ヤンデレCDからこぼれ落ちたストーリー集   作:オオシマP

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特に本編とは関係のないエピソード。
※ここだけ少しずつ書き直してます。


track.5 人形遣いとヘンタイ科学者

「に、人形…遣い?」

「そ。なかなかカワイイ子だったでしょ? ただ殺すだけなら別の人形使ったんだけどね」

 

私は背後から右腕を捻られ、地面に組み伏されたままだ。だから相手の顔は見えない、わかるのは相手の声が女性…というより声に幼さが残ってる…? きっと女の子だと思う。

 

「ねえ、そんなことより…あんた、本当に綾小路咲夜?」

 

私はその問いに答えなかった。何をしゃべっても、たぶん…、いや確信できる。情報を与えれば与えるほど、お義兄様に迷惑がかかってしまう!

 

「ねえ、聞いてる? あたしはあなたの名前の確認をしてるんだけど?」

 

女の子が、捻じり上げている私の腕に力を籠める。私はあまりの激痛にこぼれる涙を止められなかったけど、何も言わない。状況が全然わからないけど…お義兄様に迷惑をかけるくらいなら、死んだほうがマシだ…!

 

「いい根性してるわ、ただのお嬢様じゃないってわけ…。でもおかしいわね、略取対象は成人してるはずだけど…。ま、この界隈、外見通りの年齢じゃないなんてザラだし、取り合えず気を失ってちょうだい。騒がれると面倒だから」

 

プシュッという音とともに、私に霧状の何かが吹きかけられる。まずい、きっとガスか何か…何の抵抗も出来なく…。

 

あれ…特に眠くもなんとも…ない…?

 

「ん? なんであんた、まだ起きてんの? 即効性の睡眠薬なんだけど?」

 

仕方ないでしょ! 知らないわよそんなの!

 

「薬物に強い…? まあいっか。悪いけど多少手荒くなるけど眠ってもらうわよ」

 

女の子は、今度は私の首に手をかける。どうやらかなりの力を籠めたらしい。

 

「痛ぅっ…い、痛いよぉ…」

 

私は、あまりの痛みに我慢出来ず声を出してしまう。誰か…助けて…痛い…怖いよぉ…。

 

「え…? なんで気絶しない…? あんた何者…?」

 

「あなたが知る必要はありません」

 

背後で小さな破裂音が響き、同時に私の右手に重くのしかかっていた重圧が解き放たれた。

私はゲホゲホと咳き込みながら、周囲を確認する。女の子は私を開放すると同時に、どこかに身を隠したらしい。

 

今の声は…ユーミアさん?

 

「ご無事ですか咲夜様? まったく…言いつけを守らずに、一人で歩き回るからこんなことになるんですよ」

「ご、ごめんなさい…ゴホッ」

 

ユーミアさんは相変わらず、控えめに表現してもかなりアタマのおかしい、ミニスカメイド服に白衣、デカ丸メガネにネコミミカチューシャというわけのわからない格好をしていた。でも、今ほどファッションセンスの欠片も感じられないユーミアさんが頼もしいと思ったことはない。

 

「咲夜様…また何か失礼なことを考えましたね?」

「イイエ」

 

私は機械的に答えを返す。

ソンナコトチットモカンガエテナイヨ?

 

「まあいいです。人形を使役するこの手口…もしかして奏さん? お話するのは何年ぶりかしら。こんなところまで出張公演なんて…高名な亜桜人形劇団も仕事を選ぶ余裕がないと見えます」

 

ユーミアさんは、独り言のように問いかけるが、それが先ほどまでいた女の子に向けてのものであることは明白だった。

 

「折り紙に殺傷力を付与する…ね…、あんた、()()()ユーミア? 綾小路に潜り込んでるって話は聞いてたけど、もしかしてあたしの邪魔をするつもりかしら?」

 

さっきの女の子の声が、ユーミアの問いに返事を返す。でも声が変に反響していて、どこから話してるのかわからない。

相手がどこにいるか、それ自体を全く気にもかけない風で、ユーミアさんは会話を続ける。

 

「退いてください奏さん。どうせ世間知らずな依頼主に『死季嶌の横槍は入らない』とか言われたんでしょう?」

「まあね…、だいたい()()()()()とやるつもりならもちっとマシな装備持ってくるわよ」

「それを聞いて安心しました…稀代のドールマスターに本気で挑まれれば、ユーミアなど命がいくつあっても足りません。そもそも我々がぶつかることが前提の依頼の場合、相応の代価が必要なはずです。どうせ貰ってないんでしょうし、それでも…やります?」

「御免被るわ。あー無駄足かー、契約違反ねこれは…いい加減な依頼してくれちゃってあいつら…しめるか」

「ご愁傷様」

「じゃあね、あとそのバカ丸出しのアタマ悪いファッションいい加減やめたら? よく恥ずかしくないわね? あたしが可愛い衣装縫ったげよっかー?」

「殺すぞ」

 

ユーミアさんの最後の言葉に対する返答はなかった。

私は脱力して膝から崩れ落ちる。

 

「ねえユーミアさん、さっきの女の子…知ってるの…?」

「古い昔馴染みです、元同業者なんですが…咲夜さんは知らないほうが良いでしょう」

「でも…」

「桐夜様にはナイショです、女の過去には色々あるんだぞ☆ テヘペロ☆」

 

ユーミアさんは、舌を出して、ピースサインを頭の前に掲げた。

この女、本当にアタマ大丈夫かしら…。




いや、とっとと物語の核心に入るつもりだったんですが、なぜか奏を出してしまいました。奏の出演CD(らぶバト!)はもう作れないのでこんなとこでしか出してあげられないのと、自分が作ったキャラの中ではTOP3に入るくらい好きなので、原作者のエゴです。奏はらぶバト!ヒロインの中で唯一のヤンデレヒロインだし、ヤンデレCD3のヒロイン・巴の姉なので、ここに出てきても間違ってはいない。ちなみに、奏は伊瀬茉莉也さんに演じていただきました。すげー良かったです。
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