神根島
嚮団員を切り伏せV.V.の前に現れたのはスザクだった。
「久しぶりだねスザク。シュナイゼルから僕を始末するように命令されてきたのかい?」
V.V.の言う通りスザクの行動はシュナイゼルの命令によるものだった。
「不死がどうこう言ってたな。ひょっとしたら本当に殺せないかもしれない。その時は身動きが取れないようにして私のもとに連れ帰ってくれ。先帝陛下をそそのかしギアスに引きずり込んだ逆賊V.V.を」
そのシュナイゼルの命令を達成すれば自分をナイトオブワンに推薦してくれると約束した。現皇帝オデュッセウスは会議などで簡単な挨拶こそ自ら口上するが議事進行はシュナイゼルに任せきりだと聞く。シュナイゼルが推薦すればラウンズだろうとすぐに任命してくれるだろう。それにV.V.には個人的な私怨もあった。
「1年前ギアスのこととユフィの仇を教えてくれたことには感謝している。だがシュナイゼル閣下から君こそがギアスの元凶だと聞いた。もっともルルーシュの側にいた緑色の髪の女性も君と同類かもしれないから全てが君のせいだとは思わない」
言葉とは裏腹に殺意に目を光らせながらスザクは続ける。
「だがギアスを知り与えることのできる君ならユフィを救えたはずだ」
ギアスの元凶ならギアスに関する全てを意のままにできるはず。暴論だった。
「僕はギアスを与えるだけだ。防ぐことなんてできやしない」
V.V.の答えに耳を貸さずスザクは剣を構え、
「閣下のもとに来てもらおう。抵抗すれば容赦はしない!」
峰うちで瞬時に気絶させる。そのつもりで振りかぶった。が刃は大剣にさえぎられた。
「ヴァルトシュタイン卿!」
「無礼者め! このお方をどなたと心得ている。御名を明かすことはもはや叶わぬが亡きシャルル陛下の兄君にあらせられるぞ」
スザクはビスマルクの出現を予感していた。シュナイゼルからビスマルクにギアスを与えたのはV.V.でしかもトウキョウ決戦以来ビスマルクと連絡が取れないと聞かされていたからだ。
「ビスマルクさっさと片付けて、君にはシュナイゼルのもとにいるC.C.を連れてくる役目があるんだから」
「イエス・マイロード!」
V.V.が背を向けるがビスマルクからはすさまじい闘気を感じる。スザクにはV.V.を追う余裕がなかった。
シュナイゼルは少し困惑していた。
「アーニャ君がC.C.嬢をさらった?」
ルルーシュのギアスによるものだろうか? ゼロへの不信感から黒の騎士団の士気は下がっていた。フレイヤが撃たれる前から敗戦を察してC.C.を差し出さざるを得ない場合に備えてアーニャにギアスを?
ありえないことではないが斑鳩から追放される時のルルーシュの様子からはそんな根回しをしていたとは考えにくい。それに二人が接触したのはトウキョウ決戦でナイトメア同士で交戦していた時のことだ。ルルーシュのギアスの型は目を合わせないと効果がないとV.V.も言っていた。
「すぐに追ってくれ。C.C.嬢はこれからのブリタニアに必要な人間だ」
「イエス・ユア・ハイネス」
シュナイゼルの命令にカノンはすぐに動く。
カノンの退出を見届けてシュナイゼルは一言だけこぼす。
「C.C.を捕まえるために私を利用していたのは気付いていたがかと言ってギアスは魅力的だ」
V.V.をこれ以上泳がせるのは危険すぎる。
C.C.の方は一度挨拶してみたところすぐになついてくれるとは思えないがルルーシュあたりを捕らえて人質に取れば協力的になってくれるかもしれない。
まず自分やカノンには本当にギアスの適性がないのか。それからじっくり有益なギアス能力者を探して取り込み、危険な能力者には犠牲になってもらう。
ダモクレスとギアス、この二つがそろえば平和を実現できる理想世界は誰にも覆すことができなくなる。
V.V.を切り捨てる判断をした以上C.C.は絶対に懐柔しなければならなかった。
異空間にV.V.はたたずんでいた。
嚮団とかつての同志、シャルルとマリアンヌがアーカーシャの剣と呼んでいた場所だ。
「ダモクレスの接続を始める。僕たちを嘘でもてあそんだ神と決着をつける時だ」
その時空間がゆがむ。
「違うな間違っているぞ。お前と決着をつけるのはこの俺だ!」
ルルーシュの出現と同時にV.V.は出入り口にあたる空間の異変に気付く。
「破壊したのか? 出口を」
ルルーシュは勝ち誇った笑みで答える。
「この空間から抜け出せなくなればお前が何を企んでいようと不死身だろうと関係ない。永遠にここから抜け出せないんだ。好きなだけ泣いたりわめいたりするといい、俺はお前との会話に飽きれば自決することができる。さあ、永遠の懺悔に苦しむがいい!」
ルルーシュの言葉とは裏腹にV.V.は内心ほくそ笑んだ。
(これならシュナイゼルは完全に邪魔が出来なくなる。かえって好都合だ)