とある科学で世界最強(超不定期)   作:和ん子

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 何も書くことがない┌(_Д_┌ )┐


リアルチュートリアル&なお、最下位は除籍(するとは言ってない)

 

 

 グラウンドに名前の順で男女別れて並ぶ。さっきのタイムを意識したのか、皆声を出さず静かだ。

 

 「んじゃこれから行うのは個性把握テストだ」

 「「「個性把握テスト!?」」」

 「入学式は?」

 「ガイダンスは!」

 

 「うるさいぞ。俺はお前達をたった三年間で立派なプロヒーローに育てなきゃならない。入学式とかそんなものを悠長にやってる時間はないぞ」

 徹底した合理主義。それが相澤消太の根幹だ。効率的とも言えるがその言動からジャンルもアングラーヒーローとなっている。

 

 科学者でもある俺としては理に適っており好ましい人物だが、他の生徒から見ればどうだろうか?少なくとも、普通の感性を持つ親は彼の元に子供を預けようとは思わないだろう。

 何故か?

 

 「文科省は未だに個性を禁じた画一的な記録を行なっているが、怠慢だな。これから行う体力テストは各々の個性を解禁して記録する」

 「個性解禁!?」

 「個性を使っていいの!」

 「黙れ。身体を壊すのは自重しろ。それを踏まえて今の自分の限界を知れ。わかったな!」

 「「「はい!」」」

 

 懐からタブレットを取り出して何か操作すると雄英の敷地内に何台もいる警備ロボが大量のボールを運んできた。

 

 「爆豪、中学の時のボール投げの記録は?」

 「67m」

 「ではこれを個性を使って全力で投げろ。遠慮するなグラウンドから出ても回収できる。あと円から出なければ何をしてもいい。意味がわかったらさっさと投げろ」

 「じゃあ……死ねえぇぇ!」

 「「「……しね?」」」

 

 投げる直前に掌を爆破させて飛距離を伸ばすか。アイデアとしては単純だが、それ故に強力だ。相澤先生の持つタブレットから無機質な音声で記録が読み上げられる。

 

 ピピッ『記録、705.2m』

 

 普通じゃ絶対に出ない記録にクラスが浮き足立つ。今まで外で個性を禁じられ抑制されていた欲求が爆発した瞬間だった。

 

 「スゲー!才能マンかよ!」

 「ホントに個性が使えるんだ!」

 「ナンダコレ!『面白そう』!」

 

 だが、それも長くは続かない。

 

 「『面白そう』、か。この三年間をそんな腹づもりで過ごす気か?……よし、では成績最下位者には見込みなしと判断して除籍処分としよう」

 「「「えぇぇぇぇ!?」」」

 「そうすれば君達も本気を出さざるを得ない。実に合理的だ」

 

 生徒からのブーイングも物ともせずにピシャリと言い放った先生はもう既に最初の種目の準備に取り掛かっている。

 さて、本気を出せと言われたがどこまで出せばいいんだろうか?そんなことを考えていれば八百万率いる女子達が集まっていた。

 

 「除籍って本気だと思う?」

 「いえ、嘘に決まってますわ。ですが最初から見込みなしと判断されては困ります。私は常に上位を狙いますわよ……ですので、あの、個性を使うので少し壁になってもらえませんか?」

 「いいよー!」

 「葉隠、お前透明だから全然隠れてないだろ。八百万、隠せるものがいるなら光学迷彩のマントがあるが、使うか?」

 「お借りしますわ」

 「……なんてもん持ってんのよ。というか今どっから出した!?」

 

 耳郎のツッコミにキレが掛かるがスルー。そういうものだと思ってくれ、と曖昧に説明すれば個性と勘違いされた。歴とした科学なんだがな。

 マントで隠しつつどうやら上を脱いだようだ。何をするのかと興味深しく見ていれば背中の部分からいきなりスクーターが生えてきた。その他にもテストに使う為の道具が色々出て来る。

 

 「これは……凄まじい個性だな」

 

