「妖精……ですか」
「はい。私とチルノちゃんと他にも居るんですけど、皆優しいですよ」
博麗神社へと向かう間、大妖精の話を聞いていた。
「ではその羽も?」
成華は大妖精の背中を指す。
大妖精とチルノの背中には羽が生えていた。
チルノの羽はどちらかと言うと羽とは形容し難い形をしていた。
それはクリスタルのようなものが彼女の背中に左右で3つづつ、計6本浮いているだけだった。
「はい、飾りじゃないです。動きますよ。ほら」
大妖精がそう言うと、彼女の羽が羽ばたく様に動いた。
川沿いを歩いていると、チルノは魚が氷漬けにして遊んでいた。
それを大妖精が見ると、急いで駆け寄った。
「あっ……もう!! チルノちゃん、魚が、可哀想だよ」
しかし、成華にはチルノが川で遊んでいる背中しか見なかったのでチルノが魚を氷漬けにしているのは知らなかった。
数分後、
大妖精とチルノに連れられてたどり着いたのは質素で小綺麗な神社だった。
「ここが博麗神社ですか?」
と質問し、大妖精とチルノが、
「はい、そうです」
「そうよ!! あたいに感謝するが良いわ!!」
と答えるのと同時に別の声が響いた。
「ええそうよ」
そこには紅白の巫女服を着た少女がいる。
その女性は可愛いらしくもあり、凛々しい出で立ちの少女で、女である成華でも見惚れる程だ。
「貴方は?」
「博麗霊夢。この神社の巫女よ。
貴方の名前も聞いてもいい?
あ、チルノと大妖精は帰って良いわ。
この人をここに連れて来てくれたのは感謝してるけどお賽銭は入れて行ってよね」
そこに立っているチルノと大妖精はそう言われると、それぞれ5円づつ賽銭箱に投げ入れて成華に別れを告げ、帰って行った。
「あ、霊夢さん。お願いします」
「霊夢!! あたいに感謝するが良いわ!!」
「……。あー、はいはい。ありがと」
霊夢と名乗ったその少女はやけに上から目線のチルノを適当にあしらい、成華に向き直してこう言った。
「改めて、私は博麗霊夢。
霊夢で良いわ。貴方は?」
「わかりました。霊夢さん。そうですね。私も名乗りましょう。
私の名前は成華、それだけです」
大妖精に聞いた話では、博麗霊夢は結界の管理と異状事態の対応……もとい異変解決の仕事を請け負っているのだとか。
だからなのか成華は博麗霊夢と名乗ったその少女から圧倒的な力を感じていた。
「霊夢さん、貴方から見た目で判断するべきではない力を感じます」
霊夢はそう言われると、少し感心した表情を見せ、
「まあ、私の程度の能力は弱いからね。
だから霊力と筋力を鍛え抜いたわ」
「程度の能力……ですか?」
成華は幻想郷のシステムについてしか知らなかったため、程度の能力を知らなかった。
「あ……そう。知らなかったのね。ごめんね」
霊夢は申し訳無さそうな表情を見せた。
「いえ、謝らないでください」
「そう。じゃあ程度の能力について説明するわ」
彼女は優しい表情に戻り、成華は黙って耳を傾ける。
「程度の能力って言うのは簡単にいえば外の世界で言うところの超能力ってやつの類かしら。
たまに程度の能力が発現する人がいるのよ」
成華は少し納得し、こう質問した。
「成程、ありがとうございます。
その、程度の能力を霊夢さんも持っているんですか?」
彼女は
「ええ、持ってるわ」
と答え、宙に浮きだした。
「これが私の能力よ。
名前は宙に浮く程度の能力」
「凄いですね。宙に浮くなんて初めて見ました」
霊夢は浮きながら、成華の顔ををじっと見つめはじめた。
「? ……。どうしました?」
霊夢は溜め息を吐いた。
「……はぁ……。
幻想郷の実力者なら大体飛べるわよ。
それより成華だっけ? 多分程度の能力、貴方にもあるわ。結構前からあるっぽいわよ。
能力自体はわからないけど」
そう言うと、霊夢は「魔理沙に調べて貰おうかしら」と呟き、成華をどこかへ連れて行った。
「成華、ちょっと時間あるかしら」
数分後、霊夢と成華は【霧雨魔法店】という看板の店に来た。
どこからともなく濃いきのこの香りが漂っている。
「やっぱりきのこ臭いわね」
霊夢がきのこ臭さからか顔をしかめると、何かを思いとどまった後にドアを強めに叩いて、
「ねぇ!! 魔理沙、居る?」
と叫ぶと、中から声がした。
「あぁん? ……霊夢か。今日はやけにノック小ぃせぇな。
そんなんじゃ聞こえないぞ?」
ガチャ。という音と同時にドアが開くと、白黒の魔法使いの格好をした金髪ロングの少女が出てきた。
「どうした霊夢。私になんか用か? ……誰だてめー……じゃなかった」
その白黒の魔法使いの格好をした金髪ロングの少女は咳ばらいをして言い直し、
「ンンッ……まずはコチラから名乗るべきだったな。
私の名は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ」
ここまで読んで下さってありがとうございます。
次回もお楽しみに。