高町なのは 〜もしraging heartが本領を発揮したら〜   作:厨二留年組

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八神はやて25歳、ミッドチルダ地上保安組織にて高町なのは麾下特別執行部隊副隊長の地位を持つ彼女は管理局本局に所属する武装隊の元へ保安式の教導を行うために来ていた。


八神はやて副隊長主催 春の特別訓練教室

時は新暦。JS事件を発端とした管理局ミッドチルダ地上部隊の解体とそれに続く高町なのはによるミッドチルダ保安組織の設立から5年の歳月が過ぎ、地上と本局の連携がうまく取れるようになってきた。

 

少数ながら圧倒的な実力を持つミッドチルダ保安組織に対して管理局本局は教導官の招待とノウハウの要求を行い、その結果として特別執行部隊副隊長の八神はやてが管理局本局へ向かうこととなった。

 

しかし、管理局本局は知らなかった。ミッドチルダ保安組織の魔導師が強力であるのは戦法や指導方法の問題ではなく、突き詰めた精神論と現人神に等しく崇められている高町なのはへの信仰故である事を。

 

「はぁ、大変やな。全く、私はミッドチルダから片時も離れたく無いんやけど。そもそもなんで私なんや他にいるやろ。」

 

無論、八神はやてである理由はある。管理局本局が要求したのである。理由は多々あるが、高官として人質とすることが出来るだけの地位、下半身麻痺から僅か数十日で復活するタフネス、本局の魔導師にも多い遠距離型の魔導師であること、そして何より不審な行動を行なった場合にフェイト・テスタロッサ執務官が速やかに処理出来る程度の実力である事がなによりも大きかった。

 

 

教導は第36無人世界にて行われることとなった。この世界は人が生息可能な環境であり、かつては住民も存在したが、あまりに獰猛な野生魔導生物が生息していたため過去に住民が全て移住した世界であった。

 

そこに40名ほどの新人局員と八神はやて、そして監視員としてフェイト・テスタロッサが降り立ち、一ヶ月間の保安式教導が始まった。

 

「皆さん。私はミッドチルダ地上保安組織所属八神はやて特佐です。本日はみなさんに保安式の教導を行うために来ました。皆さん今日から一ヶ月間頑張りましょう。」

 

「最初の数日、皆さんには基礎体力を付けて貰います。その後はひたすら実戦です。怪我については安心してください。死んでいなければどんな状態でも治癒魔法で戦闘可能域まで戻してみせますから。」

 

そうして、教導が始まった。訓練校を出たばかりの新人達に対して地獄の教導が行われる。

まずは魔力による身体強化も併用した地上でのランニングだった。しかしただのランニングではない。後ろからはやてが時速72kmの速度で走って追いかけてくるのだ。はやてに一定の距離近づかれるか、コースを外れるとクラウソラスで弾き飛ばされるため初日はお手玉の様な状態になっている者がほとんどであった。数日経てども状況はあまり変わる事なく、大した成長は見受けられない。むしろ、音をあげるものがでる始末である。しかしそれが当然なのだ。数日間で己の限界を何度も踏み越えるなど一般人には到底不可能な話である。

 

「なんや。やる気あるんかいな。私の部下どもなら絶対に諦めずに成長し続けるっちゅうに…」

 

無理である。保安組織の狂信者ども、そのあまりの非一般性により特別執行部隊に組み込まれた彼等が極めて例外なだけである。

 

 

「はい、皆さん。基礎訓練はここまでとして、今日から実戦訓練に入ります。では各々、サバイバルで訓練終了日まで野生魔導生物相手に勝利し、生き残って下さい。」

 

新人達を野生魔導生物から守っていた結界が解除された。

地獄の基礎訓練の終了後に間髪入れずに行われたえげつない行為に文句を付ける気力すら無く、新人達は方々に散らばっていった。

 

 

 

 

 

「アルルゥーーーッ!しっかりしろォッ!走れッ!オイッ!アルル?アルルゥーーーッ‼︎」

 

それは訓練終了の数日前に発生した。2人一組で行動していた新人達の内の一人がある魔導生物に喰われ死亡したのである。八神はやては元より助けるつもりなどなく、フェイト・テスタロッサも八神はやてが動かなければ動けず、誰も救いの手を差し伸べなかったのだ。

