いつもは(比較的)平和なここも、今日は戦火に包まれていた―――
※今回も指揮官の視点となります。
さて、現状を説明しよう。
現在、我が基地は正体不明の
そこまではいい。この基地ではよくある話だ。
いつもなら、
「
って感じで襲撃してくるのに真っ昼間に来るとは。よりによって今日かー。
そう、
複数の前線基地で戦闘が多発し通常の輸送部隊は手一杯。
この基地の守備隊からいくらか割いて臨時編成した輸送部隊も派遣しており普段よりも防衛戦力が少ない。
しかもさらに不運なことにどうも連中は我々と同業者、つまり傭兵を雇っているらしい。
数もさることながら用兵もしっかりしていてかなり押されている。
輸送部隊の帰還までどうにか持たせるつもりだが、正直ギリギリな予感がしている。
基地の地下にある作戦司令室に詰めて少し焦り気味のそんな私に向けて通信が入った。
通信の相手は基地外にて遊撃として防衛部隊を率いているG36からだった。
『報告します。
「SMG隊は一度下がらせろ。予備のダミーを起動させて再編成だ。AR隊はSMG隊の抜けを埋めつつ徐々に下がれ、RF隊はその支援を。MG隊、外壁上へ移動して弾幕を張れ。弾は節約しなくていい。気にせずぶっ放せ。HG隊、RF隊の支援をやめてMG隊の移動を支援しろ。移動後はMG隊へ弾薬の運搬を頼む」
『了解しました。各部隊へ伝えます』
完全に負け戦な指揮だが被害を抑えるため仕方ないな。
外壁はそう簡単に突破はできないし、こういう事態に備えて戦術人形を配置して迎撃できるように作ってある。
外壁で敵を抑えて出血を強いる。迫撃砲とかは見つけ次第最優先で潰す。
元々この基地は蓄えてある潤沢な物資を生かした籠城戦を行うことを前提とした防衛能力にしているからな。よその基地よりMGが多いとかがいい例だ。
おっと、また通信だ。
『こちらM2HB、外壁の上に移動中。で、いいのかい指揮官?容赦なく狙うけど」
『私らの弾丸が当たったらすごいことになるよ?』
『むしろムゴいことになるよ』
「あー構わん構わん。
『りょーかいー。じゃ、配置につき次第ぶっ放すよ。アウト』
M2HBとそのダミーからの通信に適当に答える。いやー、俺なら食らいたくないねぇ。
12.7mmとか吹き飛ぶぞ、身体が。
「RF隊聞こえるか?監視塔に登って連中の頭を押さえてくれ」
『了解です。包囲の状況は?』
「芳しくないな。徐々にだが囲まれてる」
『わかりました。時間を稼いでみます』
「ああ。だが無理はするなよ」
『了解』
RF隊に指示を出し敵を牽制する。とにかく時間を稼いで主力部隊の帰還を待つしかない。
「にしてもジリ貧だなー」
「そうだな、ボス。にしても連中こんな昼間にドンパチするなんて急にどうしたんだろうな?」
つい呟いてしまった言葉にしっかり答えてくれるのは副官のトンプソン。
時々、残念な娘になるがこういう事態では特に頼りになる自慢の副官だ。
「そこなんだがらいつもは夜襲だが今回は初の昼間。何故なのか皆目見当がつかない」
「昼間だったから子供達がいるんだよなー。チッ、奴らの言う人権って奴には子供は入らないのかねぇ」
この基地は民間人もいくらか働いている。倉庫&荷物が多いことと、民間の都市(スラムと言った方が正しいか?)が近いからだ。
さらに慈善事業という程でもないが、子供達に少ないがお金に食事と文字の読み書きを少し教えている。
お金はただあげるのではなく、ちゃんと倉庫の整理や清掃の手伝いをしてくれた子にだけ支払っている。
労働に対して正当な対価を貰えることをこの子達にはしっかりと教える。
未来は子供達が作るのだから大事なことだと私は思う。
おっと脱線したな。
「連中、街の子供達がいること知らないのか?」
「それは無いだろ。街に思いっきり張り紙してるハズだし」
「そう、そのハズだ。連中を片付けたらすぐに調査だな」
「……なんか嫌な感じがするよ、ボス」
「奇遇だなトンプソン。私もだ」
そう、いつもと違う状態だったことを知っているかのような襲撃。
戦力も普段よりも多く強い。間違いなく内通者がいるだろうな。
「はぁ。この間来た新しい業者が怪しいと思うのは私だけかな……」
