とある科学で世界最強(超不定期)   作:和ん子

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 今回はほんの少し少なめ


戦闘訓練はホームでアローン&自分的個性独自考察注意 (後編)

 

 

 「「「篠ノ之が鬼畜過ぎる……」」」

 

 一方モニターの前で観戦する他のクラスメイトはヴィランも真っ青な悪戯グッズの外道コンボを目の当たりにして篠ノ之に対する認識は一致していた。

 彼らの中で報復を恐れた者達は絶対彼を怒らせないようにしようと誓う程だ。

 

 「うぅん、確かにこれはやり過ぎかもしれないな」

 「激しく同意」

 「アイツ頭おかしいわ」

 「よくこんな恐ろしいこと思いつくよね?」

 

 なんて事はない。有名な洋画の悪戯を参考にしただけである。確かに嗜虐心を満たす為に趣味の範囲ではあるが、俺の考えは舐めプするクソガキをフルボッコにして絶妙な匙加減で煽りまくってストレス発散することだけだ。

 確かにこれでは屑認定も納得する。

 最初の殺傷性の高い矢を使ったら、後はひたすら妨害や足止めが目的の非殺傷性の罠ばかりで精神的に苦痛を与える。怒りのボルテージを急上昇させればそれだけ視野も狭まり、思考も単純化されていく。

 ここまでくればわざわざ此方から誘導せずとも勝手に泥濘に嵌っていく。

 

 「あ、また」

 「もう残り時間も少ないし、これで終わりじゃね?」

 

 一人の言葉通り、結局俺達とヒーローチームは顔を合わせることなく訓練を終えた。

 モニタの前に戻り、かなり消沈した轟と障子が見える。うん、障子に関してはほんと申し訳ない。謝らないけど。

 

 「お帰り諸君。あー……評価、聞くかい?」

 「いや、いい……」

 「だよネ」

 「それはそうと篠ノ之少年。これは訓練だ、もう少し加減を」

 

 オールマイトの言いたいことはわかる。だが俺はどちらかと言うと担任の肩を持つんだよ。

 

 「先生、練習で出来ないことが本番でできると思いで?窮地に個性や隠れた才能を発揮すると本気で思ってますか?世の中どうしようもない現実ってもんがあるんですよ。良かったじゃないですか。プロの貴方がそう思うなら現場のヴィランは俺程鬼畜じゃないみたいですし」

 「篠ノ之さん、やり過ぎです」

 「だがな八百万」

 「でももすともございませんわ!後で反省会です!」

 「あーはいはい」

 「「「猛獣使いだ……」」」

 

 クラスの意見が一致した瞬間だった。何故か八百万には甘いな俺、束達とは似ても似つかないと思うが、まあ考えても仕方ないか。どうせくだらない理由だろうし。

 俺にとってはその程度の認識だったが周りの反応は違い、後で俺の世話係に八百万が任命された。誠に遺憾だ。

 

 「では篠ノ之さん。何故あのような不粋なことをしたのか弁解はありますの?」

 「弁解ねぇ、ムカついたから?」

 「……それだけですか?」

 

 八百万は素直に話すのとその理由が意外だという表情を隠さずに問いかけてきた。

 

 「ああ、オールマイトにはああ言ったがあの時轟は俺や葉隠、同じチームの障子すら見ていなかった。正面からお前達は眼中にないって態度が明け透けだったからな」

 「それって八つ当たりでは?」

 「いや、本人に返ってるから正確にはやり返したんだよ。轟が俺達を下に見たのと同じ、俺もあいつを全力で下に見てやった」

 「大人気ないですわ」

 「子供だからな」

 「そうでしたわね。篠ノ之さんは周りの殿方とは違って理性的だと思っていたのですが……フフ」

 

 幻滅したか?と思ったら口元を隠して小さく笑いだした。何だ?今の一瞬で何があった?

