんたちが!!」
場所としては西の都のほぼ中心部に落ちた。
「ビーデルさん...!!サタンさん...ブウさん...うわああああ!!」
「お、落ち着くんじゃ!悟飯!まだ死んだとは限らん」
「で、でもよ。さっきのはどえりゃあ爆発だったでよ...」
「そんなことはわかっておる!だからこそ今さらに悟飯に追い打ちをかけるようなことはできんのじゃ!」
「パパ...ママたちがどうかしちゃったの?」
「ごめんよ...ごめんよ...パン...」
悟飯はその場で泣き崩れてしまっていた。
「はっはっは!どうだったかな?先ほどのショーは」
「誰じゃ!?」
空の上から声が聞こえた。
カリンとヤジロベーが身を乗り出し見上げるとそこにはあのゼソードの姿があった。
ゆっくりと降下しながらゼソードはカリン塔の外で宙に浮いたまま悟飯の正面に来る。
「俺の名はゼソード。この宇宙とは違う宇宙から来た者だ。お前たちは普通の者とは少し違うらしいな。まあ、それも踏まえてこれからさらに盛り上がる死のショーを指をくわえて観ているんだな」
「お前が...街を破壊したのか...」
今まで涙を流していた悟飯が立ち上がる。
「お前が...!!僕の家族を傷つけたのか!!」
「絶対に...絶対に許さないぞー!!!」
悟飯がアルティメット状態に変身した。
その気は魔人ブウと戦ったとき以上のものだった。
そのものすごい気の放出にカリン塔は揺れ始め、柱にはひびが入った。
「うわあー!!塔が壊れるー!」
カリンやヤジロベーは吹き飛ばされそうになり柱に掴まった。
「パ...パパすごい...」
「ほう...やはりお前がこの地上で一番の力を持つ者のようだな。それでこそこの力が試せるというものだ」
ゼソードの言葉など耳に入らない悟飯の目は怒りに満ちていた。
今回は少し長くなりました。
ヤジロベーは原作だと標準語でアニメだと名古屋弁なので、どうしようかと悩みましたがオーバーにならない程度に名古屋弁を入れてみました。