お誕生日おめでとう!
なんで……なんでクソバ……いや、お祖母ちゃんがココに……!?
あたしと虹月三姉妹の間に吹き荒れた薔薇霞の中から、お祖母ちゃん……が、“ドールマスター”の称号こそあたしに継承したが、一時代に一人しか認められない最強の証“マエストロ”は保持したままの朝倉弦月は現れた。
真紅のドレスに同じ色のボンネットをかぶった、身長130cmにも満たない蒼き瞳の金髪の幼女……、誰も彼女を見てその正体が御年83歳の老体とは思わないだろう。あたしだってこのババアの身体構造はどうなってるのかと思う。しかし一体何をしに……!
「一体何しに来たのか……って思ってるわね奏?」
「思ってるわよ! 何しに来たのお祖母ちゃん!」
「何しにじゃないでしょう、この未熟者が……。十王のうち四王までも使役しながら虹月のチンドン屋相手にこの体たらく。挙句の果てに奏、アナタ後先も考えず“試演”を出そうとしたわね……? 冥府の十王すらまともに操演出来ない分際で世界を意のままに操ろうなど、身の程を知りなさい。このザマでは六王の継承はまだまだ先だわ」
「あ、あたしはもう“ドールマスター”よ! あたしならお祖母ちゃんを超えられる! あたしにしか超えられない! ママやパパや巴には無理でも、あたしなら“マエストロ”にだって……」
「誰がそんな未来の話をしているの。いまこの時、奏は単なる未熟者だって話をしているのよバカ者め」
お祖母ちゃんの言葉があたしの心に突き刺さる。言われなくたってわかってる、あたしは油断したつもりはないし、このままで済ませるつもりもなかったけど……。
「奏、あなたのお祖母ちゃんて……ホントに!? だってあの姿……」
困惑顔の咲夜があたしに言う。
「あー、言ってなかったっけ? ウチらの業界は外見と年齢が釣り合わないのは常識よ。お祖母ちゃんはさすがに非常識が過ぎるけどね」
「それにしたってあの人どう見ても幼女でしょ!」
あたしたちの問答を聞いて、お祖母ちゃんはわずかに顔をしかめた。
「ったく……奏……だからお前はアホなのよ!」
「ひぃ……ごめんなさああああああい!」
だめだぁ! お祖母ちゃんの叱責を聞くとドールマスターとなった今でもあたしはお祖母ちゃんにビクビクしちゃう! だってこのクソババアのスパルタってホントひどかったんだから! あたしは天才だからバケモノの指導にもついていけたけど、これが可愛い妹の巴ちゃんだったら死んでるわ!
「巴にそんなことするわけないでしょう、奏だから仕込んだのよ」
「……ねえお祖母ちゃん……? あたし、いま口に出して言ってた?」
「奏の顔色見ればそれくらいお見通しね♪」
ははは、バケモノめ。