 

 「し、失礼しました。ふぅ。大変好ましいと思いましたの。冷静なのは長所ですが人間味がありませんでしたの。まるで人形や玩具を相手にしているようで」

 「……」

 「あ、すみません。悪気があった訳では」

 

 面と向かって相手に人形というのは確かに失礼かもしれないが、俺には事実だからな。寧ろ八百万の直感に驚いたくらいだ。

 

 「いや、今回は俺のやり過ぎだな。素直に反省するよ。轟はともかくとばっちりの障子には謝っておく」

 「そうですわね。それがよろしいかと」

 「んじゃ反省終わり。ところで八百万の方はどうだ?俺の罠は参考になったか?」

 「ご冗談を、とても参考にできませんわ」

 だろうな。八百万が嫌悪感を抱くような意地の悪いのばかり選んだし、知識として知っていればいい。

 

 その後で上鳴や切島が放課後にファミレスで反省会をしようと言い出し、飯田や八百万、緑谷がそれに乗っかって寄り道をすることにした。

 ヒーロー基礎学の模擬戦で幼馴染に負けた爆豪だけは不参加らしい。轟は終始俺を睨んでいたが、授業中解説役を買って出ていた八百万を隣に座らせておく。同じ推薦組でお互い触発されることがあるだろう。

 轟、八百万、緑谷の順に長椅子は三人ずつ座っていく。そこのテーブルから背中合わせの位置に座った。

 

 「緑谷さん?顔色がよろしくないようですが……?」

 「はひっ!?いやあのこの顔は元々ですからっ」

 

 女子にあまり免疫がない彼が狼狽している様が面白く、見ていたくもあり彼には尊い犠牲になってもらおうか?

 

 「でさ、あ、篠ノ之お前も何かない?」

 「何が?」

 

 名前を呼ばれ、振り返ると向かいに座る上鳴、峰田、尾白と隣の蛙吹と耳郎が俺の方をジッと見ていた。

 

 「だからぁ、今日の反省はいいから皆の個性でアイデアを出そうって話になったんだ。篠ノ之はどうだ?」

 「そうだなあ……」

 

 一通りぐるりと視て、彼らの個性を分析する。

 

 上鳴は『帯電』。生体電気や体外から取り込んだ静電気を増幅させて体表に纏う個性。利点は元が静電気ならウール系の服を着ていれば充電が可能ということ。難点はあくまで電気を纏うだけで耐性はあるが自分が火傷する場合や電池切れになると頭がショートしてアホになることか。

 なら電源を携帯して対策し、放電時の電流に避雷針や鉄線などで指向性を持たせればいい。

 

 峰田は『もぎもぎ』。聞いただけでは理解しにくいがあたしンちの母の頭みたいな球体を無限に捥ぎれる。紫の球体の特性としては吸着性に優れ長ければ一日取れず、峰田本人にはかなりの反発性を発揮する。ただし捥ぎり過ぎると出血してしまう。

 吸着性は敵の拘束にはうってつけだな。そして相手の動きを封じた上で自分は圧倒的な機動性が得られる。課題は配置と瞬間的な移動経路を確保する判断力。こればかりは場数をこなすしかない。

 

 尾白の個性は『尻尾』。シンプル故にこの雄英では上位に位置する実力と努力家だろうな。頑丈な尻尾を取り込んだ体術を身に付けているようだし、あとは熟練度を上げて自分の弱点を把握することか。フィールドによっては無双できるぞ。今度俺と組手しようか。

 以上のことを伝えてみれば興奮気味に感謝された。今のは誰にでも、それこそ自分の個性ならいつかは辿り着いた答えでしかないが……役に立ったのなら別にいい。

 

 「篠ノ之君、組手の話こちらからもお願いするよ」

 「ああ」

 「ねぇ私達は何かない?」

 「あたしも聞いていいかしら?」

 

 女子からも個性についてのアイデアを催促された。

 

 「耳郎は……そうだな。範囲は半径6mだったよな?それで先端で刺した先に心音を増幅させた音波攻撃で破壊する個性か。直接刺さる場合はいいが強度を上げたり指向性スピーカーに接続したらどうだ?」

 「ブーツのスピーカーはもうしてるよ」

 「お、流石。ならスピーカーを増やすか。今のはブーツの前方だけだろ?比較的自由の効く手だったり、無人機とかから遠隔で攻撃できるといいな。種類が増えれば指向性でも個人を狙うか大勢を狙うかで違うからな。あとは

確かに広範囲の相手に爆音をぶつけるなら普通のでも問題ない。指向性を推すのはその方向にしか音が届かないから威力が減衰せず敵をピンポイントで撃退できる。さらに離れた仲間だけに声を届けることができる。こう言った使い分けができるならなおいいぞ」

 「ふーん。確かにそうだね。ありがとう参考になった」

 

