G&K補給基地の日常   作:ソルジャーODST

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ここはG&Kの補給基地……ではなくD08地区の基地。

エーカー指揮官とトンプソンは、この基地で行われる結婚式に参加する予定でこの基地を訪れていた。


「いやー、おめでたいねえ。……本当に倉庫の中にチャペルがある」
「そりゃ、そのためにウチから資材と建設班送ったからなー」
「私達は帰りますね。久々に満足する仕事でした」
「「戦術人形としての仕事は!?」」
「それは別ですよ?」

※コラボ回です。またもや時系列が乱れております。追いついたら並び替えます……いつ追いつくかなぁ※


番外:結婚式

補給基地(HUB)に来てくれた送迎用のヘリに乗りしばらく、眼下に目的の基地が見えてきた。

 

「ボス、着いたぞ。D08の基地だ」

「おお、ここがそうか。ウチ以外の基地は初めてだから新鮮だなあ」

「……なあ、あそこに畑が見える気がするんだけど、気のせいかな」

「立派な畑だね。人形達が耕してるのかな?」

 

今日はこのD08基地にて執り行われる結婚式に私とトンプソンはそろって出席する。いやあ、ウチの建設班によって式場が建つ日が来るとはね。ウチでもカズト君たちに必要かもしれないし、コンテンダーとはまた相談しておかないとな。あと今回のご褒美とかも。そんなことを考えているとトンプソンが頬を朱に染めつつ話しかけてきた。

 

「なあ、指揮官?あたしの格好変じゃないかな?似合ってなくない?」

「よく似合っているよトンプソン。いつもよりも綺麗になっているから安心して」

「いや、綺麗までは言わなくていいから!恥ずかしいし……」

 

可愛い反応をどうもありがとう。今日のトンプソンは以前とは違うドレスをチョイスしていた。あの時のドレスは結構派手だからお呼ばれには向いていないという判断だろう。モノトーンカラーでプリーツスカートワンピースのドレスを身に纏うトンプソン。前のドレスはスカートが斜めのスリットで片脚の見え方が際どいセクシーな感じだったけど、今回は膝丈のスカートなのでどちらかというと可愛い系のドレスだ。とても女の子している感じが普段と凄まじいギャップを生んで不安に思ったのだと思う。いや、そのギャップが非常に素晴らしいですよ?普段が決して可愛くないワケじゃないのだけど。むしろ可愛いと思うのウチのトンプソンは。って誰に対してでもないトンプソン自慢をしている間にいつの間にか着陸していたヘリから、ちょっと慌て気味に降りる。パイロットからの視線が痛かったよ。

 

さて、ヘリから降りた後は受付の為に門へ向かう。すると見えてきたのは……、って目がァ!?

 

「すまないボス。アレは見せられない。ああ、見せるわけにはいかないんだッ!」

「トンプソンよ、いくらなんでもいきなり目潰しはヒドイ。それとあれは記憶が確かなら『イサカM37』でしょ」

「よしボス。頭から記憶を消す準備はOKかな?」

「ちょっと待って!落ち着いて!?結婚式場で流血沙汰はマズイよ!」

 

記憶している限り、イサカは立派すぎる胸部装甲を持っていたハズ。それにトンプソンが過剰反応したワケだ。トンプソンもイイもの持っているんだけどなー。あ、そろそろ目が治ってきた。……ん?

 

「ってダイナゲートがいる!?」

「あれ、ボスは知らなかったか?最近ダイナゲートが結構流通してるぞ。襲撃の時に来てくれたS09地区の基地が開発&販売元らしい。結構な数のバリエーションがあるんだって」

 

目が潰れている間に受付を済ませたらしいトンプソンから説明を受ける。なんかイサカの隣にいた男性職員から生暖かい視線が飛んできているが無視だ無視。……視界の端で受付用の机の下で何か動いているのが見えた気がする。さては君、イサカと付き合っているとかじゃないよね?……離れは1軒で間に合いますか?ってそこは置いておいて、ダイナゲート販売されているの?初耳だよトンプソン。

 

