「誰か居るのかい?」
誰か居るのかい? そう聞こえた。
静かに響いていた足音が消え、聞き覚えのない声が響いていた。
「誰だ……誰か居るのか?」
魔理沙が声を張り上げるが、返答はない。
2人は箒を使ってゆっくりと井戸の底へと降下する
スタッ、という着地音だけが響き渡る。
2人は辺りを見渡すが横穴はそこそこ暗い為、真っ直ぐ暗闇が続く事位しか分からない。
シーン、と静まり返る。
枯れたとはいえ井戸だったこの場所にピチャッ、と雫が滴る音も鳴らないのは不気味だ……と、魔理沙は感じていたがなにも考えずに薄暗い道のりを進む。
「姿を見せて下さい」
突然に成華が声を張り上げる。
「「わぁっ!!」」
魔理沙ともう1人が声を上げて驚いた。
ドンッ、というまるで驚きのあまり尻餅をついたかのような大きな音を立て、姿の見えぬ声の主は
「いたたた……」
と声を上げ、薄暗い横穴の中で成華はその声を眉ひとつ動かさずにその声の主を探る。
静寂に包まれた横穴で耳をすませ、辺りを見渡し、声の主を探すが目がまだ暗闇に慣れていないのもあって、一向に見つからない。
一拍置いて声の主は2人に問う。
「君たち、私を探しているのかい?」
「ええ、そう。私は姿を見せて下さい、と言ったの。
3度目は言わせないでください。無駄ですから……」
成華が答えたが、イラついているのが部分的に口調が今までとは違う所を見ると分かる。
察した声の主は答えた。
「ああ、怒らせてしまったかい?
それはすなまなかった。
だけどごめんね。今は私の姿を見せる訳にはいかないんだ。
私のことは適当に呼んでくれてもいいよ」
成華が答えた。
「……わかりました。
取り敢えず貴方は……」
「お前はジャックだ」
成華が呼び名を考えようとした瞬間に魔理沙が決めた
「……は?」
あまりに意外なネーミングにジャックと名付けられたその声の主は言葉を失った。
「魔理沙さん、なぜジャックなのですか?」
成華が聞く。
「名前が分からない奴をジャックって呼んだりするってどこかで聞いた事があるんだ。
だからお前はジャックだ。
よろしくな! ジャック」
ジャックは、「ちょっ……」と何かを言おうとするが彼女は気にせず、ジャックを"ねいてぃぶ"な感じで言いながら答えると、ジャックが溜息をついて言った。
「はぁ……なるほどね。わかったよ。わかった。
けど男っぽくないかい? 私一応、女なんだk……」
「いいや、お前はこれからジャックだ。
第一ジャック、お前男とか女とか言ってなかっただろ?」
そう食い気味に魔理沙が答えると、ジャックが
「えぇー? そうだけどさぁ……」
魔理沙は気にすることなく質問をした。
「なあジャック、こんな所で何してんだ?」
彼女はまた、ジャックを"ねいてぃぶ"な感じで言って続けた。
辺りを見渡すが、まだ目は慣れていない。
「……こんな暗い所で、しかも姿まで隠してさ」
ジャックは数秒間悩む。
「……その質問には答えられない。
企業秘密というやつかな?」
そしてジャックはこう続けた。
───ここからは取引だ。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
次回もお楽しみに