IS インフィニット・ストラトス BREAKERS(旧作)   作:raludo

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今回は本編に出なかった小話。
主に篠ノ之束がIS学園に来た時のお話ですね。


サイドエピソード1

サイドエピソード1-1   篠ノ之束への反応 篠ノ之箒の場合

 

 

私の名前は篠ノ之箒。今や世界最強の軍事兵器、ISを作り出した姉――篠ノ之束の妹だ。

 

はっきり言おう。私は姉さんのことが嫌いだ。

 

私と家族をバラバラにした張本人。姉さんがISさえ開発しなければこんなことにはならなかった。

 

――白騎士事件。

 

思えばこれが始まりだった。

 

日本に迫った二千三百四十一発のミサイル。

 

それを全て落としたのが白騎士と呼ばれる、姉さんが作り上げた世界初のISである。今になっては有名すぎる事件である。

 

それを引き金に私の生活は激変した。

 

開発者の姉さんが失踪したことにより残された私達には政府の監視が付くことになった。そう、重要人物保護プログラムと呼ばれるものだ。

 

そのせいもあって政府の都合で幾度も引っ越しをする羽目になり、家族とは離別。……一夏とも離れ離れになってしまった。

 

とにかく姉さんのせいで私の人生は滅茶苦茶だ。その上、大半の人物からは〝篠ノ之束の妹〟として見られてしまい、私自身を見る人も少なくなった。

 

もう一度言おう。私は姉さんが嫌いだ。

 

――なのに。

 

――なのに!!

 

この人は!!

 

「やあ、箒ちゃん。久しぶりだねー。元気にしてた?私は元気だったよー」

 

屈託のない笑顔で私に話しかけてくる。

 

「……」

 

ここは私と一夏の部屋。一夏は今席をはずしている。

 

――神出鬼没。そういきなり現れたのだ。窓から。

 

いや、姉さんがIS学園に来ること自体は話に聞いていたし、政府の発表も見ているから知っている。

 

「あれれ?箒ちゃん?どったの?」

 

頭上に疑問符を浮かべながらこちらの顔を覗き込んでくる姉さん。

 

「何でもありません。用がないならさっさと出ていってください」

 

正直、今は姉さんと話したくない。己を抑えられる自信がないからだ。

 

私の意思が伝わったのかどうかは知らないが、姉さんは私から少し離れた。

 

そして――。

 

「……やっぱり、許してくれないよね。わかってる。私はそれだけのことをしたもんね」

 

悲しそうな、今にも泣きだしてしまいそうな、そんな表情で、私の知っている姉さんなら絶対に言わないようなことを言った。

 

体に電流が奔った。

 

「でもね、箒ちゃん。これだけはわかって?私の妹は箒ちゃんただ一人だって。私にとって大切な、とても大切な妹なんだって」

 

それだけ言うと、姉さんは入ってきた時と同じく窓から出ていってしまった。

 

「なんだ……今のは……?」

 

本当に姉さんなのか?違う、そんなはずはない。私の知っている姉さんはあんなことを言う人じゃ――っ!!

 

私は重大なことに今更気付く。

 

――待て、私の知っている姉さんってなんだ?私の知っている部分なんて一面だけじゃないのか?

 

もし、もしそうなら、私は姉さんのことを何も知らなかったことになる。

 

あの顔。本当に申し訳なさそうで、悲しそうなあの顔。あれが姉さんの本当の顔だとしたら?

 

分からない。姉さんが、分からない。

 

――いつまで逃げ続ける気だ?篠ノ之箒。

 

声が聞こえた気がした。

 

――いい加減に姉と向き合ってみろ。そうしなければわかるものもわからん。

 

向き合うって、どうすればいい?

 

――ふん、簡単なことだろう?

 

簡単?

 

――人は何のために言葉を使うのだ?今の貴様はただ逃げているだけだ。全てを知りたければ、一歩踏み出し、向き合って見せろ。

 

言葉……。

 

――何、すぐにわかるさ。〝私〟にわかったのだ。貴様にわからないはずはない。何せ〝私〟は貴様なのだからな。

 

そこで、ふと私は気が付いた。そして決心した。

 

今度は姉さんと話してみよう。向き合ってみよう。そうすれば何かわかるはずだ。

 

私の目にもう迷いはなかった。

 

――何せ、語り掛けてきたのは本当の私の心なのだから。

 

 

 

 

サイドエピソード1-2 篠ノ之束への反応 織斑一夏の場合

 

「はろー、いっくん。束さんだぞー♪」

 

「うおお!?」

 

シャワールームでシャワーを浴びていたら、いきなり扉が開かれて束さんが現れた。ちなみに箒は部活からまだ戻ってきていない。

 

「た、束さん!?何してんすか!?」

 

てか、束さんなんでここにって、そっか。こっちに来たんだっけな。

 

「むふふー。やっぱりいっくんは脅かし甲斐があるねえ。束さんもっとやりたくなっちゃう」

 

そう言いながら手をワキワキと動かす束さん。

 

「と、とりあえず、出てくれません?俺シャワー中なんですけど」

 

「あー、大丈夫。聞きたいことがあるだけで時間は取らせないから」

 

聞きたいこと?