「あれー?ちょくちょくビデオレターとか届いていたんだけどな」

「まあいいや。後で探そうか。……ああ、基地内も結構走り回っているね。バリエーション多いなあ」

「……ウチにも一体欲しい」

 

なら余計に探さなきゃね。っとそろそろ式場へ向かおう。時間に余裕はあるけどギリギリに入るのは性に合わないからさ。そう思って式場へ歩き出しつつ、ふと思い出したのでトンプソンに聞いてみる。

 

「なあ、トンプソン。外に立ってた男二人、どう思った?」

「うん?一人は普通に傭兵って感じだな。ウチらグリフィンと近い仲のPMCなんじゃないか?ほら今日はこの基地の防御が薄くなるしさ。もう一人の……失礼だが半分くらいサイボーグっぽい男はさっぱりわからない。でも一つ言えるのは纏っている雰囲気がヤバい。歴戦なんてもんじゃないぞアレ」

 

さすがにウチの中で最も経験のある人形だけはあって、素早く観察結果を教えてくれる。ああいう人達とも上手くやった方がいいんだろうなウチは。人の戦術に即応できるのはやはり人だからね。どうしても人が敵となることが多いウチとしては他のPMCとのつながりを持つことも視野に入れた方がいいだろうと思う。

 

「ボス、ここが式場だ。……コンテンダーが本気出したなコレ」

「シンプルだけど立派なチャペルじゃないか。これならいい式ができるってみんなに自慢してもいいかな?」

「それはやめておこうなボス。コンテンダーを褒めたい気持ちは分かったから。主役はここの人達だからさ」

 

仕方ないね。さ、椅子に座って始まるまで待とうかトンプソン。……暇だし、べた褒めしてトンプソンを沈めちゃおうかな。

 

「何か企んでいるな、ボス」

「気のせいじゃないかな?」

「何かしようとする前に周りを見てみなボス。各地の有名人がいるぞ。あの指揮官達、結構顔が広いんだなー」

 

トンプソンにそう言われて周りを見回してみれば色々な顔ぶれが並んでいる。失礼ながらかなり小さい体格の女の子、いや女性指揮官がいるな。その子の隣というか周りにはワルサーPPKとP7にステアーTMPがいる。皆、笑顔一杯だね。なんというか幸せな家族って感じがするよ。

 

違う方を見てみれば、今度は整備屋の雰囲気を漂わせている男性とG3を連れた女性指揮官が談笑している。どんなつながりなのだろうかと思って聞き耳を立てて話の内容を組み合わせてみたら、どうも二人ともラジオや動画で銃の解説・銃等の歴史の解説をしているらしい。どうにも私は銃に詳しくないし聴いてみるのもいいかも知れないね。

 

話声が聞こえてきた方を向けば、あれは404小…隊……じゃないな!本部にいた頃に何回か見たし、前に物資調達(つまりぶんどりに)しに来たあの娘達とは違うね!具体的にはG11があんなに背は高くなかったと思う!あと眠そうにしていないだと!?なんかUMP45も気持ちオドオドしているような?あとHK416が英語しか話してません。君はアメリカ人かな?UMP9は…ああそれほど変わらないのか。若干リーダーシップを発揮しているけど。ああいう娘達もいるのかって驚きだね。世間は広いよ。

 

「あ、あの416結構スラング使ってるな」

 

さすがアメリカ製の銃の戦術人形だ。分かったらしい。言葉の中身は推して知るべしというのが彼女からの忠告だった。一瞬「うわ」って顔をしてたから、さすがスラングって感じのことを言ったのかな?

 

今度は何か『マシンガンは素晴らしい』的なことを連発している所があるな……。そっちに顔を向けてその声の主達を見てみると、うーん、彼女達はまったく見たことないなー。ただ雰囲気は人形…かな?銃の名前はわからないぞー。一人ピエロの仮面を付けているのが印象に残るなぁ。

 

「あれ?あいつらってどっかで見たような気がするけど……。あー、思い出せない!たぶん本部にいた頃だと思うけどなー」

「まあまあ、いいじゃないか。他にはー?……『あれ』が何でここに居るのさ」

「『あれ』?」

「主計課からの愚痴が半端じゃない『バルカン』だよ。弾薬消費は湯水のごとく。本人もばら撒くのが大好きだから手に負えない。まあ、鉄血は消し飛ぶから戦果はいいんだけどさ」

 

何やら余興の準備をしているな。実弾以外でも撃てればいいのかな?あっちの『マシンガントークをしているマシンガン』と話が合うと思うよ?

