インフィニットストラトス…父親になるとは聞いてない!! 作:asterism
目の前の状況に、必死に対応する。
「フラン、済まないがセシルを頼むよ」
「あなた?なにを…」
「これでも父親だしね、それに、技術職とはいえ一応軍人でもあるんだ、ある程度は…できると思う」
とは言え、持ち物はリボルバー一丁、それと使えるかわからない高価なオモチャ。試作品で、試験申請が降りないまま、よく考えると当然だが、仕方ないので鞄に突っ込んでいたモノが役に立つかは不安だが、一か八か。というやつか。と思いながらスイッチを押す。
同時に電車のドアが開く。二体のパワードスーツが、前触れもなく消失する。
「成功か!!」
やった。と思いながら引き金を引く。装備で覆われていない所に当たってくれよ…と思いながら。
・・・・・・・・・・・・・・・
「まぁ、私などこの程度か…」
病室で呟く。一人は無力化できたが、もう一人にボコボコにされた。女性とは言えきちんと訓練を積んだ兵士に、最低限の訓練を受けた研究職は敵わない。うん、検証するまでもないことだね。それでも、救援の到来まで妻と娘を守れたのだから、良かったのだが。
「オルコット主任、たった32時間でAISの有効性が消失しました」
「…タバネ・シノノノの逆鱗に触れたかな?ISに意思があり、コアネットワークというものが存在するというのなら、あの手の妨害兵器はまさしくそれだろうし」
AIS、正式名称は後々決める予定だったがISの搭乗者保護機能を誤作動させる量子ウィルスを強制的に送り込む装置と、絶対防御を誤作動させる電波発生装置をした、擬似的にISを展開不可能状態にする対IS兵器、『ジェラルドのオモチャ箱』と言われている部署、私の名前が使われている事は大変不本意だが、の自信作で、少なくとも対ISフラッシュバンとかよりはマシだろう。ちなみにこれ、ハイパーセンサを誤作動させるモノなので直接的な光や音は発生しない。
「あなた、その…」
「気にすることはないよ、フラン、どちらかと言えばオルコット家にとって重要なのは当主の君だし、そもそも怪我をするのは慣れてる。何より不甲斐ないとは言え、これでも男だ。ISなんてものは関係なく、家族くらいは守りたいのさ…無様だったがね」
「そんなことはないわ…ありがとう」
ふわりと笑う彼女は、女傑だとか言われていることが信じられないほど儚げな美しさを纏っていた。思えば、子供の頃から、この笑顔を見せられるとなにも言えなくなった。そういう意味では、この笑顔に惚れたのだろうし、私は彼女を愛しているのだろう。
「…でだ、うん、このポジションは予想外だよ」
オルコット、IS、因みに娘はセシリア。察しがつくというものである。
記憶を取り戻したのは病院で目が覚めてからだが、うん、知識も記憶もある。元の記憶があってもできるならそうする自信もある。
ジェラルド・オルコット、とある貴族の次男で、オルコット家の婿養子である。職業は軍の研究者。兵器開発部門で、対IS部門の(イギリス基準でもヤバい)マッド共を監督する役割を担っている。…最近、心労から胃薬が増えてる。
「上からは減俸処分…、まぁ、うん、せっかく開発した兵器を32時間で使い物になら無くしたからな。…致命的な所で判明しなっただけましじゃないか?」
折角開発成功したモノを使い物になら無くした責任は重いか。
「やっぱりIS開発機関に移るか…」
前々から勧誘を受けていたところに移る、名誉なことに、女王陛下直属の王立IS開発機関に勧誘されていたのだ。目が覚めたらより強調するような勧誘の手紙を受けた。まぁ、うん、専門の量子通信技術って現行のハードウェアでは限界があるし、…それを言ってはおしまいだろうか。というかイグニッションプランってだめな方の欧州共同開発だよね…、そりゃ、高性能機がほしいという思惑は一致しているものの、すでに雛形の出ている英独ですら設計思想が違いすぎる。大まかなフレームを統一するなら兎も角…というより、工業製品というよりワンオフの工芸品に近い第三世代機で諸々のコネクタや、汎用装備の規格統一以上のことをする意味があるのだろうか…。例えばモビルスーツで言えば、少数量産が精々だったZZやドーベンウルフに代表される第4世代MSだろう。数年で汎用性を突き詰めた第3世代の発展型が主流になることからも言えることだろう。第5世代というさらなるゲテモノが生まれたりもするが、第二期MSは結局そういうことだし…。
とにかく、まぁなんとかなるだろう…。だいぶ勝ち組な生まれだし…。