 

「白式の調子はどうだい、いっくん」

 

「?どうして束さんが聞くんですか?」

 

白式は倉持技研の機体だ。束さんと何か関係があるのだろうか。

 

「なんとなんと、聞いてびっくり。白式は私が調整したのだー」

 

「え!?そうなんですか」

 

それは初耳だ。

 

「そうなのだよー。それで?どうだい、白式の調子は」

 

「うーん、大丈夫っていうか、燃費が悪すぎてかなりの大飯食らいですよ。武装も雪片弐型一本ですし、まるで聞かん坊ですよ」

 

白式は確かに高性能だ。しかし、その分相当燃費が悪い。武装もいくらワンオフアビリティが使えるからと言って、雪片弐型だけでは辛い。初心者に優しくない機体だ。

 

俺が真面目に考えていると、束さんの目が光った。何かすごく嫌な予感。

 

「聞かん坊?それはいっくんの下半身なんじゃないのー?」

 

くすくすとからかうような、笑みを浮かべ、爆弾を投下した。

 

「ちょっ!?なんてこと言うんですか!?」

 

「キャー、束さん犯されちゃうー♪」

 

「しませんよ!?」

 

あれ、最近俺こんなんばっかな気がする……。

 

 

 

 

 

サイドエピソード1-3 BREAKERSナンバー三

 

「そうか、それでいつこっちに来られそうなんだ?」

 

『そうねえ、そちらの学年別トーナメントあたりになりそうかしら』

 

通信機から聞こえてくる凛とした声。

 

「できれば、トーナメントの前に来てほしいんだが、アイラ」

 

『無茶言わないでよ、紅牙。ただでさえあなたが拾った子の世話で忙しいんだから』

 

彼女――アイラ・クレントは拗ねたような声を出し、抗議する。

 

そう、彼女こそがIS学園に来る三人目の護衛、BREAKERSナンバー三、アイラ・クレント。と言っても長くは留まれず、短期間の護衛任務として来てもらうことになっている。

 

「それは――まあ、悪いとは思っているけど。それで、彼女の様子はどうだ?」

 

『ええ、なかなか優秀じゃない。これならすぐに評価試験をやってもいいかもね。あ、もちろんあなたが試験監督よ?自分が拾ってきた子なんだから、あなたが面倒を見なさい。今は一時的に私が見ているけど』

 

「……了解。とりあえず、そうだな、夏休みにはそちらに戻るから、その時にやろうと思う。上手くいけば彼女がナンバー五か。うちも大所帯になったもんだ」

 

『……そうね。とにかく、トーナメントの日にはそっちに行けるようにするわ。学校行事っていうのは狙われやすいからね』

 

そう、トーナメントは来賓もかなりの数が来る。無論こちらも警備は厳重にするが、狙われやすくなるのは事実だ。

 

「ああ、分かっている。それじゃ頼むぞ」

 

『ええ。今度はそっちで会いましょう』

 

そして俺は通信を切る。

 

すると、隣で静かに報告を聞いていた氷華が口を開く。

 

「学年別トーナメントですか。正直、いくら身内と言え、当日に不確定要素となり得る外部関係者を入れたくはありませんが、今回はそう言っていられませんね」

 

氷華の懸念はわかる。いくら新しい護衛が当日に配備されるからと言っても、当日というのは忙しい。何かと警備が強化されるため人員不足になりがちなのだ。かくいう俺と氷華も当日は警備にあたる。

 

「まあ、仕方ない。有事の際はアイラにも協力してもらうさ」

 

「そうですね。それしか今のところないですね。これ以上遅れさせたら、アイラさんが来られなくなってしまいますし」

 

そして、その後も報告内容を二人で吟味し合った。

 

――学年別トーナメント。何も起こらなければいいんだけどな。

 

それは叶わぬ夢と知るのはもう少し後のお話。

 

 

 

 

 




あとがき

サイドエピソードなため、文字数が少ないですね。次からはいつも通り五千字前後に戻ります。

一夏がネタキャラになってきちゃったな。一応原作主人公なのに。まあ、別にいいかな?

次回は来週になります。暇があったら是非次回も呼んで行ってください。


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