 

ん、あっちにも誰か居るみたいだ。人形かな。

 

「あー、あちらさんはもう一人のHK417だな。HK417の16インチモデルだとかでARらしい。社内報に載ってた」

「あれま。見落としていたのかな」

 

そいつはしまった。というかこれは社内報を読み直さないといけないんじゃなかろうか。結構知らない人が多いよこれ。あー、全然交流を持ってこなかったツケだねこりゃ。

 

「お、ボス。そろそろ始まるみたいだ。さ、行こう」

「はいよ。さ、レディ」

 

トンプソンよりも素早く椅子から立ち上がり、彼女に向って手を差し出す。ちょっと頬を染めながら私の手を取った彼女は照れ隠しらしきものを言ってきた。

 

「なんだ、またかっこつけかいボス」

「その通り。こういう場では格好つけた方がいいのさ」

 


 

「なあボス。新婦が9人って結婚式聞いたことある?」

「いやあ、ないなー。昔の中東諸国ならあり得たのかもしれないけど、少なくとも今は無いだろうね。…たとえ中東でも同時に9人は無いだろうけど」

 

今は披露宴の会場でトンプソンと席につきながら先程の結婚式の感想を話している。まあ、皆幸せそうだったからいいのさ。8人のウェディングドレスに身を包まれた娘達が並んで入場した時は「あれ?417ちゃんはどこ行った」と思ったけれど、一度扉が閉まりそしてまた開かれた時に彼女が立っていたのを見て分かった。「ああ、正妻の座は彼女の物か」と。

 

それにしても、9人も嫁に迎えるとは剛毅だねタカマチ指揮官。ついでに懐の広さには恐れ入るよ。いくら友軍認定された娘とはいえ鉄血のデストロイヤーとも結婚するとは……。ただ、風の噂では彼女に対してある基地の連中がかなり非道な扱いをしていたとも聞いたし、彼のことだから何かしてあげた…いや()()()()()()()。それで彼女も惚れたかな?

 

「そういえば、ブーケトスでまさか君が取るとはね」

「いや!9個あったしさ!?気づいたら手元にあったんだよ!?深い意味はないから、うん。深い意味はないんだボス!」

「どう見てもあるんだよなあ。そろそろ私も考えるべきか。ま、今日明日決めることじゃないし。するなら用意周到にしたいしなあ

「わー!ないったらない!……ってボス何か言った?」

「んー、何も?」

 

なんて話をしていると、新婚夫婦が私達のテーブルへ来た。イチャつきながら各テーブルを回っているのだろうね。ほら周りのカップルが当てられてイチャついているし。

 

「いや、あなた方も大概イチャついていると思いますよ?」

「ん、何のことかな?」

「イ、イチャついてなんかいないし!」

 

なんのことかなー?でもトンプソンいじるのは楽しいよ?すぐに顔を真っ赤にするし、言ってることが可愛いこと可愛いこと。

 

「なぜ結婚しないのか疑問に思うレベルでイチャついてると思う」

「というか時々夫婦感が出てる時もありますよ?」

「ははは。まあそこは置いておいて。お二人とも結婚おめでとう。これから色々と大変だと思うけど頑張ってほしい。戦力という意味ではまったく手伝えないけれど、物資の手配や簡単な施設建設とか裏方業務なら手伝えるからさ」

いつかは私も指輪欲しい……って言いたいなぁ。結婚おめでとう。新婦9人には驚いたけど幸せにな!」

「「今、言えばいいのに」」

「そこは聞こえたらダメな所だなぁ」

「あーあー、私は何も言ってなーい!」

 

あらー、これは新婚さんに「イチャついてる」と言われてもしょうがないね。

 

