街の顔役が未だ姿を隠している。これは街でまだ問題があるということか。
「なーんか、半月くらい夢を見てたような?」
「どこかの青い装甲服の人はもっと夢見てるらしいよ」
「ご主人様、メタなことは言わない方がいいかと…」
襲撃を切り抜け、数日で新指揮官の着任という怒涛ともいえるイベントをこなしたこの基地だが、まだ解決していないことがある。それは街の顔役である『ミスター』といまだに連絡が取れず、さらに彼に近い人間も街で見当たらない。これは、まだあの街に何かあるということだろうか。
執務室で、1人考え込んでいると部屋のドアが開き私の副官たるトンプソンが入ってきた。右手にコーヒー、左手には資料…報告書かな?を持ち、それを読みながらだけど。
「ボスー、FMG-9から報告だ。ミスターが居ない理由も書いてある」
「わかった。報告書見せて」
「はいよ」
彼女から報告書を受け取り目を通す。ザッと見た感じだと、カルトの残党が原因のようだ。殲滅したつもりだったのだけど。ああ、他所からコッチへまた来たのか。うん?これは……。
「トンプソン?」
「ボスなら、今回のカルトが
「…まあね、薬物を信者に使う辺り怪しいとは思っていたよ」
「で、結局は他所で調子に乗ってる犯罪組織のフロントだったワケだ。コイツらの目的はデモンストレーション。
報告書に書いてあることをかいつまむとそういう内容だ。このご時世人間の方が少ないから人形を使った方がいいのではと思うのだけど、普通の組織が使う分にはまだまだ単価が高いというのが人形の実情か…。襲撃の時に大量に襲ってきたけどね。
目的に特化したモノ、つまり特定職業用の人形なら安いだろうし第1世代ならさらに安いとは思う。だがそれでは応用が効かないし、
「でも、あの薬を使われた人達はどう見ても廃人…兵隊なんてものには程遠い様子だったけど
「そこなんだよなー。まだ未完成の薬なのかもしれない。あれじゃ、ただの弾除けにしか……アレ思い出した」
「あーあー。コーヒーはそこに置いて横になるといいよ」
「うぅっ」
もう完全にアレがトラウマだなぁ。ま、トンプソンは置いておいてミスターの方だ。またカルトもどきが戻って来るなら元を叩かなければいけない。とはいえここは補給基地。他地区での作戦行動なんてものは出来ないし、そもそも私にその作戦の立案・指揮を取る自信は無い。組織の大元は別地区の基地に任せるとしてだ。当座の対応としてまた街に潜り込んだバカ共を殲滅した方がいいと思う。検挙していたらキリがないし、あの街で起こる乱痴気騒ぎは世間に知られることはまずないから、一人残らず殲滅する。少なくともあの街の住人なら私達の行動を責めたりはしないハズだ。
「ミスターに帰ってきてもらわないとコチラも色々と苦しいよなぁ。あの人のおかげでウチと街の関係が良好なワケだし。トンプソンも気に入られてるし、君も気に入ってるでしょ?」
「んー?…まぁ、嫌いじゃないけどなあ。昔、ボスを殴ったことだけは許せないけど」
「もうだいぶ前の話だねそれは。トンプソン、復活したらカズト君を呼んでくれ。また街で戦闘するのは心苦しいけど仕方ない」
ここで潰さないと以前の二の舞になってしまう。とっとと片付けましょー。
「ボスってさ、ホントに事務畑出身だよな?最近、指揮がイケイケな感じが…」
「もちろん。トンプソンだって主計課に遊びに来てたから知ってるでしょ。毎日来てたし」
「ま、毎日は行ってないよ!?…確か」
「いや、来てた。間違いなく来てた。君が非番の時は1日中居たよ。…私の席に居座ってた」
「うあー!ナカムラ指揮官呼んでくるー!」
「あ、逃げた」
指揮がイケイケか…。そうだろうか?彼女達が頑張ってくれているし、街の事を考えれば素早い対応がいいと思うのだけど。
「さて、今回はどれだけの出費になることやら。…カズト君も巻き込んでアレするか」
今回、久々に2000文字切りました。
理由?とりあえず、生存報告しとこうかなと。
ここから言い訳ターイム
活動報告にも書きましたが、諸事情で半月ほど完全に離れていましたので皆さんに忘れられたかなーと思っています。で、ささやかながら自己主張しておきます。
元々、この話は離れる前に練っていたのですがどういうオチにしようとしていたか忘れましたので丸っと書き直しました。
整合性はいつものごとく暖かい目で見ておいてください。自分でもツッコミ入れたいのですけどね(笑)
ではでは。