 そして危険だ。運用方法を間違えれば彼女一人で世界を敵にできる。発動と物の制限はなさそうだが、あったとして大したものじゃないだろう。

 

 「ありがとうございます。ですが構造や構成物質を把握しなければ創造することができませんの」

 

 それが本当なら逆に言えばどんな物質でも設計図さえわかっていれば創り出せるという訳だ。これは俺の『未元物質』に匹敵する万能性がある。いや、それ以上だ。

 それに八百万自身気づいている様子はない、いや家ぐるみでそう教育されているのか。危険な思想を持たないように。そういう訳なら俺が口出しするのはお節介か。

 

 「だが、学校でスクーターなんて乗れるのか?」

 「あ……つい」

 

 どうやらこのお嬢様は天然らしい。種目が始まる前に先生に確認しに行き、俺のアドバイスで「本当に必要なのはテクニックです」と言ったら受理された。まじかー。

 八百万は大抵の乗り物の操縦技術を持ってるらしいからスクーターを運転しても問題ないんだろう。持久走辺りで使うのだろうか?

 っとそうこうしてる内に俺の番か。

 

 「次っ、砂藤、篠ノ之!」

 「っはい」

 「今行きます」

 

 二人一組に測る50m走。隣は名前からして甘そうな大男の砂藤だ。その体型からパワー系であることは一目瞭然だから普通にやっても俺とは勝負にもならないだろう。

 

 今更だが『心理掌握』による個性の把握はやってない。

 個性を知っている矛盾をなくす為もあるが、初めから知っていては面白くないからだ。だが常にリモコンは持ち歩いているし、その気になれば指を鳴らして意識を奪うこともできる。

 

 「はじめ!」

 合図があり、演算を簡略化する為にゴール地点にいるイレイザーの隣に座標を設定する。

 

 ヒュン。

 

 風切り音が鼓膜を振動させ、思い通りに飛べたのを確信した。ちゃんとゴール地点の線の上に立っている。

 

 ピピッ『0.14秒』

 お、前より速くなったな。

 

 「「「うわぁああああああ!!?」」」

 「「「速ぇええええ!?」」」

 

 クラスの全員が驚愕といった顔で砂藤のみがまだ驚きつつも懸命に記録を縮めようと走っていた。何故皆がこうもオーバーに驚いているかというと、俺の前に出た最速記録がどう見てもこの種目に有利な『エンジン』という脹脛にマフラーを付けた飯田の記録、3.04秒だと思われていたからだ。

 

 その所為で何人からは強い敵愾心を向けられている。元々ノーマークだった奴がこんな記録出せばそうなるか。その視線の中にあの推薦組の轟のもあった。八百万は……普通に賞賛だな。あの子らしい。

 だがこれで俺の個性は『瞬間移動』系に勘違いしただろう。同じクラスと言えども試験ではライバル同士、探り合い位は普通にする。光学迷彩のマントを見せた耳郎辺りには物を瞬時に移動させる『テレポート』に思われてそうだ。

 砂藤もゴールして待ち時間に皆の元に戻る。案の定キラキラした目で興奮している連中に囲まれた。

 

 「オイ篠ノ之!お前ヤベー奴だったんだな!」

 「俺は最初から只者じゃないって思ってたぜ!」

 「すごいよ篠ノ之君っ!」

 「すごいな完敗だ篠ノ之君!ぼ、俺ももっと精進しないといけないな!」

 「オイコラクソオールバック!テメェ調子乗ってんなよ!」

 「マジで才能マンじゃんか!」

 「さっきの消える布といい覗き放題じゃねーか!羨ましいぞ!」

 「ホンマすごいねぇ」

 「あの飯田君のスピードを上回る記録……超スピード?いや速さだと空気抵抗で……テレポートか!ならその距離と転送できる重量は……ブツブツ」

 

 なんかあそこだけブツブツ言ってて不気味なんだが……。

 実験が煮詰まった時の束みたいなもんだと思っとこ。束なら俺の知識でインスピレーションが湧いたり活路を見出したりするが、彼はそこまで天才肌とは言えないしさっきも言った通り同じクラスメイトでもライバルだ。