「これはこれは。今度はそちらへお邪魔することになるのかな?」

「ふふっ。あ、今回のチャペルっていうか倉庫?かな。それと食材とかありがとうございました」

「ん?ああ、そんなに気にしないでほしい。前に助けてもらったお礼も兼ねてるからさ」

「いや、それでも助かった。設計に建設までしてくれたから多少は安くなったし。いや、こんなことこの場で言ったらホントはダメだろうけど」

「でも、ダーリンが貯めてたからできたけど正直結構苦しかったと思うよ?」

 

それはそうだろうなあ。これだけの規模になればどうしても費用が掛かってしまう。ドレスも9人分だし。小さいとは言えチャペルも用意するとなるとさらに高くなってしまうよね。

 

「だから、今回は本当にありがとうございました」

 

そう言って手を差し出してくる417ちゃん。旦那さんの前で握手してもいいのだろうか、と思ったけで所詮は握手だしね。そう思い直して手を握る。……おい、トンプソン。その殺気を通り越して殺意の域に達しそうな視線はどうした?

 

「……ハッ!?いや、綺麗な娘とボスが握手してるのが……ちょっと……我慢できなくてさ

 

すまない二人とも。ちょっとこの可愛い娘には痛い目にあってもらうので次のテーブルへどうぞ。

 

「私は気にしてないですから。ほらー可愛い嫉妬ですよ?」

「……ああ!『痛い目』ってもしかしてそういうことか?ははっ417よ、俺たちはお邪魔虫かもしれないぞ?」

「なんのことかな?ほら、他のお客さんも待ってるし次へ行った行った。……おめでとう、彼女を…()()()()()手離しちゃいけないぞ?

「ボスぅ、ごめんよー!だから許して!」

 

はいはい、許さないから帰ったら覚悟しておくように。可愛いらしい嫉妬がそう簡単に出ないようにしてあげるからさ。

 

「ああ、離したりなんかしないとも。絶対にね」

「さ、ダーリン次の人達の所へ行かなきゃ。それじゃあ楽しんで行ってくださいね!」

 

今回の主役の二人が離れていったからか、トンプソンが抱きつく勢いで謝ってくる。……私が何をすると思ったのやら。基地へ帰ったら私も君との関係をちゃんと考えようと思っただけだよ。そう、いい加減に覚悟を決めようかなってさ。可愛い嫉妬は不安の証拠。私が他の女性に取られるかもって不安さ。ならその不安を取り除くにはどうするか?彼女の不安が無くなるのなら、口づけでももっと深いことでも喜んでしようじゃないか。あの新婚さんに一番当てられていたのは実は私だったのかもしれないね。




カカオの錬金術師様の「元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん」コラボパート2(実質3回目)でした。今回は前(パート1)よりも関わらせて頂いております。
なんかご本家に「いちゃついた未婚カップル」言われたのでイチャつかせたら一線越えかけてる(笑)

さて、ここで1つ言い訳させてください。
本当は月曜中に、せめて火曜にと思ってたんですよ?
そしたら、「よし、いっそのこと式場に来てたコラボ9個分こっちも入れてしまえ」と魔が差してしまいまして。結果がこんな有様に…。

セリフは入れておりません。なぜかって?キャラ把握間に合わないからだよ!カカオさんの気持ち分かったわ!

さらにこの後書き書いてる段階で「よく考えたら関係各所に許可もらってないわ!」って気づいたので、作者様方はお怒りになられましたら連絡ください。急ぎ修正いたします。見てない可能性の方が高いけどね!ウチはどマイナーだわ!恐れ多いわ!(自虐中

以下、この時式場を訪れていたコラボ作品群(順不同)

焔薙様作「それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!」
サマシュ様作「傭兵日記」
Rione様作「ドールズディフェンスライン」
スツーカ様作「指揮官とG3がお送りするドルフロ銃解説」
Big Versa様作「404小隊(大嘘)」
HIKUUU!!!様作「IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN」
杭打折様作「妄想フロントライン」よりHK417-16
通りすがる傭兵様作「ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー」
oldsnake様作「破壊の嵐を巻き起こせ!」

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