 嬉しいのかによによと頬が抑えきれず微妙に上がっている。それを微笑ましく見る皆。耳郎が気付くことはなかった。

 

 「蛙吹は『蛙』か。難しいな」

 「ケロケロ、何でもいいわよ?それと梅雨ちゃんと呼んで」

 「OK梅雨ちゃん……梅雨ちゃんの個性は応用力が高い。なら長所を伸ばすより弱点を減らす方が良いか。寒いのがダメなんだよな?」

 「そうね。どうしても寒いのは辛いわ」

 「成程。だとしたら任意で防寒できる装備が必要か」

 「「「今さらっと名前で呼んだ……!?」」」

 他の皆が驚いているが特に反応せず熟考する。

 

 「だったら丁度いいのがある」

 

 量子格納庫から低周波振動治療器を取り出す。外見は湿布の様な電極だ。何もない場所から物を出して初めて見た者は驚くが軽く流して蛙吹に渡す。

 

 「使い方は背中と肩に貼って電源を入れるだけ。元は電流を流してストレスを軽減するマッサージ機なんだが、感電防止に防水加工をして音波で振動を与えるタイプだ。体温を上げる効果もあるから使ってくれ。今はこれくらいしかできないが」

 「充分過ぎるわ。嬉しい、ありがとうね篠ノ之ちゃん」

 「それはあくまで体温を上げるだけだからな。本気で対策するなら専用のコスチュームが必要だろう。学校に変更届を出しとくといい」

 

 普段から余り表情の変化が乏しい蛙吹だが、今だけは誰が見てもわかるくらい喜んでいるのがわかる。寧ろ他の皆にはかなりアイデアを出せたが、ほぼ弱点がなく便利な個性の彼女には根本的な解決策を出せなかった。

 だのにお礼を言われてはこちらが申し訳なくなる。

 

 「しっかし凄えな篠ノ之は!アイデアがスラスラ出てくるしよ!」

 「凄く頭いいのがわかるよ。それに身体能力も高い」

 「何だよ超勝ち組じゃんか!イケメン死すべし!」

 「ケロケロ。これ大切に使わせてもらうわね」

 「私のスピーカーもアイデア活かしてみるよ」

 

 皆の声で他のテーブルにいた級友達も何だ何だとこっちを注目する。勿論後の席からも視線がバンバン向けられていた。

 振り返らずとも八百万が何故か誇らしげにうんうん頷いていて緑谷がブツブツ言いながら大学ノートにメモして、轟が俺の後頭部を穴が開く程睨んでいるのがわかる。

 

 「それでさ!次は篠ノ之だよな?篠ノ之の個性って何なんだ?」

 「それ私も思った」

 「テストでは発動型の増強系か移動系かと思ったんだけど、轟君みたいな複合系になるのかな?」

 

 峰田、耳郎、尾白が声に出して此方を食い入る様に見てくる。いや、三人だけじゃないここにいるA組全員が耳を澄ませていたり俺の個性に対して敏感になり、少し静寂が支配する。

 

 「まあ、別にいいか。俺の個性は──『科学』だ」

 

 本質的には一方通行と同じ『自身が観測した現象から逆算して、限りなく本物に近い推論を導き出す』個性と言える。

 俺は特典通りとあるに登場する能力を全て扱えるが、あくまで『一方通行』の派生、又は再現した能力ということになる。だから例外的に『未元物質(第二位)』や『幻想殺し(神浄の討魔)』も使用できている。

 昨日八百万に話した同じ内容を説明すると「このチートがぁあ!」と叫ぶ峰田以外の男子はその応用性に驚嘆しつつも賞賛し、女子も理解力があり二度目の説明を受けた八百万や葉隠は改めてその規格外さに言葉を失い、理解が及ばずただただ凄いと言う。

 

 「じゃあ何もない所から物を出すのも?」

 「ああ、それは個性じゃなくてただの発明品」

 

 「「「は?……はぁぁぁあああ!?」」」

 

 「お客様っ!他のお客様のご迷惑になります!」

 「「「す、すいませんっ」」」

 

 再度店員に注意されるなど紆余曲折あったが本来の目的通りに各々の個性の改善点や訓練での反省会を終えることができた。

 

 

 




 
 本日の解説。
 
 後で調べたら耳郎のスピーカー元々指向性だった……
 orz
 
 修正しました
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