その相方が八神はやての前で戻るなり、涙交じりの抗議を行った。

 

「ふざけんなッ!何で助けてくれなかったんだ!あんたは俺たちのことをサーチャーで見てたんだろッ、アルルの足が千切れかけてどう見ても逃げられない事は分かってたはずだろうがッ!」

 

「そうやな。でもする意味が無いやん。今そこに無い、生還という希望を抱きただ前へ突き進めば必ずや生き残れたはずや。もう生き残れないと諦めたから喰われて死んだ。足が千切れかけとったって諦めなければ道は拓ける。分かったらほれ、さっさと戻りぃ」

 

「そんなことがッ…」

 

「可能や。なのはちゃんなら必ず出来る。仮になのはちゃんの足が千切れかけとっても必ずや勝つ。勝って魔導生物を倒しとったはずや。思い描いた理想さえ確かならば逆境になど負けはしないんやから。」

 

「……っ。仲間が目の前でついさっき死んで、まだやらせるんですか。もう、俺たちは限界だ……付き合ってられません」

 

「嘘や。避けられない死別を悲しむんは分かる。せやけど、だからもう前に進めないゆうんはただの逃げや。なのはちゃんはそうやったで。幼い頃は友人の少女を理不尽にも強姦に襲われたことで亡くし、

長じてからはJS事件の折に親友であったレジアス元中将の裏切りすら対峙し、乗り越え、粛清し、決別したんや。」

 

「そんなのは独り善がりの詭弁じゃないですか……勝つことが、強いことがそんなに大事なんですかッ!大多数の奴らはあなた達みたいにはなれないんだ。そんな中であなた達の論旨にどれだけの価値があるというんです!」

 

「なら、その環境が間違っとるだけの話やろ。ええか、強さっちゅうのは絶対値なんや。他者との相関性で変動はせん。故になのはちゃんは孤立を辞さず、ミッドチルダ地上本部の環境そのものを塗り替えた。腐敗した旧体制を駆逐し、理想を実現しながら頂点に立ったんや。歴史が、そして今のミッドチルダが示す通りにや。」

 

「あぁ、そうや。なのはちゃんなら出来たで。なのはちゃんなら出来たで。なのはちゃんなら出来たで。なら、不可能なんてこの世のどこにもありはせえへん。あぁ、なんて人類は素晴らしいんや!未来の光を目指して諦めずに突き進む限り可能性は無限大や!全ては心一つなんや!」

 

「………ッ、………ッ!」

 

 

 

 

 

 

結局、今回の教導の結果は参加者43名のうち28名が覚醒のち生存。

今回の生存者28名は皆、ミッドチルダ保安組織への転向を希望し、無事迎え入れられた。

今回の件を経て、管理局本局は保安組織の魔導師の狂気を認識し、以後連携は必要最小限の規模に縮小された。

 

管理局本局との面倒な折衝が減った結果、最も喜んでいたのは高町なのはその人である事を管理局は知る由もないだろう。

 

「はやてちゃんにまともな教導が出来るわけ無いでしょ?元からそっちに期待なんてしてないよ。でも、示威行為としては最高の成果だったよ。はやてちゃん、お疲れ様でした。」

 

 

 

ちなみに、フェイト・テスタロッサ執務官は今回の件についてたいそう満足しており、次の開催はいつかと問い合わせているが今のところ予定は全くない。

 

フェイト・テスタロッサ執務官による今回の教導の感想。

 

 

「やっぱり、なのははすごいと思った。私は放射能汚染云々のせいでミッドチルダへの侵入を禁止されてるから、これまでのなのはの足跡をはやてと語り合えたのは最高に有意義な時間だったと思う。教導に関しては何も指摘すべきところは無いと思う。はやてはちゃんと新人達と対話してたからいいんじゃないかな。でも、やっぱりなのははすごいな。JS事件の事は小耳に挟んだんだけど今のミッドチルダはそんな状態なんだね。私も頑張って明日の光のために歩み続けなくちゃだね。」

 




我ながらなんでこんなに酷くなったんだろう。あと、フェイトが天然なのは仕様です。まぁ、基準が光の奴隷と似通っているからというのもありますが。
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