インフィニットオルフェンズ外伝 ~三無を束ねし、煌めきの雲海~ 作:IOノベライズ 制作チーム
「はああああっ!!」
無人機の銃撃を受け、希望の花を咲かせ続ける俺を助けるため、シャルがマシンガンを手に突撃してくる。
だが…ダメだ……。無人機には効いちゃいねぇ……。
「くっ!……待ってて、オルガ!何とかする!必ずオルガは僕が護るから!!」
そう言ってシャルが俺に近づいてくる。
来るなっ!…そう叫ぼうと口を開くより先に、ヤツはそれまで俺に対しては絶対に使おうとしなかった大型砲を接近してくるシャルのリヴァイヴへと向け──
(…って、おい……!何してやがる……!)
「…えっ?嘘…。おる……が………」
大型砲の直撃を受けたシャルのリヴァイヴは、俺の目の前で爆発し、雲海の下へと消えていった……。
「シャル?……シャルゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
俺の叫び声が響く中、誰かからの攻撃で無人機の胸に穴が空き、音もなく撃墜された。
その砲撃が放たれた方向を見てみると、……そこにはセシリアが見えた。
「オルガさん、借りは返しましたが……マニュアル照準が間に合わず、申し訳ありません……!」
「くっ!……待ってろ…!シャルッ!」
セシリアの言葉を聞きながら、俺は即座にシャルの墜ちた先へと向かう。
(…俺は…また…!)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『おい……ビスケット。返事をしろ!ビスケット!』
『聞こえ、ないよ……。オルガ……行か、ないと……』
『ビスケット!』
『オルガ…俺たちで……鉄華団…を……』
『……ビスケット?』
『ぐっ……ヴァァァァァァァァァァァァッ!!!!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
転生する前のあの時の事。
ビスケットを失ったあの時の事。
還るべき場所へ…。そう
俺はその光景をフラッシュバックのように思い出す。
まだ…まだだ……!守らねぇと……!
シャルを失いたくない……ビスケットみたく…したかねぇ!
まだシャルとは一緒にいてぇ!二学期には学園祭だって、修学旅行だってあるんだ……。
まだ、この世界の仲間と……シャルとやりてぇ事いっぱいあんだよ!!…まだ…俺は……!!!
……だからよ。
「もっと加速しろっ!獅電っ!!」
そんな俺の声に応えるように獅電は一気に加速する。
なんだったか、シャルが言ってた。
確か…ISの能力の一つ……そうだ!イグニッションブースト!!
「頼む……間に合ってくれぇぇぇぇ!!!」
____________________________________
あー……。まいったなぁ、焦っちゃった。
あの優しそうなキラさんだから、オルガ以外にはちょっとは大丈夫かも、ってそう思ってたけど。
全然そんな事ないや。思いっきり撃って来るとはね……あはは……。
別にオルガを庇わなくても……オルガにはあの
何やってるんだろう…僕……。
でも、オルガがあのまま死に続けるのは……嫌だ……。
オルガにはあの
オルガに護られるだけの僕じゃ……嫌、だったから……。
オルガを…護りたかったから……。
背中に強く風が当たるような感覚がする。
怖いけど…頑張って下を見ると、そこは一面ふわふわだ。これなら落ちても大丈夫そう……。
……って、いやいや、これ雲海。やっぱダメ。
数秒後くらいに、僕を撃った無人機も墜ちてきて、先に雲の海へと沈んだ。
自分もああなるのかなぁ……。
そうなった後、どうなるのかぁ……。
生身で味わう空中は、正直な所、上も下もあんまりない。
時間の流れもすごくゆっくりだし、ただ間近に迫る雲海の距離だけが全て。
……せめてこうなる前に、もう少しオルガといたかったなぁ。
二学期には学園祭も修学旅行もある。
学園祭は何やるか、まだ決まってないけど…出来ればメイド喫茶とかが良かったなぁ……。
前に着れなかったメイド服…着てみたかったなぁ……。
修学旅行は京都だったよね……。オルガと一緒に京都の町を歩きたかったなぁ……。
そんなことを考えていたら、僕の目から涙が溢れてきた。
空に落ちる涙が煌めいて…とっても幻想的…キレイ……。
「………ごめんね、オルガ……」
そう誰が聞いているかもわからない声を漏らしながら、僕の体もまた雲の海に沈んだ。
雲の中では何も見えず、そしてほんのり湿っているような…不思議な感覚。
よくある漫画みたいに雲は落ちてきた僕を受け止めてはくれず……。
くれ…ず…?
「…ぁ…れ?」
「あやまるんじゃ、ねぇぞ…!シャル!!……ハァハァ」
それは僕が今、聞きたかった人の声……。
好きな人、愛しい人、護りたい人……僕が、「恋」をした人……。
「──むしろ、あやまんのは俺の方だ!……すまねぇ、何も出来なくてよ。だがな…」
「…ぇ」
僕の手を引くのは、その人の……獅電の腕……。
「…「約束」…守れた……ぞ………!」
そう言って、僕の手を掴んだのは僕の好きな人、愛しい人、護りたい人、そして、僕が「恋」をしたその人。
僕はその人の名前を満面の笑みで呼んだ。
「…オル…ガ…?」
「オルガ!!」
シャルロットの手を掴んで雲海を飛ぶオルガの獅電は、まるでお姫様を助ける