 どんな個性か知らないが、わからないからこそ慢心せず油断なく対処できる。

 

 「お疲れ様でしたわ」

 「おう、ただいま」

 「うわ、何今の熟練夫婦みたいな会話」

 「ふうっ……!?」

 「おい三奈、あんまり苛めてやるな。八百万も揶揄われただけだからそんなに反応するな」

 俺も混ざりたくなるだろうが。

 

 「そ、そうですわよね!オホホ!わ、わかってましたわ!」

 「およよ、ごめんねーヤオモモ〜」

 「や、やおもも?」

 

 三奈は八百万に渾名を付けて会話を繋げている。思った以上に個性に関する詮索は少ないな。まあ、普段から個性使用の抑制やマナーがあるのだろう。

 体力テストの個性解禁で皆それぞれの個性を創意工夫して挑んでいく。俺も錯乱目的で個性を乱用する。一応担任から本気を出せと指示が出てるし問題ない。

 

 握力は『念動能力』で一位。

 

 立ち幅跳びは『一方通行』の風を使い二者同率一位。ちなみにもう一人は爆豪だ。

 

 続いて反復横跳びは二位。峰田の個性が面白すぎる。あれは俺にはできない芸当だ。

 

 上体起こしは『正体不明』の能力で肉体を強化して全力……は支えている奴らが吹っ飛ぶので個性ありきの常識的な範囲でやった。具体的には一秒に三回のペースで。勿論一位だった。

 

 長座体前屈はまた『念動能力』で測りを押し続けた。最終的に針金を出し続けた八百万と同率一位。

 

 持久走で八百万があのスクーターに乗っていたが、俺は『座標移動』で移動を繰り返し二位の八百万と大差をつけてゴール。

 

 次が最後の種目、最初に爆豪が投げたボール投げ。

 目覚しい記録は麗日の∞だな。触れたものを無重力にする個性で空気抵抗以外無くなったボールは落ちることなく肉眼で見えなくなった。落ちて記録もないのでこの結果なのだろう。今も空を漂っているようだ。

 

 俺の番。先程同様円の中なら何をしてもいいらしいから最後だし大盤振る舞いだ。まず麗日の『無重力』を越える為『一方通行』で重力やら空気抵抗やらで起こるベクトルを反転、全て投げた方向に向けて『噴出球体』で秒速2000mまで内部加速させた風の球体で推進力をあげる。そして駄目押しとばかりに『絶対等速』をボールにかけて壊れない限り同じ方向に同じ速度で進み続ける能力を使った。

 投げる瞬間に風を解放させれば指向性のある暴風に乗せられたボールが目で終えない速度で空の彼方へ消えていった。音速を超えて第二宇宙速度に達したはずだから今頃宇宙に進出しているだろう。

 

 二投目を投げる必要もなく円から出た。皆の表情はお察しだ。もうこの短時間で見慣れたな。ただ棒立ちの状態から音を超えた時の爆音を轟かせて腕だけで投げたからな。もう化物認定は避けら、

 

 「素晴らしいですわ篠ノ之さん!全ての競技において上位を維持されるなんて!」

 そう。この種目で麗日と同じ∞を出した時点で総合成績一位は確定した。

 「ありがとう八百万」

 「……あの、失礼ですが篠ノ之さんの個性は一体何なのでしょうか?」

 

 やはり個性の詮索はマナー違反か。それを承知で聞いてきた八百万、にあわよくばと出歯亀を決め込む近くのクラスメイト。

 ここで嘘をついてもいい、八百万の個性はそれ程脅威だ。敵対しても負けることはないが簡単に軍隊を作ることができる優れた個性であることに変わりはない。

 だがそれ故に俺は彼女がどこまで成長するのかが見たくなった。

 

 「いいぞ」

 

 俺と八百万を囲んで空気の振動を反射する。いつもとは違い周囲へ音が漏れないようにした。

 