「やっぱりボスもそう思うかー。でも新規業者がここまで詳しい情報を手に入れられるのかとも思うけどな」
たしかにトンプソンの言うことも一理あるな。
とにかくここを乗り切ってからの話だ。
「子供達の様子はどうだ?」
「スプリングフィールドが一緒にいるよ。あと、FNCも」
「……菓子要員?」
「兼おこぼれ狙いだろうな」
まったく。とはいえ子供達になにかあってはいけない。RFよりも近距離で戦えるARであるFNCもいる方が安心だな。
外はどうなっているだろうか。
しばらく見ていなかったモニターに視線を移すとそこには……。
「……なあ、G36がブチ切れてないか?」
「あの短いスカートの下にどれだけグレネードはいってるんだろうな?」
「というかグレネード使えるのか……」
「使えなくはない、って感じじゃないか?ステンとかよりは投擲の精度悪そうだし」
精度の悪さは数でカバーってどこのMGだ。
曲がりなりにも我が基地のメイド班隊長だぞ。
「ん?アレは……、ダミーか?……G36のダミーは爆弾魔かー」
「あ、ボスも全部は把握出来てないのか」
「ダミーの個性は多すぎてな。それにしても損壊して破棄した後、新品を編成し直すと損壊前の性格に戻るのはどういうことだろうか」
「……まったく同じなのか?」
「記憶含めてまったく差異は無いそうだ。ウチだけらしいがな」
というかここまで個性の強いダミー自体、D08地区のとある基地やS09地区のとある基地くらいしか今のところ居ないらしいのだがね。
「ちなみにウチで他に暴走するダミーは?」
トンプソンが聞いてくる。君のダミーを除くと……
「FALかな?暴走というかワガママなんだよ。紅茶とクッキーを出せと言うダミーとコーヒーにケーキを出せと言うダミーの2体」
「本体は?」
「飲み物はわからんがチョコが好きだな。FNCや子供達とよく一緒に食べてる」
基地のかなり危機に近いと言っていい状況でのんびり会話する私達。
そこへFALから、
『のんびり話をしてるヒマがあったら、状況確認して指示を出しなさい!』
とお叱りの言葉を頂く。
「すまない。で、戦況は?」
『頭を押さえたからか、大分攻撃は緩くなったわ。でもこっちも被害出てるしおあいこね』
「被害は?」
『G36のダミーが大量のグレネードと一緒に爆散したわ』
「そこまで徹底的に爆弾魔なのか……」
『なんか散り際に「私の代わりはいくらでもいるもの」とか言ってたらしいけど』
「……なにがそこまで駆り立てるのか、あとでメイン含めて面談だな」
「ダミー的には間違ってないんだけどなー」
『それと、G36のもう一体のダミーが爆薬を設置しまくってたんだけど』
ダミーはどちらも爆弾魔だったか……。
『なんかどこからともなく電話みたいな物を取り出して「ハイ、もしもし?」とか言ってたんだけど。あと、そのダミーがいつの間にかメガネをかけてたわ』
「……その後に『HAHAHA』とか笑ってなかったか?」
『……笑ってたわね』
深く考えたら負けだろうか……?
とりあえずG36には後で話を聞かないとな。不満とかないかって。
気づいたら爆薬を身体に巻かれてたってことにはなりたくない。
『それはともかく今の内に外の遊撃隊を中に入れることを推奨するわ』
「だな。RF隊、MG隊は遊撃隊の回収を支援だ。トンプソン、SMG隊はどうだ?」
「とりあえずダミーの起動は終了。全員は無理だが何人かはスグに出れそうだ」
「わかった。SMG隊も外壁に展開して弾幕を張れ。敵をクギ付けにしろ」
こちらの利点を最大限に生かすならこれだ。
さて、時間稼ぎついでに他の基地にダメ元で救援要請だ。
誰か来るとは思えないが、しないよりは望みが増えるからな。
続いてしまった。
ほのぼのっぽいのを書いていても、時々は撃ち合いに発展させたくなるのは病気かなー。
G36のダミーは思いつきにより某一流の爆弾魔を超えた爆弾魔さんになってしまった。何故だ…。
???「ヤツら後部座席にM2機関砲を載せてやがる!」
???「総員対ショック姿勢!」
???&???「とっくに対ショック!」
M2を出した弊害でした(笑)
なお、普段は普通にメイド班として普通に過ごしております。