 「俺の個性は『科学』だ」

 「科学?学舎で習うあの?」

 「そうだ。俺は自然科学で解明された事象を個性で再現できるって訳。理解したか?」

 「そ、それは素晴らしいですわ……同じ推薦生でも私の個性は」

 何故か八百万が悲観しているようだが、それは違うと首を振る。

 「八百万、お前の個性はすごいぞ。確かに知識がなければ無用の長物だが、お前の家は金持ちだ。殆ど何だって手に入る。手に入るという事はそれを知る機会がある」

 「……」

 「お前はまだまだ伸びるよ。お前の知識と家柄はお前の個性の一端だ。上手く使えば俺よりもヒーローとして活躍する。必ずな」

 

 どの口が言うんだろう。俺はヒーローになる為にここに入学した訳でもないのにな。個性を使うのに資格が必要で、俺のは個性ではないが誰も知ることはない。

 

 「わかりましたわ。篠ノ之さん」

 「何だ?」

 「貴方の教えに感銘を受け生まれ変わったような気持ちですわ。先程の非礼な振る舞い、申し訳ありませんでした」

 「気にしちゃいない。それに、いつかバレることだ。お前が悪戯に広めなければ構わない」

 「寛大なる処置に感謝を。そして可能ならばこれからも手解きをして頂きたいのですが……」

 

 まさか八百万の方から言ってくるとはな。嬉しい誤算だ。俺はそれを快諾してそろそろ順番だからと彼女を見送る。反射膜は解いておいた。

 

 「ねーねー、さっきヤオモモと何話してたの?」

 「俺の個性を羨ましがってたんでな。少し背中を押しただけだ」

 「かっくいー。で、それ私も聞いて大丈夫?」

 「残念だったな先着一名様に限る」

 「ちぇー」

 「それはそうと葉隠。盗み聞きはよくないな」

 見えないはずの彼女の頭をぐわしと掴んだ。

 「え、あっいた!イタタ!流石握力一位ッイ"」

 「おいたが過ぎるぞ。ったく気になるなら直接聞きに来い。教えてやるかは別だが」

 「それじゃあ意味ないじゃん!あー、痛かったぁ」

 「次やったらもっと痛いぞ。これに懲りたらもうやめろよ」

 「やだー」

 

 それはどっちのやだなのか。透明だからバレてないと思ったか、少し涙目の彼女の顔は確かに笑みを浮かべていて今のように気兼ねしない方が付き合いとしては正解なのだろう。

 

 「あ、八百万さん終わったみたいだよ」

 「なら後は成績発表か。ほらいくぞ」

 「はーい」

 

 

 

 当然の結果として、複数の種目でトップをもぎ取った俺が総合一位になった。八百万や轟も二位、三位をキープしており推薦生の威厳を保つことはできただろう。

 意外とこっちの対策できる個性はないんだろう、データバンクにアクセスして得た入試結果とその詳細で首席だった爆豪も四位に収まっている。

 だが誰もそれ以上はなかった。全て事前に知っていた通りの結果だ。入学通知が来てから何も変わっていない。それに今はテストだからいいものの実地なら対応できるのか?……無理だろうな。

 

 「あ、ちなみに除籍は嘘な。君達の能力を測れる合理的虚偽」

 

 誰もが最下位の冴えない少年に同情と安堵の表情を浮かべていた中しれっとこぼした担任の言葉に生徒一同驚愕のあまり変顔を披露する羽目になる。

 俺も多少驚いていた。イレイザーがこの手の冗談を言わないし撤回することも中々ない。だからこそ、あの緑谷という少年に見込みを感じたということ。

 そう思わせるだけの信頼があった。

 

 ま、それもそれでもう何度目かの高校生活に面白みができたというものだ。

 

 




 
 本日の解説。
 
 オリ主の記録がぶっちぎりすぎ。
 そりゃあまあ能力を存分に使ってるからね。ちかたないね。
 それに加えて諸事情により篠ノ之君の身体能力は束と同等。あるいはそれ以上だと思っていただければ。
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